✍ 古家あきら | 2026-10-06 更新
東京の企業倒産、2026年度上半期は924件で過去10年で2番目の多さ。人手不足の倒産は59%増の97件──しょくばログDBで見る東京の136万社と閉鎖率14.0%
先に結論です。東京商工リサーチが10月6日に発表した集計では、2026年4〜9月の東京都内の企業倒産(負債1000万円以上)は924件でした。前年同期より4%多く、上半期としては過去10年で2番目の多さです。 負債総額は7%増の1839億円、負債10億円以上の倒産は26%増の34件でした。
目立つのは人手不足に関わる倒産です。前年同期から59%増えて97件になりました。9月の1か月だけでも135件の倒産があり、前年同月より5%増えています。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「東京には会社がたくさんあるから、倒産が多いのは当たり前では」という声もよく聞きます。半分は当たっています。そこでこの記事では、924件という数字を、東京にある会社の全体と並べて見ていきます。特定の会社を評価する記事ではありません。
出典:東京の企業倒産924件、過去10年で2番目の高水準 26年度上期(日本経済新聞・2026年10月6日)
報道で確認できる数字
- 対象:東京都内の企業倒産(負債額1000万円以上)、2026年4〜9月
- 件数:924件(前年同期比4%増)。上半期として2年ぶりの増加
- 負債総額:1839億円(同7%増)
- 負債10億円以上:34件(同26%増)
- 産業別:10産業のうち4産業で増加。金融・保険業と情報通信業の伸びが大きい
- 人手不足に関わる倒産:97件(同59%増)
- 9月単月:135件(前年同月比5%増)、負債総額189億円(同39%減)
報道では、10月の最低賃金の引き上げや金利の上昇が、中小企業の重荷になっていると伝えています。
しょくばログの台帳で見ると
しょくばログの台帳は、国税庁が公表している法人番号のデータを元にしています。登記が閉じた会社も「閉鎖」として残しているので、地域ごとの会社の数と、閉じた会社の割合を数えられます。
東京には全国の法人の23.5%が集まっている
台帳に載っている全国の法人は579万1,529社です。そのうち東京都の住所の法人は136万333社で、全体の23.5%にあたります。4社に1社近くが東京にある計算です。
閉鎖の表示になっている法人の割合は、全国が13.2%、東京が14.0%でした。東京は全国より少しだけ高い程度で、大きくは変わりません。倒産の件数が多いのは、まず会社の数が多いからだと言えます。
区ごとの閉鎖率は12〜17%台
法人の多い区を並べると、次のようになりました。
- 港区:16万2,106社(閉鎖率15.4%)
- 渋谷区:10万9,860社(12.2%)
- 中央区:10万6,381社(14.5%)
- 千代田区:10万2,847社(17.3%)
- 新宿区:9万5,381社(13.8%)
- 世田谷区:6万4,448社(12.4%)
千代田区がやや高く、渋谷区と世田谷区が低めです。ただ、閉鎖率は「倒産しやすさ」そのものではありません。本社を移しただけの会社、合併で消えた会社、役目を終えて自分で畳んだ会社も含まれます。渋谷区の会社の顔ぶれは、渋谷の法人10万9,860社の記事で詳しく見ています。
東京は合同会社の割合が全国より高い
いま活動中の法人を会社の種類で分けると、東京は株式会社が57.7%、有限会社が21.7%、合同会社が11.0%でした。全国では株式会社50.0%、有限会社28.4%、合同会社8.2%です。
合同会社は設立の費用が安く、小さく始める会社や資産管理の会社でよく使われます。全国の活動中の合同会社のうち、31.1%が東京にあります。合同会社そのものが悪いわけではありませんが、規模や中身が外から見えにくい会社が多い点は知っておくと役立ちます。合同会社への応募で気をつける点は合同会社の就職の記事にまとめました。
社名で見る、金融系は62.3%が東京
報道で伸びが大きかった金融・保険業と情報通信業について、社名に手がかりになる言葉を持つ法人を数えました。社名だけで業種は決まらないので、目安として見てください。
- 社名に「ファイナンス」「キャピタル」「投資」「証券」「金融」などを含む法人:全国1万2,882社のうち東京が8,027社(62.3%)。東京の閉鎖率は19.3%
- 社名に「システム」「ソフト」「IT」「テック」「デジタル」などを含む法人:全国13万2,234社のうち東京が3万5,101社(26.5%)。東京の閉鎖率は16.8%
どちらも、東京の法人全体の閉鎖率14.0%より高めでした。人手不足の影響を受けやすい建設系(社名に「建設」「工務店」「建築」)も、東京では1万7,775社のうち閉鎖率19.2%です。
924件と台帳の数字は、数えているものが違う
924件は「負債1000万円以上で、法的整理や銀行取引停止になった会社」の数です。台帳の閉鎖は「登記が閉じた会社」の数で、借金がないまま自分で清算した会社も入ります。東京の閉鎖のうち62.2%は清算の結了などによる閉鎖でした。
逆に、倒産しても登記が閉じるまでには時間がかかります。破産開始決定が出た会社でも、台帳ではしばらく「活動中」のままです。数字の違いは倒産件数が調査会社ごとに違う理由と倒産統計に映らない会社の終わり方で説明しています。
応募する人・取引先が確かめておきたいこと
1. 「人手不足」は会社の外から見える
人手不足の倒産は、仕事があっても人が足りずに回らなくなる形が多くあります。求人をずっと出し続けている、募集の条件が急に良くなった、といった変化は外から見えます。人件費の上昇が経営に響く流れは人件費高騰による倒産の記事にまとめています。
2. 社名ではなく法人番号で確かめる
東京には似た名前の会社が多くあります。応募先や取引先を調べるときは、法人番号で本人を特定し、住所の移り変わりも見ておくと安心です。
3. 取引の前に、支払いの条件を確かめる
負債10億円以上の倒産が26%増えている点は、取引先にとって大事です。大きな会社が倒れると、その先の小さな取引先にも未回収が広がります。確かめ方は取引先の調べ方にまとめました。
よくある質問
Q. 東京は倒産しやすい地域なのですか。
倒産の件数が多いのは、会社の数が多いことが大きな理由です。台帳で見ると、東京の閉鎖率は14.0%で、全国の13.2%と大きくは変わりません。
Q. 924件という数字に、小さな会社の廃業は入っていますか。
入っていません。対象は負債1000万円以上の倒産です。借金を残さずに畳んだ会社や、負債が1000万円に満たない会社は数に入りません。
Q. 応募先が倒産しないか、どうやって確かめればよいですか。
まず法人番号で会社を特定し、登記の状態や住所の履歴を確かめます。そのうえで、面接の場で直近の業績や人員の状況を聞くのが確実です。確かめ方は会社の実在と倒産の確かめ方で紹介しています。
Q. 勤め先が倒産して給料が払われていない場合はどうなりますか。
国の未払賃金立替払制度で、未払いの給料の一部を受け取れる場合があります。詳しくは給料が遅れる会社の記事を参考にしてください。
まとめ
2026年4〜9月の東京都内の企業倒産は924件で、過去10年で2番目の多さでした。人手不足に関わる倒産は59%増の97件です。
しょくばログの台帳で見ると、東京には全国の法人の23.5%にあたる136万社があり、閉鎖率は14.0%で全国とほぼ同じでした。件数の多さは会社の多さによるところが大きい一方、社名で見た金融系や建設系の閉鎖率は高めです。気になる会社は、社名ではなく法人番号で一社ずつ確かめてください。