✍ 古家あきら | 2026-09-03 更新

会社が解散・休眠しているか調べる方法 — 「解散」と「閉鎖」は別の出来事です

先に結論です。会社の「終わり方」を外から確認したいなら、見るべきは国税庁法人番号公表サイトの「登記記録の閉鎖等の事由」という欄です。ここに「清算の結了等」「合併による解散等」「登記官による閉鎖」のどれかが入っていれば、その法人の登記記録はすでに閉じています。何も入っていなければ、登記の上ではまだ生きています。無料で、法人名を入れるだけで確認できます。

ただし、この確認には大きな死角がひとつあります。みなし解散された会社は、この欄が空のまま「現存」として表示されます。解散させられているのに、検索すると普通に出てくる。これが実務でいちばん事故につながるところです。

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「取引先が解散していないか確認したい」「応募先が休眠会社ではないか不安だ」というご相談をいただきます。そのたびに感じるのは、この分野は言葉がとにかく紛らわしいということです。休眠・解散・みなし解散・清算結了・閉鎖・倒産。全部ちがう出来事なのに、日常会話では全部「潰れた」で片づけられてしまいます。

この記事では、まず言葉を分け、次に外から確認する手順を書き、最後にうちのデータベースに記録されている762,832件の閉鎖の内訳をお見せします。この内訳は、私が数えるまで自分でも分かっていませんでした。

なお「そもそも実在するのか」から確認したい方は会社が実在するか確認する方法を先にお読みください。この記事は「実在は分かった。では今どの状態なのか」の話です。

まず言葉を分ける — 5つの状態は一直線に並んでいる

紛らわしい言葉たちは、実は時間軸に沿って一直線に並びます。手前から順に並べます。

そして倒産は、この軸とは別の軸です。破産・民事再生・会社更生などの法的整理や、銀行取引停止処分を指す実務用語で、登記の状態とは一対一で対応しません。倒産した会社が登記上しばらく生きていることも、黒字のまま自主的に解散して閉鎖される会社も、どちらも普通にあります。この関係は倒産統計に映らない会社の終わり方で詳しく書きました。

この記事で覚えて帰っていただきたいのは「解散≠閉鎖」の1点です。 解散はスタート、閉鎖はゴール。その間は数年から十数年あくことがあります。

外から調べる3ルート — 無料 / 330円 / 600円

順番に試すのが効率的です。上から順に、費用が上がるかわりに分かることが増えます。

ルート1:国税庁法人番号公表サイト(無料)

会社名を入れて検索し、該当法人の詳細を開くと、閉鎖している法人には「登記記録の閉鎖等の事由」と「閉鎖等年月日」が表示されます。合併の場合は承継先の法人番号・商号・所在地も併記されるので、「どこに吸収されたのか」まで一気に分かります。取引先が突然名前を変えていた、というときに効きます。法人番号そのものの引き方は会社名から法人番号を調べる方法にまとめました。

ルート2:登記情報提供サービス(330円)

登記記録の全部の情報が1件330円で閲覧できます(令和8年4月1日改定・法務省の料金一覧)。証明書としての効力はありませんが、解散の登記がされているか、清算人が誰か、いつ解散したかまで読めます。みなし解散を確認したいならここまで来る必要があります。閲覧できるのは平日8時30分〜23時、土日祝は18時までです。

ルート3:登記事項証明書(書面請求600円)

証拠として残す必要がある場合はこれです。オンライン請求なら送付520円・窓口交付490円(令和7年4月1日〜・法務省「登記手数料について」)。閉鎖された登記記録も閉鎖事項証明書として取得できます。

しょくばログ(無料)は、ルート1の情報を会社ページに整理して載せています。 ただし後述のとおり、閉鎖済みの法人はそもそも掲載していません。

うちのデータで見た「閉鎖762,832件」の内訳

ここからは、全国の法人データを持っている立場でしか書けない部分です。

しょくばログは国税庁の法人番号公表データをもとに全国5,791,529件の法人を収録しています。このうち登記記録の閉鎖等が記録されているのは762,832件、全体の13.2%。現存扱いで公開しているのは4,988,967社です。

その762,832件を、国税庁が付けている事由コードで分けると、こうなりました(リソース定義書にコードの定義があります)。

私がいちばん驚いたのは2つ目です。閉鎖された法人の4件に1件以上、21万社は、会社自身が手続きをして畳んだのではなく、登記官が職権で閉じたものでした。これは商業登記規則第81条第1項にもとづく措置で、解散の登記から10年たっても清算結了の登記がされない会社を、登記官が便宜的に閉じるものです(商業登記規則)。

そして3つ目、合併による解散等が59,612件あるという点も実務的には重要です。ここに該当する会社は消えたのではなく、別の会社になっただけです。債権債務は承継先に引き継がれます。「取引先が閉鎖されていた」と慌てる前に、事由が合併でないかを必ず見てください。

「登記官による閉鎖」は1月にしか起きない

もうひとつ、数え直して初めて分かったことがあります。この21万件は、1年のうち1月に集中しています。

登記官による閉鎖210,087件を月ごとに分けると、1月が185,596件(88.3%)、2月が23,296件(11.1%)。1〜2月だけで99.4%です。3月以降の11ヶ月を全部合わせても86件しかありません。

対して、清算の結了等491,764件は12ヶ月にほぼ均等に散っています(最少の5月で33,178件、最多の12月で52,439件)。

この差が意味することはひとつです。 清算結了や合併は会社側の都合で起きるので年間を通じてなだらかに発生しますが、登記官による閉鎖は役所が年に一度まとめて処理する事務作業なので、1月に山ができます。

年ごとに数えると、その山の高さ自体も暴れます。

2024年から2025年で7倍です。これを「会社が消えるペースが7倍になった」と読むと、完全に間違えます。 職権閉鎖は解散の登記から10年後に来ます。法務省の休眠会社の整理作業は昭和49年の第1回から平成14年の第5回まで行われたあと中断し、12年ぶりの第6回が平成26年度、以降は毎年度実施されています(法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」)。平成26年12月に大量のみなし解散登記がされた分が、ちょうど10年後の2025年1月に閉鎖として現れた、と見るのが整合的です。

つまりこの数字が語っているのは2026年の景気ではなく、2014年から2015年に何が起きたかです。うちのデータを引用してくださる方には、ここだけは誤読しないでいただきたいところです。なお、うちのデータに入っている閉鎖は法人番号制度が始まった2015年10月以降に記録されたものだけで、それ以前に閉じた会社は最初から収録されていません(本記事の集計は2026年5月末時点)。

法人の種類で結末が変わる — 合同会社の90%は自分で畳んでいる

同じ「閉鎖」でも、法人の種類によって中身がまるで違いました。

株式会社の3社に1社は役所に閉じられ、合同会社の9割は自分できちんと畳んでいる。 この差の理由ははっきりしています。みなし解散の対象は株式会社と一般社団・一般財団法人だけで、合同会社などの持分会社は対象外だからです。特例有限会社も、取締役に任期がなく任期満了の変更登記が発生しないという性質から、整備法第32条で会社法第472条の適用が除外されています。

ただし合同会社については、制度そのものが2006年開始で歴史が浅く、「解散から10年」の条件を満たす会社が構造的に少ないという事情も効いています。数字を額面どおり「合同会社の経営者は几帳面」と読むのは行き過ぎです。法人の種類ごとの性質は法人の種類一覧と見分け方にまとめています。

いちばん危ない死角 — みなし解散は「閉鎖」に出てこない

ここが本題です。

みなし解散された会社は、国税庁法人番号公表サイトでもしょくばログでも「現存」として普通に表示されます。

理由は単純で、みなし解散は解散の登記であって登記記録の閉鎖ではないからです。法人番号のデータに載るのは閉鎖のほうだけ。解散したかどうかは項目として存在しません。そこから10年たって職権閉鎖されて、ようやく「登記官による閉鎖」として現れます。つまり最大で10年間、解散させられた会社が現存として表示され続けます。

規模感を申し上げると、法務省の公表ではこれまでの整理作業で解散したものとみなされた株式会社は累計829,147社、一般社団・一般財団法人は20,513法人です。うちのデータで職権閉鎖として現れているのは210,087件ですから、差はまだ現存の側に残っている計算になります。

うちのサイトの限界も正直に書きます。しょくばログは登記記録が閉鎖された法人を会社ページに掲載していません。 ですから「しょくばログで見つからない」は閉鎖済みのサインになり得ますが、「しょくばログに載っている=営業している」ではまったくありません。 みなし解散済みの会社も、10年前に事業をやめた休眠会社も、載ったままです。

登記の状態と、実際に営業しているかは別々に確認してください。 実態のほうの見分け方は営業実態のない「幽霊会社」を見分ける5つのサインに、支払い能力まで踏み込む場合の線引きは取引先の信用を調べる方法に書きました。

ケース別・確認の順番

取引を始める前(金額が小さい)

法人番号公表サイトで閉鎖事由の有無だけ見る。空欄なら次へ進み、実態確認(サイト・電話・所在地)に移る。ここまで無料・5分。

取引を始める前(継続取引・与信が発生する)

法人番号公表サイトで確認したうえで、登記情報提供サービス330円で登記記録を取る。解散の登記が入っていないか、清算人が就任していないかを必ず目視する。 ここを省くとみなし解散を踏みます。

請求書が戻ってきた・連絡が取れなくなった

まず閉鎖事由を確認する。「合併による解散等」なら承継先が併記されているので、そちらに連絡する。「清算の結了等」なら法人は消滅済み。「登記官による閉鎖」なら、解散から10年以上放置された会社です。

求人に応募する前

登記の状態より実態のほうが重要です。求人が継続的に出ているか、サイトが更新されているか、電話が通じるか。ただし設立が古いのに何も情報が出てこない会社は、休眠からみなし解散のコースに入っている可能性を一度疑ってください。

よくある質問

休眠会社かどうかを外から確実に判定できますか?

できません。休眠は法律上の状態ではなく、登記にも法人番号データにも現れないためです。税務署への休業届も公開されません。判定ではなく推定になります。求人・サイト更新・電話疎通・直近の登記の有無を合わせて見るのが現実的な手順です。

みなし解散された会社は、もう復活できないのですか?

できます。法務省によれば、みなし解散の登記後3年以内に限り、株主総会の決議によって会社を継続することが可能で、決議から2週間以内に継続の登記を申請する必要があります。また職権で登記記録が閉鎖された場合も、実際に清算が結了していなければ、清算を結了していない旨を申し出て登記記録を復活させる扱いがあります。

「登記記録の閉鎖」が記録されていない=営業中ということですか?

違います。この記事の核心部分です。閉鎖が記録されていないのは「登記記録がまだ閉じられていない」という意味だけで、休眠中の会社も、みなし解散された会社も、閉鎖は記録されていません。 営業しているかどうかは別途、実態で確認してください。

解散した会社と取引してしまった場合、どうなりますか?

解散しただけなら会社は清算のために存続しているので、清算人を相手方として手続きを進めることになります。清算結了まで進んで法人格が消滅している場合は、そもそも契約の相手方が存在しません。個別の事情で扱いが変わりますので、金額が大きい場合は弁護士・司法書士にご相談ください。

会社が「解散」した日と「事業をやめた」日は同じですか?

まず一致しません。休眠会社の整理作業の対象要件が「最後の登記から12年」であることからも分かるとおり、実際に事業を止めてから登記に現れるまで10年以上かかることが普通にあります。 登記の日付を事業停止の時期として使うのは避けてください。

まとめ

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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