✍ 古家あきら | 2026-10-10 更新

取締役会設置会社とは・調べ方 — 登記簿には載るが、会社のサイトにはまず出てこない。活動中の会社の43.2%はそもそも取締役会を置けない法人種別

先に結論です。取締役会設置会社とは、取締役会を置いている株式会社のことです。 株式会社は取締役が1人いれば成り立ちますが、定款で取締役会を置くと決めると「取締役会設置会社」になります。株式を自由に売り買いできる「公開会社」などは、法律で取締役会を置かなければなりません。

ある会社が取締役会設置会社かどうかを確実に知る方法は、登記事項証明書(登記簿)を見ることです。 取締役会を置いている会社は、その旨が登記されます。会社のサイトや求人票で確かめようとしても、まず書かれていません。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「取締役会設置会社 確認方法」で調べる方は、取引先や転職先の会社が「どのくらいきちんとした体制なのか」を知りたい方が多いように感じます。ただ、うちの台帳で数えてみると、活動中の会社442万社のうち43.2%は、有限会社・合同会社など、そもそも取締役会を置けない法人の種類でした。そして、うちが集めている会社サイト31,159社のうち、「取締役会」という言葉が出てくるのは351社(1.13%)だけです。

この記事では、取締役会設置会社と非設置会社の違い、法律で置かなければならない会社、登記簿での確かめ方を整理したうえで、しょくばログの台帳と会社サイトのデータで見えたことを書きます。

取締役会設置会社とは

取締役会を「置いている」株式会社のこと

株式会社には、取締役を1人以上置かなければなりません(会社法326条1項)。そのうえで、定款に定めれば取締役会などの機関を置くことができます(同326条2項)。この取締役会を置いている株式会社が「取締役会設置会社」です。

取締役会は、取締役全員でつくる会議体です。会社の業務についての大事なことを話し合って決め、代表取締役を選び、取締役の仕事ぶりを監督します。重要な財産の処分や多額の借入れなどは、取締役会で決める事項とされています(会社法362条4項)。代表取締役などは、3か月に1回以上、自分の職務の状況を取締役会に報告しなければなりません(同363条2項)。

置くと、取締役は3人以上・原則として監査役も必要

取締役会設置会社では、取締役は3人以上でなければなりません(会社法331条5項)。また、取締役会設置会社は原則として監査役を置く必要があります(同327条2項)。ただし、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は除かれ、公開会社でない会社が会計参与を置いている場合も監査役は要りません。

つまり、取締役会を置くと「取締役3人+監査役1人」の最低4人が役員として必要になるのが基本の形です。小さな会社が取締役会を置かない理由の多くは、ここにあります。

取締役会非設置会社との違い

取締役会を置いていない株式会社は「取締役会非設置会社」と呼ばれます。違いをまとめると、次のとおりです。

誤解しやすいのは、「取締役が3人いる=取締役会設置会社」ではないという点です。取締役会を置かずに、取締役を2人、3人と置いている会社もあります。設置しているかどうかと取締役の人数は、別の話です。

取締役会を置かなければならない会社、置けない会社

置かなければならない:公開会社など4種類

会社法327条1項は、次の株式会社に取締役会を置くよう義務づけています。

ここでいう「公開会社」は、上場している会社という意味ではありません。株式の一部でも、譲り渡すのに会社の承認が要らない(定款で譲渡制限をつけていない)株式会社のことです(会社法2条5号)。上場企業はすべて公開会社ですが、上場していない公開会社もあります。上場しているかどうかを確かめたいときは、会社が上場しているか確認する方法をご覧ください。

逆に、全部の株式に譲渡制限をつけている会社(非公開会社)で、監査役会なども置いていなければ、取締役会を置くかどうかは会社が選べます。中小企業の多くはこの形です。

置けない:特例有限会社・合同会社・合名会社・合資会社

取締役会という仕組みは株式会社のものです。ほかの種類の会社では、そもそも置けません。

法人の種類ごとの違いは法人の種類一覧に、有限会社・合同会社の実態は有限会社に就職するのは不利なのか・合同会社に入社するのは不利なのかにまとめています。

取締役会設置会社かどうかを調べる方法

1. 登記事項証明書(登記簿)を見る:これが確実

取締役会設置会社であることは、登記しなければならない事項です(会社法911条3項)。登記事項証明書(履歴事項全部事項証明書など)を取ると、「取締役会設置会社に関する事項」の欄に「取締役会設置会社」と記載されています。監査役を置いていれば「監査役設置会社に関する事項」の欄も出てきます。

あわせて、役員に関する事項の欄で、取締役・代表取締役・監査役の名前と人数も確かめられます。登記簿は、その会社と関係がなくても、理由を言わずに誰でも取れます。取り方は会社の登記簿は誰でも見られるで詳しく書いています。

2. 有価証券報告書・コーポレートガバナンス報告書を見る(上場企業)

上場企業なら、有価証券報告書の「コーポレート・ガバナンスの状況等」や、取引所に出しているコーポレート・ガバナンス報告書に、取締役会の構成や開催回数が書かれています。上場企業はすべて取締役会を置いているので、確かめたいのは「設置しているか」よりも「誰がいて、社外取締役が何人いるか」のほうになるはずです。

3. 会社サイトの「役員一覧」は手がかりにとどまる

会社サイトに取締役が3人以上並んでいれば、取締役会を置いている可能性はあります。ただ、先に書いたとおり、取締役が3人いても取締役会を置いていない会社はあります。サイトの役員一覧が最新とも限りません。代表者の調べ方は会社の代表者を調べる3つの方法にまとめています。

4. 定款を見せてもらう

取締役会を置くかどうかは定款に書かれています。ただ、定款は登記簿と違って、外部の人が見られるとは限りません。会社の定款は外部から見られる?で、見られる場面と見られない場面を整理しています。

しょくばログでは分からないこと

正直に書いておきます。しょくばログの会社ページには、取締役会を置いているかどうかという項目はありません。 うちの台帳のもとになっている国税庁の法人番号公表サイトのデータには、社名・所在地・法人の種類は入っていますが、機関の設計(取締役会・監査役の有無)は入っていないからです。

しょくばログで分かるのは「株式会社か、有限会社・合同会社か」という法人の種類までです。有限会社・合同会社なら取締役会は置けないので、そこまでは言えます。株式会社の場合は、登記簿を取って確かめてください。

しょくばログの台帳で数えた、取締役会を「置けない」会社

活動中の会社の43.2%は、取締役会を置けない種類

しょくばログの台帳で、閉鎖していない会社(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社・合名会社)は4,422,900社ありました。種類別の内訳は次のとおりです。

このうち有限会社・合同会社・合資会社・合名会社を足すと1,909,584社で、全体の43.2% になります。これらの会社は、法律の仕組みとして取締役会を置けません。「あの会社は取締役会を置いているのか」と調べ始める前に、まず法人の種類を見るだけで、4割強の会社は答えが出るということです。

残りの株式会社251万社のうち、どれだけが取締役会を置いているかは、うちのデータでは分かりません。法務省の登記統計や民間の調査で数字が出ることはありますが、この記事では確かめた数字だけを書くことにしています。

会社サイトで「取締役会」に触れているのは1.13%

しょくばログが集めている会社サイト31,159社の本文で、役員や機関に関する言葉が出てくる割合を数えました。

半分の会社サイトは代表取締役の名前を出していますが、取締役会に触れているのは100社に1社ほどです。「取締役会設置会社」と言葉そのものを書いているサイトは、31,159社のうち3社しかありませんでした。会社サイトで取締役会の有無を確かめるのは、ほぼ無理だと考えたほうがよさそうです。

「取締役会」で検索すると、6倍に膨らむ

数えていて気づいたことがあります。最初に「取締役会」という文字列だけで数えたところ、2,088社がヒットしました。ところがそのほとんどは「取締役会長」という肩書きでした。「取締役会長」を除くと351社で、およそ6分の1 に減ります。

取締役会長は「取締役の中で会長という役職についている人」の呼び名で、取締役会を置いているかどうかとは関係がありません。会社のサイトや記事で「取締役会」の文字を見かけたら、肩書きの一部ではないか、念のため前後を読んでください。

法人の種類別に見ると

会社サイトを法人の種類で分けると、「取締役会」(取締役会長を除く)に触れていた割合は次のとおりでした。

有限会社のサイトでは、取締役会長を除くと1社も出てきませんでした。取締役会を置けない種類なので、筋の通った結果です。合同会社の2社は件数が少なく中身までは見ていませんが、グループ会社や取引先の話として出てくることもあり得ます。

取締役会の有無で、会社をどう見るか

取締役会を置いている会社は、少なくとも3人の取締役が会議で大事なことを決め、代表取締役を監督する形になっています。監査役もいるのが原則です。ひとりの判断で何でも決まる、という形ではありません。

一方で、取締役会を置いていないから体制が悪い、ということにはなりません。中小企業では、株主と社長が同じ人で、取締役会を置く意味が薄いことも多いからです。有限会社・合同会社なら、そもそも置けません。

取引先や転職先を見るときに大事なのは、取締役会の有無そのものより、誰が役員で、誰が株主(出資者)なのかです。役員は登記簿で分かりますが、株主は登記に載りません。調べ方は非上場会社の株主は調べられるのかに書いています。また、会社サイトに出てくる「創業者」と登記上の「代表者」がずれている例は創業者と代表者(社長)は同じとは限らないで数えています。

よくある質問

取締役会設置会社かどうかは、無料で調べられますか?

確実に調べるには登記事項証明書が必要で、法務局の窓口やオンラインでの請求には手数料がかかります。無料の方法としては、法人の種類を見るやり方があります。有限会社・合同会社・合資会社・合名会社なら、取締役会は置けません。株式会社の場合は、無料では確実には分かりません。

取締役が3人いれば、取締役会設置会社ですか?

そうとは限りません。取締役会を置くと取締役は3人以上必要になりますが、逆に取締役が3人いても、定款で取締役会を置いていなければ非設置会社です。登記簿の「取締役会設置会社に関する事項」の欄で確かめてください。

中小企業でも取締役会を置いている会社はありますか?

あります。株式の譲渡制限をつけていない会社(公開会社)は、規模にかかわらず取締役会を置かなければなりません。譲渡制限をつけている会社でも、自分で選んで取締役会を置くことができます。しょくばログのデータでは、株式会社のうちどれだけが置いているかは分かりません。

有限会社に取締役会はありますか?

ありません。今ある有限会社は会社法の上では「特例有限会社」という株式会社の一種ですが、整備法で取締役会を置けないとされています。取締役会を置きたい有限会社は、株式会社に商号を変える手続きを取ることになります。

取締役会長と取締役会は、関係がありますか?

直接の関係はありません。取締役会長は、取締役の中で会長という役職についている人の呼び名です。取締役会を置いていない会社でも、取締役に「会長」という肩書きをつけることはできます。会社サイトの「取締役会長」という言葉だけで、取締役会があると判断しないでください。

数字の出どころ

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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