✍ 古家あきら | 2026-09-27 更新

マッチングアプリの運営会社はコロナ前の7倍・35社に。ただし社名に「マッチング」とある92社の大半は恋愛と無関係。しょくばログDBで見る「運営会社の確かめ方」

先に結論です。マッチングアプリを運営する会社は、この7年で5社から35社に増えました。その多くは資本金が小さく、設立から10年たっていない会社です。そして、アプリの名前と運営会社の社名は一致しないことが多く、社名に「マッチング」と入っている会社の大半は、恋愛とは関係のないビジネスマッチングの会社でした。 使う人も、そこで働こうとする人も、アプリ名ではなく「運営している法人」を確かめることが出発点になります。

出典:「マッチングアプリ」は"出会い"のインフラに 運営会社数はコロナ前の7倍、広がるニッチ戦略(東京商工リサーチ、2026年9月25日)

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「このアプリの会社はどこ?」という調べ方で会社ページにたどり着く人がいます。登録する前に運営元を確かめたい利用者や、運営会社の求人を見つけて応募を考えている人です。今回は東京商工リサーチの調査で公表された数字と、しょくばログの台帳から数えられる数字を並べて、「運営会社をどう確かめるか」を考えます。

何が分かったのか(公表されている数字)

東京商工リサーチは、自社の企業データベース(約440万社)から、事業内容に「婚活・恋活マッチングアプリ」を含む企業を抜き出して分析しました。報道・公表されている数字は次のとおりです。

数字から読み取れるのは、大手数社の市場に、小さく若い会社が次々と入ってきているという構図です。35社のうち半数以上が資本金500万円未満、4社に3社が業歴10年未満です。

「社名にマッチング」の会社を数えてみた

では、しょくばログの台帳(国税庁の法人番号データをもとにした全国の法人データ)で、社名から探すとどうなるか。2026年9月27日時点で数えました。

社名に「マッチング」を含む92件の名前を1件ずつ見ると、目立つのは「ビジネスマッチング」「不動産マッチング」「キャリアマッチング」「空き家マッチング」といった、企業どうし・人と仕事・物件と買い手をつなぐ会社でした。社名から恋愛・結婚のアプリと読み取れるのは、業界団体とみられる一般社団法人がいくつかある程度です。

つまり、東京商工リサーチが事業内容から数えた35社と、社名に「マッチング」とある92社は、ほとんど重なっていないと考えられます。 アプリの運営会社は、アプリ名とも「マッチング」という言葉とも無関係な社名を名乗っていることが多いのです。会社が実際に何をしているかは社名ではなく事業目的などから読む必要があります。読み方は定款の事業目的を扱った記事で解説しています。

「婚活」「結婚相談」の法人は閉鎖の割合が高い

もう1つ、台帳から見える数字があります。閉鎖済みを含めた全件のうち、すでに閉鎖された法人の割合です。

件数が少ないので傾向として読むべき数字ですが、社名に「婚活」「結婚相談」を含む法人は、全体の2倍以上の割合で閉鎖されています。立ち上げやすい一方で、続けるのが難しい分野であることがうかがえます。この割合は「いま時点で閉鎖済みの法人がどれだけあるか」という断面の数字で、年ごとの廃業の増減を示すものではありません。

利用者が運営会社を確かめる3つの手順

アプリに登録する前、あるいは有料プランに申し込む前に、次の順で確かめると安心です。

1. アプリの規約・特定商取引法の表記から、運営している法人名と所在地を見る。 アプリ名ではなく「株式会社○○」という正式な名前を控えます。 2. その法人名を法人番号で確かめる。 国税庁の法人番号公表サイトやしょくばログで検索し、所在地が表記と一致するか、商号の変更や本店の移転が最近ないかを見ます。調べ方は会社の設立日や履歴の調べ方の記事にまとめています。 3. 「インターネット異性紹介事業」の届出を確かめる。 異性との交際を目的にしたマッチングサービスを営むには、事業を始める前日までに、本拠地を管轄する警察署を経由して公安委員会へ届け出ることが法律で義務づけられています。多くのアプリは届出の受理番号をサイトやアプリ内に表示しています。

出典:インターネット異性紹介事業とは(警視庁)

なお、アプリではなく対面の結婚相談所の場合、一定の期間・金額を超える結婚相手紹介サービスは特定商取引法の「特定継続的役務」にあたり、クーリング・オフや中途解約のルールがあります。アプリと相談所ではかかる法律が違うことも覚えておくと役に立ちます。

運営会社で働こうと考えている人へ

35社の半数以上が資本金500万円未満、4社に3社が業歴10年未満という数字は、そのまま「求人を出している運営会社の多くは若い小規模な会社」ということでもあります。若い会社が悪いわけではありません。ただ、確かめておきたい点は増えます。

取引先として運営会社と付き合う場合は、取引先の調べ方の記事の手順も合わせて確かめてください。

よくある質問

マッチングアプリの運営会社は何社ありますか?

東京商工リサーチの調査では、事業内容に婚活・恋活マッチングアプリを含む企業は2026年で35社でした。2019年の5社から7倍に増えています。これは同社の企業データベースから抜き出した数で、すべての事業者を網羅したものとは限りません。

社名に「マッチング」とあれば、マッチングアプリの会社ですか?

多くの場合、違います。しょくばログの台帳で社名に「マッチング」を含む活動中の法人は92件ありましたが、その大半はビジネスマッチングや不動産、人材の紹介などをうたう会社でした。アプリの運営会社は、規約や特定商取引法の表記に書かれた法人名で確かめてください。

アプリの運営会社が本物かどうかは、どう確かめればよいですか?

規約に書かれた法人名と所在地を、国税庁の法人番号公表サイトやしょくばログで検索し、一致するかを見ます。あわせて、インターネット異性紹介事業の届出の受理番号が表示されているかも確かめると安心です。

婚活や結婚相談の会社は、つぶれやすいのですか?

しょくばログの台帳では、社名に「婚活」を含む法人の32.7%、「結婚相談」を含む法人の30.3%がすでに閉鎖されており、法人全体の13.3%より高い割合でした。ただし件数が少なく、社名だけで数えた数字です。個々の会社が危ないという意味ではありません。

マッチングアプリの運営会社に転職するときの注意点は?

業歴10年未満の会社が77.1%を占める分野なので、設立からの年数、親会社の有無、事業がアプリ1本に集中していないかを確かめるのがおすすめです。サービスが終了した例もあるため、事業の柱について面接で聞いてみてください。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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