✍ 古家あきら | 2026-10-03 更新

飲食店の営業許可を確認する方法 — 全国一元の検索はないが、2021年6月以降の許可は国のオープンデータで引ける。飲食系の会社サイト673社で許可に触れていたのは1社

先に結論です。飲食店の営業許可は、食品衛生法55条にもとづいて、店のある場所を管轄する都道府県知事など(窓口は保健所)が出す許可です。全国をまとめて検索できる名簿はありません。 確かめ方は次の3つです。

一方で、会社のサイトを見て確かめるのはほぼ無理です。しょくばログという会社データベースを運営していると、業種をまたいで会社の公式サイトの文章を読む機会が多いのですが、保存している31,159社のサイトのうち、飲食サービス業に分類される会社で飲食に触れていた673社を数えたところ、営業許可について書いていたのは1社(0.15%)でした。メニュー(372社)や予約(350社)のことは半分以上の会社が書いているのに、許可のことはほとんど誰も書いていません。

飲食店の営業許可とは(食品衛生法の仕組み)

許可が要るのは、政令で決まった32の業種

食品衛生法54条は、公衆衛生に与える影響が大きい営業について、都道府県が条例で施設の基準を決めることを定めています。その「影響が大きい営業」を並べているのが食品衛生法施行令35条で、いまは32の業種が挙がっています。その1番目が「飲食店営業」です。

ほかには、菓子製造業、そうざい製造業、食肉販売業、魚介類販売業、麺類製造業、豆腐製造業、酒類製造業、密封包装食品製造業などが並びます。飲食店がテイクアウト用にお菓子を作って外の店に卸すような場合は、飲食店営業とは別の許可(菓子製造業)が要ることがあります。

この業種を営もうとする人は、都道府県知事の許可を受けなければなりません(55条1項)。保健所を置いている市(政令市・中核市など)や特別区では、市長・区長が許可を出します。知事は、施設が条例の基準に合っていれば許可をしなければならず(55条2項)、過去に食品衛生法違反で刑を受けて2年たっていない人や、許可を取り消されて2年たっていない人などには、許可を与えないことができます。

許可には有効期間がある

55条3項で、知事は許可に「5年を下らない有効期間」などの条件を付けられると決まっています。実際に何年にするかは自治体の決め方によるので、一律ではありません。期限が来たら、店は更新の申請をします。

つまり、一度許可を取れば永久に有効、というものではありません。オープンデータに「許可満了日」が載っている自治体の分は、期限が切れていないかもあわせて見られます。

許可ではなく「届出」で足りる営業もある

2021年6月1日に施行された改正食品衛生法で、許可が要らない営業の一部に営業届出の制度ができました。57条で、許可業種以外の営業(影響が少ないとして政令で除かれたものなどを除く)を営もうとする人は、あらかじめ営業所の名称や所在地などを知事に届け出ることになっています。

飲食店として料理を出すなら許可業種です。届出で足りるのは、包装されたままの食品を売るだけの店などで、「飲食店なのに届出だけ」ということは基本的にありません。

許可なしで営業すると

許可を受けずに許可業種を営むと、82条で2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金の対象になります。また、施設の基準に合わなくなったときは、知事が施設の改善を命じたり、許可を取り消したり、営業を停止したりできます(61条)。食品衛生法違反で処分を受けた事業者の名前などは、69条で公表に努めることになっていて、多くの自治体が処分の情報をサイトに載せています。

飲食店の営業許可を確認する方法

1. 国のオープンデータで探す(2021年6月以降の許可)

2021年6月の改正にあわせて、営業許可や届出の手続きは厚生労働省の「食品衛生申請等システム」で扱われるようになりました。このシステムでは、許可・届出施設の情報がオープンデータとして自治体別にダウンロードできます。

静岡県の案内によると、このオープンデータは毎月15日に前月末時点の情報が反映され、2021年6月以降の許可・届出施設については、営業所名称・所在地・営業者氏名・営業の種類のほか、法人番号、許可番号、初回許可年月日、許可満了日、廃業年月日などを含む16の項目が載っています。

法人番号が入っているのは、会社を調べる側にとって大きな点です。店の運営会社が分かっていれば、法人番号で絞り込めば、その会社がどの店舗でどの営業の許可を持っているかが分かります。法人番号の調べ方は法人番号の調べ方にまとめています。

2. 自治体独自の一覧を探す(2021年5月以前の許可)

2021年5月以前に許可を受けて、そのまま更新を迎えていない店は、国のシステムに載っていないことがあります。こちらは、店のある都道府県や保健所設置市が独自に公開している一覧が頼りです。

静岡県の例では、2021年5月以前の許可施設は県のオープンデータカタログで公開されていて、項目は営業所名称・所在地・営業者氏名・業種業態名・許可年月日の5つです(静岡市・浜松市の施設は対象外)。このように、どの年代の許可を、どの項目で、どの範囲まで出しているかは自治体ごとに違います。「(都道府県名・市名) 食品営業許可 一覧」や「オープンデータ」で検索してみてください。

一覧が見つからないときは、店のある地域を管轄する保健所に問い合わせるのが確実です。

3. 店内の掲示を見る

店内には、許可を受けていることを示す掲示があります。ただ、何を掲示するかの運用は自治体によって違い、2021年6月の改正にあわせて、許可書そのものではなく必要な項目だけを掲示する形に改めた自治体もあります。掲示の項目に営業者(運営会社)の名前が入っていないこともあるので、運営会社を知りたいときは掲示だけでは足りない場合があります。店名から運営会社を割り出す方法は店名・サイト名から運営会社を調べる方法に書きました。

4. 処分歴や会社そのものも確かめる

許可を持っていても、会社に問題がないとは限りません。食品衛生法による営業停止などの処分は、自治体が公表していることが多いので、「(自治体名) 食品衛生法 違反 公表」で探せます。業種をまたいだ行政処分の調べ方は会社の行政処分を調べる方法に、業種ごとの許認可の調べ方の全体像は会社の許認可を調べる方法にまとめています。

会社サイトには、どこまで書いてあるのか(しょくばログの集計)

ここからは、しょくばログが保存している会社公式サイトの文章(文字化けの多いものを除いた31,159社)を数えた結果です。

飲食サービス業の会社サイトでは、ほぼ書かれていない

しょくばログの法人DBで業種(日本標準産業分類の大分類)が「宿泊業,飲食サービス業」になっている会社のうち、サイトの文章を保存しているのは807社でした。このうち、飲食店・レストラン・居酒屋・カフェ・料理などの言葉が出てくる673社について、何に触れているかを数えました。

同じ673社のうち、酒類販売業免許に触れていたのは3社でした。お酒の小売りの免許の調べ方は酒類販売業免許を調べる方法で書きましたが、飲食店の営業許可はそれよりさらに書かれていません。

飲食店にとって営業許可は「持っていて当たり前」のものなので、わざわざサイトに書かないのだと思います。書いていないことは、許可がないことを意味しません。 ただ、裏返すと、会社のサイトを見ても許可の有無は確かめられないということです。

全業種で見ても、食品の営業許可を書く会社は少ない

業種を限らずに31,159社のサイト全体で見ると、「営業許可」という言葉が出てくるのは112社(0.36%)でした。このうち、「飲食店営業許可」「菓子製造業の許可」「そうざい製造業の許可」「食品営業許可」「食品衛生法にもとづく許可」のように、食品の営業許可だと読み取れる書き方をしていたのは15社です。

この15社の前後の文章を1件ずつ読むと、自社の許可として書いていたのは12社でした。残りの3社は、手続きの資料の一覧、イベントの出店条件の案内、輸入の手続きの話で、自社の営業許可の記載ではありません。

自社の許可を書いていた12社の内訳は次のとおりです(1社で複数を書いている場合を含む)。

12社のうち、許可番号まで書いていたのは6社です。保健所名と番号を並べて書く形のほか、1社は「食品衛生法第52条(そうざい製造業)許可証」と、2021年の改正前の条番号のまま許可を載せていました。いまの条文では、営業許可は55条です。サイトの記載が更新されていないことは珍しくないので、番号が書いてあっても、最新の状態はオープンデータや自治体の一覧で確かめるのが確実です。

飲食サービス業の会社だけで見ると、12社のうち1社にとどまります。食品の営業許可をサイトに書いているのは、むしろ食品を作る会社や、本業の横で食品の仕事もしている会社でした。

飲食サービス業の会社の顔ぶれ

サイトとは別に、法人DB(国税庁の法人番号データがもと)で、業種が「宿泊業,飲食サービス業」になっている会社(株式・有限・合名・合資・合同)を数えると16,885社、そのうち登記が閉鎖されているのは2,783社(16.5%)でした。DBの会社全体の閉鎖率13.5%より高めです。

現存している14,102社の内訳は、株式会社6,483社(46.0%)、有限会社6,390社(45.3%)、合同会社618社、合資会社515社、合名会社96社です。DBの会社全体で現存している4,460,963社のうち有限会社は32.0%なので、飲食サービス業では有限会社の割合が全体よりかなり高いことになります。有限会社は2006年以降は新しく作れないので、地域で長く続く家業型の店が多いことが読めます。有限会社という形の読み方は有限会社に就職するのは不利なのかで書いています。

ただし注意があります。DBの業種は社名や公開情報から判別しているもので、会社全体の76.5%は業種を判別できない「分類不能」になっています。上の16,885社は「業種を判別できた会社のうち、飲食サービス業と分かった会社」で、飲食店を営む会社の全数ではありません。飲食業の倒産の動きは飲食業の倒産が8月としては最多になった件で別に数えています。

飲食店の許可を確かめたい場面別のまとめ

最後に、立場ごとに何を見ればいいかをまとめます。

よくある質問

飲食店の営業許可は誰が出すのですか?

食品衛生法55条にもとづいて、店のある場所の都道府県知事が出します。保健所を置いている市や特別区では、市長・区長が出します。申請や施設の検査の窓口は、店のある地域を管轄する保健所です。

営業許可を持っているか、ネットで調べられますか?

全国をまとめて検索できる名簿はありません。2021年6月1日以降に許可を受けた施設は、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」のオープンデータで、自治体ごとにダウンロードして確かめられます。それより前の許可は、自治体が独自に公開している一覧を探すか、保健所に問い合わせてください。

営業許可に期限はありますか?

あります。食品衛生法55条3項で、知事は許可に5年を下らない有効期間を付けられると決まっていて、実際の年数は自治体ごとに決まります。期限が来たら店は更新の申請をします。オープンデータに許可満了日が載っている自治体なら、期限もあわせて確認できます。

許可を受けずに飲食店を営業するとどうなりますか?

食品衛生法82条で、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金の対象になります。許可を受けた後でも、施設が基準に合わなくなった場合などには、改善命令や許可の取消し、営業停止の処分を受けることがあります。

会社のサイトに営業許可が書いていないのは怪しいですか?

怪しいとは言えません。しょくばログの集計では、飲食サービス業の会社のサイト673社のうち、営業許可に触れていたのは1社だけでした。許可は持っていて当たり前のものなので、書かない会社がほとんどです。確かめたいときは、サイトではなくオープンデータや自治体の一覧、保健所で確認してください。

データについて

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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