✍ 古家あきら | 2026-10-15 更新

日給月給とは — 月給制・完全月給制との違い。会社サイト3.1万社で「月給」と書く5,277社のうち「日給月給」は107社、「完全月給」はわずか3社でした

先に結論です。日給月給は「月の給料の額は決まっているが、欠勤した日の分は差し引かれる」払い方です。完全月給制は、休んでも月の額が変わりません。そして求人票で「完全月給」とはっきり書く会社はほとんどなく、ただ「月給」とだけ書いてある求人のほうが圧倒的に多い、というのが実情です。

しょくばログという会社データベースを運営していると、会社の公式サイトに載っている募集要項を毎日のように読みます。給与欄で「日給月給」という言葉に出会うたびに、応募する側はこれをどう受け取ればいいのか、気になっていました。そこで、保存している会社サイトのテキスト31,159社分を検索しました。

「月給」と書く会社の大半は、それが日給月給なのか完全月給なのかを書いていません。つまり求人票の「月給」だけでは、休んだときに給料が減るかどうかは読み取れないということです。

日給月給・月給制・完全月給制の違い

まず、言葉の整理です。この3つは法律で定義された言葉ではありません。労働基準法にも「日給月給」「完全月給」という語は出てきません。会社が自社の給与の払い方を説明するために使う呼び名で、細かい中身は会社の就業規則(賃金規程)で決まります。そのうえで、一般的な使い方は次のとおりです。

ここで間違えやすいのが「日給制」との違いです。日給制は「1日いくら」で決まり、出勤した日数を掛けて月の給料が出ます。出勤日が少ない月は給料も減ります。日給月給は名前に「日給」と入っていますが、基本は月の額が決まっていて、休んだ分だけを引く仕組みです。祝日が多い月でも、会社の休日であれば給料は減りません。

働かなかった日の分を払わなくてよい、という考え方は「ノーワーク・ノーペイ」と呼ばれます。民法624条は、労働者は約束した労働をした後でなければ報酬を請求できない、と定めています。日給月給は、この考え方を月給に当てはめた形だと言えます。逆に完全月給は、会社が「休んでも引かない」と決めている、働く側に有利な形です。

会社サイト107社の「日給月給」は、どう書かれていたか

「日給月給」と書いていた107社の、前後40字を読みました。

3社に2社は「給与(日給月給制)〇〇円」のように、月の額とセットで書いています。一方で、「欠勤した分を引く」と説明まで書いている会社は20社に1社ほどでした。サイト全体で「欠勤控除」という語が出てくる会社は、31,159社のうち9社だけです。

読んでいて目についた書き方を、個社名は伏せて紹介します。

「22日計算」のように日数まで書いてあると、1日休んだときにおよそいくら減るのかを自分で見積もれます。期間を区切る書き方は、入社直後だけ日給月給で、その後は扱いが変わる可能性を示しています。こうした書き方は親切な部類です。

業種・会社の規模による違い

「月給」と書いていた会社のうち「日給月給」と書いた会社の割合を、業種別に出しました(月給と書く会社が300社以上ある業種のみ)。

建設と製造は、医療・福祉の10倍以上の割合で「日給月給」と書いていました。現場の稼働日や工場の操業日で働く日が決まりやすい業種で、この言葉が使われやすいようです。ただし、医療・福祉に日給月給の会社が少ないという意味ではありません。書いていないだけの可能性があります。

従業員数で分けると、次のとおりです。

10〜49人の会社で一番多く書かれていました。

求人ページの給与欄そのものでも確かめました。しょくばログが集めている会社サイトの求人6,735件のうち、給与欄が入っていたのは3,045件、「月給」を含むものは1,088件です。そのうち「日給月給」は12件(1.10%)、「完全月給」は0件、「月給制」は29件でした。会社サイト全体で見ても、求人の給与欄だけで見ても、「完全月給」と書く会社はほぼいないという結果は同じです。

求人票の「月給」はどう読めばいいか

ここまでの数字から言えるのは、「月給」とだけ書いてある求人は、欠勤したときに引かれるかどうかが書かれていない、ということです。「完全月給」と書く会社がこれだけ少ない以上、「月給」とだけあれば完全月給だと思い込まないほうが安全です。

ハローワークの求人票には「賃金形態」という欄があります。会社サイトの募集要項にも「賃金形態:日給月給」と、この項目名のまま書いている例がありました。ハローワーク経由の求人を見るときは、給与の金額だけでなくこの欄も見てください。

もう一つ大切なのは、日給月給だから悪い条件、というわけではないことです。休んだ分が引かれるのは、民法の考え方に沿った普通の払い方です。困るのは「完全月給だと思って入ったら、休んだ月に給料が減った」という、思い込みとのずれのほうです。求人票全体の読み方は求人票の見方、給与欄の手当や固定残業代の読み方は求人票の給与の見方にまとめています。年俸制の求人なら年俸制の求人の見方も参考になります。

応募前・面接で確かめること

聞きにくい話題ですが、入ってから困らないために、次の3つは確かめておく価値があります。

1. 欠勤したとき、給料から差し引かれるか。引かれるなら、基本給だけか、手当も含むか 2. 遅刻・早退も時間単位で差し引かれるか 3. 1日あたりの控除額をどう計算するか(「月の所定労働日数で割る」「22日で割る」など)

聞き方は「お休みをいただいた場合、給与の計算はどうなりますか」で十分です。内定が出たら、労働条件通知書の「賃金」の欄も見てください。労働基準法施行規則5条は、賃金の決定・計算・支払の方法を、働き始めるときに書面で示すよう会社に求めています(同条1項3号・3項・4項)。そこに「日給月給」「欠勤控除」と書いてあれば、その会社の払い方です。求人票と労働条件通知書の内容が違うときの考え方は、求人票と実際の労働条件が違うときの見方で書いています。

シフト制の職場では、働く日数そのものが月によって変わります。その場合は日給月給より、シフトの組み方のほうが給料に響きます。シフト制の求人の見方もあわせて読んでください。

よくある質問

日給月給は正社員でもありますか

あります。「日給月給」と書いていた107社のうち15社は、すぐ近くに「正社員」と書いていました。日給月給はパートやアルバイトだけの払い方ではなく、正社員の月給の決め方の一つです。

有給休暇を使った日も差し引かれますか

年次有給休暇は、会社が賃金を払わなければならない休みです(労働基準法39条)。有給休暇を取った日は欠勤ではないので、日給月給でもその日の分は引かれません。差し引かれるのは、有給休暇を使い切った後などに休んだ「欠勤」の日です。

祝日やお盆休みが多い月は、日給月給だと給料が減りますか

会社が決めた休日であれば、日給月給でも減りません。減るのは、出勤するはずの日に休んだときです。「1日いくら×出勤日数」で決まる日給制とは、ここが違います。

求人票に「月給制」と書いてあれば、完全月給と考えていいですか

考えないほうが安全です。今回の調査では、「月給」と書く会社5,277社のうち「完全月給」と明記していたのは3社だけでした。「月給制」とだけあるときは、欠勤した場合の扱いを面接で確かめてください。

欠勤した日の控除額はどう決まりますか

会社の就業規則(賃金規程)で決まります。「月給÷その月の所定労働日数」で1日分を出す会社もあれば、「22日計算」のように決まった日数で割る会社もあります。具体的な計算方法は、入社前に会社の担当者に確認してください。

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調べ方のメモ:しょくばログが保存している会社公式サイトのテキスト31,159社分(文字化けの多いものを除く)を、「月給」「日給月給」「完全月給」「月給制」「欠勤控除」で検索しました。文脈の分類は「日給月給」の前後40字に含まれる語で数えたもので、一社が複数の分類に入ることがあります。求人の給与欄は、しょくばログが会社サイトから集めた求人6,735件の給与項目で数えました。業種は国税庁の法人番号に結びつけた日本標準産業分類の大分類、従業員数はgBizINFOの登録値です。法律の条文はe-Gov法令検索で確認しました。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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