✍ 古家あきら | 2026-08-30 更新

会社の「事業所番号」「労働保険番号」とは — 法人番号・インボイス番号との違いを1枚に整理

先に結論です。会社にひもづく番号は、「外から誰でも調べられる番号」と「当事者しか知り得ない番号」の2種類に、きれいに分かれます

そして、外から調べられない番号についても、「番号そのもの」は分からないけれど「その会社が入っているかどうか」は無料で確認できます。ここを分けて理解しておくと、番号まわりの混乱はほぼ解けます。

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「法人番号と事業所番号は同じものですか」「取引先の労働保険番号を調べたいのですが」といった趣旨の疑問に何度も出くわします。答えは前者が「違います」、後者が「調べられません(が、加入の有無なら分かります)」です。以下、1つずつ実物に当たりながら整理します。

会社にひもづく主な番号は5系統

まず全体像です。名前が似ているだけで、付ける役所も、付く単位も、公表の有無もバラバラです。

いちばん大事なのは4つ目・5つ目の「事業場ごと・事業所ごと」です。法人番号が会社に1つなのに対し、労働保険や社会保険の番号は拠点の数だけ存在します。「会社の労働保険番号」という言い方自体が、厳密には成り立たないことがあるわけです。この点は後の章で実データを見せます。

法人番号13桁の中身 — 12桁の登記番号に1桁足しただけ

法人番号は、実は新しく作られた番号ではありません。国税庁の資料には、「法人番号(13桁)は、12桁の『基礎番号』と1桁の『検査用数字』により構成されています」と書かれています。

そして設立登記法人の場合、この基礎番号は商業登記法に基づいて登記簿に記録される12桁の番号(会社法人等番号)そのものです。つまり、

という関係になります。逆に言えば、法人番号の下12桁がそのまま会社法人等番号です。登記の手続きで「会社法人等番号12桁」を求められて、手元に13桁の法人番号しかない、というときは、先頭の1桁を落とせば済みます。法人番号の基本は法人番号とは何かにまとめました。

会社法人等番号12桁の内訳も決まっていて、登記所コード4桁+組織区分2桁+一連番号6桁です。しょくばログのデータベースで、活動中の設立登記法人4,942,453社の法人番号から先頭を除いた4桁を数えたところ、実際に使われている登記所コードは97種類でした。会社の法人番号を見れば、どの登記所で記録された会社かが分かる、という作りになっています。

先頭の検査用数字は自分で検算できる

先頭1桁の検査用数字は、財務省令で算式が決まっています。基礎番号12桁の最下位から数えて、奇数桁の数字はそのまま、偶数桁の数字は2倍して合計し、それを9で割った余りを9から引く。これだけです。

実際に手元で計算してみました。トヨタ自動車株式会社の法人番号1180301018771は、基礎番号180301018771から計算すると先頭は1。株式会社ニトリの3430001044958は3。国税庁が資料で例示している番号でも一致しました。3件とも公表値と合致しています。

なぜこんな仕組みがあるかというと、転記ミスの検出のためです。13桁を手で書き写して1桁間違えたとき、検査用数字が合わなくなるので、システム側で弾ける。逆に言えば、どこかで見かけた13桁が法人番号として成立しているかは、検算だけで判定できます。番号の探し方そのものは会社名から法人番号を調べる方法にあります。

2桁目を見ると、その法人の出自が分かる

これは実データで確かめて面白かった話です。法人番号の2桁目(=基礎番号の先頭)は、その法人がどういう経路で番号を得たかを表しています。国税庁の資料では、設立登記法人には登記所コード0100〜5000が、設立登記のない法人には7が、人格のない社団等には8・9が割り当てられると整理されています。

しょくばログのデータベースで、活動中の法人4,988,967社を2桁目で分類すると、こうなりました。

6は資料上「未使用」なので0件は納得です。おもしろいのは8・9(人格のない社団等)が1件もないことで、これはマンション管理組合やPTAが番号を持っていないという意味ではありません。人格のない社団等は、代表者等が公表に同意した場合にのみ公表される扱いだからです。番号は指定されていても、公表データには載らない。「マンション管理組合が検索で出てこない」と言われて調べたときの答えが、まさにこれでした。

国の機関と地方公共団体も番号の作りで見分けられます。データ上、000011で始まるのが5件(立法機関)、000012が295件(行政機関)、000013が548件(司法機関)、000020と000030が合計7,245件(地方公共団体)でした。国税庁の構成表どおりの並びです。

インボイス登録番号は「T+法人番号」だが、全社にあるわけではない

インボイス登録番号は、法人番号を持つ課税事業者ならT+法人番号、それ以外(個人事業主など)ならT+法人番号と重複しない13桁という決まりです。だから法人相手なら、T以降の13桁をそのまま法人番号として検索すれば、会社が特定できます。この逆引きの手順はインボイス登録番号を会社名から逆引きする方法に、法人と個人事業主の見分けは個人事業主と法人の見分け方に書きました。

ここで実務上いちばん誤解されているのが、「法人番号があるならT番号もあるはず」という思い込みです。登録は任意なので、そうとは限りません。

しょくばログのデータベースで、活動中の法人と、保有している適格請求書発行事業者の公表データを法人番号で突き合わせてみました。結果はこうです。

つまり、半分ほどの法人には登録番号が確認できません。法人格別に見ると差はさらにはっきりします。

※これは当社が保有する公表データのスナップショットと突き合わせた数字で、国税庁が発表した統計ではありません。取得時点より後の登録は含まれないので、実際の登録率はこれより高いはずです。それでも「T番号が見つからない=怪しい会社」ではないという結論は動きません。免税事業者のまま事業をしている法人は普通にあります。相手が実在するかどうかは会社が実在するか確認する方法の手順で別途確かめてください。

労働保険番号14桁は「会社に1つ」ではない

ここからが、この記事でいちばん伝えたい部分です。

労働保険番号は14桁で、厚生労働省(都道府県労働局)の資料によると府県2桁・所掌1桁・管轄2桁・基幹番号6桁・枝番号3桁という構成です。それぞれの意味はこうです。

注目してほしいのは基幹番号の説明です。「労働保険料の徴収上の事業単位を示す固有番号」——つまり労働保険番号は、会社ではなく保険料を納める事業の単位に対して付きます。工場が3つあれば、原則として3つの番号があるわけです。

どのくらい分かれるものなのか、実際に確かめました。厚生労働省の労働保険適用事業場検索システムで、トヨタ自動車株式会社(法人番号1180301018771)を愛知県で引いたところ、同じ1つの法人番号に対して34件の事業場が返ってきました(2026年8月30日に検索。掲載情報は7月末時点)。工場、研修センター、研究施設、博物館、物流センターなどが、それぞれ別の事業場として並びます。

しかも適用状況の欄を見ると、「労災保険」だけの事業場と、「雇用保険」と「労災保険」の両方が付いている事業場に分かれていました。労災保険は原則すべての労働者に適用される一方、雇用保険は加入要件を満たす労働者を雇っている事業所として別に届出が必要なので、研修施設や記念館のような拠点では労災のみ、という形が出てきます。

「会社の労働保険番号を教えてください」と言われたときに答えに詰まるのは、当然だったわけです。どの事業場の番号かが決まらないと、答えが1つに定まりません。

なお、この検索システムには「検索結果データの二次利用はできません」という利用条件があるので、ここでは私が1件引いた結果の傾向だけを書いています。気になる会社があれば、ご自身で引いてみてください。

雇用保険と社会保険の番号は、また別系統

さらにややこしいのが、労働保険番号と、雇用保険・社会保険の事業所番号が別物だという点です。

雇用保険の事業所番号は、事業主が管轄のハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」を出して付与される番号です。労働保険適用事業場検索システムの案内にも、雇用保険の給付を受けるには事業主が「雇用保険適用事業所設置届」および「雇用保険被保険者資格取得届」を別途届け出る必要があり、この検索機能はそれらの届出状況を表示するものではない、と明記されています。労働保険の保険関係が成立していることと、雇用保険の事業所として設置届が出ていることは、別の手続きなのです。

社会保険(健康保険・厚生年金)の事業所整理記号・事業所番号も別系統で、日本年金機構が新規適用届の処理後に「適用通知書」で通知します。事業所整理記号は都道府県コード・郡市区符号・事業所記号を組み合わせた形、事業所番号はそれとは別の数字です。日本年金機構の案内には、番号が払い出されるまでの仮入力例として都道府県コード「21」、郡市区符号「00」、事業所記号「Z」、事業所番号「99999」という具体例が示されています。

要するに、同じ「事業所番号」という言葉が、少なくとも雇用保険と社会保険の2か所で別々に使われています。書類で「事業所番号」を求められたら、それがどの制度の事業所番号なのかを必ず確認してください。ここを取り違えて出し直しになるのが、いちばん多い事故です。

外から確認できるのは「番号」ではなく「入っているか」

では、取引先や応募先について外部から何が確認できるのか。番号そのものは無理ですが、加入の有無なら2つの公的な検索システムで確認できます。使い分けはこうです。

2つのシステムで都道府県の扱いが正反対なのが、地味に引っかかるポイントです。労働保険のほうは必須選択、年金機構のほうは空にするのが正解。同じ日に両方を引くと、確実にどちらかで詰まります。

労働保険側にはもう1つ落とし穴があります。厚生労働省の利用マニュアルには、法人番号の届出がない事業場は、加入していても法人番号検索では出てこない場合があるので法人名で引き直すように、と書かれています。法人番号で0件だったからといって未加入と決めつけないでください。建設の事業のように労災保険と雇用保険を別々に手続きする事業では、同じ欄に両方が表示されないことがある点も注記されています。

番号を取り違えないための実務ルール

最後に、日々の実務で効く整理を書いておきます。

許認可の番号(建設業許可、宅建業免許、派遣・職業紹介の許可番号)はさらに別系統です。こちらは制度ごとに公開の検索システムがあり、番号そのものを外から確認できます。業種別の探し方は会社の許認可を調べる方法、人材系の許可番号は派遣会社・人材紹介会社の許可番号を確認する方法にまとめてあります。

よくある質問

法人番号と会社法人等番号は、どちらが「正式」なのですか?

用途が違うだけで、どちらも正式な番号です。登記の手続きでは会社法人等番号12桁税や行政手続き全般では法人番号13桁が使われます。国税庁の資料でも、設立登記法人の基礎番号は商業登記法に基づいて登記簿に記録される12桁の番号だと説明されています。同じ番号の別の呼び方ではなく、12桁に検査用数字を足したものが13桁、という包含関係です。

社名や本店が変わったら、法人番号も変わりますか?

変わりません。国税庁の資料には、設立登記法人が名称や所在地の変更登記を行った場合、変更登記の内容が法務省から国税庁に連絡され、法人番号公表サイトの内容も変更されるので特段の手続は必要ないと書かれています。番号はそのままで、ひもづく商号や所在地の側が更新されます。だから旧社名で検索して出てこない会社も、法人番号で引けば追えます。

取引先の労働保険番号を教えてもらう必要はありますか?

通常の取引では不要です。必要になるのは、建設業の下請として元請に提出する書類など、制度上求められる場面に限られます。そういう場面では相手から番号を提示してもらうのが唯一の方法で、公的な検索システムから他社の番号を取ることはできません。加入しているかどうかだけなら労働保険適用事業場検索で確認できます。

求人票に「労働保険完備」とありました。信じていいですか?

求人票の記載は会社の自己申告なので、それ自体は裏付けになりません。ただしこのケースは外部から検証できる数少ない項目です。労働保険適用事業場検索で労災保険・雇用保険の適用状況を、日本年金機構の適用事業所検索で厚生年金の加入を、それぞれ無料で確認できます。両方を引けば「完備」の中身がだいたい見えます。

検索しても会社が出てきません。未加入ということですか?

その結論は早いです。労働保険側は、法人番号の届出がない事業場は法人番号検索で表示されない場合があると厚生労働省が明記していますし、都道府県の選択を間違えても0件になります。法人名で引き直す、拠点のある都道府県で引く、といった手順を尽くしてから判断してください。データの更新が月次である点も踏まえる必要があります。

個人事業主にも同じ番号がありますか?

法人番号はありません。国税庁の資料には、個人事業者、民法上の組合、有限責任事業組合などは指定対象外と明記されています。一方でインボイス登録をしていれば、法人番号とは重複しない13桁にTを付けた登録番号を持ちます。人を雇っていれば労働保険番号や雇用保険の事業所番号も持ちますが、これも外からは分かりません。

この記事の数字について

法人番号の構成(13桁=基礎番号12桁+検査用数字1桁、設立登記法人の基礎番号=会社法人等番号、登記所コード4桁+組織区分2桁+一連番号6桁、検査用数字の算式、番号の先頭による法人区分、個人事業者等が指定対象外であること、商号・所在地の変更登記時に手続不要であること)は、国税庁法人番号管理室「法人番号について」(令和5年7月)によります。法人番号の指定対象は国税庁法人番号公表サイト「法人番号とは」も参照しました。検査用数字の検算は、同資料の算式を用いて筆者が3件について行ったものです。

インボイス登録番号の構成(法人番号を有する課税事業者はT+法人番号、それ以外はT+法人番号と重複しない13桁)は国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト「登録番号とは」によります。

労働保険番号の構成(府県2桁・所掌1桁・管轄2桁・基幹番号6桁・枝番号3桁、所掌1=労働基準監督署/3=公共職業安定所、基幹番号=労働保険料の徴収上の事業単位)は、岡山労働局「労働保険番号及び年金証書番号の構成について」によります。労働保険適用事業場検索システムの検索条件・結果項目・留意事項(法人番号の届出がない事業場は表示されない場合があること、建設の事業等では労災保険と雇用保険が同じ欄に表示されないこと、雇用保険適用事業所設置届等の届出状況は表示しないこと)は、厚生労働省「労働保険適用事業場検索システム 利用マニュアル」および同システムの画面表示によります。トヨタ自動車株式会社を愛知県・法人番号1180301018771で検索した結果が34件であったことは、筆者が2026年8月30日に同システムで実際に検索したものです(掲載情報は同システムの表示によれば7月末時点)。

社会保険の事業所整理記号・事業所番号の構成と適用通知書での通知は、日本年金機構「電子申請における新規適用時の諸届に係る事業所整理記号・番号の入力方法」によります。

活動中の法人4,988,967社、設立登記法人4,942,453社、登記所コード97種類、法人番号の2桁目による分類(0〜5=4,950,546社/7=38,421社/6・8・9=0社)、国の機関・地方公共団体の内訳、および適格請求書発行事業者データとの突合結果(2,477,859社・約49.7%、法人格別の内訳)は、しょくばログのデータベース(国税庁の法人番号公表データおよび適格請求書発行事業者公表データを法人番号で突き合わせた、2026年8月30日時点の保有データによる集計)です。登録番号の突合結果は当社スナップショットに基づく参考値であり、国税庁が公表した統計ではありません。

関連する記事:法人番号とは会社名から法人番号を調べる方法インボイス登録番号を会社名から逆引きする方法個人事業主と法人の見分け方応募先が社会保険に入っているか確認する方法会社の許認可を調べる方法

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

← お役立ち記事一覧へ