✍ 古家あきら | 2026-10-07 更新
許可・認可・免許・登録・届出の違い — 条文で見る許認可の仕組みと、会社サイト3万1,159社のうち許可番号を載せるのは8.7%
先に結論です。許可・認可・免許・登録・認定は、どれも「申請して、行政庁から認めるかどうかの返事をもらう」手続きです。届出だけが違い、書類に不備がなければ窓口に届いた時点で手続きが済みます。 行政手続法はこの2つを分けて定義しており、前者をまとめて「許認可等」と呼んでいます。
- 申請(許認可等):行政手続法2条3号。「許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分」を求め、行政庁が「諾否の応答」をするもの
- 届出:同法2条7号。行政庁に一定の事項を「通知」する行為で、法令で義務付けられているもの(申請に当たるものを除く)
- 届出の効力:同法37条。形式上の要件を満たしていれば、提出先に到達した時点で義務を果たしたことになる
- 言葉の違いは、法律ごとの呼び名の違いでもある:宅地建物取引業法3条の「免許」と建設業法3条の「許可」は、「営もうとする者は…を受けなければならない」という同じ形の条文です
- 外から確かめやすいのは、番号と標識がある制度:建設業・宅建業・古物商・旅行業は、法律で店や営業所に標識を掲げる決まりがあります
- 会社サイトでの見え方:しょくばログが保存している会社サイト31,159社のうち、許可番号の表記があったのは2,724社(8.7%)、届出番号や「届出済」の表記は270社(0.9%)でした
しょくばログという会社データベースを運営していると、「この会社のサイトに『東京都知事許可(般-5)第○号』とあるけれど、『登録』や『届出』と書いてある会社とは何が違うのか」という質問を受けます。どこで調べるかは会社の許認可を調べる方法にまとめたので、この記事では言葉そのものの意味と、それが会社の調べ方にどう効いてくるかを整理します。
行政手続法では「申請」と「届出」の2つに分かれる
許可・認可・免許は「申請」に対する処分
行政の手続き全般のルールを決めている行政手続法は、2条で用語を定義しています。3号の「申請」は、法令に基づいて「行政庁の許可、認可、免許その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分」を求める行為で、行政庁が諾否の応答をすべきものとされています。ここで挙げられた許可・認可・免許などを、同じ号の中で「許認可等」とまとめて呼んでいます。
条文に「登録」や「認定」の文字はありませんが、「その他の自己に対し何らかの利益を付与する処分」に含まれます。旅行業の「登録」も、女性活躍推進法の「認定」も、申請を出して行政庁が認めるかどうかを決める手続きです。
届出は「通知」で、受理を待たない
同じ2条の7号は、「届出」を「行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)」で、法令で直接その通知が義務付けられているもの、と定義しています。
決定的な違いは37条です。届出は、記載事項に不備がなく、必要な書類が添付されているなど形式上の要件を満たしていれば、提出先の機関に到達したときに、届け出る義務を果たしたことになると書かれています。行政庁が「認める・認めない」を判断する手続きではない、ということです。
「返事がある手続き」か「出せば終わる手続き」か
読者の側から見ると、違いは次の2点に集約されます。
- 許認可等(許可・認可・免許・登録・認定):審査があり、断られることがある。認められると、多くの制度で許可番号や登録番号が付く
- 届出:形式が整っていれば受け付けられる。番号が付く制度もあるが、付かない制度も多い
会社を調べる立場では、許認可等は「行政が審査して通した」という事実があり、番号から台帳で裏を取れることが多い、届出は「出した」という事実にとどまり、外から確かめる手段が制度によってまちまち、という違いになります。
許可・認可・免許・登録・認定を条文の例で見る
法律の言葉は、名前だけで意味がきっちり分かれているわけではありません。ここでは、しょくばログの記事で扱ってきた業種を、根拠の条文ごとに並べます(条文はe-Gov法令検索で確認)。
許可:営業してよいかを審査する
- 建設業:建設業法3条。2以上の都道府県に営業所を置くなら国土交通大臣、1つの都道府県だけなら知事の「許可」。軽微な工事だけなら不要
- 古物商:古物営業法3条。都道府県公安委員会の「許可」。詳しくは古物商許可を確認する方法
- 飲食店などの食品営業:食品衛生法55条。都道府県知事の「許可」。施設が基準に合うと認めるときは許可しなければならない、と書かれています。詳しくは飲食店の営業許可を確認する方法
- 一般貨物の運送:貨物自動車運送事業法3条。国土交通大臣の「許可」
免許:呼び名は違っても、条文の形は許可と同じ
- 宅地建物取引業:宅地建物取引業法3条。大臣または知事の「免許」。有効期間は5年で、続けるには更新が要ります(同条2項・3項)
- 酒類の販売業:酒税法9条。販売場ごとに所轄税務署長の「販売業免許」。詳しくは酒類販売免許の調べ方
宅建業法3条と建設業法3条を並べると、「営もうとする者は」「二以上の都道府県の区域内に…設置して…営もうとする場合にあつては国土交通大臣の」と、文の組み立てがほぼ同じです。読者が「免許のほうが格上」「許可のほうが厳しい」と受け取る必要はありません。
登録:台帳に載せて管理する
- 旅行業:旅行業法3条。「観光庁長官の行う登録」。詳しくは旅行業登録を確認する方法
- 電気工事業:電気工事業法3条。大臣または知事の「登録」で、有効期間は5年。詳しくは電気工事業の登録を調べる方法
- 貸金業:貸金業法3条。内閣総理大臣または知事の「登録」で、3年ごとに更新しないと効力を失います
認可:設立や定款などを認める
- 社会福祉法人の設立:社会福祉法31条。設立しようとする者は、定款について所轄庁の「認可」を受けなければなりません。財務の見方は社会福祉法人の財務諸表を見る方法
ここでの認可は、「この事業をしてよいか」というより、「この定款で法人を作ってよいか」を認める手続きです。営業の可否を問う許可とは、審査している対象が違います。
認定:基準を満たした会社に「お墨付き」を出す
- 女性活躍推進法の認定:同法9条。厚生労働大臣が、届出をした一般事業主からの申請に基づき、取組が優良であるなどの基準に合う旨を「認定」します。10条で、認定を受けた事業主は厚生労働大臣が定める表示(えるぼしマーク)を広告などに付けられ、認定を受けていない者が付けることは禁止されています
認定は、受けなくても営業はできます。許可や登録が「無いと営業できない」のに対し、認定は「あると評価の材料になる」ものです。マークの一覧は企業の認定マーク一覧にまとめています。
届出の例と、同じ業種で手続きが分かれる例
美容所:届出のあとに「確認」がある
美容師法11条は、美容所を開こうとする者に、位置や構造設備、管理美容師などをあらかじめ知事に届け出ることを求めています。そのうえで12条は、構造設備の検査を受け、「確認」を受けた後でなければ美容所を使ってはならないと定めています。届出だけで済むわけではなく、使い始める前に保健所の検査が入る仕組みです。詳しくは美容室の開設届を調べる方法。クリーニング所も同じ形で、クリーニング業の開設届を調べる方法で扱いました。
食品営業:許可の業種と届出の業種がある
食品衛生法は、55条で許可が要る営業を定める一方、57条で、それ以外の営業(政令で除外されるものなどを除く)について「あらかじめ…都道府県知事に届け出なければならない」としています。同じ食品を扱う商売でも、業種によって許可か届出かが分かれます。
運送業:トラックは許可、軽自動車は届出
貨物自動車運送事業法は、一般貨物自動車運送事業を3条で「許可」、貨物軽自動車運送事業を36条で「届出」としています。軽貨物の黒ナンバーは届出で始められる、ということです。確かめ方は軽貨物の黒ナンバーの届出を調べる方法。
電気工事業:登録と「通知」
電気工事業法は、一般の電気工事業を3条の「登録」とする一方、自家用電気工作物の工事だけを行う事業者は、17条の2で、事業を始める10日前までに大臣または知事に「通知」すればよいとしています。同じ電気工事業でも、扱う工事の範囲によって手続きの重さが違います。
外から確かめやすいのは「番号+標識」がある制度
法律で標識の掲示が決まっている業種
許認可等の中でも、法律で店や営業所に標識を掲げることまで決まっている業種は、外から確かめやすくなります。
- 建設業:建設業法40条。店舗と、元請けの工事現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げる
- 宅地建物取引業:宅建業法50条。事務所等ごとに標識を掲げる
- 古物商:古物営業法12条。営業所ごとに標識を掲げる。さらに12条2項で、許可をした公安委員会の名称と許可証の番号をインターネットで公開することが求められています(事業の規模が著しく小さい場合などの例外あり)
- 旅行業:旅行業法12条の9。営業所に標識を掲げ、旅行業者等以外が似た標識を掲げることは禁止
標識に書かれた番号は、行政が公開している業者名簿や検索システムと照らし合わせられます。会社のサイトに番号が書いてあれば、まずそれを名簿で引き、社名・所在地が一致するかを見るのが確実です。
届出の業種は、番号が無いことが多い
届出の業種は、標識や番号の表示が法律で決まっていないことが多く、外からの確認は自治体が公開している一覧や、保健所などへの問い合わせに頼ることになります。届出の業種で「届出番号」が見当たらないのは、怠っているからとは限りません。もともと番号を表示する仕組みが無い制度も多い、という点は押さえておきたいところです。
許認可があっても、処分を受けていないかは別の話
許可番号が本物でも、過去に営業停止などの処分を受けていることはあります。処分の調べ方は会社の行政処分を調べる方法にまとめました。
しょくばログのデータ:会社サイトに番号はどれだけ載っているか
しょくばログが保存している会社サイト31,159社の本文を、番号を伴う表記に絞って数えました(2026年10月7日集計)。「許可」「登録」といった単語だけの言及は、「社員登録」「運転免許」のように別の意味でも使われるため数えていません。
番号の種類ごとの件数
- 許可番号の表記(「許可番号」「許可(般-5)第○号」「知事許可 第○号」など):2,724社(8.7%)
- 登録番号の表記(「登録番号」「登録第○号」など。適格請求書発行事業者の登録番号=インボイス番号だけのサイトは除外):1,553社(5.0%)。ただし、ISOやプライバシーマークなど民間の認証の登録番号も含みます
- 認定番号の表記:414社(1.3%)
- 届出番号・「届出済」の表記:270社(0.9%)
- 免許番号の表記(「免許番号」「免許証番号」「免許(○)第○号」など):266社(0.9%)
なお「登録番号」の表記があった2,315社のうち、762社はインボイスの登録番号の前後にしか出てきませんでした。会社概要の「登録番号」は、許認可ではなく税の登録を指していることも多い、ということです。
業種別に見た主な表記
同じ31,159社で、業種ごとの代表的な表記を数えると次のとおりです。
- 建設業許可の表記(「建設業許可」「知事許可(般-○)」など):1,799社
- 労働者派遣事業の許可番号(「派13-0○○○○○」の形など):1,057社
- 有料職業紹介事業の許可番号(「13-ユ-○○○○○○」の形など):681社
- 古物商許可の表記:481社
- 宅地建物取引業の免許の表記:303社
- 産業廃棄物処理業の許可の表記:275社
- 電気工事業の登録・届出の表記:84社
- 旅行業登録の表記:78社
- 酒類販売業免許の表記:34社
- 飲食店・食品の営業許可の表記:9社
建設業や人材派遣・職業紹介は、番号を載せるのが当たり前になっている一方、飲食店の営業許可を会社サイトに書く例はほとんどありません。派遣・紹介の番号の読み方は派遣・紹介の許可番号を確認する方法で解説しています。
番号が無いことを、どう受け止めるか
この数字から言えるのは、「サイトに番号が無い=無許可」ではないということです。そもそも許認可の要らない業種が大半で、許認可が要る業種でも、番号をインターネットで公開する決まりがあるのは古物商など一部です。番号が無いときは、まず「この業種に許認可が要るのか」を確かめ、要るなら行政の名簿で社名を引く、という順番になります。
よくある質問
許可と認可は何が違いますか?
どちらも行政手続法2条3号でいう「許認可等」で、申請に対して行政庁が認めるかどうかを判断する点は同じです。実際の法律では、許可は建設業法3条のように「営業してよいか」を、認可は社会福祉法31条の設立認可のように「定款などの内容を認めるか」を対象にしていることが多く、審査の対象が違います。
免許と許可では、免許のほうが厳しいのですか?
条文の言葉だけで厳しさは決まりません。宅地建物取引業法3条の「免許」と建設業法3条の「許可」は、大臣か知事かの区分も含めて、ほぼ同じ形で書かれています。厳しさは要件や欠格事由など、それぞれの法律の中身で決まります。
届出をしていれば、行政のお墨付きがあると考えてよいですか?
届出は、形式が整っていれば提出先に届いた時点で手続きが済みます(行政手続法37条)。行政が中身を審査して「認めた」わけではありません。ただし美容所やクリーニング所のように、届出のあとに構造設備の検査と「確認」がある制度もあります。
登録と認定はどう違いますか?
旅行業や電気工事業、貸金業の登録は、受けなければその業を営めません。女性活躍推進法の認定のような「認定」は、受けなくても営業はでき、基準を満たした会社がマークなどで表示できるものです。
会社のサイトに許可番号が書いていないのは問題ですか?
多くの業種では問題ありません。しょくばログが保存している会社サイト31,159社でも、許可番号の表記があったのは8.7%でした。気になる場合は、その業種に許認可が要るかを確かめ、要るなら行政が公開している名簿で社名を検索してください。
データについて
- 法令の条文は、e-Gov法令検索(API v2)で2026年10月7日に取得した現行版で確認しました。行政手続法(平成5年法律第88号)2条3号・7号、37条。建設業法3条・40条、古物営業法3条・12条、宅地建物取引業法3条・50条、旅行業法3条・12条の9、美容師法11条・12条、酒税法9条、電気工事業の業務の適正化に関する法律3条・17条の2、社会福祉法31条、食品衛生法55条・57条、貨物自動車運送事業法3条・36条、貸金業法3条、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律9条・10条
- 会社サイトの集計は、しょくばログが保存している会社サイト本文31,159社分を対象に、2026年10月7日に正規表現で数えたものです。番号の表記は正規表現で拾っているため、表記ゆれによる取りこぼしや、別の意味の番号を拾っている可能性があります。個別の会社名は出していません
- 許認可の有無や番号の正しさは、必ず各制度の所管官庁が公開している名簿・検索システムで確認してください