✍ 古家あきら | 2026-10-12 更新
鹿児島のWeb制作会社Fridaが破産、代表者の体調不良で事業継続できず──社名に「Web」を持つ会社は全国2,113社、ホームページを外注している会社が確かめたいこと
先に結論です。鹿児島市のWeb制作会社Fridaが、9月16日に鹿児島地裁から破産開始決定を受けたと報じられました。 負債は約4,400万円です。きっかけは代表者の体調不良で、2026年5月までに従業員2名を解雇して事業を止め、7月にはWeb制作を中心とする事業を鹿児島市内の企業へ譲渡していました。
この件から学べるのは、小さな制作会社では「代表者が動けない」ことが、そのまま「会社が動けない」ことになるという点です。そして、そうなったときに困るのは働く人だけではありません。ホームページを任せていた取引先も困ります。
しょくばログという会社データベースを運営していると、ひとつの会社が止まったときに、その先にいる取引先まで影響が広がる例をいくつも見ます。今回の件は、外注先が止まったときの備えを考えるきっかけになります。
この記事は、Fridaの経営を評価するものではありません。報道で確認できる事実を並べたうえで、Web制作を外注している会社と、制作会社で働く人が知っておきたいことを、一般化してまとめます。
報道で確認できる事実
報道に書かれている内容を、そのまま並べます。
- 社名:Frida(鹿児島市)
- 設立:2006年
- 事業:ホームページの企画・設計が主力。Webシステム・アプリ開発、SEO対策、SNS運用支援、デザインも手がけていた
- 取引:官公庁などの仕事も受注していた
- 売上高:近年は3,000万〜4,000万円程度で推移
- 経緯:代表者の体調不良で事業の継続が難しくなり、2026年5月までに従業員2名を解雇して事業を停止。7月にWeb制作中心の事業を鹿児島市内の企業へ譲渡
- 破産開始決定:9月16日、鹿児島地裁
- 負債:約4,400万円
売上の規模に対して負債が大きいわけではありません。業績が急に崩れたというより、会社を動かす人がいなくなったことが直接の理由として報じられています。
しょくばログの台帳で見たFrida
国税庁の法人番号データをもとにした台帳で鹿児島県を調べると、社名に「Frida」を含む法人は1社で、鹿児島市の「有限会社Frida」でした。全国では14の法人が社名に「Frida」を含みます。
ただし、報道には法人番号や法人格(株式会社・有限会社など)が書かれていないため、ここでは同じ会社だと断定しません。台帳の上では、この法人はまだ「存続」の表示です。破産開始決定が出ても、手続が終わって登記が閉じるまでは表示は変わりません。破産・民事再生・特別清算の違いは倒産の種類を整理した記事で説明しています。取引先を特定するときは、社名ではなく法人番号で確かめるのが確実です。
社名に「Web」「ウェブ」「ホームページ」を持つ会社は2,113社
台帳の株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社のうち、社名に「ウェブ」「ウエブ」「Web」「WEB」「ホームページ」のいずれかを含む会社を数えました。
- 該当する会社:2,113社
- うち登記が閉鎖されている会社:285社(13.5%)
- 5つの会社形態全体の閉鎖率:13.5%(516万社のうち約70万社)
閉鎖率は全体とほぼ同じでした。社名から見る限り、Web制作系の会社だけが特に閉じやすいとは言えません。
法人の種類は、株式会社が1,492社(70.6%)、合同会社が304社(14.4%)、有限会社が273社(12.9%)です。合同会社の割合が高めなのは、少人数で立ち上げやすい業種だからだと考えられます。
存続している1,828社のうち、東京都が696社で38.1%を占めます。次いで大阪府205社、神奈川県122社、愛知県88社、福岡県75社です。鹿児島県は10社で、うち2社が閉鎖済みでした。
注意点もあります。Web制作会社の多くは、社名に「Web」を入れていません。Fridaもそうです。ここでの数字は「社名に入れている会社」に限った断面で、業界全体の数ではありません。
ホームページを外注している会社が確かめたい4つのこと
1. ドメインとサーバーの「名義」は誰か
いちばん大事なのはここです。ドメインやサーバーの契約が制作会社の名義になっていると、制作会社が止まったときに更新の手続きができず、サイトやメールが止まるおそれがあります。契約の名義が自社か、ログイン情報を自社で持っているかを確かめてください。ドメインから会社の実在を確かめる考え方は会社のドメインの見方でも触れています。
2. 事業の譲渡先と、自社の契約がどうなったか
今回のように事業が別の会社へ譲渡されると、保守の窓口が変わります。譲渡先が引き継いだのか、契約が終わったのかで対応が違います。事業譲渡のあとに元の会社が破産する流れは事業譲渡と倒産の見分け方で整理しています。
3. 外注先が「代表者ひとり」に寄っていないか
小さな制作会社では、営業も制作も保守も代表者が担っていることがあります。それ自体は悪いことではありませんが、その人が動けなくなったときの代わりがいるかは、契約前に聞いておく価値があります。サイトの更新日やお知らせが長く止まっている会社の見方はホームページの更新が止まっている会社の記事にまとめています。
4. 取引先として外から見える手がかり
取引を始める前に見られる情報には限りがありますが、登記の状態、所在地、代表者は無料で確かめられます。手順は取引先の信用の調べ方と会社が実在するか・倒産していないかの確かめ方で説明しています。
制作会社で働く人が知っておきたいこと
勤め先が倒産して給与や退職金が払われないときは、国の未払賃金立替払制度を使える場合があります。対象になる条件や流れは給料が遅れる会社の記事で説明しています。
また、少人数の会社では、代表者の健康や家庭の事情が会社の先行きに直結します。働く側が事前に見抜くのは難しいことです。だからこそ、自分が担当している顧客の情報やアカウントの管理方法を、社内で共有しておくことが、会社にとっても顧客にとっても助けになります。
運営者として思うこと
会社の倒産というと、売上の落ち込みや借入の重さが話題になりがちです。ただ今回は、報道を読む限り、理由は人でした。社員が数人の会社では、代表者が倒れることは、どんな財務指標よりも大きなリスクになります。
ホームページは、外注すると「任せたもの」になりやすい資産です。けれども、ドメインやサーバーは自社の看板そのものです。外注先がどれだけ信頼できる会社でも、名義とログイン情報は自社で持っておく。今回の件から持ち帰れる、いちばん実用的な教訓だと思います。
よくある質問
Fridaは倒産したのですか?
報道によると、9月16日に鹿児島地裁から破産開始決定を受けています。破産手続の中で財産の整理が進められます。
Fridaに頼んでいたホームページはどうなりますか?
報道では、Web制作中心の事業は7月に鹿児島市内の企業へ譲渡されたとされています。ただし個別の契約がどう扱われたかは報道からは分かりません。心当たりがある場合は、まずドメインとサーバーの名義、ログイン情報を確かめてください。
しょくばログで見ると、もう閉鎖になっていますか?
鹿児島市の「有限会社Frida」は、台帳ではまだ存続の表示です。破産手続が終わって登記が閉じるまでは、表示は変わりません。なお、報道の会社と同一かどうかは、法人番号が公表されていないため断定していません。
制作会社に頼むとき、契約前に何を確認すればいいですか?
ドメイン・サーバーの名義を自社にできるか、ログイン情報を渡してもらえるか、担当者が動けないときの代わりがいるか、の3点です。会社そのものの状態は、法人番号で登記を確かめるのが確実です。