✍ 古家あきら | 2026-10-11 更新
ドミノ・ピザの加盟店を運営していたドラセナが事業停止、破産申請へ──社名に「ピザ」を持つ会社は全国69社、千葉県には1社もない
先に結論です。千葉市中央区の株式会社ドラセナが、2026年9月14日に事業を停止し、破産申請の準備に入ったと報じられました。 ドミノ・ピザのフランチャイズ加盟店を運営しており、営業許可の記録では県内に6店舗ありました。負債額は報道の時点で調査中です。
この件で伝えたいのは、店の看板と、店を運営している会社の名前が一致しないことです。お店の前には「ドミノ・ピザ」と書いてありますが、雇い主として給与を払っていたのはドラセナという別の会社でした。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「店名で検索しても会社が見つからない」という声をよく聞きます。フランチャイズの店はその典型です。実際に台帳を数えると、社名に「ピザ」を含む会社は全国で69社。千葉県には1社もありませんでした。
この記事は、ドラセナの経営を評価するものではありません。報道で確認できる事実を並べたうえで、フランチャイズの店で働く人や取引する人が知っておきたい点を、一般化してまとめます。
出典:【千葉】ドミノ・ピザFCのドラセナが事業停止、破産申請へ 県内5店に臨時休業表示、営業許可記録には6店(JC-NET・2026年10月9日)
報道で確認できる事実
報道に書かれている内容を、そのまま並べます。
- 社名:株式会社ドラセナ(千葉県千葉市中央区)
- 法人番号の指定:2016年1月14日
- 事業:宅配ピザチェーン「ドミノ・ピザ」のフランチャイズ加盟店の運営
- 営業許可の記録にある店舗:千葉都町店、四街道店、千葉轟町店、浜野店、船橋湊町店、鎌取店の6店
- 県内5店に臨時休業の表示
- 事業停止:2026年9月14日
- 負債額:調査中
- 理由:同業他社との競争などで採算が厳しい状況が続き、資金繰りに行き詰まったとされています
背景として、ドミノ・ピザの国内事業を持つ豪州のDomino's Pizza Enterprisesは、2025年2月に日本で172店舗を閉める計画を公表しています。内訳は直営114店舗、フランチャイズ58店舗です。コロナ禍に広げた出店の一部が、いまの状況では最適でなくなったと説明されていました。
出典:Domino's Pizza to cull Japan store network(Inside Retail Asia・2025年2月7日)
ドラセナの停止がこの計画と関係するかどうかは、報道では触れられていません。ここでは結び付けずにおきます。
しょくばログの台帳で見たドラセナ
国税庁の法人番号で台帳を引くと、ドラセナの登記上の所在地は千葉市中央区都町でした。報道にある「千葉都町店」と同じ町名です。
gBizINFO(経済産業省の法人情報サイト)に登録されている事業概要は「ピザの製造と販売」、従業員数は5人です。ただし、この従業員数がいつ時点の値か、アルバイトを含むかは分かりません。6店舗を回していたことを考えると、パート・アルバイトの人数は別にいたと見るのが自然です。
台帳の上では、ドラセナはまだ「存続」のままです。事業を止めても、破産手続が終わって登記が閉鎖されるまでは、データの表示は変わりません。破産・民事再生・特別清算の違いは倒産の種類を整理した記事で説明しています。
もう一つ、社名に「ドラセナ」を含む法人は全国に27あり、千葉県内だけでも3つあります。ドラセナは観葉植物の名前で、社名に選ばれやすい言葉です。取引先や勤め先を特定するときは、社名ではなく法人番号で確かめるのが確実です。
社名に「ピザ」を持つ会社は69社、閉鎖率は15.9%
社名に「ピザ」を含む会社を、台帳で数えました。
- 社名に「ピザ」を含む法人:69
- うち閉鎖済み:11(15.9%)
- 台帳全体の閉鎖率:13.3%
ピザの会社は、全体よりやや高い割合で閉じています。ただ、母数が69と小さいので、数字の差を大きく読むことはできません。
法人の種類で分けると、株式会社が27(うち閉鎖5)、有限会社が27(うち閉鎖4)、合同会社が10(うち閉鎖1)でした。有限会社が株式会社と同じ数あるのは、2006年より前から続く店が多いことを示しています。
存続している58社のうち、千葉県は0社
存続している58社を都道府県別に見ると、上位は次のとおりです。
- 東京都:20
- 神奈川県:8
- 大阪府:6
- 沖縄県:4
- 埼玉県:3
千葉県には、社名に「ピザ」を持つ会社が閉鎖済みも含めて1社もありませんでした。それでも千葉県にはピザの店がたくさんあります。ドラセナのように、ピザとは関係のない社名の会社が運営しているからです。
宅配ピザの店の多くはチェーンで、店を回しているのは加盟店の運営会社です。社名から業種が分からないため、「ピザ」で数えた69社は、ピザの会社の一部にすぎません。
同じ飲食で社名から数えた例として、ラーメン店の倒産を扱った記事もあります。
フランチャイズの店で働く人・取引する人が確かめたい4つのこと
1. 雇い主は「本部」ではなく「加盟店の会社」
求人に「ドミノ・ピザ ○○店」と書いてあっても、雇用契約を結ぶ相手は本部とは限りません。今回のように加盟店の会社が止まれば、給与の支払いもその会社の問題になります。応募するときは、求人票の「事業者名」「雇用主」の欄を見てください。見方は求人票の見方でまとめています。
2. 店名から運営会社をたどる
店名しか分からないときは、店頭の営業許可証、レシートの発行元、求人票の事業者名に、運営会社の名前が書かれています。手順は店名・サイト名から運営会社を調べる方法で説明しています。
3. 本部の情報だけで判断しない
本部が大きな会社でも、加盟店の会社の体力は別物です。本部の調べ方はフランチャイズ本部の調べ方にありますが、取引するなら加盟店の会社そのものも見ておきたいところです。外から見える手がかりは取引先の信用の調べ方で整理しています。
4. 給与が払われないときは立替払制度がある
勤め先が倒産して給与が払われないときには、国の未払賃金立替払制度があります。対象は加盟店の会社に雇われていた人も同じです。仕組みは給料が遅れる会社の記事で説明しています。
運営者として思うこと
ドーナツのフランチャイズ店を運営していた会社の件でも、同じ構図を取り上げました。看板が有名でも、店の数だけ別々の会社があります。
台帳を見ていると、店名と社名が結び付かないことが、働く人にとっていちばんの見えにくさだと感じます。応募の前に雇い主の名前を一度確かめる。それだけで、何かあったときにどこに問い合わせればよいかが分かります。
よくある質問
ドラセナは倒産したのですか?
報道では、2026年9月14日に事業を停止し、破産申請の準備に入ったとされています。破産手続の開始が決まったかどうかは、この報道の時点では書かれていません。
ドミノ・ピザの本部が倒産したのですか?
いいえ。報道されているのは、加盟店を運営していたドラセナという会社です。本部とは別の会社です。
しょくばログで見ると、もう閉鎖になっていますか?
まだ「存続」の表示です。破産手続が終わり、登記が閉鎖されると表示が変わります。事業を止めた時点では、台帳は変わりません。
働いていたお店の会社がどこか分からないときは?
給与明細、雇用契約書、求人票の事業者名を見てください。会社名が分かれば、しょくばログで法人番号と所在地を確かめられます。