✍ 古家あきら | 2026-10-04 更新

旅行業の登録を確認する方法 — 第1種〜地域限定の違いと登録番号の見方(第1種599社・サイト表示のデータ)

先に結論です。旅行会社の登録は「番号の表示」「営業所の登録票」「行政の名簿」の3つで確かめます。 旅行業は旅行業法3条の「登録」の業種で、登録を受けずに旅行業を営むと1年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金、またはその両方です(法74条1号)。

しょくばログという会社データベースを運営していると、会社概要の「登録・許認可」の欄に旅行業の登録番号が書かれている会社を、旅行会社以外でもときどき見かけます。タクシー会社、宅建業者、人材派遣の会社、生活協同組合の連合会まで並びます。この記事では、条文と観光庁の資料で制度を整理したうえで、観光庁の第1種リストと、会社のサイトに書かれた登録番号を数えて見えたことを出します。

旅行業とは:報酬を得て旅行を手配する事業

何をすると旅行業になるか

旅行業法2条1項は、「報酬を得て」次のような行為をする事業を旅行業と定めています。

ただし、鉄道会社やバス会社のために乗車券を売るだけの事業は、旅行業から除かれています(同項かっこ書き)。

旅行業者代理業と旅行サービス手配業

旅行業のほかに、似た名前の登録が2つあります。

旅行者として申し込む相手を確かめるときに見るのは、旅行業と旅行業者代理業の登録です。

第1種・第2種・第3種・地域限定の違い

旅行業の登録は、扱える業務の範囲で4つに分かれます(法4条1項3号、施行規則1条の3)。分かれ目は、旅行会社が自分で計画をつくる「企画旅行」を、どこで実施できるかです。

登録先も違います。旅行業法3条は観光庁長官の登録としていますが、施行令5条で、海外の募集型企画旅行を実施しない旅行業(第2種・第3種・地域限定)と旅行業者代理業の事務は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県知事が行うことになっています。このため番号の頭が「観光庁長官」か「○○県知事」かで、第1種かどうかが分かります。

登録の有効期間は登録の日から5年で(法6条の2)、続けるには更新の登録が要ります(法6条の3)。また、営業所ごとに旅行業務取扱管理者を1人以上選ぶ義務があり(法11条の2)、旅行業者は営業保証金を供託するか、旅行業協会に入って弁済業務保証金分担金を納めます(法7条ほか)。観光庁の解説によれば、分担金は本来の営業保証金の5分の1にあたる額です。

全国の旅行業者は10,224社:第1種は10年で約15%減った

観光庁「各都道府県の旅行業者・旅行業者代理業者・旅行サービス手配業者数一覧表(令和8年4月1日現在)」では、数は次のとおりです。

旅行業者は合計9,774社、旅行業者代理業者を足すと10,224社、旅行サービス手配業者まで含めると14,125社です。

日本旅行業協会(JATA)が観光庁の同じ一覧表から作った推移と比べると、2016年4月1日に708社だった第1種は599社になり、10年で109社(15.4%)減りました。反対に、地域限定は118社から870社へ約7.4倍、旅行サービス手配業は登録制度が始まった2018年の717社から3,901社へ約5.4倍に増えています。海外のパッケージツアーを自社で企画する会社は減り、地元の体験や着地型の旅行を扱う小さな登録が増えている、という流れが数字に出ています。

都道府県の偏りも大きく、第1種の324社(54.1%)は東京都に主たる営業所があります。第2種で東京都が占めるのは702社(21.8%)、第3種は1,428社(28.1%)です。地域限定は北海道60社・長野県54社・京都府49社・東京都45社の順で、観光地を抱える道府県が上位に来ます。

観光庁の第1種リストを照合した:599社の素顔

観光庁は、第1種旅行業者の名簿を「観光庁長官登録第1種旅行業者リスト」(令和8年6月29日現在、登録番号順・50音順)として公開しています。登録番号・登録年月日・会社名・ふりがな・所在地・代表者名が載っています。しょくばログで、このリストの599社を読み取って数えました。

登録の時期

登録年月日の年代で分けると、次のとおりです。

1980年より前に登録した会社が103社(17.2%)あり、昭和28年の登録の会社もまだ名簿に残っています。登録番号は2から2203まで飛び飛びに並び、おおむね番号が大きいほど新しい登録です。リストの最後のほうには、2026年に登録を受けた会社も載っています。

法人データベースとの照合

リストの会社名と所在地の都道府県を、しょくばログの法人データベースと照らし合わせると、599社のうち571社(95.3%)が一致しました。一致した571社のうち561社(98.2%)が株式会社で、閉鎖の登記が入っている会社は0社でした。登録の際に財産的な基礎が審査され(法6条1項10号)、5年ごとの更新もあるため、名簿に残っているのは営業を続けている会社だと考えてよさそうです。

一致しなかった28社は1社ずつは確かめていませんが、所在地の書き方の違いなどで機械的な照合から漏れたものを含むとみられます。リストには外国の会社も載っています。法人番号はリストに載っていないので、取引のために正確な会社を特定するときは、名簿の会社名と所在地をもとに法人番号で引き直すのが確実です。

会社のサイトに登録番号は書かれているか:79社のデータ

しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章(31,159社)で、旅行業の登録表示を数えました。

無作為に25件を目で確かめると、ほとんどは会社概要の「登録・許認可」の欄に書かれた自社の番号でした。ただ、ツアーの案内ページに添えられた、別の会社(企画・実施をする旅行会社)の番号も混じっていました。表記も「第2-○○○号」「2-○○○号」「旅行業 第2-○○○」とまちまちで、「第」や「号」を省く会社もあります。

登録表示のある79社の業種(日本標準産業分類の大分類)は、旅行業が入る「生活関連サービス業,娯楽業」が32社(40.5%)で最も多く、分類不能16社、運輸業13社、卸売・小売業6社が続きます。会社の所在地は東京都が45社で、全体の半分を超えます。

第1種の会社でも、番号が見つかったのは3割

観光庁の第1種リストと照合できた571社のうち、しょくばログにサイトを保存していたのは80社でした。保存したページに「観光庁長官登録旅行業第○○号」の表示があったのは24社(30.0%)です。

これは「7割の会社が番号を隠している」という意味ではありません。しょくばログが保存しているのはトップページや会社概要など一部のページで、番号はツアーの申込ページや旅行条件書、パンフレットのPDFに載せている会社が多いからです。会社概要に番号がなくても、それだけで無登録とは言えません。 逆に、申込の画面まで進んでも番号が見当たらない場合は、申し込む前に確かめたほうがいい合図です。

社名に「旅行」「トラベル」がつく会社の閉鎖率は2割強

法人データベースで、社名に旅行関連の言葉を含む会社(株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社)を数えました。

会社全体の閉鎖率は13.5%なので、旅行関連の社名の会社は閉鎖の割合が高めです。ただし「観光」にはバス会社・ホテル・土産物店などが多く含まれ、社名に言葉があっても旅行業の登録を持っているとは限りません。社名は登録の有無の手がかりにはならないので、確かめるのは番号と名簿です。

確認するときによくある勘違い

「旅行業協会の会員=登録している」ではない

日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)は、旅行業法に基づいて観光庁長官が指定した旅行業協会です。ただ、旅行業者は協会に入るか、入らずに営業保証金を供託するかを選べるので、協会の会員でない登録業者もいます。会員かどうかと登録の有無は別の話です。登録の確認は、番号と名簿で行います。

海外の旅行会社のサイトは日本の法律で守られない

観光庁は、日本に営業所を持たない外国の旅行会社が日本語のサイトで申し込みを受け付けている例を挙げ、そこで申し込んだ旅行は旅行業法などに基づく保護を受けられないと注意しています。日本語で書かれていても、登録番号がなく所在地が海外のサイトは、日本の旅行業者ではありません。

宿泊予約やタクシー会社の「観光プラン」

宿の営業そのものは旅館業法の許可で、確かめ方は旅館業の許可の調べ方で整理しています。一方、宿泊と交通を組み合わせて売るなど、他人の運送や宿泊を手配して代金を受け取るなら旅行業になり得ます。今回の集計でも、タクシー会社が会社概要に第2種の番号を載せている例がありました。

確認の手順(まとめ)

1. 申込ページ・パンフレット・会社概要で、「観光庁長官登録」か「○○県知事登録」の旅行業の番号を探す 2. 番号が「観光庁長官登録」なら、観光庁の第1種旅行業者リストで会社名・所在地・番号が一致するか見る 3. 「○○県知事登録」なら、その都道府県の旅行業の担当課に問い合わせる(観光庁が各都道府県の連絡先をPDFで公開しています) 4. 店舗で申し込むなら、営業所の登録票を見る 5. 会社そのものは、会社の実在と倒産の確認で法人番号・登記・閉鎖の有無を確かめる 6. 処分歴が気になるときは、行政処分の調べ方で探す

ほかの業種の許認可の調べ方は、会社の許認可の調べ方にまとめています。番号の書き方が業種ごとに決まっている例としては、古物商許可の確認方法も参考になります。

よくある質問

旅行会社の登録は誰でも調べられますか?

第1種は、観光庁のサイトで「第1種旅行業者リスト」と登録簿のPDFを誰でも見られます。第2種・第3種・地域限定・旅行業者代理業は、観光庁の案内どおり主たる営業所のある都道府県に問い合わせます。都道府県によっては一覧を公開していますが、今回は全国の公開状況までは確かめていません。

第1種と第2種・第3種では、どちらが安心ですか?

種別は「扱える業務の範囲」の違いで、会社の良し悪しを表すものではありません。第1種は海外の募集型企画旅行も実施できる、第2種は国内の募集型企画旅行まで、第3種と地域限定は拠点区域の中に限られる、という違いです。申し込むツアーを企画・実施しているのがどの会社かを、「旅行企画・実施」の欄で確かめるのが大事です。

登録番号の「2-」「3-」は何を表しますか?

都道府県知事登録の番号の頭につく数字で、第2種なら「第2-○○○号」、第3種なら「第3-○○○号」と書きます(観光庁「旅行業登録の確認」の表示例)。第1種は「観光庁長官登録旅行業第○○○号」で、頭に種別の数字はつきません。

登録のない会社に申し込んでしまったらどうなりますか?

登録を受けた旅行業者と取引した旅行者は、営業保証金や旅行業協会の弁済業務保証金から弁済を受ける仕組みがありますが、無登録の会社との取引は、この旅行業法の仕組みの外になります。観光庁は、無登録の旅行業の通報は最寄りの警察署へとしています。個別のトラブルは、日本旅行業協会の消費者相談室や消費生活センターに相談してください。

旅行会社の登録は法人番号で調べられますか?

観光庁の第1種リストには法人番号が載っていません。会社名と所在地で名簿を引き、そのうえで国税庁の法人番号公表サイトやしょくばログで同じ会社かを確かめる、という順番になります。今回の照合では、第1種599社のうち571社が会社名と都道府県だけで法人データベースの会社と一致しました。

データについて

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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