✍ 古家あきら | 2026-09-13 更新
法人番号がない会社・団体はある? — 番号が付く5つの条件と、付かない相手の見分け方
先に結論です。「法人番号がない会社」は、原則としてありません。 株式会社・合同会社・有限会社など、登記して作られた会社には、設立と同時に必ず13桁の法人番号が付きます。
では「調べても法人番号が出てこない相手」は何なのか。国税庁のルールに照らすと、ほぼ次の4つのどれかです。
- 個人事業主(屋号が「◯◯商店」「◯◯法律事務所」でも、法人でなければ番号はない)
- 法人の支店・支社・営業所(番号は本店に1つだけ。支店に別の番号は付かない)
- 民法上の組合・有限責任事業組合(LLP)(契約であって法人ではないので番号が付かない)
- 番号はあるが、公表に同意していない団体(人格のない社団等。国税庁のサイトで検索しても出ない)
逆に、「会社ではないのに法人番号がある」団体も大量にあります。健康保険組合、土地改良区、マンション管理組合、PTA、町内会。しょくばログという会社データベースを運営していると、「法人番号が出てこないから怪しい」「番号があるから会社だ」という両方向の勘違いに毎週のように出会うので、番号が付く側と付かない側の境界を、国税庁の一次資料とうちのデータで線引きしておきます。
法人番号が指定されるのは5種類
国税庁法人番号公表サイトのよくある質問(法人番号の指定)には、番号が指定される相手が5つ列挙されています。
- (1) 国の機関
- (2) 地方公共団体
- (3) 設立登記法人(株式会社、合同会社など)
- (4) (1)〜(3)以外の法人または人格のない社団等で、所定の税法上の届出書を提出することとされている者
- (5) (1)〜(4)以外の法人または人格のない社団等で、税務書類を提出するなど一定の要件に該当し、国税庁長官に届け出た者
ポイントは(3)です。登記して成立する法人は、自動的に番号が付きます。 会社側が申請する必要も、届出書を出す必要もありません。国税庁は「株式会社や合同会社といった設立登記法人等については、届出書を提出する必要はありません」と明記しています。だから「うちは法人番号を取っていない」という株式会社は存在しない、というのが正確なところです。
(4)と(5)は、登記されない法人と、法人ですらない団体の話です。ここが「会社ではないのに番号がある」側の入口になります。
番号が指定されない4つの相手
同じよくある質問に、「法人番号が指定されない団体」の例として次の4つが挙がっています。
- 個人事業者
- 民法上の組合
- 有限責任事業組合
- 法人の支店・支部・事業所等
それぞれ、実務でどう出会うかを補足します。
個人事業主 — 屋号がどれだけ会社っぽくても番号はない
国税庁の回答は一文で、「個人事業者に法人番号は指定されません」です。「◯◯法律事務所」「◯◯歯科医院」「◯◯設計事務所」「◯◯商店」は、法人化していなければ全部これに該当します。
うちのデータで確かめると、名前に「法律事務所」を含む法人は1,394件ありますが、そのほぼ全部(1,390件)は「弁護士法人◯◯法律事務所」のように弁護士法人が母体です。弁護士が個人で開いている法律事務所は、法人番号の世界には最初から存在しません。医療も同じで、「医療法人」を名乗る法人は60,595件ありますが、個人開業の診療所や病院は番号を持ちません。
個人事業主かどうかを外から見分ける最短ルートは、インボイス登録番号です。法人なら「T+法人番号13桁」、個人なら「T+法人番号とは無関係の13桁」になります。手順は取引先が個人事業主か法人かを見分ける方法に書きました。
支店・支社・営業所 — 番号は本店に1つだけ
国税庁の回答は、「法人番号は1法人に対し一つの番号のみ指定され、支店、支部、事業所に別途法人番号が指定されることはありません」です。給与の支払調書などに番号を書くときも、本店の番号を書けと案内されています。
これは地方公共団体でも同じで、市の部局・出先機関・公立の病院や学校、教育委員会にも個別の番号は付きません(市の番号を使う)。「◯◯市立病院の法人番号が見つからない」のは、探し方の問題ではなく、存在しないからです。
法人番号の下12桁は登記の「会社法人等番号」と同じなので、支店に番号が付かないのは登記の構造そのものです。番号の中身は会社の「事業所番号」「労働保険番号」とはで分解しています。
民法上の組合・LLP — 「契約」なので法人ではない
共同事業のために作られる民法上の組合、匿名組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合(LLP)は、国税庁の説明では「当事者間の契約にすぎないことから、人格のない社団等には該当しません」とされ、番号の対象外です。「◯◯共同企業体(JV)」「◯◯投資事業有限責任組合」に法人番号がないのはこのためです。
なお、名前に「組合」が付いていても、協同組合・企業組合・農事組合法人などは登記して成立する法人なので番号があります。うちのデータでは農事組合法人だけで12,346件、名前に「協同組合」を含む法人は3万件以上あります。「組合」という字面では区別できないので、法人格の有無で見る必要があります。
外国法人 — 日本で登記しただけでは付かない
意外と知られていないのがここです。外国に本店がある法人は「設立登記法人に該当しないため、代表者選任登記や営業所設置登記をしたのみでは法人番号は指定されません」(国税庁)。給与支払事務所の開設届など税法上の届出書を出したとき、または国税庁長官に届け出たときに初めて番号が付きます。
しかも、外国法人の番号は「12桁の会社法人等番号の前に1桁を足したもの」ではなく、国税庁長官が別に定めた12桁を基礎にした番号です。登記の番号から逆算できない、という点で日本の会社と構造が違います。うちのデータでは、活動中の外国会社等は19,777件収録されています。
「会社ではないのに番号がある」側 — 人格のない社団等と、登記しない法人
ここからが、番号の有無で相手を判断すると間違える領域です。
人格のない社団等 — PTA・管理組合・協議会も番号を持てる
国税庁は「人格のない社団等」を、番号法の定義に沿って「法人でない社団若しくは財団で代表者若しくは管理人の定めがあるもの」と説明し、具体例としてPTA、協議会、管理組合、登記のない労働組合、同業者団体、収益事業を行っている団体、同好会、慈善団体を挙げています。
これらは、給与支払事務所等の開設届出書や収益事業開始等届出書を税務署に出すと、別の手続きなしに番号が指定されます。届出書を出す義務がないボランティア団体でも、原稿料の支払調書を出す必要があるといった要件を満たせば、国税庁長官に届け出て番号を取れます。
登記しない法人 — 健康保険組合・土地改良区・認可地縁団体
法人なのに登記所で設立登記をしない法人があります。国税庁が例示しているのは国民年金基金、企業年金基金、厚生年金基金、健康保険組合、共済組合、土地改良区、認可地縁団体(市町村長の認可を受けた自治会・町内会)です。これらも税法上の届出や国税庁への届出で番号が付きます。
うちのデータで数えた — 番号を持つ「会社以外」は何件あるか
国税庁の公表データは、法人種別を10種類のコードで区分しています(リソース定義書より)。しょくばログは、このデータのうち登記が閉鎖されておらず検索対象からも除外されていない活動中の4,988,967件を収録しているので、種別ごとに数えてみます(2026年9月時点)。
- 株式会社 … 2,513,316件
- 有限会社 … 1,426,057件
- その他の設立登記法人(一般社団法人・医療法人・NPO法人・宗教法人など) … 519,553件
- 合同会社 … 412,431件
- 合資会社 … 58,916件
- 外国会社等 … 19,777件
- その他(人格のない社団等+設立登記のない法人) … 18,644件
- 合名会社 … 12,180件
- 地方公共団体 … 7,245件
- 国の機関 … 848件
設立登記法人(株式・有限・合名・合資・合同・その他の設立登記法人)を足すと4,942,453件で、全体の99.07%。番号を持つ相手の99%は登記された法人です。残りの0.93%、46,514件が「国・自治体・外国会社・その他」です。
「その他」18,644件の中身
種別コードが「その他」(人格のない社団等および登記しない法人)の18,644件を、名前に含まれる語で分類しました。
- 土地改良区 … 2,399件(12.9%)
- 協議会 … 1,789件(9.6%)
- 健康保険組合 … 1,624件(8.7%)
- 協会 … 1,372件(7.4%)
- 委員会・実行委員会 … 1,154件(6.2%)
- 自治会・町内会・町会 … 801件(4.3%)
- 年金基金(企業年金基金・国民年金基金など) … 779件(4.2%)
- 管理組合 … 687件(3.7%)
- クラブ・同好会 … 479件(2.6%)
- 厚生年金基金 … 287件(1.5%)
- 労働組合(登記のないもの) … 244件(1.3%)
- PTA … 227件(1.2%)
- 上記以外の「◯◯会」「◯◯組合」「◯◯センター」など … 残り
国税庁がよくある質問で例示した団体(PTA・協議会・管理組合・登記のない労働組合・健康保険組合・土地改良区・年金基金)が、そのまま上位に並びます。「協議会」や「実行委員会」が1,000件単位で番号を持っているのは、国や自治体の設置要領に基づく協議会が人格のない社団等として扱われ、事務局が給与や謝金を払うと届出が必要になるからです。
同じ「管理組合」「労働組合」でも、登記の有無で種別が分かれる
名前に「管理組合」を含む法人を種別で分けると、「その他の設立登記法人」が4,614件、「その他」が687件でした。前者は区分所有法に基づいて登記した「管理組合法人」、後者は登記していないが届出で番号を取った管理組合です。労働組合も同じで、登記した労働組合は「その他の設立登記法人」に5,540件、登記していない労働組合は「その他」に244件あります。
つまり、同じ名前の団体でも、登記したかどうかで番号の付き方(自動か、届出か)が変わります。 会社に労働組合があるかを調べるときにこの違いが効いてくる話は、会社に労働組合があるか調べる方法で扱いました。
一番の落とし穴 — 番号があっても「公表されていない」団体が9割
ここが今回いちばん伝えたい数字です。
国税庁は、法人番号公表サイトの「法人番号に関する情報」で、種別ごとの指定件数と公表件数を公開しています(令和7年12月末時点、令和8年1月13日更新)。
- 国の機関 … 847件
- 地方公共団体 … 7,415件
- 設立登記法人 … 5,682,289件
- 外国法人 … 19,353件
- 設立登記のない法人 … 7,480件
- 人格のない社団等 … 指定 102,746件 / 公表 12,124件
- 合計 … 指定 5,820,130件 / 公表 5,729,508件
人格のない社団等は、番号を指定された102,746団体のうち、公表されているのは12,124団体(11.8%)だけです。国税庁は「人格のない社団等については、その代表者等が公表に同意した場合のみ、公表します」としているので、残りの90,622団体は番号を持っているのに、国税庁のサイトでもうちのデータベースでも検索できません。
これが何を意味するか。「PTAや管理組合の法人番号を検索しても出てこない」は、番号がない証拠にはならないということです。取引先が任意団体で、請求書にT番号(インボイス登録番号)が書いてあるのに公表サイトに出ない、というケースはこの非公表分で説明がつきます。
なお、この非公表分を除けば、うちのデータベースは国税庁の公表分をそのまま取り込んでいます。「その他」種別の収録件数(活動中18,644件+閉鎖済み1,135件)が、国税庁の公表件数(人格のない社団等12,124件+設立登記のない法人7,480件)とほぼ一致するのはそのためです。
「法人番号が出てこない相手」を確認する手順
番号が見つからないとき、上の整理を順番に当てていくと相手の正体がほぼ絞れます。
- 手順1:表記ゆれ・旧社名・本店移転を疑う。 番号が出ないケースの大半はこれです。会社名の一部だけで検索し直します。うまくいかないパターンは会社名で検索しても出てこない理由5つにまとめています。
- 手順2:インボイス登録番号を見る。 請求書や見積書にT番号があれば、Tの後ろ13桁がそのまま法人番号(法人の場合)です。会社名から番号を引くより確実で、インボイス登録番号を会社名から逆引きする方法に手順があります。
- 手順3:相手が「支店・営業所」ではないか確認する。 名刺や看板が「◯◯支店」なら、本店の名前で検索し直します。番号は本店にしかありません。
- 手順4:個人事業主の可能性を考える。 屋号が「事務所」「医院」「商店」「工房」で、公式サイトに「株式会社」等の法人格の表記がなければ、個人事業主の可能性が高い。契約や与信は法人と別の扱いになります。
- 手順5:任意団体・組合なら、非公表か契約型かを見分ける。 PTA・管理組合・協議会は、番号があっても公表に同意していなければ出てきません。JVや投資事業有限責任組合は、そもそも番号の対象外です。
そして、番号が見つかっても油断は禁物です。国税庁自身が「法人番号は必ずしも法人等が実在することを証明するものではありません」「解散した法人であっても、登記記録が閉鎖されていない限り、法人番号が指定されます」と書いています。番号は識別のための道具であって、実在や営業中の証明ではない。その先の確認は会社が実在するか・倒産していないか確認する方法の手順に進んでください。
よくある質問
個人事業主にも法人番号を発行してもらうことはできますか?
できません。国税庁の回答は「個人事業者に法人番号は指定されません」の一文で、申請の余地がありません。個人事業主が取引先から「番号を教えてほしい」と言われたときに使えるのは、インボイス登録番号(登録している場合)で、こちらは法人番号とは無関係の13桁です。マイナンバー(個人番号)は法人番号と違って公開してはいけない番号なので、取引先に伝える性質のものではありません。
支店で給与を払っています。支店の法人番号はどう書けばいいですか?
本店の法人番号を書きます。国税庁は「給与の支払いなどがあり、法定調書へ法人番号を記載する場合には、本店や本部の法人番号を記載してください」と案内しています。支店・支部・事業所に別の番号は存在しません。市役所の出先機関や公立病院・公立学校も同じで、市の法人番号を使います。
町内会やPTAが法人番号を取るメリットはありますか?
団体名義で謝金や給与を払い、支払調書や源泉徴収の手続きが発生するなら、番号が必要になります。人格のない社団等は、給与支払事務所等の開設届出書などを税務署に出せば別の手続きなしに番号が付きます。届出義務がない団体でも、支払調書の提出義務者になる等の要件を満たせば、国税庁長官に「法人番号の指定を受けるための届出書兼法人番号等の公表同意書」を出して番号を取れます。うちのデータには、名前に「自治会」「町内会」を含む団体が724件、「PTA」を含む団体が227件、「その他」種別(人格のない社団等・登記しない法人)として収録されています。
外国の会社と取引します。日本の法人番号がないのは普通ですか?
普通です。外国法人は日本で営業所設置登記や代表者選任登記をしただけでは番号が付かず、税法上の届出書を出したときに初めて指定されます。日本で給与を払っていない駐在員事務所などは、番号を持っていなくても不自然ではありません。番号がある場合でも、日本の会社のように登記の会社法人等番号から作られた番号ではない点に注意してください。
法人番号がある団体は、法人として契約できると考えていいですか?
いいえ。人格のない社団等(PTA・任意の協議会・任意の管理組合など)は、番号を持っていても法人ではありません。国税庁も、実在性や法人格の有無は「会社法、一般社団・財団法人法、特定非営利活動促進法、健康保険法など」それぞれの根拠法令と登記事項証明書・定款・規則で判断すべきで、番号が証明するものではないとしています。契約の相手方が法人なのか、代表者個人なのかは、番号ではなく法人格で確認してください。法人格の種類は法人の種類一覧で整理しています。
この記事の数字について
法人番号が指定される5種類、指定されない団体(個人事業者・民法上の組合・有限責任事業組合・法人の支店等)、人格のない社団等の定義と具体例、設立登記のない法人の例示、支店や地方公共団体の下部組織に番号が付かないこと、外国法人への指定の条件と番号の構造、法人番号が実在を証明しないことは、すべて国税庁法人番号公表サイト「法人番号の指定についてよくある質問」の各回答によります。
法人種別コード(101 国の機関/201 地方公共団体/301 株式会社/302 有限会社/303 合名会社/304 合資会社/305 合同会社/399 その他の設立登記法人/401 外国会社等/499 その他)の定義は、同サイトのリソース定義書によります。
種別ごとの指定件数・公表件数(令和7年12月末時点、令和8年1月13日更新)は、同サイト「法人番号に関する情報」の掲載値です。公表率11.8%は12,124÷102,746を筆者が計算したものです。
活動中の法人4,988,967件とその種別内訳、「その他」18,644件の名称による分類、「法律事務所」「医療法人」「管理組合」「労働組合」「農事組合法人」を含む法人数、外国会社等19,777件は、しょくばログが国税庁法人番号公表サイトの公開データを取り込んだデータベースを2026年9月に集計した値です。名称による分類は、名前に含まれる語で機械的に振り分けたもので、団体の実際の法的性質と一致しない場合があります。
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