✍ 古家あきら | 2026-10-09 更新

松山市の太陽光・蓄電池会社「SELACT」が破産──設立4年、紹介サイトの「施工実績166件」をどう読むか。社名に「蓄電」を持つ法人351社は8割超が合同会社、閉鎖率は2.8%

先に結論です。愛媛県松山市で住宅向けの太陽光発電システムと家庭用蓄電池を販売・施工していたSELACT株式会社が、2026年9月30日に松山地方裁判所から破産手続の開始決定を受けたと報じられました。 設立は2022年4月で、4年あまりでの破産です。負債額や破綻の理由は、報道の時点では確認されていません。

報道によると、同社は販売施工店の紹介サイトに「施工実績166件、従業員4人」と掲載されていました。ただし、その166件がいつ時点の数字なのかは分かっていません。

しょくばログという会社データベースを運営していると、紹介サイトや自社サイトに書かれた「実績◯件」が、いつの数字なのか分からないまま残っている場面をよく見かけます。この記事は同社の経営を評価するものではありません。報道で確認できる事実を並べたうえで、太陽光や蓄電池のように「設置したあと10年以上つきあう設備」を頼むとき、施工する会社をどう確かめるかを一般化してまとめます。

出典:【愛媛】太陽光・蓄電池のSELACTが破産 2022年設立、施工実績166件の登録情報も(JC-NET・2026年10月8日)

報道で確認できる事実

報道に書かれている内容を、そのまま並べます。

売上や資本金は、報道からは確認できませんでした。この記事でも推測では書きません。

「施工実績166件」は、いつの166件か

報道がわざわざ「集計時点は明らかでない」と断っている点は、読む側にとって大事なところです。

紹介サイトや比較サイトの掲載情報は、事業者が登録した時点の数字が、そのまま更新されずに残ることがあります。166件が「設立からの累計」なのか「ある時点までの件数」なのか、従業員4人が「いまの人数」なのかは、掲載を見ただけでは判断できません。

これは紹介サイトに限りません。しょくばログでも、会社サイトの「会社概要」に資本金や従業員数がどれだけ書かれているかを数えたことがあります。会社概要の見方の記事にまとめましたが、数字があっても日付が添えられていないことは珍しくありません。

数字そのものより、「いつの数字か」「誰が書いた数字か」を先に見る。これが外から会社を読むときの基本になります。

しょくばログの台帳で見た同社の登記

国税庁の法人番号データをもとにした、しょくばログの台帳でも同社を確認しました。

破産の開始決定が出ても、手続きが終わって登記が閉鎖されるまでは、データ上は存続のまま残ります。台帳に「閉鎖」と出ていないことは、会社が動いている証明にはなりません。破産・民事再生・特別清算の違いは倒産の種類を整理した記事、解散や休眠の見分け方は解散した会社・休眠会社の調べ方で説明しています。

もう一つ、台帳で気づいたことがあります。社名が「SELACT株式会社」の法人は全国に3社あり、松山市の1社のほかに東京都に2社ありました。ニュースの会社と自分が見ている会社が同じかどうかは、社名ではなく法人番号と所在地で照らし合わせるのが確実です。調べ方は法人番号の調べ方にまとめています。

社名に「蓄電」を持つ法人は351社、8割超が合同会社

同社が扱っていた家庭用蓄電池にちなんで、社名に「蓄電」が入る法人を数えました。対象は株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社の5種類です。

同じ5種類の法人全体(5,160,002社)の閉鎖率は13.5%なので、「蓄電」の会社は閉鎖がかなり少ない計算です。ただし、これを「蓄電池の会社は安定している」と読むのは早いと思います。合同会社が8割を超え、東京都に半分以上が集まっている形を見ると、設備ごとに作られた事業用の会社や、比較的新しく作られた会社が多く含まれていると考えられます。閉鎖が少ないのは、まだ時間が経っていないことの表れとも読めます。

社名に「ソーラー」「太陽光」を持つ法人は4,147社、閉鎖率は21.3%

あわせて、社名に「ソーラー」か「太陽光」が入る法人も同じ条件で数えました。

こちらは法人全体の13.5%を大きく上回ります。札幌の電気工事会社の破産を扱った協伸システムの記事でも、同じように社名に「ソーラー」を持つ会社の閉鎖の多さに触れました。

なお、SELACTのように社名に業種の言葉が入っていない会社も多く、社名だけで業界の全体は数えられません。この数字は「社名に言葉を入れた会社」の断面だと考えてください。

太陽光・蓄電池を頼む前に確かめたい4つのこと

ここからは個社の話を離れて、住宅の太陽光や蓄電池を頼む人、取引を検討する人向けに一般化します。

1. 「メーカー保証」と「施工の保証」を分けて確認する

一般に、機器そのものの故障はメーカーの保証、取り付け工事の不具合は施工した会社の保証、と担い手が分かれます。施工した会社がなくなると、工事側の保証は受けにくくなることがあります。契約書に「誰が、何を、何年保証するのか」が書かれているかを確かめておくと安心です。

2. 電気工事業の登録と建設業許可を確かめる

太陽光や蓄電池の設置には電気工事がともないます。電気工事業の登録は建設業許可とは別の制度で、確かめ方は電気工事業登録の調べ方に書きました。リフォーム工事と建設業許可の関係はリフォーム会社と建設業許可の記事で整理しています。

3. 設立年は「年数」ではなく「保証期間との釣り合い」で見る

設立から日が浅いことは、それだけで問題ではありません。ただ、10年・15年といった保証をうたう場合、その期間を会社がどう担保しているかは聞いてよい質問です。設立年の調べ方は会社の設立年の調べ方にあります。

4. 紹介サイトの掲載は「登録情報」として読む

紹介サイトの実績数や従業員数は、事業者が登録した情報であることが多く、更新の時期も分かりません。口コミや評判の見方は会社の評判の調べ方で触れています。

運営者として思うこと

太陽光や蓄電池は、買って終わりではなく、点検や修理で長くつきあう設備です。だからこそ、頼む相手の会社がこの先も続くかどうかが、ほかの買い物より重くなります。

一方で、設立4年・従業員4人という規模の会社が地域で施工を担うのは、ごく普通のことです。小さい会社を避ければよい、という話ではありません。大事なのは、保証の担い手が誰で、会社がなくなったときにどこへ連絡すればよいかを、契約の前に確かめておくことだと考えています。

よくある質問

SELACTは倒産したのですか?

報道によると、2026年9月30日に松山地方裁判所から破産手続の開始決定を受けています(令和8年(フ)第328号)。

負債はいくらですか?

報道の時点では、負債額は確認されていません。この記事でも推測の数字は書いていません。

施工した会社が破産したら、設置済みの設備はどうなりますか?

機器そのものの保証はメーカーが担うことが一般的なので、まずはメーカーの保証書と窓口を確認してください。工事の保証や未払い・前払いの扱いは、破産手続のなかで整理されるのが一般的です。個別の対応は、契約書を手元に置いたうえで専門家や消費生活センターに相談するのが確実です。

しょくばログで見ると、もう閉鎖になっていますか?

2026年10月9日時点の台帳では、閉鎖の記録はありません。破産手続が終わるまでは、データ上は存続のまま残るのが普通です。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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