✍ 古家あきら | 2026-10-01 更新
求人の「シフト制」とは — 会社サイト3.1万社のうち2,095社(6.72%)が記載。希望休まで書くのは1割、変形労働時間制の明記は8%
先に結論です。求人の「シフト制」は、勤務する日や時間帯を固定せず、週や月ごとの勤務表(シフト表)で決める働き方のことです。法律で定義された言葉ではないので、「シフト制」と書いてあるだけでは、休みが月に何日あるのか、希望休が出せるのか、夜勤があるのかはわかりません。確かめるべきなのは「年間休日の日数」「シフトの決め方(希望休の有無と締め切り)」「時間帯の種類(早番・遅番・夜勤)」の3つです。
しょくばログという会社データベースを運営していると、会社の公式サイトに載っている募集要項を毎日のように読むことになります。そこで、保存している会社サイトのテキスト31,159社分を「シフト制」で検索しました。書いていたのは2,095社(6.72%)。「シフト」という語まで広げると3,805社(12.21%)です。そして、「シフト制」の前後80字に希望休や「相談に応じる」と書いていたのは222社(10.6%)でした。シフト制と書く会社の9割は、シフトの決め方を同じ場所に書いていません。
シフト制とは何か
シフト制は、働く日・時間帯を一定期間ごとに組み直す勤務の決め方です。会社サイトの書き方には、だいたい次の3つの型がありました。
- 時間帯のシフト:「9:00〜21:00のうち実働8時間(シフト制)」「早番7:30〜16:30/遅番10:00〜19:00」
- 休日のシフト:「休日:週休2日制(シフト制)」「月9日休み(シフト制)」
- 両方のシフト:「勤務時間・休日ともにシフト制」
前後80字に時刻(「9:00〜18:00」のような書き方)が出てきたのは1,213社(57.9%)、「実働○時間」は408社(19.5%)。時間帯を書いている会社は過半数ありますが、「早番・遅番・日勤」まで書いているのは293社(14.0%)、「夜勤・宿直・夜間」に触れているのは291社(13.9%)でした。
無作為に50社を選んで前後の文章を目で読むと、47社は自社の募集要項や勤務条件の記載でした。残りは「当社はシフト制ではなく土日祝休み」と否定する書き方が2社、派遣会社が紹介する仕事の一覧が1社です。数字はおおむね「自社の働き方の説明」と読んで差し支えない、という確認です。
「固定休」「土日休み」との違い
シフト制の反対にあたるのが、休む曜日が決まっている働き方(固定休)です。「土日祝休み」「毎週水曜・日曜休み」のように書かれます。シフト制の会社でも休みの曜日を固定している場合はあり、「原則水曜日+平日1日のシフト制」のような書き方もありました。
「シフト制」の前後80字に「土日休み」が出てきた会社は74社(3.5%)にとどまります。シフト制と書いてある求人で土日に休めるかどうかは、ほぼ書かれていないと考えてください。
シフト制と変形労働時間制の違い
ここが一番まぎらわしいところです。
シフト制は勤務表の作り方の呼び名、変形労働時間制は労働基準法の制度です。労働基準法32条は、労働時間を原則1週40時間・1日8時間までとしています。シフトで1日10時間の日を作るなら、この上限を平均でならす仕組みが要ります。それが変形労働時間制です。
- 1か月単位の変形労働時間制(労働基準法32条の2):1か月以内の期間を平均して週40時間以内に収める。労使協定か就業規則などで定める
- 1年単位の変形労働時間制(同32条の4):1か月を超え1年以内の期間で平均する。労使協定で定める
つまり、シフト制でも1日8時間・週40時間の中で組んでいるなら変形労働時間制は要りません。逆に、日によって9時間・10時間の勤務があるシフトなら、変形労働時間制の定めがあるか、超えた分が残業として払われているかのどちらかのはずです。
会社サイトの記載では、「シフト制」の前後80字に「変形労働」が出てきたのは177社(8.4%)。内訳は1か月単位が81社(3.9%)、1年単位が23社(1.1%)でした。サイト全体で「変形労働」に触れていた会社は927社(2.98%)です。
日によって長い勤務がある求人なのに、変形労働時間制の記載がなく残業代の説明もない場合は、面接で「1日の所定労働時間は何時間か」「長い日の超過分はどう扱うか」を聞いてください。残業代の確かめ方は会社の残業時間・有給取得率の調べ方にまとめています。
休日は「週1日」か「4週4日」が法律の下限
労働基準法35条は、休日を毎週少なくとも1回与えるよう求めています。ただし4週間を通じて4日以上の休日を与える場合は、この「毎週」の決まりは適用されません。シフト制で「今週は休みがない」週があっても、4週で4日以上あれば、この条文には反しない、ということです。
もちろん、これは最低ラインの話です。実際の求人で比べるべきは「年間休日」の日数です。
シフト制の会社の年間休日は少し少なめ
しょくばログの保存データから、会社サイトに「年間休日○日」と書いている会社を抜き出し(90〜150日の範囲、最初に出てきた数字)、シフト制と書いている会社とそれ以外で比べました。
- シフト制と書いている会社(881社):中央値118日、真ん中の半分は110〜120日。120日以上は48.5%、105日未満は5.2%
- それ以外の会社(5,353社):中央値120日、真ん中の半分は115〜124日。120日以上は68.9%、105日未満は3.1%
差は中央値で2日ですが、「120日以上」の割合では20ポイントの開きがあります。シフト制の会社は、土日祝やお盆・年末年始をまとめて休む会社に比べると、休日が少なめに設計されていることが多い、と読めます。年間休日105日の意味や平均との比べ方は会社の年間休日の調べ方と平均を参照してください。
ただし、「シフト制」の前後80字に年間休日の日数まで書いていたのは388社(18.5%)だけです。「週休2日」は620社(29.6%)が書いていますが、「完全週休2日」は193社(9.2%)。「週休2日制」は「月に1回以上、週2日休める週がある」という意味で使われることがあり、毎週2日休めるとは限りません。シフト制の求人で「週休2日」とだけ書かれていたら、年間休日の日数を確かめてください。「4週8休」「月○日休み」と書いていたのは108社(5.2%)でした。
シフト制が多い業種
「シフト制」と書いている会社の割合を業種別に見ると、こうなりました(会社サイトの保存数が300社以上の業種)。
- 宿泊業・飲食サービス業:159社/807社(19.7%)
- 医療・福祉:501社/3,296社(15.2%)
- 生活関連サービス業・娯楽業:63社/468社(13.5%)
- 運輸業・郵便業:106社/981社(10.8%)
- 卸売業・小売業:109社/1,504社(7.2%)
- 不動産業・物品賃貸業:26社/503社(5.2%)
- 製造業:242社/6,600社(3.7%)
- 金融業・保険業:18社/507社(3.6%)
- 学術研究・専門技術サービス業:37社/1,406社(2.6%)
- 情報通信業:48社/2,103社(2.3%)
- 建設業:69社/3,489社(2.0%)
営業時間が長い・休業日が少ない・24時間止められない業種ほど多い、という当然の結果ですが、宿泊・飲食では5社に1社がサイトに「シフト制」と書いています。医療・福祉の求人では「早番・遅番・夜勤」の時間帯が並べて書かれていることが多く、保育園でも「7:15〜19:15のうち8時間のシフト制」のような書き方が目立ちました。製造業のシフト制は、工場の2交替・3交替を「シフト制」と書いている例です。
正社員のシフト制で確かめる5つのこと
シフト制はパート・アルバイトだけの働き方ではありません。会社サイトでも「正社員(シフト制)」「正社員:シフト制/業務委託:週3日〜」のような書き方がありました。なお、「シフト制」の前後80字に「正社員」の語があったのは306社(14.6%)、「パート・アルバイト」は341社(16.3%)です。正社員でシフト制の求人に応募するなら、次の5つを確かめてください。
1. 年間休日の日数:「シフト制」「週休2日」だけでなく、年間何日か。上の比較のとおり、シフト制の会社は120日未満のことが多い 2. シフトの決め方:シフト表はいつ出るか(前月の何日か)、希望休は月何日まで出せるか、連休は取れるか 3. 時間帯の種類:早番・遅番・夜勤はあるか。夜勤があるなら月何回か、夜勤手当はいくらか 4. 1日の所定労働時間:日によって長さが変わるなら、変形労働時間制か、超えた分は残業として払われるか 5. 土日祝・年末年始の扱い:土日に休める回数、繁忙期に休みが取れない時期があるか
就業規則には、始業・終業の時刻、休憩、休日に加えて、労働者を2組以上に分けて交替で働かせる場合は「就業時転換に関する事項」を書く決まりがあります(労働基準法89条1号)。シフトの組み方を詳しく知りたいときは、内定後に就業規則を見せてもらうのが確実です。求人票全体の読み方は求人票の見方にまとめています。
よくある質問
シフト制だと休みは自由に決められますか?
会社によります。「シフト希望提出可(土日希望もOK)」のように希望を出せると書く会社がある一方、何も書いていない会社が大半です。しょくばログの集計では、「シフト制」の前後に希望休や「相談に応じる」と書いていたのは10.6%でした。希望休が月に何日まで通るのか、締め切りはいつかを面接で聞いてください。
シフト制の正社員は月給が下がることはありますか?
正社員の月給制なら、シフトの入り方で月給の額は普通変わりません。変わるのは時給・日給で働く場合です。ただし、夜勤手当や深夜の割増賃金(22時〜5時)は入ったシフトによって増減します。給与欄の読み方は求人の給与欄の見方を参照してください。
シフト制と交替制は違いますか?
ほぼ同じ意味で使われています。会社サイトでも「交替制(シフト制)」と並べて書く例がありました。工場や病院で「2交替」「3交替」と書くときは、時間帯の組が決まっていてそれを順番に回す働き方を指すことが多く、飲食店や小売店の「シフト制」は、もっと細かく勤務表で組み直す働き方を指すことが多い、という違いがあります。
シフト制で連勤が続くのは違法ですか?
連勤そのものを直接禁じる条文はありません。労働基準法35条は「毎週1回」または「4週を通じて4日以上」の休日を求めており、4週4日を満たすシフトなら、計算上は長い連勤もあり得ます。ただし、1週40時間・1日8時間を超えた分は、変形労働時間制の定めがなければ残業として扱われます。連勤が多い職場かどうかは、ブラック企業の見分け方にある口コミや離職の確かめ方も参考にしてください。
求人に「休日:シフト制」とだけ書いてあったら?
年間休日の日数と、月の休日数を聞いてください。しょくばログの集計では、「シフト制」と書いている会社のうち年間休日の日数まで同じ場所に書いていたのは18.5%でした。日数が言えない会社は、月によって休日の数が大きく変わる可能性があります。
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この記事のデータについて:しょくばログが保存している会社公式サイトのテキスト31,159社分(文字化けを除く)を2026年10月1日に集計しました。会社サイトに募集要項を載せている会社に偏っており、求人サイト全体の割合ではありません。「前後80字」は「シフト制」の語の前後80字以内に該当の語があった会社数で、正社員・パートの区別は語の出現で数えたものです。年間休日の比較は、サイト内で最初に出てきた「年間休日○日」(90〜150日)を使いました。業種はしょくばログのデータベースに登録している日本標準産業分類の大分類です。法令(労働基準法32条・32条の2・32条の4・35条・89条)は、e-Gov法令検索がメンテナンス中だったため、法務省「日本法令外国語訳データベース」の日本語条文で確認しました。個別の会社名は載せていません。