✍ 古家あきら | 2026-09-30 更新
酒類販売業免許を調べる方法 — 会社サイト31,159社で数えたら、免許に触れていたのは46社。税務署名か免許番号まで書いていたのはその23.9%だった
先に結論です。酒類販売業免許は、国(所轄の税務署長)が出す免許です。酒税法第9条で、酒類を販売する人は「販売場ごとに」その所在地を所轄する税務署長の免許を受けなければならないと決まっています。
確かめる手段は3つあります。
- 国税庁(各国税局)の「酒類販売業免許の新規取得者名等一覧」を見る。ただし、載るのは新しく免許を取った業者などで、掲載は1年間です
- お店に掲げられた「酒類販売管理者」の標識を見る。酒類の小売業者には、販売場ごとに掲げる義務があります
- 相手に免許の内容を聞く。どの税務署の免許か、小売か卸か、通信販売ができる免許か
しょくばログという会社データベースを運営していると、「仕入れ先の酒屋が本当に免許を持っているか知りたい」「ネットでお酒を売っている会社と取引して大丈夫か」という相談をときどき受けます。そこで、しょくばログが保存している会社の公式サイトのうち、文字化けが少なく読める31,159社を対象に、酒類の販売免許について書いている会社を数えました。
- 酒類の販売免許に触れている会社は46社(0.15%)
- そのうち税務署名か免許番号(「第〇号」)まで書いているのは11社(23.9%)。両方そろっているのは2社
- 免許の区分(小売・卸・通信販売)まで書いていない会社が35社(76.1%)
- 社名に「酒店」「酒販」「酒類」が入っていてサイトを保存している会社は10社。そのうち免許に触れていたのは2社
以下、制度のしくみと調べる場所を順に説明してから、数えた結果を詳しく見ていきます。
酒類販売業免許とはどんな制度か
酒税法第9条は、酒類の販売業、または販売の代理業・媒介業をしようとする者は、政令で定める手続により、販売場ごとに、その販売場の所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならない、と定めています。販売場を設けない場合は、住所地の税務署長です。
ポイントを整理するとこうなります。
- 免許を出すのは税務署長。都道府県や保健所ではありません
- 免許は会社単位ではなく「販売場」単位。同じ会社でも、店ごとに免許が要ります
- 販売だけでなく、代理業・媒介業(仲介)も対象
- 免許を与えない場合の要件は、酒税法第10条に並んでいます。過去に免許を取り消された人、税の滞納処分を受けた人などが挙がっています
ここで大事なのは、「会社が免許を持っている」と「この店で売ってよい」は同じではないという点です。本店で免許を取っていても、別の場所に新しく店を出すなら、その店の分の免許が要ります。取引先を確かめるときは、会社名だけでなく、どの販売場の免許なのかまで見る必要があります。
免許の種類(小売・卸・通信販売)
国税庁は、新規取得者名等一覧の見方の中で、免許の区分を次のように示しています。
- 酒類小売業免許:「一般」「通信販売」「特殊小売」
- 酒類卸売業免許:「全酒類」「ビール」「洋酒」「輸出入」「店頭販売」「協同組合員間」「自己商標」「特殊卸売」
店頭で一般の消費者にお酒を売るなら一般酒類小売業免許、ネットやカタログで売るなら通信販売酒類小売業免許、というように、売り方によって必要な免許が変わります。酒屋の免許を持っている会社が、そのままネット通販もできるとは限りません。
また、小売業免許と卸売業免許は別物です。飲食店に業務用のお酒を卸す、酒販店どうしで売り買いする、といった取引は卸売の側に入ります。仕入れ先を選ぶときは、「相手が卸売の免許を持っているか」を見るのが基本です。
一般的な許認可(建設業・宅建業・古物商・運送業など)をまとめて確かめる方法は会社の許認可を調べる方法にまとめています。酒類販売業免許は、そこから抜けていた各論にあたります。
酒類販売業免許を調べる3つの場所
1. 国税庁・各国税局の「新規取得者名等一覧」
国税庁は、新しく酒類等製造免許と酒類販売業免許を取った者の氏名などを公表しています。国税庁の説明では、目的は「免許付与手続の透明性・統一性」を確保することと、情報公開法上の情報提供の趣旨に資することです。
一覧は国税庁のページから、札幌・仙台・関東信越・東京・金沢・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・熊本の各国税局と沖縄国税事務所に分かれてリンクされています。各局のホームページに1か月分をまとめて掲載し、平成22年5月分以降は1年間掲載する、とされています。
一覧に載る項目は次のとおりです。
- 免許等年月日(免許を与えた日)
- 申請等年月日(申請書を受け取った日)
- 販売業者等の氏名または名称
- 販売場所在地
- 卸小売等区分(「卸売」「小売」「媒介」「代理」。兼ねる場合は「卸・小売」)
- 種類区分(上の「一般」「通信販売」「全酒類」など)
- 処理区分(「新規」「法人成り等」「相続」「事業譲渡」「移転」「条件緩和」「条件解除」)
気をつけたいのは、この一覧は「免許を持っている全業者の名簿」ではないことです。新しく取った業者や、移転・相続などの手続きがあった業者が、直近1年分だけ載ります。何十年も前から営業している酒屋は、ここを探しても出てきません。出てこないから無免許だ、とは言えないということです。
逆に、「最近できた会社がネットで酒を売っている」「最近店を移転した」といった場合は、この一覧で確かめられる可能性が高くなります。処理区分に「移転」「法人成り等」とあれば、個人商店が会社になったり、店を移したりした動きも読み取れます。
2. 店頭の「酒類販売管理者」の標識
酒類の小売業者には、販売場ごとに「酒類販売管理者」を選ぶ義務があります(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 第86条の9)。選任・解任したときは2週間以内に届け出ること、財務省令で定める期間ごとに研修を受けさせることも、同じ条文に書かれています。
そして同条第9項で、酒類小売業者は販売場ごとに、公衆の見やすい場所に、酒類販売管理者の氏名と、最後に研修を受けた日などを書いた標識を掲げなければならないとされています。
お店に行けるなら、レジまわりや入口にこの標識があるかを見るのがいちばん早い確認です。標識がある=その販売場で小売をしている、という強い手がかりになります。
3. 相手に聞く・書面をもらう
取引の前なら、相手に直接聞くのが確実です。聞くことは3つで足ります。
1. どの税務署の免許か(販売場の所在地と合っているか) 2. 小売か卸か(自分との取引がどちらに当たるか) 3. 通信販売ができる免許か(ネット販売をしているなら)
免許を持っている事業者には、免許を受けたときの書面があります。取引の規模が大きいなら、写しをもらっておくと後で困りません。
会社サイトで数えたら、免許に触れていたのは46社だった
ここからが、しょくばログのデータで数えた結果です。対象は、しょくばログが保存している会社の公式サイトのうち、文字化けが少なく読める31,159社。個別の会社名は出しません。
免許に触れている会社は0.15%
「酒類販売業免許」「酒類小売業免許」「酒類卸売業免許」「酒販免許」「酒類販売業」などの言葉を含む会社は46社(0.15%)でした。
同じ会社サイトの集計では、建築士事務所の登録に触れている会社が681社(2.2%)ありました。それに比べると、酒類の免許はサイトにほとんど書かれていません。酒類を売る会社そのものが少ないこともありますが、それだけではなさそうです。社名に「酒店」「酒販」「酒類」が入っていてサイトを保存している10社のうち、免許に触れていたのは2社でした。酒屋を名乗る会社でも、サイトで免許を示すのは少数派です。
区分まで書いているのは4社に1社
46社のうち、免許の区分まで書いていた会社はこうなりました(1社で複数の区分を書いている場合があります)。
- 卸売業免許(全酒類・洋酒・輸出入などを含む):7社(15.2%)
- 通信販売酒類小売業免許:4社(8.7%)
- 一般酒類小売業免許:1社(2.2%)
- 区分なし(「酒類販売業免許取得」などだけ):35社(76.1%)
4社に3社は「免許を持っています」とだけ書いて、小売か卸か、通信販売ができるのかは書いていません。取引の相手としては、ここがいちばん知りたいところです。
税務署名か免許番号まで書いているのは23.9%
免許のくだりの近くに「〇〇税務署」と書いている会社が5社(10.9%)、「第〇号」という番号まで書いている会社が8社(17.4%)。どちらかを書いている会社は11社(23.9%)、両方そろっているのは2社(4.3%)でした。
このほか、「酒類販売管理者」に触れている会社が3社(6.5%)、20歳未満の飲酒に関する注意書きを載せている会社が5社(10.9%)ありました。
税務署名と番号があれば、どの税務署に確かめればよいかがすぐ分かります。区分・税務署名・番号の3つがそろっている会社は、取引先の確認に協力的な会社と読んでよいでしょう。
どんな業種の会社が書いているか
46社を業種(日本標準産業分類の大分類)で分けると、分類がはっきりしない会社を除けば、卸売業・小売業が10社、製造業が7社、宿泊業・飲食サービス業が5社でした。製造業の中には酒類や食品のメーカーが、宿泊・飲食には旅館や飲食店がお酒を小売りしているケースが含まれていると考えられます。業種の分類の見方は会社の業種を調べる方法にまとめています。
酒屋を名乗る会社の実数:「酒店」は有限会社が多く、閉鎖も多い
サイトとは別に、国税庁の法人番号データから作っているしょくばログの法人データベース全体で、社名に「酒店」を含む法人を数えました。
- 社名に「酒店」を含む法人:5,830法人
- そのうち有限会社が4,477法人。会社(株式・有限・合名・合資・合同)の中での割合は76.8%で、会社全体の有限会社の割合(32.5%)の2倍以上
- 登記が閉鎖されている割合は21.8%。有限会社全体の閉鎖率14.7%に対して、「酒店」の有限会社は22.6%
有限会社は2006年の会社法施行後は新しく作れない法人格なので、有限会社が多い=古くからの店が多い、ということです。この「酒店の76.8%が有限会社」という数字は、飲食料品の消費税引き下げと影響を受ける会社を数えた記事でも取り上げました。法人の種類ごとの違いは法人の種類の一覧をご覧ください。
ここで先ほどの国税庁の一覧を思い出してください。一覧に載るのは直近1年の新規取得などだけです。古い有限会社の酒屋の多くは、一覧を探しても出てきません。昔からの酒屋と取引するなら、一覧ではなく、店頭の標識や相手への確認で確かめることになります。
もう一つ、社名に「酒販」を含み「組合」を名乗る法人が972法人ありました。多くは酒類業組合法にもとづく小売酒販組合などの業界団体です。社名に「酒販」とあっても、お酒を売っている会社ではなく組合の場合がある、ということは覚えておくと検索のときに迷いません。
※登記の閉鎖は、休眠会社の一斉整理などでまとめて起きることがあります。ここで使っているのは、ある時点での割合の比較だけです。
取引の前に確かめる順番
酒類の仕入れ先や、ネットでお酒を売る会社と取引する前は、次の順番が現実的です。
1. 会社サイトで区分・税務署名・番号を探す(書いてあれば、その税務署の管轄と販売場の住所が合っているかを見る) 2. 最近できた会社や最近移転した店なら、国税局の新規取得者名等一覧を見る 3. 書いていなければ、相手に3点(税務署・小売か卸か・通信販売の可否)を聞く 4. 店があるなら、酒類販売管理者の標識を見る 5. 会社そのものの実在や登記は、法人番号やインボイス番号で確かめる(インボイス登録番号を逆引きする方法)
この順番なら、サイトに書いてある会社はすぐ済み、書いていない会社も1回の問い合わせで片づきます。
この集計の方法と限界
- 対象は、しょくばログが保存している会社の公式サイトのテキストのうち、文字化けの割合が0.5%以下の31,159社です。サイト全体ではなく、保存できたページだけを見ています
- 「酒類販売業免許」「酒類小売業免許」「酒類卸売業免許」「酒販免許」「酒類販売免許」「酒類販売業」などの言葉で判定しています。「お酒の免許あり」のような言い換えは拾えていません
- サイトに書いていないことは、免許がないことを意味しません。この集計で分かるのは「サイトでどれだけ示しているか」だけです
- 46社という件数は小さいため、業種や地域での割り算は参考程度にとどめています
- 法律の条文は、e-Gov法令検索(法令API)で酒税法 第9条・第10条、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律 第86条の9を確認しました。一覧の掲載内容と区分は、国税庁「免許の新規取得者名等一覧」「酒類販売業免許の新規取得者名等一覧」のページで確認しています
よくある質問
酒類販売業免許の番号から、会社を検索できますか?
国税庁の新規取得者名等一覧は、業者名・販売場所在地・区分などを載せたもので、番号から一発で引く検索窓があるわけではありません。番号が分かっているなら、どの税務署の免許かを相手に確かめ、その税務署に問い合わせるのが確実です。
国税局の一覧に載っていない酒屋は無免許ですか?
そうとは限りません。一覧に載るのは新規取得や移転・相続などの手続きがあった業者で、掲載は1年間です。長く営業している酒屋の多くは載っていません。
ネット通販でお酒を売るには、普通の酒屋の免許で足りますか?
国税庁の区分では、酒類小売業免許の中に「一般」と「通信販売」が別に立っています。店頭で売る免許とネットで売る免許は区分が違うので、ネットで売っている相手なら、通信販売の区分を持っているかを確かめてください。
飲食店がお酒を仕入れる相手は、何の免許を持っていればよいですか?
事業者に業務用として売る取引は、卸売の側に入ります。仕入れ先が酒類卸売業免許を持っているかを確認するのが基本です。国税局の一覧の「卸小売等区分」でも、「卸売」「小売」「卸・小売」が分けて載っています。
会社が1つ免許を持っていれば、全部の店でお酒を売れますか?
売れません。酒税法第9条で、免許は販売場ごとに受けることになっています。店を増やしたり移したりすれば、その店の分の手続きが要ります。