✍ 古家あきら | 2026-10-07 更新

クリーニング業の開設届を調べる方法 — 許可ではなく「届出+保健所の確認」、全国6万9,855施設のうち7割は取次所

先に結論です。クリーニング店を開くのに「許可」は要りません。要るのは、保健所への「開設届」と、使い始める前に構造設備の検査を受けて得る「確認」の2つです。 許可番号のような番号を店や会社サイトに載せる決まりはないため、届出の有無を外から確かめるには、自治体が公開している施設一覧を見るか、保健所に問い合わせることになります。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「近所のクリーニング店の運営会社を調べたら有限会社だった。ちゃんと届け出ている店なのか」という種類の疑問に行き当たります。許可番号を載せる業種(古物商や建設業)とは確かめ方が違うので、順に整理します。

クリーニング業は「許可」ではなく「届出」の業種

法律でいう「クリーニング業」の範囲

クリーニング業法2条1項は、クリーニング業を「溶剤又は洗剤を使用して、衣類その他の繊維製品又は皮革製品を原型のまま洗たくすること」を営業とすることと定めています。リネンやおしぼりのように、貸し出して回収し、洗ってまた貸し出す営業もここに含まれます。

同条2項で、自分では洗わずに洗濯物の受け取りと引き渡しだけをする営業者も「営業者」に含めています。駅前やスーパーの一角にある取次店も、この法律の対象です。

一方、社名や看板に「クリーニング」とあっても、法律の定義に当てはまらない事業があります。

開設するときの手続きは2段階

クリーニング所を開くときの流れは、法律では次の2段階です。

1. 開設届(5条1項):クリーニング所を開設しようとする者は、あらかじめ都道府県知事に届け出る 2. 使用前の検査と確認(5条の2):構造設備について知事の検査を受け、基準に合っていることの確認を受けるまでは、そのクリーニング所を使ってはいけない

確認の基準は3条2項・3項です。洗濯をするクリーニング所には、業務用の洗濯機と脱水機を少なくとも1台ずつ置く(脱水機能つきの洗濯機なら脱水機は不要)、施設や業務用車両を清潔に保つ、といった措置が並んでいます。

「許可」との違いは、行政が営業してよいかを審査して許すのか、営業する側が知らせるのか、という点です。クリーニング業は届出制ですが、届け出ただけでは使えず、施設の「確認」を受けて初めて使えるという点で、ただ出せば済む届出よりは一段重い仕組みです。

窓口は保健所、届け出る相手は知事か市長・区長

届け出る相手は都道府県知事です。ただし14条で、保健所を設置する市と特別区(東京23区)では、市長・区長がこの事務を行います。大阪市や横浜市のような政令指定都市、中核市でクリーニング所を開くなら市長あて、23区なら区長あてです。いずれも実際の窓口は保健所です。

開設届に書く項目

施行規則1条の3が、届出書に書く項目を定めています。

車を使って店舗なしで集配する「無店舗取次店」は、5条2項の営業届を、営業する区域ごとに出します。こちらは業務用車両の登録番号や保管場所、営業区域を書きます(施行規則1条の3第2項)。届け出た内容が変わったときや廃止したときは、速やかに変更届・廃止届を出します(5条3項)。

営業を譲り受けたときは「地位の承継」の届出

会社の合併や営業の譲渡でクリーニング店の経営者が変わった場合、5条の3で、譲り受けた側や合併後の法人が届出をした営業者の地位を引き継ぎます。引き継いだ側は、遅滞なく承継の届出をします。合併なら合併後の法人の登記事項証明書を添えます(施行規則2条の4)。

社名が変わった、運営会社が吸収された、という店でも、届出の上では地位が引き継がれている、という整理になります。運営会社の変遷を追うときは、会社の旧社名を調べる方法が役に立ちます。

クリーニング師は「洗う店」に1人以上

4条で、クリーニング所ごとに1人以上のクリーニング師を置く義務があります。ただし、受け取りと引き渡しだけを行う取次所は除かれます。クリーニング師は、都道府県知事の試験に合格して免許を受けた人です(6条)。

届け出ていないとどうなるか

罰則は軽めです。

罰金は小さいものの、3条などの衛生措置に違反して措置命令に従わないと、知事は営業停止やクリーニング所の閉鎖を命じることができます(10条の2・11条)。

届出を確かめる方法:店の掲示と自治体の一覧

まず店頭の「苦情の申出先」を見る

クリーニング業法3条の2第2項は、受け取りと引き渡しのときに、利用者へ苦情の申出先を示すよう営業者に義務づけています。施行規則1条の2によると、クリーニング所では、苦情の申出先となるクリーニング所の名称・所在地・電話番号を店頭に掲示し、受け取りと引き渡しのときにはそれを書いた書面を配ります。

取次店の場合、ここに書かれているのは実際に洗っている工場(クリーニング所)であることが多いはずです。どの会社のどの工場が洗っているのかを知る、いちばん手近な手がかりです。その名称が分かれば、店名やサイト名から運営会社を調べる方法の手順で法人までたどれます。

自治体が公開している施設一覧を見る

届出済みの施設の一覧を、ウェブで公開している自治体があります。今回確かめた例は次のとおりです。

堺市の一覧の名前が「確認施設」になっているのは、5条の2の「確認」を受けた施設という意味です。届出だけでなく、使用前の検査を通った施設が載っていると読めます。

一覧が見つからないときは保健所に問い合わせる

全国で統一された検索サイトはありません。一覧をウェブで見つけられない場合は、店の所在地を管轄する保健所の生活衛生の担当に問い合わせるのが確実です。届け出る先が知事か市長・区長かで管轄が変わるので、政令市・中核市・23区の店は市・区の保健所、それ以外は都道府県の保健所が窓口になります。

運営会社そのものを確かめる

店のクリーニング所としての届出と、運営会社が実在して営業を続けているかは別の話です。運営会社の法人名が分かったら、法人の種類一覧で会社の形態を、会社の業種を調べる方法で登録上の業種を確かめられます。ほかの業種の許認可とまとめて確かめたい場合は、会社の許認可を調べる方法に一覧があります。

全国のクリーニング業の数:取次所が7割、4年で16.5%減

厚生労働省の「衛生行政報告例」(令和6年度末現在)によると、クリーニング業の施設数は69,855で、前年度から3,081(4.2%)減りました。内訳は次のとおりです。

合計は令和2年度末の83,700から4年で13,845減り、減少率は16.5%です。全体の69.0%が取次所で、実際に洗う設備を持つクリーニング所は3割弱にとどまります。店舗を構える形は両方とも減る一方、車で集配する無店舗取次店だけは増えています。

都道府県別では、東京8,287、大阪6,149、愛知3,766、神奈川3,290、埼玉2,933の順に多くなっています(同報告例の統計表4)。

なお、厚労省のクリーニング業の統計ページは、前年度の数字(令和6年3月末 72,936)を「営業許可施設数」と表現しています。法律の上では許可ではなく届出と確認なので、ほかの資料を読むときも「許可」という言葉にとらわれないほうが混乱しません。

しょくばログのデータで見るクリーニング会社

社名に「クリーニング」を含む法人は3,230社、閉鎖率20.0%

しょくばログが持つ国税庁の法人データ(約579万法人)で、社名に「クリーニング」を含む法人は3,230社ありました。このうち647社(20.0%)は登記が閉鎖されています。法人全体の閉鎖率は13.2%なので、1.5倍ほど高い数字です。

閉鎖されていない2,583社の内訳は次のとおりです。

法人全体では、閉鎖されていない法人に占める有限会社は28.4%です。クリーニング会社はその2倍を超える割合で有限会社が残っています。有限会社は2006年の会社法施行以降は新しく作れないので、古くから続く町のクリーニング店が多いことの表れと読めます(有限会社に就職するのは不利なのかも参照)。

2,583社のうち2,486社(96.2%)は、業種が「生活関連サービス業,娯楽業」に分類されていました。社名に「ハウス」「ビル」「エアコン」を含むものも100社(3.9%)あり、これらは衣類ではなく建物の清掃を手がける会社とみられます。社名に「クリーニング」とあっても、クリーニング業法の対象とは限りません。

都道府県別では、東京474社(18.4%)、北海道244社、神奈川235社、千葉148社、埼玉112社、愛知110社、大阪103社でした。大阪は施設数では全国2位ですが、社名に「クリーニング」を含む法人は103社にとどまります。施設の多くが社名に「クリーニング」を含まない会社や、個人の店で運営されているということでしょう。

会社サイトで「クリーニング」に触れているのは1,063社

しょくばログが保存している会社の公式サイトのうち、文字化けなく読めた31,159社を調べました。「クリーニング」の語がある会社は1,063社(3.4%)。ただし、このうち418社は語の近くに「ハウスクリーニング」「エアコンクリーニング」「清掃」などがあり、建物の清掃の文脈でした。

衣類のクリーニングを事業として扱っていそうな会社を、「ワイシャツ」「しみ抜き」「布団」「取次」「仕上げ」などの語が「クリーニング」の近くに2種類以上ある、という条件で機械的に抜き出すと50社。これを1社ずつ目で確かめると、寝具店や清掃会社、洗剤の販売、ホテルの宿泊客向けサービスなど12社は別の業種で、衣類・寝具・リネンのクリーニングを事業にしていると読めたのは38社でした。50社のうち42社が株式会社で、社名から見た分布(有限会社が7割弱)とは逆です。自社サイトを持ち、しっかり作り込んでいるのは、規模の大きい株式会社に偏るということでしょう。

38社のサイトに書かれていたこと

50社の範囲まで広げても、「保健所」の語があったのは1社、業界団体の「クリーニング事故賠償基準」に触れていたのは4社、LDマークなど業界団体の表示に触れていたのは1社でした。50社のうち13社は「コインランドリー」も手がけていました。

開設届が会社サイトに書かれていないのは、怠っているからではありません。法律が求めているのは店頭の掲示と書面の配布で、サイトへの記載ではないからです。許可番号の表示が慣行になっている業種とは違い、クリーニング業ではサイトに書いていないことは、届出がないことの手がかりにならないと考えるべきです。

よくある質問

クリーニング店を開くのに許可は要りますか?

許可は要りません。クリーニング業法5条1項による開設届を事前に出し、5条の2による構造設備の検査を受けて確認を受けてから使い始めます。洗う設備を持つ店ならクリーニング師を1人以上置く必要があります(4条)。

取次店だけを開く場合も届出が要りますか?

要ります。受け取りと引き渡しだけをする取次所もクリーニング所なので、5条1項の開設届を出します(届出書に取次所である旨を書きます)。店舗を持たず車で集配する無店舗取次店は、5条2項の営業届を営業区域ごとに出します。取次所にはクリーニング師の設置義務はありません。

ハウスクリーニングやコインランドリーもクリーニング業法の対象ですか?

ハウスクリーニングは建物を清掃する仕事で、繊維製品や皮革製品の洗濯ではないため、クリーニング業法の定義に当てはまりません。コインランドリーは客が自分で洗う施設で、宮城県のように、法律とは別の指導要綱で保健所への届出を求めている自治体があります。

届出をしているクリーニング店は、どこで調べられますか?

全国共通の検索サイトはありません。堺市(確認施設の一覧)、浜松市(オープンデータ)、練馬区(新規・廃止施設のCSV)のように一覧を公開している自治体ではそれを見て、公開していない場合は管轄の保健所に問い合わせます。店頭に掲示されている苦情の申出先も、洗っている工場を知る手がかりになります。

店が別の会社に変わったら、届出は出し直しですか?

営業の譲渡や合併・分割で引き継いだ場合は、引き継いだ側が営業者の地位を承継します(5条の3第1項)。その場合は新たな開設届ではなく、承継の届出を遅滞なく出します。合併なら合併後の法人の登記事項証明書を添付します。

データについて

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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