✍ 古家あきら | 2026-09-23 更新

リフォーム会社に建設業許可がないのは普通か — 1件500万円未満は許可が要らない。社名に「リフォーム」を持つ会社で許可名簿に載っていたのは22.1%、「工務店」は51.5%(DB実測)

先に結論から。1件の請負代金が500万円に満たない工事だけを請け負う会社は、建設業の許可を受けていなくても違法ではありません。 建設業法第3条第1項は「建設業を営もうとする者は許可を受けなければならない」と定めていますが、同じ条文のただし書きで「政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない」と除いています。その「軽微な建設工事」の中身を決めているのが建設業法施行令第1条の2で、工事1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事なら1,500万円未満)、または建築一式工事のうち延べ面積150平方メートル未満の木造住宅を建てる工事、と書かれています。

キッチンの入れ替え、浴室のユニットバス交換、外壁の塗り替え、トイレの改修——一般的な住宅リフォームの多くは、1件あたりこの500万円のラインを下回ります。だからリフォーム会社に許可がないのは、例外ではなく多数派です。

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「見積もりをくれた業者の許可番号が見つからない」「相見積もりのうち1社だけ許可を持っていた、その差は何なのか」という問い合わせをよく受けます。そこで、うちのDBで実際に数えてみました。

社名に「リフォーム」を持つ会社、許可名簿に載っていたのは22.1%

うちのDBは国税庁の法人番号公表データ(全国約579万法人、活動中は約503万法人)を土台に、各都道府県が公表している建設業許可業者の名簿を31都府県ぶん取り込んで、法人番号で突き合わせています。2026年9月時点の断面で数えた結果です。

その31都府県に本店がある活動中の法人のうち、社名に「リフォーム」を含む会社は1,587社。許可業者の名簿に載っていたのは351社で22.1%でした。5社に1社です。

同じ条件で、ほかの建設系の社名と比べるとこうなります。

「リフォーム」は、建設系の社名のなかでいちばん許可率が低いグループでした。都府県を分けても傾向は変わりません。東京都は434社中95社(21.9%)、大阪府は201社中39社(19.4%)、神奈川県は257社中56社(21.8%)、愛知県は89社中21社(23.6%)。どこで数えても2割前後です。

この数字の限界を先に書いておきます

うちの突き合わせは、名簿の会社名・所在地から法人番号を当てられた分だけを数えています。当たった割合は都府県で差があり、東京88.0%、神奈川87.2%、愛知80.6%、大阪75.1%、兵庫にいたっては36.2%です。つまり実際の許可率は、ここで出した数字より高い可能性があります。

もうひとつ、建設業許可業者には個人事業主も含まれます(後述しますが全国で6万5,733業者)。個人には法人番号がないので、うちのDBの土俵には最初から乗りません。

ですから「リフォーム社の22.1%」は下限の数字として読んでください。ただし、工務店51.5%との差は同じ条件・同じ突き合わせ方で出したものなので、相対的な開きは実態を映していると考えています。

許可を持っているリフォーム会社は、何の許可を持っているか

許可名簿には、その会社が取っている工事の業種も載っています。社名に「リフォーム」を含む活動中の会社で、業種欄が取れた347件を数えるとこうなります。

対して、社名に「工務店」を含む会社9,780件では、建築一式工事業が5,291件で54.1%、土木一式工事業(他)が2,021件で20.7%。内装仕上工事業は79件の0.8%しかありません。工務店は家を建てる側の一式工事、リフォームは仕上げ・改修寄りという分業が、許可の業種にそのまま出ています。

資本金でも違いが出ました。許可名簿の資本金欄が取れたリフォーム社151社の中央値は500万円で、300万円未満が14.6%。工務店3,485社の中央値も同じ500万円ですが、300万円未満は3.9%しかありません。許可を持っているリフォーム会社は、工務店より一回り小さい会社が多いということです(ただしリフォーム側は151社と標本が小さいので、傾向として読んでください)。資本金そのものの読み方は資本金が少ない会社は危ないのかに整理しています。

全国の許可業者は48万3,823 — 会社全体の1割にも届かない

国土交通省が毎年出している「建設業許可業者数調査」の最新版(令和8年3月末現在・2026年5月15日公表)によると、全国の建設業許可業者は48万3,823業者。前年から123業者、0.03%の増加です。最も多かった平成12年3月末と比べると11万7,157業者、19.5%減っています。

内訳でいくつか押さえておきたい数字があります。

法人の許可業者が約41万8,000ということは、日本の活動中の法人約503万社のうち、建設業許可を持っているのは1割にも届きません。許可がある会社のほうが、そもそも少数派です。会社の業種そのものの調べ方は会社の業種を調べる方法に書きました。

許可の有無で分かること・分からないこと

許可があるかどうかで確実に言えるのは、次の2点だけです。

分かること①:500万円以上の工事を請けられるか。 許可がない会社に500万円以上の工事を発注すると、請けた側が建設業法違反になります。無許可で建設業を営んだ場合、第47条第1項第1号により3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。請負代金の数え方にもルールがあり、同じ会社が工事を2つ以上の契約に分けて請けるときは各契約の合計額で見ます(正当な理由で分けたときは別)。注文者が材料を出す場合は、その市場価格(運送賃がかかるならそれも)を請負代金に足して判定します。「500万円を超えそうだから契約を2本に割る」は、条文が先回りして塞いでいます。

分かること②:一定の要件を満たして審査を通った時期がある。 許可には経営業務の管理責任者や専任技術者などの要件があり、しかも5年ごとに更新しなければ効力を失います(第3条第3項)。上で挙げた「更新せず失効9,725業者」は、この更新をしなかった会社です。許可番号があること自体が、少なくとも直近5年以内に審査を通ったことの証拠になります。

一方で、分からないことのほうが多いです。工事の腕前、見積もりの妥当性、工期を守るか、アフター対応、財務の健全性——許可はこれらを何ひとつ保証しません。うちが以前書いたミシュラン一つ星店を運営していた飲食会社の破産でも、その会社は建設業許可を持ったまま倒れています。許可は入口の資格であって、経営の健康診断ではありません。

許可がないリフォーム会社を、それでも確かめたいとき

許可番号が無いこと自体は問題ではない、でも何も手がかりが無いのは不安——という場合に、無料で当たれる先を挙げます。

1. 許可があるかどうかを国交省のシステムで検索する。 「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」(etsuran2.mlit.go.jp/TAKKEN/)で、許可番号・商号・代表者名・本店と支店の所在地・資本金・許可年月日・許可の有効期間・許可業種などが無料で引けます。検索条件の許可行政庁には「大臣」と47都道府県が並び、どちらの許可も対象です。ただし新規取得や変更がシステムに反映されるまで概ね1か月かかると国交省が注意書きしています。取ったばかりの会社は載っていないことがあります。

2. 法人として実在するかを確かめる。 許可が無くても、法人番号・本店所在地・設立の有無は国税庁の法人番号公表データで誰でも確認できます。手順は法人番号から会社を調べると会社が実在するか・倒産していないか確認する方法に書きました。

3. リフォーム向けの任意の登録制度を見る。 国土交通省の「住宅リフォーム事業者団体登録制度」には、2026年9月時点で16団体が登録されています。各団体が構成員を公表しているので、そこから会社をたどれます。また、住宅瑕疵担保責任保険協会(kashihoken.or.jp)の登録事業者検索では、国土交通大臣が指定した住宅瑕疵担保責任保険法人に登録した事業者を探せます。協会の説明によれば、保険事故を多数起こしているような技術的な問題のある事業者は登録が抹消されます。許可とは別系統の、リフォームに寄せた手がかりです。

4. 店舗や現場の標識を見る。 建設業法第40条は、許可を受けた業者に対して、店舗と(元請の)工事現場ごとに、公衆の見やすい場所へ許可業種・一般か特定かなどを書いた標識を掲げることを義務づけています。許可を持っている会社なら、事務所に必ず掲げてあります。

法人単位でもう少し踏み込んで調べたいときは、新規取引先の確認事項と会社の行政処分を調べる方法も合わせて見てください。

よくある質問

建設業許可がないリフォーム会社に工事を頼むのは違法ですか

発注する側が違法になることはありません。請け負う側も、1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)の工事だけなら許可は不要です。問題になるのは、無許可の会社が500万円以上の工事を請け負ったときで、そのときに罰則がかかるのは請け負った会社のほうです。

500万円は税込みですか、税抜きですか

建設業法施行令第1条の2の条文は「請負代金の額」としか書いておらず、税込みか税抜きかを本文では定めていません。ここは許可行政庁(都道府県または国土交通省)が出している建設業許可の手引きで、発注前に確認してください。条文が明記しているのは、契約を分けたときは合計額で見ること、注文者が材料を出すときはその市場価格を足すこと、の2点です。

「一般建設業」と「特定建設業」はどう違うのですか

元請として受けた1件の工事について、下請に出す金額の合計が一定額以上になるかどうかで分かれます。その金額は建設業法施行令第2条で定められており、2026年4月1日施行の令和7年政令第412号で5,000万円(建築工事業は8,000万円)に引き上げられました。この額以上の下請契約を結んで施工する元請は特定建設業の許可が要ります。全国では一般が45万7,617業者、特定が5万511業者です。

なぜ社名に「リフォーム」が付く会社は許可率が低いのですか

うちのデータから直接言えるのは、許可名簿に載っている割合が工務店の半分以下だという事実までです。ただ、許可を持つリフォーム社の業種が建築一式42.4%・内装仕上9.2%・塗装7.5%と仕上げ工事寄りであること、資本金の中央値が500万円で300万円未満が14.6%を占めること、そして住宅リフォームの1件あたりの金額が500万円のラインを下回りやすいことを合わせると、軽微な建設工事の範囲で完結している会社が多いという説明が自然です。これは推測であって、うちのDBが証明した事実ではありません。

社名に「リフォーム」が付いている会社は全国にどれくらいありますか

うちのDBで数えると、社名に「リフォーム」を含む法人は全国で2,884社、うち活動中が2,438社(閉鎖率15.5%)です。所在地は東京都434社、神奈川県257社、千葉県210社、埼玉県209社、大阪府201社の順。法人種別は株式会社53.2%、有限会社36.4%、合同会社5.8%で、有限会社の比率が全法人平均の28.4%より8ポイント高いのが特徴です。2006年に新設できなくなった有限会社が多いということは、それだけ社歴の長い会社が残っている業界だということでもあります。

許可を取り消された会社や、処分を受けた会社は分かりますか

建設業法違反などによる監督処分は、国土交通省と各都道府県が公表しています。業種ごとに公表先がばらばらな点を含めて、会社の行政処分を調べる方法と会社の許認可を調べる方法に整理しました。

まとめ

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この記事で使った一次資料:建設業法 第3条・第40条・第47条、建設業法施行令 第1条の2・第2条(いずれもe-Gov法令検索の現行法より取得。施行令は2026年4月1日施行・令和7年政令第412号の版)/国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について-建設業許可業者の現況(令和8年3月末現在)-」2026年5月15日公表/国土交通省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」/国土交通省「住宅リフォーム事業者団体登録制度」/一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会「登録事業者等検索サイト」/うちのデータベース(国税庁の法人番号公表データ+31都府県の建設業許可業者名簿・2026年9月時点の断面)

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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