✍ 古家あきら | 2026-09-15 更新

会社の年間休日を調べる方法 — 平均は何日か、105日と120日の差はどこから来るか

先に結論です。応募先の年間休日は、求人票の「休日等」欄か、会社サイトの採用ページ(募集要項)で確認します。全国平均は、厚生労働省の令和7年就労条件総合調査で1企業平均112.4日、労働者1人平均116.6日です。「120日以上」を掲げる会社は、同じ調査で全体の39.3%。つまり120日は「多い側の会社の標準」であって、日本の会社の標準ではありません。

ただし、ここで一つ知っておいてほしいことがあります。採用ページに年間休日を書いている会社は少数派です。しょくばログという全国の会社データベースを運営していて、会社サイトの採用ページを32,838社分取得してあるのですが、その中で「年間休日」という語が出てくるのは6,769社、5社に1社でした。そして書いてある会社だけを数えると、120日以上が67.1%。厚労省の39.3%とは大きく違います。理由は単純で、休日が多い会社ほど書きたがるからです。この記事は、そのズレを含めて「年間休日の数字をどう読むか」を分解します。

調べ先は3つ — 書いてある場所と、書いていないときの手

年間休日は、会社の残業時間・有給消化率と違って公的な公表制度がありません。しょくばらぼにも年間休日の項目はなく、頼りになるのは会社自身の記載です。

書いていない場合は、「完全週休2日制」「週休2日制」「祝日」「年末年始」「夏季休暇」の組み合わせから概算します。やり方は後半で書きます。

全国平均は何日か — 厚労省の数字を規模別に見る

厚生労働省が毎年出している「就労条件総合調査」に、年間休日総数の項目があります。最新の令和7年調査(2024年1年間の実績、常用労働者30人以上の企業が対象)の数字がこれです。

(企業規模:1企業平均/労働者1人平均/120日以上の企業割合)

出典:厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」第4表(120日以上=「120〜129日」+「130日以上」の合計)

「1企業平均」と「労働者1人平均」が4日違うのは、大きな会社ほど休日が多く、大きな会社ほど働いている人が多いからです。「日本の会社の平均」を知りたいなら112.4日、「日本の働く人の平均」を知りたいなら116.6日と読み分けてください。

階級別の分布も載っています。調査計で最も多いのは「120〜129日」の37.3%、次が「100〜109日」の27.9%、「110〜119日」の21.4%です。つまり日本の会社は「105日前後」と「120日前後」の2つの山に分かれていて、その間の110日台は少なめです。100日未満の会社も11.1%あります。

もう一つ大事な数字。完全週休2日制を「主な週休制」にしている会社は65.5%(30〜99人では62.6%、1,000人以上では77.9%)。3社に1社は、まだ完全週休2日ではありません。

105日はどこから来るか — 週40時間制の計算

「年間休日105日」という数字が求人票に多いのは偶然ではありません。労働基準法第32条の「1週40時間・1日8時間」を守るために必要な休日数が、計算上ちょうど105日になるからです。

つまり「年間休日105日・1日8時間」は、残業ゼロなら法定労働時間ぴったりの設計です。悪い数字ではありませんが、余裕もありません。これより少ない会社は、1日の所定労働時間を8時間未満にしている(例:7時間30分なら87日で足りる)か、変形労働時間制を使っているか、あるいは法定労働時間を超えている(=36協定と割増賃金が必要)かのどれかです。

ちなみに、常時10人未満の商業・保健衛生業・接客娯楽業などは「特例措置対象事業場」として週44時間まで認められています(労働基準法施行規則第25条の2)。この場合の計算上の下限は79日です。小さな飲食店や診療所の求人で年間休日が80日台なのは、この特例が背景にあることが多いです。

一方の120日は、土日(約104日)に祝日(16日前後)を足した数です。「完全週休2日制+祝日休み」の会社は自然に120日前後になります。ここに年末年始と夏季休暇を足すと125日前後。採用ページの数字で120日と125日が飛び抜けて多いのは、この設計を採る会社が多いからです(後述のうちのデータでは、120日が1,434社、125日が742社で1位と2位です)。

うちのデータで見る — 採用ページに「年間休日」を書いている会社はどれだけあるか

ここからは、しょくばログが持っている会社サイトの採用ページ32,838社分(gBizINFOに公式サイトが登録されている会社のうち、2026年6月に採用ページや会社案内の文章を取得できた会社)で数えた結果です。

まず記載率。「年間休日」という語がページ内にあった会社は6,769社(20.6%)。そのうち日数まで読み取れたのが6,414社です。

(従業員規模:採用ページを取得した会社/「年間休日」の記載あり/記載率)

30人未満の会社は8社に1社しか書いていません。1,000人以上でやや下がるのは、大企業は採用ページが「新卒サイト」や「求人媒体」に分かれていて、会社サイト本体に募集要項を置かないことが多いためです。

業種別の記載率はこうです(採用ページを500社以上取得できた業種のみ)。

(業種(日本標準産業分類・大分類):取得社数/記載率)

製造業と建設業が高いのは、現場職の求人で「年間休日」が応募の判断材料として定着しているからでしょう。宿泊・飲食が低いのは、シフト制で「年間休日◯日」より「月◯日休み」と書く文化があることが影響しています。

書いてある会社の分布 — 中央値120日、ただし選ばれた数字

日数が読み取れた6,414社の分布です。ページに複数の数字がある場合(職種ごとに違う等)は最も大きい値を採っているので、会社が最も見せたい数字だと思ってください。

(年間休日:社数/割合)

中央値は120日、平均は118.9日。120日以上が67.1%です。

ここで厚労省の数字と並べてみてください。厚労省の調査では120日以上は39.3%、うちの採用ページでは67.1%。約28ポイントのズレがあります。厚労省の調査は「会社で最も多くの労働者に適用される休日数」を会社に直接聞いた数字、うちのデータは「会社が採用ページに自ら書いた数字」です。休日が少ない会社は書かない、書くなら一番多い職種の数字を書く。この2つが重なって、採用ページの数字は実態より上に寄ります。

逆に言えば、採用ページに年間休日を書いていない会社は、書いている会社より休日が少ない可能性が高いと考えて、面接で必ず確認したほうがいいということです。

規模別に見ると、書いてある会社の中でも差が出ます。

(従業員規模:日数が読めた社数/中央値/120日以上/105日以下)

105日以下の割合は、30人未満で16.4%、1,000人以上で0.6%。厚労省の規模別平均(30〜99人111.2日、1,000人以上117.7日)と同じ方向で、しかも小さい会社ほど「書いているのに105日」が残ります。

業種で見る — 建設と運輸は「105日」が残っている

書いてある会社の中で、業種別に「120日以上」と「105日以下」の割合を出しました。

(業種:日数が読めた社数/中央値/120日以上/105日以下)

情報通信業は「書いている会社のほぼ全部が120日以上」で、105日以下は1.0%しかありません。この業種で「年間休日105日」の求人を見たら、同業の中ではかなり少ない側だと分かります。逆に建設業(14.2%)と運輸業(19.4%)は、書いている会社の中でも105日以下が1〜2割あります。現場の稼働日数に縛られる業種で、土曜稼働が残っているためです。

業種別の離職率と重ねると、運輸・建設は離職率も高めの業種です。休日数だけで会社を判断はできませんが、「同業の中でどの位置か」を見るのに、この一覧を使ってください。

「完全週休2日制」と書いてあれば120日か

採用ページで「完全週休2日制」と書いている会社は3,468社(10.6%)、「週休2日制」(「完全」なしを含む)は5,928社(18.1%)でした。

「完全週休2日制」かつ日数も書いてある2,009社を見ると、中央値123日、120日以上が89.9%、105日以下は0.9%です。「完全週休2日」と書いてあって105日以下というのは、ほぼありません。祝日が休みでない(土日だけ=約104日)と120日に届かないはずですが、採用ページで「完全週休2日制」を掲げる会社の9割は祝日も休みにしている、と読めます。

一方「週休2日制」(「完全」がつかない)は、厚労省の定義で言えば「月に1回以上、週2日の休みがある」制度です。隔週土曜出勤なら年間休日は100日前後になります。「完全」の1語で20日変わるので、求人票の見方でも書きましたが、ここは必ず区別してください。

書いていないときの概算法

採用ページや求人票に年間休日の数字がなく、休日の種類だけ書いてある場合は、次の足し算で概算できます。

「完全週休2日制+祝日+年末年始+夏季」なら125日前後。「完全週休2日制」だけで祝日の記載がなければ105〜110日の可能性を疑ってください。「週休2日制(土曜は隔週)+祝日」なら100〜110日。「シフト制・月8日休み」なら96日+年末年始などで100日前後です。

概算した数字は、面接で「年間休日は何日ですか」と一度聞いて確定させてください。聞いて嫌がられる質問ではありません。求人票に書く義務がある項目ですし、労働条件通知書に必ず出てくる項目です。

年間休日の数字を読むときの注意3つ

よくある質問

年間休日105日は少ないですか?

厚労省の令和7年調査では、1企業平均が112.4日、階級別で「100〜109日」の会社が27.9%あります。105日は平均より少ないが、4社に1社以上がこの帯にいるという位置です。ただし週40時間・1日8時間の会社では105日が法定労働時間ぴったりの下限なので、残業が加わると法定を超える設計になります。応募するなら残業時間を合わせて確認してください。

年間休日120日以上の会社は全体の何割ですか?

厚労省の令和7年就労条件総合調査(30人以上の企業)で39.3%です。1,000人以上の企業では57.8%、30〜99人では35.4%。うちのデータで採用ページに年間休日を書いている会社に限れば67.1%ですが、これは書いている会社が休日の多い側に偏っているためで、全体の割合ではありません。

年間休日が法律で決まっていますか?

年間休日の日数そのものを定めた条文はありません。労働基準法第35条は「週1回(または4週4日)の休日」を最低限としており、これだけなら年52日でも違法ではありません。ただし第32条の週40時間・1日8時間を守ろうとすると、計算上105日以上の休日が必要になります。年間休日が少ない会社は、所定労働時間を短くするか、変形労働時間制や36協定で対応していることになります。

求人票の年間休日と実際が違ったらどうすればいいですか?

労働条件通知書(または雇用契約書)に書かれた休日が契約上の条件です。求人票と通知書が違う場合は、入社前に会社に確認し、書面を優先してください。入社後に通知書と実態が違う場合は、労働基準監督署に相談できます。求人票の記載と実態のズレが繰り返される会社は、会社の評判の調べ方にある口コミサイトでも「休日」の項目に書かれていることが多いです。

「年間休日120日」でも土曜出勤があることはありますか?

あります。「完全週休2日制(土日)+祝日」で120日前後になりますが、「週休2日制(土曜は隔週出勤)+祝日+年末年始+夏季+会社独自の休日」の組み合わせでも120日に届くことがあります。日数だけでなく「どの曜日が休みか」を募集要項の「休日・休暇」欄で確認してください。

この記事の数字について

全国の年間休日総数(令和7年調査計の1企業平均112.4日・労働者1人平均116.6日、企業規模別の1企業平均と労働者1人平均、年間休日総数階級別の企業割合、主な週休制の形態別企業割合、完全週休2日制の適用労働者割合73.3%、調査対象=常用労働者30人以上の企業)は、厚生労働省「令和7年就労条件総合調査 結果の概況」(第2表・第3表・第4表)から引用しました。「120日以上」の割合は、同表の「120〜129日」と「130日以上」を合計したものです。

法定労働時間(1週40時間・1日8時間)は労働基準法第32条、法定休日(週1回または4週4日)は同法第35条、特例措置対象事業場の週44時間は労働基準法施行規則第25条の2によります。105日・79日という数字はこれらの条文から本文の算式で計算したもので、うるう年や1日の所定労働時間が8時間未満の場合は変わります。

採用ページの記載率と日数の分布(32,838社中6,769社に「年間休日」の記載、日数が読み取れた6,414社の分布、規模別・業種別の記載率と中央値、「完全週休2日制」の記載3,468社)は、しょくばログのデータベースで、gBizINFOに公式サイトのURLが登録されている会社のうち2026年6月に採用ページまたは会社案内の文章を取得できた会社を対象に集計しました。従業員規模はgBizINFOの従業員数、業種は当データベースの日本標準産業分類(大分類)によります。ページ内に複数の日数がある場合は最大値を採用しているため、実際の平均より高めに出ています。日数の抽出は「年間休日◯日」の文字列を機械的に読み取ったもので、読み取れなかった355社は分布から除いています。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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