✍ 古家あきら | 2026-10-03 更新
山形市で児童福祉施設を運営していたGrowing Supportが破産、負債約1億1100万円。施設は譲渡先が営業を続ける──しょくばログDBで見る社名に「キッズ・児童・発達・療育」を持つ法人2,440社
先に結論です。山形市内で児童福祉施設を2か所運営していたGrowing Support株式会社が、山形地裁から破産手続きの開始決定を受けました。 帝国データバンクの発表を伝えたテレビユー山形の報道によると、負債は約1億1100万円。2020年12月期に約2億500万円あった年間売上高は、2025年12月期には約1億5100万円まで落ちていました。理由として挙げられているのは、少子化による需要の低迷と、同業者どうしの競合の激化です。
ただし、施設そのものは閉じていません。同社は2026年4月に商号を変え、事業を第三者に譲っており、施設は譲渡先の会社が運営を続けています。「施設の名前は同じでも、運営している法人は別の会社になっている」という状態です。
しょくばログという会社データベースを運営していると、この「看板と中身のずれ」についての質問をよく受けます。この記事はGrowing Supportの経営を評価するものではありません。子どもを通わせる家庭、施設で働く人、取引先が、福祉施設の運営法人をどう確かめればよいかを、台帳の数字と合わせて書きます。
出典:【倒産情報】児童福祉施設を運営する企業が破産へ 少子化や競合激化を背景に…負債1億1100万円 施設は事業譲渡先が営業続ける(テレビユー山形・2026年9月30日)
出典:「少子化による利用者の減少や競争激化」山形市の児童福祉事業「Growing Support」破産決定(YBC山形放送・2026年9月30日)
報道で確認できる事実
- 会社:Growing Support株式会社(山形市)
- 設立:2012年1月
- 事業:山形市内2か所での児童福祉施設の運営
- 手続き:山形地裁から破産手続き開始決定
- 負債:約1億1100万円
- 売上高:2020年12月期 約2億500万円 → 2025年12月期 約1億5100万円
- 経緯:2026年4月に商号を変更し、事業を第三者に譲渡。その後、弁護士に事後処理を任せて自己破産の準備に入っていた
- 施設:譲渡先の会社が運営を続けている
5年で売上高はおよそ4分の3になりました。報道は、需要の低迷と競合の激化を理由に挙げています。
しょくばログの台帳で見ると
本人の会社は、新しい社名で「活動中」
しょくばログの台帳(国税庁の法人番号データがもと)でGrowing Supportを見ると、社名はすでに変更後の「Growing Support株式会社」で載っており、閉鎖の記録はまだありません。インボイス(適格請求書発行事業者)の登録もありませんでした。
台帳に閉鎖が載るのは、破産手続きが終わって登記が閉じられたあとです。「活動中」と出ていることは、その会社がいま施設を運営していることの証明にはなりません。 倒産の確かめ方は会社の実在・倒産の確認方法に、破産と民事再生などの違いは倒産の種類の違いにまとめています。
社名に「キッズ・児童・発達・療育」を持つ法人2,440社
子ども向けの福祉事業だけを抜き出す区分は台帳にないため、社名に「キッズ」「児童」「発達」「療育」のいずれかを含む法人を数えました。名前からの推定なので、子ども向けのクリニックや学童クラブも入る概数です。
- 累計2,440法人、うち閉鎖の記録があるのは298法人(12.2%)
- 全法人の閉鎖率は13.3%なので、ほぼ同じ水準
- 法人の種類は、株式会社661(27.1%)、NPO法人453(18.6%)、一般社団法人368(15.1%)、有限会社329(13.5%)、合同会社130(5.3%)、社会福祉法人89(3.6%)
- 閉鎖率は、NPO法人17.9%、株式会社15.1%、有限会社12.8%、一般社団法人9.5%、社会福祉法人は89法人中0
同じ子ども向けの事業でも、運営主体は株式会社からNPO法人、社会福祉法人までばらばらです。そして株式会社やNPO法人は、社会福祉法人に比べて閉じる例が多く出ています。設立や撤退がしやすい分、入れ替わりも起きやすい形です。
山形県では
同じ条件で山形県の法人を数えると18法人で、閉鎖の記録は1法人でした。名前に「児童クラブ」を含むNPO法人など、学童保育の運営団体が目立ちます。母数が小さいので、県として多い少ないは言えません。
家庭・働く人・取引先が確かめたいこと
1. 施設の名前ではなく、運営法人の名前と法人番号を見る
今回のように、事業を譲ったあとも施設は同じ名前で続くことがあります。契約書、重要事項説明書、給与明細に書かれている「法人名」が誰なのかを見ておくと、何かあったときに連絡先を間違えません。法人番号の調べ方は法人番号の調べ方にあります。
2. 「事業譲渡のあとに破産」という順番がある
先に事業を別の会社へ移し、残った法人が破産するという流れは珍しくありません。利用者から見ると施設は続いているので気づきにくい一方、取引先の未回収金は古い法人に残ります。見分け方は事業譲渡のあとの倒産の見分け方に書きました。商号を変えてから倒産する例は商号変更と本店移転のあとの破産でも取り上げています。
3. 働いている人は、雇用がどちらの法人にあるかを確かめる
譲渡先に移った人は、雇用契約の相手が新しい会社になっているはずです。移る前の給与や残業代が支払われていない場合、相手は古い法人になります。給与が遅れたときの制度(未払賃金の立替払)は給料が遅れる会社の見分け方にまとめています。
4. 子ども向けの福祉も、少子化と競合の両方にさらされる
報道で理由に挙がったのは、少子化と同業の増加でした。保育の分野でも同じ構図があり、保育園の倒産と運営法人で書いています。施設を選ぶときは、運営法人が株式会社かNPO法人か社会福祉法人か、ほかにどんな事業をしているかも手がかりになります。法人の種類ごとの違いはNPO法人と一般社団法人の違いにあります。
5. 公的な情報公表の仕組みも合わせて使う
障害児向けの通所支援などは、事業所の情報を公表する国の仕組みがあり、運営法人名を確かめられます。介護の分野での調べ方は介護事業所の運営法人の調べ方にまとめました。施設のページで見た法人名を、しょくばログの台帳と突き合わせると、閉鎖や社名変更の有無が分かります。
よくある質問
Q. 運営会社が破産したのに、施設が続いているのはなぜですか。
破産の前に、事業を別の会社へ譲っていたからです。報道によると、施設は譲渡先の会社が運営を続けています。利用者の契約が新しい会社に引き継がれているかは、施設に直接確かめるのが確実です。
Q. しょくばログで見ると、この会社はまだ「活動中」です。間違いですか。
間違いではありません。台帳に閉鎖が載るのは、破産手続きが終わって登記が閉じられてからです。手続きの途中は「活動中」のまま表示されます。
Q. 社名に「キッズ」や「児童」がつく法人の閉鎖率12.2%は高いのですか。
全法人の13.3%とほぼ同じです。ただ、法人の種類で分けると、NPO法人は17.9%、株式会社は15.1%で、社会福祉法人は0%でした。どの種類の法人が運営しているかで、入れ替わりの起きやすさが違います。
Q. 子どもが通う施設の運営法人が変わったかどうか、どう気づけばよいですか。
契約書類や利用料の請求書に書かれた法人名を、前のものと見比べるのがいちばん早い方法です。法人名が変わっていたら、法人番号で台帳を検索すると、閉鎖や社名変更の有無を確かめられます。