✍ 古家あきら | 2026-09-30 更新

電気工事業登録を調べる方法 — 建設業許可の「電気工事業」とは別の制度。会社サイト31,159社で数えたら、電気工事に触れる1,540社のうち登録に触れていたのは85社だった

先に結論です。電気工事業の「登録」と、建設業許可の「電気工事業」は、別の法律にもとづく別の制度です。

ややこしいのは、この2つがつながっている点です。電気工事業法第34条で、建設業許可を持つ建設業者が電気工事業を営む場合は、登録を受けなくても「登録電気工事業者とみなす」と決まっています。その代わり、電気工事業を始めたら届け出る義務があります。つまり、建設業許可を持つ会社のサイトに電気工事業の登録番号が書いていなくても、それだけでは無登録とは言えません。

確かめる手段は3つです。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「電気工事の業者を探しているが、建設業許可の名簿に載っていない。無資格なのか」という質問をもらうことがあります。答えは「建設業許可の名簿だけ見ても分からない」です。小さな電気工事店は、建設業許可を取らずに電気工事業の登録だけで営業していることが珍しくないからです。

この記事では、条文で制度の形を確かめたうえで、しょくばログが保存している会社サイト31,159社のうち、電気工事に触れている会社が登録のことをどれくらい書いているかを数えた結果をお見せします。

電気工事業の登録とはどんな制度か

電気工事業法の目的は、電気工事の欠陥による災害を防ぐことです。そのために「電気工事を仕事として行う事業者」を登録制にして、行政が把握できるようにしています。

条文で確かめた要点は次のとおりです(e-Gov法令検索の現行法、2025年6月1日施行分まで反映)。

ここでいう「電気工事」は、電気工事士法で定める電気工事のことで、家電の販売に付いてくる工事は除かれます(第2条第1項)。

「登録」「通知」「みなし登録」「みなし通知」の4つ

電気工事業者には、立場によって4つの呼び名があります。サイトや名刺の書き方を読むときに、ここを押さえておくと混乱しません。

登録電気工事業者

第3条の登録を受けた事業者です。一般用の電気工事(住宅・小規模店舗など)を行うなら、原則としてこれになります。建設業許可を持たない電気工事店は、ほとんどがここに入ります。

通知電気工事業者

自家用電気工作物(工場やビル、大きな店舗の受電設備など)の電気工事だけを行う事業者は、登録ではなく「通知」で足ります(第17条の2)。事業を始める日の10日前までに、知事か大臣に通知します。

みなし登録電気工事業者

建設業許可を持つ建設業者が一般用の電気工事を行う場合です。第34条第2項で「登録を受けた登録電気工事業者とみなす」と定められていて、登録そのものは受けません。代わりに、電気工事業を始めたら遅滞なく届け出る義務があります(第34条第4項)。

みなし通知電気工事業者

建設業者が自家用電気工作物の電気工事だけを行う場合です(第34条第3項)。この場合は通知が必要です(第34条第5項)。

整理すると、建設業許可があるかどうかと、一般用を扱うか自家用だけかの2つで、4つのどれに当たるかが決まります。

建設業許可の「電気工事業」との違い

建設業許可は、建設業法にもとづく「工事を請け負う業者としての許可」です。請け負う工事の規模が一定以上になると必要になり、29の業種ごとに取ります。その1つが「電気工事業」です。

しょくばログは31都府県が公開している建設業許可のオープンデータを法人番号で名寄せして持っています。そこでの電気工事業の許可は延べ21,539件でした(2026年8月時点、詳しくは会社の許認可を調べる方法)。土木一式・建築一式に次いで多い業種です。

ただ、この数字は「建設業許可の電気工事業」を持つ会社の数で、電気工事業法の登録業者の数ではありません。建設業許可を持たない電気工事店は、この名簿には出てきません。逆に、建設業許可の名簿に載っている会社は、電気工事業法のうえでは「みなし登録」の扱いです。

混同しやすいので、違いを並べておきます。

電気工事業の登録を調べる3つの方法

1. 営業所・工事現場の標識を見る

いちばん確実で手軽なのがこれです。第25条で、電気工事業者は営業所と施工場所ごとに、見やすい場所に標識を掲げなければなりません。標識には名称と登録番号などが書かれます。

工事を頼む前に営業所を訪ねる機会があれば、壁に掲げられた標識を見てください。工事が始まってからなら、現場の標識を見ます。

2. 登録証の写しをもらう

第7条で、知事か大臣は登録をしたときに登録証を交付します。登録証には、登録の年月日と登録番号、名称と住所などが書かれます。

取引を始める前であれば、「登録証(またはみなし登録の届出の控え)の写しをいただけますか」と頼むのが確実です。有効期間は5年なので、登録の年月日を見て、更新されているかも確かめられます。

3. 登録した行政庁に問い合わせる

営業所が1つの都道府県だけなら都道府県、2つ以上の都道府県にまたがるなら経済産業大臣の登録です。大臣の権限は、政令で産業保安監督部長に行わせることができると定められています(第35条)。

都道府県によっては登録業者の一覧を公開していることもありますが、形式や更新のタイミングはまちまちです。一覧に見当たらないときも、それだけで無登録と決めず、登録先の行政庁に直接確かめてください。とくに建設業許可を持つ会社は「みなし登録」で、登録業者の一覧には出てこないことがあります。

会社サイトで数えたら、登録に触れていたのは85社だった

ここからは、しょくばログのデータで確かめた結果です。しょくばログは会社の公式サイトを保存していて、文字化けなく読めるものが31,159社あります。この本文を対象に、電気工事業の登録について何が書かれているかを数えました。

電気工事に触れている会社は4.9%

31,159社のうち、「電気工事」という言葉がサイトに出てくる会社は1,540社(4.9%)でした。事業内容として電気工事を行う会社のほか、「電気工事士を募集」といった求人の記述で触れている会社も含みます。

登録・みなし登録に触れていたのは5.5%

1,540社のうち、電気工事業法の立場(登録電気工事業者・電気工事業登録・みなし登録・通知)に触れていた会社は85社(5.5%)でした。内訳は、登録の語が82社、みなし登録の語が7社(重複あり)。通知電気工事業者に触れた会社は0社でした。

言い換えると、電気工事に触れている会社の約95%は、サイトに電気工事業法の登録のことを書いていません。ただし、これは「無登録の会社が95%」という意味ではありません。サイトに書く義務はないので、書いていないだけの会社がほとんどだと考えるのが自然です。

建設業許可に触れている会社の方がずっと多い

同じ1,540社のうち、建設業許可に触れていた会社は573社(37.2%)でした。登録(5.5%)の7倍近くです。

建設業許可に触れている573社のうち、電気工事業法の立場にも触れていたのは62社で、残りの511社は建設業許可だけを書いていました。建設業許可を持つ会社は電気工事業法のうえでは「みなし登録」なので、登録番号がないのは制度どおりです。サイトの書き方としても、許可番号のほうが載せる習慣が根付いていることが分かります。

登録に触れた会社のうち、番号まで書いていたのは36.6%

電気工事業の登録に触れていた82社のうち、「第〇号」の形で登録番号まで書いていたのは30社(36.6%)でした。登録に触れていた82社の72.0%(59社)は建設業許可にも触れていて、登録と許可を並べて書く会社が多い結果です。

登録を受けているのに建設業許可にも触れている会社は、許可と登録の両方の経緯(許可を取る前に登録していた、など)がある可能性があります。どちらにせよ、番号まで書いてある会社は、標識や登録証と突き合わせやすいというのが実務上の利点です。

電気工事士の資格は半数が書いている

1,540社のうち、電気工事士に触れていた会社は781社(50.7%)。第二種電気工事士が378社(24.5%)、第一種電気工事士が231社(15.0%)、電気工事施工管理(技士)が368社(23.9%)でした。

資格の話は書くが、事業者としての登録は書かない。これがサイトの一般的な書き方です。そして電気工事士に触れていた781社のうち、737社は電気工事業法の立場に触れていませんでした。「有資格者がいる」ことと「事業者として登録している」ことは別の話なので、資格の記述だけで登録済みと判断しないでください。

どんな業種・規模の会社が触れているか

業種別に見ると、「電気工事」に触れる会社の割合は、電気・ガス・熱供給・水道業が18.7%(139社中26社)、建設業が13.4%(3,489社中467社)と高く、製造業は3.4%、医療・福祉は0.5%でした。

従業員規模では、1〜9人が4.2%、10〜49人が5.7%、50〜99人が5.2%、100〜299人が4.9%、300人以上が4.5%で、規模による差は小さめです。法人種別では、株式会社が5.7%、有限会社が3.6%でした。

都道府県別(保存サイト300社以上の県)で高かったのは新潟7.5%・神奈川7.2%・富山7.2%・宮城6.8%、低かったのは三重2.1%・京都2.3%・兵庫2.9%・千葉3.5%でした。

「電気工事」を社名に持つ会社の実数:有限会社が56%

最後に、会社データベース側から見てみます。国税庁の法人番号データで、商号に「電気工事」を含む株式会社・有限会社・合同会社は4,134法人(閉鎖済みを含む、現在も活動中は3,528法人)ありました。

有限会社は2006年の会社法施行以降、新しく作れません(有限会社の仕組み)。社名に「電気工事」を掲げる会社に有限会社が多いのは、町の電気工事店が古くから続く小さな事業者として営まれてきたことの表れだと読めます。

こうした会社ほど建設業許可を持たず、電気工事業の登録だけで営業している可能性があります。建設業許可の名簿で見つからなくても、慌てずに標識か登録証で確かめてください。

取引の前に確かめる順番

電気工事を頼む相手、または取引先として電気工事業者を確かめるときは、次の順番がおすすめです。

新しい取引先を確かめる手順全体は、新規取引先の確認事項にもまとめています。業種の分類から会社を探す方法は会社の業種を調べる方法をどうぞ。

リフォーム会社のように、建設業許可が要らない規模の工事だけを請け負う会社もあります。その場合も、電気の配線に手を入れるなら電気工事業の登録と有資格者が必要です(リフォーム会社と建設業許可)。

この集計の方法と限界

集計スクリプトは社内に保存しています。個別の会社名は出していません。

よくある質問

電気工事業の登録番号から、会社を検索できますか?

全国を一括で引ける仕組みを前提にしないほうが確実です。登録は都道府県知事か経済産業大臣(産業保安監督部)が行うので、番号の登録先に問い合わせるのが確実です。会社の実在自体は、法人番号公表サイトで商号と所在地から確かめられます。

建設業許可を持っていれば、電気工事業の登録は要りませんか?

登録そのものは受けません。電気工事業法第34条で、建設業者は「登録電気工事業者とみなす」扱いになります。ただし、電気工事業を始めたら遅滞なく届け出る義務があり(第34条第4項)、主任電気工事士の設置や有資格者に作業させる義務などは同じようにかかります。

電気工事士の資格を持っていれば、電気工事業を営めますか?

資格と登録は別です。電気工事士は「作業をする人」の資格で、電気工事業の登録は「事業者」としての登録です。電気工事を事業として行うなら、個人でも登録(建設業者ならみなし登録の届出)が必要です。登録を受けずに営むと、第36条で1年以下の拘禁刑か10万円以下の罰金(または両方)の対象になります。

工場やビルの電気工事だけを請け負う会社も登録が要りますか?

自家用電気工作物の電気工事だけを行うなら、登録ではなく「通知」です(第17条の2)。事業を始める日の10日前までに、知事か大臣に通知します。建設業者なら「みなし通知電気工事業者」として通知します(第34条第5項)。

登録に有効期間はありますか?

あります。5年です(第3条第2項)。引き続き営むなら更新の登録を受けます。登録証の登録年月日を見れば、更新時期の目安が分かります。

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※本記事の件数・比率は、しょくばログ収録データ(会社公式サイトの保存分31,159社、国税庁 法人番号公表サイトのデータ、31都府県の建設業許可オープンデータ)を2026年9月30日に集計したものです。条文は e-Gov法令検索(電気工事業の業務の適正化に関する法律、昭和45年法律第96号)で確認しました。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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