✍ 古家あきら | 2026-07-20 更新
会社の業種を調べる方法 — 日本標準産業分類(JSIC)の読み方と、登記に業種が載っていない理由
「この会社って、結局なんの業種なんだろう?」——取引先の与信を取るとき、応募先を業界ごとに比べたいとき、意外とつまずくポイントです。
先に結論から。会社の業種は、登記情報にも国税庁の法人番号公表サイトにも載っていません。 業種を知りたいなら、①gBizINFO ②会社の公式サイト ③求人票 ④登記簿の「目的」欄、この4つのどれかを見に行くことになります。そして業種の"共通言語"になっているのが、総務省の日本標準産業分類(JSIC)です。
しょくばログという会社データベースを運営していると、この「業種が公的データに無い」問題に毎日ぶつかります。今日はその実態も含めて、正直に書きます。
まず大前提:法人番号のデータに業種は無い
国税庁の法人番号公表サイトで公開されているのは、基本的に次の3点だけです。
- 商号(会社名)
- 本店所在地
- 法人番号(13桁)
(あとは変更履歴や登記記録の閉鎖日など)
つまり、業種の項目はそもそも存在しません。「法人番号で検索したのに業種が出てこない」のは、あなたの検索が下手なわけではなく、最初から入っていないからです。法人番号そのものの仕組みは法人番号とは何か、会社名からの調べ方は会社名から法人番号を調べる方法にまとめています。
登記簿にも「業種」という欄はありません。近いものは「目的」欄ですが、これは実際の事業とズレます。理由は後述します。
日本標準産業分類(JSIC)の大分類20種
業種を語るときの共通言語が、総務省の日本標準産業分類です。アルファベットA〜T の20の大分類があり、その下に中分類・小分類・細分類(4桁コード)とぶら下がる構造になっています。
実務でまず覚えるべきは大分類20だけです。しょくばログでも、この大分類ごとに会社をまとめています。
- A 農業,林業 / B 漁業 / C 鉱業,採石業
- D 建設業 / E 製造業
- F 電気・ガス・熱供給・水道業
- G 情報通信業(IT・通信)
- H 運輸業,郵便業
- I 卸売業,小売業
- J 金融業,保険業 / K 不動産業,物品賃貸業
- L 学術研究,専門・技術サービス業(コンサル・士業・広告など)
- M 宿泊業,飲食サービス業
- N 生活関連サービス業,娯楽業
- O 教育,学習支援業 / P 医療,福祉
- Q 複合サービス事業(協同組合など)
- R サービス業(他に分類されないもの)
- S 公務 / T 分類不能の産業
つまずきやすいのが L と R です。 コンサル・法律事務所・設計事務所・広告代理店はサービス業(R)に見えて、実は L(学術研究,専門・技術サービス業)。一方 R は「どこにも当てはまらない残り」の受け皿で、人材派遣や自動車整備、廃棄物処理などが入ります。分類表を見ずに感覚で判断すると、ここでよく外します。
運営してみて分かった、いちばん正直な話
ここからが、うちのデータを持っている立場でしか書けない部分です。
しょくばログは全国 4,988,967社 を収録していますが、業種を推定できているのは約174万社(全体の35%ほど)にとどまります。 残りの約325万社は「分類不能」のままです。
なぜか。元データである法人番号の公開情報に業種が無いからです。うちでは会社名のキーワードとgBizINFOの事業概要から業種を推定していますが、「株式会社山田商事」のような社名からは、何の会社かを機械的に判断しようがありません。社名に「工業」「建設」「システム」が入っている会社は拾えても、そうでない会社は落ちます。
この数字が示しているのは、「日本の会社の業種は、公的データだけでは大半が分からない」という現実です。業種で会社を絞り込めるサービスは世の中にたくさんありますが、その裏側はどこも何らかの推定が入っていると考えたほうが実態に近いです。だからしょくばログの業種表示も参考値として扱ってください、と正直に書いておきます。正確さが必要な場面では、次の章のルートで裏を取るのが確実です。
業種を確実に調べる4つのルート
①gBizINFO(経済産業省)— まずここ
法人番号をキーにして、事業概要や業種、従業員数などが見られる公的なデータベースです。国が持っている情報の中では、業種にいちばん近いところまで届きます。無料で使えるので最初の一手にどうぞ。
②会社の公式サイトの「会社概要」— 一次情報として最強
結局これがいちばん確実です。事業内容が自社の言葉で書かれているので、JSICの硬い分類より実態がつかめます。「主要取引先」「沿革」まで載っていれば、その会社が本当に何で食べているかが見えます。
③求人票の「仕事内容」— 実態が出る
募集している職種は、その会社がいま伸ばしたい事業そのものです。会社概要では「総合商社」と名乗っていても、求人が施工管理ばかりなら実態は建設寄り、といった読み方ができます。求人票の読み解き方はハローワーク求人票の見方にまとめました。
④登記簿の「目的」欄 — ただし要注意
登記簿謄本を取れば「目的」欄が読めますが、ここには将来やるかもしれない事業まで大量に書いてあるのが普通です。「不動産の売買、賃貸、管理」「飲食店の経営」「前各号に附帯する一切の事業」……と10項目以上並んでいて、実際に稼働しているのは1つだけ、というのはよくあります。目的欄=実際の業種ではない、と覚えておいてください。
よくある質問
業種コード(4桁)はどこで調べられますか?
総務省の日本標準産業分類のページで、大分類から細分類(4桁)まで全コードが公開されています。ただし実務では大分類のアルファベット1文字で足りる場面がほとんどで、4桁まで必要になるのは統計調査や許認可の申請書を書くときくらいです。
会社が複数の事業をやっている場合、業種はどうなりますか?
JSICでは主たる事業(売上の最も大きい事業)で分類するのが原則です。ですから兼業している会社では、あなたが取引したい事業と、登録されている業種がズレることがあります。業種だけで判断せず、公式サイトの事業内容まで確認するのが安全です。
業種と業界って何が違うんですか?
業種は「日本標準産業分類のような公的な分類」、業界は「もっと日常的なくくり」と考えると整理しやすいです。たとえば「アパレル業界」はJSICでは製造(E)・卸売小売(I)にまたがりますし、「不動産業界」も不動産業(K)と建設業(D)にまたがります。転職の企業研究では、業種より業界感覚のほうが役に立つ場面も多いです。転職の企業研究のやり方もあわせてどうぞ。
個人事業主の業種も調べられますか?
法人番号を持たないので、法人向けのデータベースでは調べられません。インボイスの登録番号があれば国税庁のインボイス公表サイトで氏名と登録情報は確認できますが、業種は出てきません。公式サイトや名刺の記載を見るのが現実的です。
業種から会社を探したいのですが
しょくばログでは大分類ごとに会社の一覧ページを用意しています。建設業、製造業、IT・通信など、上のリストのリンクから入れます。地域と組み合わせて絞り込むこともできます。ただし前述のとおり、業種は推定を含む参考値です。
まとめ
会社の業種は、登記にも法人番号のデータにも載っていません。調べるなら gBizINFO・公式サイト・求人票・登記の目的欄の4ルート。共通言語は日本標準産業分類の大分類20種で、L(専門・技術サービス)と R(その他サービス)の取り違えにだけ気をつければ、だいたい読めるようになります。
そして正直なところ、公的データだけでは日本の会社の業種は3分の1程度しか分からない——これはうちが499万社を扱っていて実際にぶつかっている壁です。業種はあたりを付けるための道具、最後は公式サイトと求人で裏を取る。この順番がいちばん確実です。
会社そのものの調べ方は会社が実在するか確認する方法、規模感のつかみ方は会社の規模を調べる方法にまとめています。
※本記事は一般的な情報です。許認可や公的申請で業種コードが必要な場合は、総務省の分類表および所管官庁の案内をご確認ください。