✍ 古家あきら | 2026-10-02 更新
解体工事業登録を確認する方法 — 建設業許可(解体工事業)との違い。会社サイトで解体工事に触れる605社のうち、「解体工事業」の許可か登録を書いていたのは6.3%
先に結論です。解体工事を仕事として請け負うには、①建設リサイクル法の「解体工事業登録」(都道府県知事への登録)か、②建設業法の「建設業許可」(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)のどちらかが必要です。 許可を持っている会社は登録が要りません。
違いは、請け負える工事の金額です。
- 解体工事業登録だけの会社:請負金額500万円未満の解体工事まで(登録した都道府県の中で)
- 建設業許可(解体工事業など)を持つ会社:500万円以上の解体工事も請け負える(建築一式工事に含まれる解体は1,500万円以上が許可の線)
確かめ方は2つです。
- 登録:都道府県が公開している「解体工事業者登録名簿」を見る(神奈川県は名簿をインターネットで公開し毎月更新、埼玉県も県のホームページに登録業者を掲載しています)
- 許可:国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で会社名を検索し、許可業種に「解体」が入っているかを見る
一方で、会社のサイトを見ても、どちらなのかはほとんど書かれていません。 しょくばログという会社データベースを運営していると、業種をまたいで会社の公式サイトの文章を読む機会が多いのですが、保存している31,159社のサイトを数えたところ、「解体工事」に触れていたのは605社でした。そのうち建設業許可の中に「解体工事業」を明記していたのは33社(5.5%)、解体工事業登録に触れていたのは7社(1.2%)、どちらかを書いていたのは合わせて38社(6.3%)です。
解体工事業登録と建設業許可はどう違うのか
登録は「小さな解体工事」を請け負うための入口
建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)の21条で、解体工事業を営もうとする者は、営業する区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない、と決まっています。ただし、土木工事業・建築工事業・解体工事業の建設業許可を受けている者は除かれます(神奈川県「解体工事業登録」)。
ポイントは3つあります。
- 都道府県ごとの登録:複数の県で解体工事をするなら、それぞれの県で登録が必要です
- 有効期間は5年:更新しないと切れます(埼玉県・神奈川県の申請の手引き)
- 技術管理者を置くことが条件:解体工事の現場を管理する技術管理者を選んでいないと、登録の取り消し事由になります
500万円以上の解体工事は建設業許可が要る
建設業法では、請負金額が500万円以上の解体工事(建築一式工事として請け負う場合は1,500万円以上)は、建設業許可がないと請け負えません。つまり登録だけの会社が請け負えるのは500万円未満の工事です。
木造の小さな家屋の解体なら500万円未満に収まることもありますが、鉄骨造やRC造、アスベスト除去を含む工事では、この線を超えることがあります。見積もりが500万円を超える工事を「登録だけの会社」に頼むと、その会社は本来請け負えない状態になります。
2016年に「解体工事業」の許可が新しくできた
建設業許可の業種に「解体工事業」が加わったのは、2016年(平成28年)6月1日の改正建設業法の施行からです。それまで解体工事は「とび・土工工事業」の許可で請け負うのが一般的でした。
国土交通省の地方整備局の説明では、施行の時点でとび・土工工事業の許可を持って解体工事を営んでいた会社は、2019年(令和元年)5月31日までは解体工事業の許可がなくても続けてよい、という経過措置がありました。いまはその期間が終わっているので、とび・土工工事業の許可だけでは解体工事の許可にはなりません。 古いサイトに「とび・土工工事業の許可で解体工事も対応」とある場合は、いまの許可の業種を確認したほうが確実です。
解体業者の登録・許可を確認する方法
1. 都道府県の「解体工事業者登録名簿」
登録は都道府県ごとなので、名簿も都道府県ごとです。「(県名) 解体工事業者 登録名簿」で検索すると、県庁の建設業や建築指導の担当課のページが出てきます。神奈川県のように毎月更新の名簿をインターネットで出している県があります。
見るときは次の点を確かめます。
- 工事をする場所の県で登録されているか(会社の本社の県ではなく、現場の県)
- 登録の有効期間が切れていないか
- 会社名・所在地が、見積書や契約書の名前と一致しているか
2. 国土交通省の建設業者検索(許可の確認)
建設業許可を持つ会社は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で検索できます。会社名や許可番号で探すと、許可を出した行政庁(大臣か知事か)、許可の有効期間、許可を受けている業種の一覧が出ます。ここに「解」(解体工事業)が入っているか、または土木・建築の許可があるかを見ます。
建設業許可の業種の見方や「軽微な工事」の線については、リフォーム会社に建設業許可は必要かで詳しく書きました。
3. 処分歴を確認する
許可や登録があっても、過去に行政処分を受けている会社はあります。建設業者の処分は国土交通省の「ネガティブ情報等検索サイト」で調べられます。処分の調べ方の全体は会社の行政処分を調べる方法にまとめています。
4. 迷ったら会社に直接聞く
見積もりの段階で「解体工事業の登録番号か、建設業許可の番号を教えてください」と聞けば、まともな業者ならすぐ答えます。番号を聞いたら、上の名簿や検索で照らし合わせてください。許認可の調べ方全般は会社の許認可を調べる方法が入口です。
会社サイトには、どこまで書いてあるのか(しょくばログの集計)
ここからは、しょくばログが保存している会社公式サイトの文章(文字化けの多いものを除いた31,159社)を数えた結果です。「解体工事」という言葉に触れていた会社は605社(1.94%)でした。
この605社には、解体を主な仕事にしている会社だけでなく、「新築・リフォーム・解体工事」のように事業の一つとして挙げている会社も含みます。
許可・登録の書き方
- 「建設業許可」に触れていた:337社(55.7%)
- 許可の業種として「解体工事業」を明記していた:33社(5.5%)
- 「解体工事業登録」に触れていた:7社(1.2%)
- 解体工事業の許可か登録のどちらかを書いていた:38社(6.3%)
- 建設業許可にも解体工事業登録にも、まったく触れていなかった:266社(44.0%)
半分以上の会社は建設業許可を持っていることを書いていますが、その許可に解体工事業が含まれているかまで書いている会社は1割にも届きません。 「建設業許可あり」の一文だけでは、500万円以上の解体を請け負えるかどうかはわからない、ということです。土木や建築の許可でも解体は請け負えるので、業種の一覧まで見る必要があります。
また、「登録」に触れた7社には、解体工事業者のほかに、登録の申請を手伝う側の事務所も含まれます。登録だけで営業している小規模な解体業者が、サイトにそのことを書く例はかなり少ないとみてよさそうです。
解体工事の周りの言葉
解体工事は、廃棄物やアスベストの扱いとセットになります。605社のサイトでは次の言葉が出てきました。
- 産業廃棄物の収集運搬・処分業に触れていた:190社(31.4%)
- 石綿・アスベストに触れていた:102社(16.9%)。そのうち「事前調査」にも触れていたのは14社(2.3%)
- 「500万円」に触れていた:82社(13.6%)
- 資格「解体工事施工技士」に触れていた:31社(5.1%)
- 「登録解体工事講習」に触れていた:9社(1.5%)
- 「技術管理者」に触れていた:7社(1.2%)
- 「建設リサイクル法」に触れていた:9社(1.5%)
解体工事施工技士や登録解体工事講習は、解体工事業の技術者や技術管理者になるための資格・講習です。社員の資格一覧にこれらが並んでいる会社は、解体の体制を持っていることが読み取れます。
所在地
605社の所在地は、東京都74社、大阪府46社、愛知県44社、神奈川県31社、富山県25社、北海道24社の順でした。
社名に「解体」を含む法人
サイトとは別に、法人DB(国税庁の法人番号データがもと)で社名に「解体」を含む法人を数えると1,138件、そのうち登記が閉鎖されているのは145件(12.7%)でした。
現存している993件の内訳は、有限会社462件、株式会社410件、合同会社39件、合資会社3件、そのほかの法人79件です。会社(株式・有限・合同・合資)914件のうち、有限会社は462件(50.5%)。DBの会社全体で現存している4,460,963社のうち有限会社は1,429,550社(32.0%)なので、解体の社名では有限会社の割合が全体より大きく高いことになります。
有限会社は2006年の会社法施行以降は新しく作れないので、現存する有限会社はすべて設立から20年以上たっています。地域で長く続いている家業型の解体業者が多いことが、この数字からも読めます。有限会社という形の読み方は有限会社に就職するのは不利なのかで書きました。
閉鎖の割合を法人の種類別に見ると、株式会社8.9%(450件中40件)、有限会社13.2%(532件中70件)です。DBの会社全体の閉鎖率13.5%と比べて、有限会社はほぼ同じ水準でした。
社名には解体以外の会社(自動車解体や機械の解体など)も混じるので、これは「解体工事業者の数」ではなく「解体という社名の会社の傾向」として見てください。
解体業者を選ぶときに見ておきたいこと
最後に、家の解体などを頼む側の目線でまとめます。
- 見積額が500万円以上なら、建設業許可(土木・建築・解体工事業のいずれか)が必要。登録だけの会社では請け負えません
- 500万円未満でも、現場の県の解体工事業登録か、建設業許可のどちらかは必要。どちらもない会社は解体工事を請け負えません
- 床面積80㎡以上の建物の解体は、工事着手の7日前までに建設リサイクル法の届出が要ります(愛知県の案内)。届出は発注者が行うものなので、業者に任せきりにせず、誰が出すのかを確認してください
- 産業廃棄物の扱いを確認する:解体で出たがれきや木くずを誰が運び、どこで処分するのか。今回の605社でも3割が産業廃棄物の許可に触れていました
同じように業種ごとの許認可を扱った記事に、電気工事業の登録を調べる方法や認証工場と指定工場の違いがあります。
よくある質問
解体工事業登録と建設業許可、両方必要ですか?
どちらか一方で足ります。土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を持っている会社は、解体工事業登録を受けなくてよいと建設リサイクル法21条で決まっています。許可がない会社は、500万円未満の解体工事を請け負うために、工事をする県で登録を受けます。
解体工事業登録はどこで調べられますか?
工事をする都道府県の名簿で調べます。登録は都道府県ごとなので全国一つの検索はありません。神奈川県や埼玉県のように、県のホームページで登録業者を公開している県があります。見つからないときは、県庁の建設業の担当課に問い合わせるか、業者に登録番号を聞いて照らし合わせてください。
とび・土工工事業の許可で解体工事はできますか?
いまはできません。2016年6月に建設業許可の業種に「解体工事業」が新しくでき、とび・土工工事業の許可で解体を営んでいた会社への経過措置は2019年5月31日で終わりました。解体工事を500万円以上で請け負うには、解体工事業か、土木工事業・建築工事業の許可が必要です。
登録だけの業者に家の解体を頼んでも大丈夫ですか?
工事の請負金額が500万円未満で、工事をする県で登録を受けていれば、制度上は問題ありません。見積もりが500万円を超えるなら建設業許可が必要です。どちらの場合も、産業廃棄物を誰がどう処理するか、アスベストの事前調査をするかを見積もりの段階で確認しておくと安心です。
解体工事業の登録や許可は会社の登記簿に載りますか?
載りません。登記簿や法人番号のデータは「会社があるか」を示すもので、登録や許可は都道府県や国土交通省の別の仕組みで管理されています。会社の実在は法人番号で、許可・登録は名簿と建設業者検索で、と分けて確かめてください。
データについて
- 会社サイトの集計:しょくばログが保存している会社公式サイトの文章のうち、文字化けの多いものを除いた31,159社。表現の数え方は正規表現ベースで、個社名は出していません。「登録解体工事講習」は「解体工事業登録」の数に含めていません。集計スクリプトは `scripts/analyze_kaitai_toroku_hp_cache.py`(2026年10月2日実行)
- 社名の集計:国税庁法人番号公表サイトのデータをもとにした、しょくばログの法人DB
- 制度の説明:神奈川県「解体工事業登録」、埼玉県・神奈川県「解体工事業登録申請の手引き」、国土交通省北陸地方整備局「建設業法等の改正」「解体工事の追加に伴う経過措置について」、愛知県「建設リサイクル法の届出・通知」