✍ 古家あきら | 2026-10-10 更新

結婚相談所に許可や届出は要るのか — 開業の手続きと、運営会社を確かめる方法。社名に「結婚相談」「婚活」などを含む法人97のうち47.4%は会社以外の法人

先に結論です。結婚相談所を開くのに、国や自治体の許可・届出は要りません。 美容室の開設届や飲食店の営業許可のような「この番号を持っていれば営業してよい」という仕組みが、結婚相談所にはありません。中小企業基盤整備機構の開業ガイド(J-Net21)も、結婚相談所の開業に許認可や届出は必要ないと書いています。

そのかわり、契約のほうに法律のルールがかかります。 2か月を超え、5万円を超える結婚相手紹介サービスは、特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたります。事業者は契約の前と後に決められた書面を渡す必要があり、利用者は書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフができ、それを過ぎても中途解約ができます。解約のときに事業者が請求できる額にも上限があります。

つまり、結婚相談所を選ぶときに「許可番号」で見分けることはできません。見るべきなのは、運営しているのがどこの誰かと、契約書面やクーリング・オフの説明がきちんと出てくるかの2つです。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「結婚相談所 届出」「結婚相談所 見分け方」で調べる方は、入会を考えている方と、自分で相談所を開こうとしている方の両方がいるように感じます。うちの台帳で、社名に「結婚相談」「婚活」「仲人」「お見合い」「縁結び」のどれかを含む法人を数えると、閉鎖していないものが97法人ありました。そのうち47.4%(46法人)は株式会社などの会社ではなく、一般社団法人やNPO法人などの「会社以外の法人」です。運営者の形がばらばらな業界だ、というのがまず分かることです。

結婚相談所に「許可番号」はない

開業に要るのは、ふつうの事業の手続きだけ

結婚相談所には、業として名乗るための許可・登録・届出の制度がありません。J-Net21の開業ガイドは、許認可や届出は必要ないとはっきり書いたうえで、かかる法律として特定商取引法と個人情報保護法を挙げています。

開業のときに出すのは、どんな事業でも出す書類です。個人なら税務署への開業届、法人なら設立の登記と、人を雇えば社会保険・労働保険の手続き、という流れです。結婚相談所だから増える役所の手続きはありません。

許認可の有無の調べ方そのものは、会社の許認可を調べる方法にまとめています。「許可」「届出」「登録」の違いは許可・認可・免許・登録・届出の違いで整理しました。結婚相談所は、このどれにも当てはまらない側の業種です。

かわりに、契約に特定商取引法がかかる

消費者庁の「特定商取引法ガイド」では、特定継続的役務提供の対象として7つの役務が挙がっています。エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、そして結婚相手紹介サービスです。

結婚相手紹介サービスの要件は、次のとおりです。

この2つの条件をどちらも超える契約に、次のルールがかかります。

同じ特定継続的役務提供でも、上限の額は役務ごとに違います。エステや学習塾との違いはエステ・パーソナルジムの運営会社を調べる方法と学習塾の運営会社を調べる方法に書いています。

「マル適マーク」や連盟の加盟は、民間の仕組み

結婚相談所のサイトでよく見かけるのが、「マル適マーク(CMS)」と、IBJ(日本結婚相談所連盟)などの連盟への加盟です。J-Net21の解説でも、マル適マークは民間の認証、連盟は加盟料や研修への参加が条件になっていることが多い、という位置づけで紹介されています。

どちらも、国の許可とは別のものです。あれば「一定の審査や研修を通っている」という手がかりにはなりますが、「無い=違法」でも「有る=安心してよい」でもありません。認証や加盟の有無は、運営会社と契約内容を確かめるときの材料の一つ、と考えるのが無理のないところです。

運営会社を確かめる手順

許可番号が無い以上、相手を確かめる手がかりは「誰が運営しているか」です。次の順で見ていくと、短い時間で確かめられます。

1. サイトの「運営会社」「会社概要」「特定商取引法に基づく表記」を開く

相談所のサイトの一番下に、運営会社や会社概要、特定商取引法に基づく表記へのリンクがあるはずです。ここで運営者の正式な名前・所在地・代表者名を控えます。相談所の名前(屋号)と運営法人の名前が違うのはよくあることです。屋号から運営者をたどる考え方は店名・サイト名から運営会社を調べる方法にまとめています。

特商法の表記の読み方は特定商取引法に基づく表記の見方で詳しく書きました。

2. 法人番号公表サイトで、名前と所在地を照らし合わせる

控えた名前を国税庁の法人番号公表サイトで検索し、所在地まで一致する法人があるかを見ます。手順は法人番号の調べ方のとおりです。

ここで、名前は一致しても所在地が違う法人が出てくることがあります。社名に「結婚相談」などを含む会社(株式会社・有限会社・合同会社など)51社のうち、21.6%(11社)は全国に同じ社名の会社がもう1社以上あります。 名前だけで「ここだ」と決めずに、所在地で確かめるのが大事です。

3. 個人事業主の相談所なら、法人番号では出てこない

結婚相談所は、個人で開業している人も多い業種です。個人事業主には法人番号がないので、法人番号公表サイトでは見つかりません。法人番号が無い相手の確かめ方は法人番号のない会社・団体に書いています。

個人の相談所が悪いわけではありません。ただ、その場合は特商法の表記に運営者の氏名・住所・電話番号がきちんと書かれているかが、いっそう大事になります。

4. 一般社団法人・NPO法人なら、法人の性格も見る

結婚相談所を一般社団法人やNPO法人の名前で運営しているところもあります。後で数字を出しますが、社名に「結婚相談」「婚活」などを含む法人のほぼ半分がこのタイプです。一般社団法人は設立のハードルが低く、公益性を審査されているわけではありません。名前に「協会」「連盟」と付いていても、公的な団体とは限りません。見分け方は一般社団法人の見分け方とNPO法人と一般社団法人の違いにまとめています。

5. 契約の前に、概要書面をもらう

2か月を超え5万円を超えるコースなら、事業者は契約の前に概要書面を渡す必要があります。料金、期間、クーリング・オフや中途解約の説明が書かれているはずなので、契約する前に書面を受け取り、持ち帰って読むのが一番確実な確認です。書面を出したがらない、その場での契約を急がせる、といった場合は、立ち止まる理由になります。

しょくばログの台帳で数えた、結婚相談所の運営法人

ここからは、しょくばログの会社台帳(国税庁の法人番号データをもとにしたもの)で数えた数字です。屋号ではなく登記上の名前で数えているので、社名に「結婚相談」などが入っていない相談所は含まれません。結婚相談所の全体数ではなく、「社名にこの言葉を入れている法人がどんな形か」を見る数字として読んでください。

社名に「結婚相談」「婚活」などを含む法人:97法人

社名に「結婚相談」「婚活」「仲人」「お見合い」「縁結び」のどれかを含む法人は、閉鎖したものも含めて130法人、閉鎖していないものが97法人でした。閉鎖していない97法人の内訳です。

閉鎖の割合は、全体で130法人中33法人=25.4% でした。これを会社とそれ以外に分けると差がはっきり出ます。

件数が少ないので強いことは言えませんが、社名に婚活系の言葉を入れた一般社団法人・NPO法人などは、閉鎖の割合が会社のおよそ2.6倍でした。自治体の婚活支援の受け皿として作られ、事業が終わって畳まれた法人も含まれていると考えられます。ここは個別に確かめていないので、理由までは断定しません。

なお、マッチングアプリの運営会社が7倍に増えた話でも「婚活」「結婚相談」の法人の閉鎖の多さに触れました。そちらは「婚活」「結婚相談」をそれぞれ別に数えた数字で、今回は「仲人」「お見合い」「縁結び」も含めて1つのまとまりとして数えています。数字が違うのはそのためです。

会社に絞ると:株式会社が3分の2、東京・大阪で4割

会社(株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社)の51社に絞った内訳です。

所在地は東京都が13社(25.5%)、大阪府が10社(19.6%)で、2都府県で4割を超えます。台帳全体の会社に占める東京都の割合は24.1%なので、東京の比率はほぼ全体並みで、大阪の多さが目立ちます。

そして先に書いたとおり、51社のうち11社(21.6%)は全国に同じ社名の会社があります。「〇〇結婚相談所」のような分かりやすい名前は重なりやすい、ということです。

会社サイトに何が書かれているか

しょくばログが集めている会社サイト31,159社の本文で、「結婚相談所」「結婚相談」「結婚相手紹介」などに触れているのは74社(0.24%)でした。このうち「結婚相談所」「結婚相手紹介」「婚活」が3回以上出てくる、つまり結婚相談所を事業として掲げているとみられる37社で、何が書かれているかを数えました。

運営会社の情報や個人情報の方針は8割が載せています。一方で、法律でルールが決まっているクーリング・オフや中途解約の言葉がサイトに出てくるのは1〜2社、特商法の言葉も6社にとどまりました。

これは「説明していない」という意味ではありません。特定継続的役務提供のルールは、サイトに書くことではなく、契約の前後に書面で渡すことが求められているからです。ただ、利用者から見ると、サイトを見ているだけでは解約のルールはほとんど分からない、ということでもあります。だからこそ、手順5で書いた「契約の前に概要書面をもらう」が効いてきます。

開業を考えている方へ

自分で結婚相談所を開く場合も、許可を取りに行く先はありません。そのかわり、次のことは最初から決めておく必要があります。

連盟への加盟は、会員の紹介の仕組みを使うための選択で、法律上の義務ではありません。加盟料や研修の条件は連盟ごとに違うので、加盟する前に契約内容を確かめてください。

よくある質問

結婚相談所を開くのに資格は要りますか?

国家資格や公的な許可は要りません。J-Net21の開業ガイドも、許認可や届出は必要ないとしています。民間の資格や認証(マル適マークなど)はありますが、取らなくても開業はできます。そのかわり、2か月超・5万円超の契約には特定商取引法のルールがかかります。

結婚相談所の「届出番号」や「許可番号」で信頼できるか見分けられますか?

見分けられません。結婚相談所にはそうした番号の制度がないからです。「許可番号」のように見えるものがあれば、それは連盟の加盟番号や民間の認証番号などです。確かめるべきは、運営者の正式な名前と所在地が出ていて、法人番号公表サイトで一致するかどうかと、契約前に概要書面を出してくれるかどうかです。

入会したあとでも、クーリング・オフはできますか?

2か月を超え5万円を超える契約なら、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内は、クーリング・オフができます。8日を過ぎても中途解約はでき、事業者が請求できる額には上限があります(サービス開始前は3万円、開始後は提供済みの対価に「2万円か契約残額の20%の低いほう」を足した額)。期間や金額がこの条件を下回る契約は、このルールの外になります。

運営しているのが一般社団法人だと、公的な団体ということですか?

違います。一般社団法人は、登記をすれば作れる法人で、国や自治体の審査を受けているわけではありません。自治体の婚活支援を受託している団体もありますが、それは個別の委託の話です。名前に「協会」「連盟」とあっても、まずは法人番号公表サイトで法人の種類と所在地を確かめてください。

社名に「結婚相談」が入っていない会社が運営していることはありますか?

よくあります。相談所の名前は屋号で、運営しているのは別の名前の会社、というのは普通のことです。しょくばログの数字も社名で数えたものなので、そうした会社は入っていません。サイトの運営会社・特商法表記で正式名を確かめてから調べるのが確実です。

数字の出どころ

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

← お役立ち記事一覧へ