✍ 古家あきら | 2026-10-05 更新
一般建設業と特定建設業の違い — 許可番号の「般」「特」の見方と確認のしかた(特定50,511業者・サイト表示1,238社のデータ)
先に結論です。一般建設業と特定建設業の違いは、「元請として、下請にいくら出すか」で決まります。 発注者から直接請け負った1件の工事で、下請に出す金額の合計が5,000万円以上(建築工事業は8,000万円以上)になる会社は、特定建設業の許可が要ります(建設業法3条1項2号、施行令2条)。それ以外は一般建設業の許可です。工事をいくらで受注するかではなく、下請に出す額で線が引かれます。
- 許可番号の見方:「東京都知事許可(般-5)第○○○○○号」なら一般、「国土交通大臣許可(特-6)第○○○○号」なら特定です。番号には、許可した役所、一般か特定かの別、許可年度、業者番号が入ります
- 標識:建設業者は、店舗と元請の工事現場に、一般か特定かの別を書いた標識を掲げる義務があります(法40条)
- 検索:国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、会社ごとの許可の業種と一般・特定の別を調べられます
しょくばログという会社データベースを運営していると、建設会社の会社概要に「(般-4)」と「(特-4)」が並んで書かれているのをよく見かけます。同じ会社で、業種によって一般と特定を分けて持っているからです。条文と国交省の公表資料で制度を整理したうえで、会社のサイトに書かれた許可番号を数えて見えたことを出します。
一般と特定の線引き:下請に出す額で決まる
条文の定め
建設業法3条1項は、建設業の許可を2つに分けています。
- 特定建設業:発注者から直接請け負う1件の建設工事について、下請代金の額(下請契約が2つ以上あるときは総額)が政令で定める金額以上になる下請契約を結んで施工しようとする者(3条1項2号)
- 一般建設業:それ以外の者(3条1項1号)
政令で定める金額は5,000万円、建築工事業の場合は8,000万円です(施行令2条)。この金額は、令和7年2月1日に4,500万円(建築工事業は7,000万円)から引き上げられました。国土交通省は、物価や人件費の上昇を理由に各種の金額要件を見直したと発表しています。
誤解しやすい3つの点
1. 受注額ではない:10億円の工事を受注しても、自社で施工して下請に出す額が5,000万円未満なら、一般建設業の許可で請け負えます 2. 元請のときだけ:線引きは「発注者から直接請け負う」工事に限られます。下請として受けた工事を、さらに別の会社に出す場合は、金額が大きくても特定建設業の許可は要りません 3. 業種ごとに決まる:許可は29の業種ごとに受けます(3条2項)。同じ会社が、電気工事業は一般、建築工事業は特定、という持ち方ができます。ただし、同じ業種で一般と特定を両方持つことはできません。特定の許可を受けると、その業種の一般の許可は効力を失います(3条6項)
特定建設業の許可を持たない会社が、元請として5,000万円以上の下請契約を結ぶことは禁じられています(法16条)。違反すると、無許可営業と同じく3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金の対象です(法47条1項2号)。
なお、そもそも許可が要らないのは、1件の請負代金が500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅)の「軽微な建設工事」だけを請け負う場合です(施行令1条の2)。この点はリフォーム会社の建設業許可で詳しく扱っています。
特定建設業の許可が厳しい理由:財産と技術者
特定建設業は、元請として多くの下請を抱える立場です。下請に代金を払えなくなると被害が連鎖するため、許可の基準が一般より厳しく決められています(法15条)。
財産的基礎
特定建設業の許可を受けるには、発注者との請負代金が8,000万円以上の契約を履行できる財産的基礎が必要です(法15条3号、施行令5条の4)。国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」は、次の4つをすべて満たすことを基準としています。
- 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万円以上であること
一般建設業の財産要件は「財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと」(法7条4号)で、特定建設業ほど細かい数字の線はありません。
営業所の技術者と、現場の監理技術者
特定建設業の営業所には、「特定営業所技術者」を専任で置きます(法15条2号)。土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の7業種は「指定建設業」と呼ばれ(施行令5条の2)、この7業種で特定建設業の許可を受けるには、国家資格を持つ技術者(または国土交通大臣が同等と認めた者)を置かなければなりません。実務経験だけでは認められない、ということです。
現場でも違いがあります。特定建設業者が元請として5,000万円以上の下請契約を結んだ工事では、主任技術者ではなく「監理技術者」を置きます(法26条2項)。同じ条件の工事では、下請の会社名や工期を書いた施工体制台帳を作り、現場に備え置く義務もあります(法24条の8)。
許可番号の見方:「(般-5)」「(特-6)」「(般特-02)」
番号に入っている4つの情報
国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」によれば、許可番号は「許可行政庁名、一般建設業又は特定建設業の別、許可年度及び業者番号」でできています。ガイドラインの例は「国土交通大臣許可(般特-02)第100号」です。
- 許可行政庁名:営業所が2つ以上の都道府県にあれば国土交通大臣、1つの都道府県だけなら都道府県知事です(法3条1項)
- 一般・特定の別:「般」が一般、「特」が特定、「般特」は業種によって両方を持っていることを表します
- 許可年度:括弧の中の数字です
- 業者番号:「第○号」の数字です
ガイドラインは、業者番号は1業者に1番号で、一般と特定を通じて同じ番号を付けると定めています。一般建設業の許可で第100号を付けた会社は、特定建設業の許可を受けたときも第100号です。ですから、会社概要に「(般-4)第12345号」と「(特-4)第12345号」が並んでいても、別の会社の番号ではありません。
サイトに書かれた番号はこう並んでいた
しょくばログが保存している会社サイトの文章から、許可番号の書き方を見ると、次のような形がほとんどでした。
- 「建設業許可 国土交通大臣許可(特-6)第20771号」
- 「建設業(内装仕上工事業)愛知県知事許可(般-28)第108314号」
- 「特定建設業の許可(東京都知事許可(特30)第131293号)」のように、ハイフンを省いた書き方
- 「国土交通大臣許可(特-3)2980号」のように「第」を省いた書き方
業者番号の桁は、5桁が1,396件、6桁が517件、4桁が443件でした(同じ会社が複数の番号を載せている場合は、それぞれ1件と数えています)。照合するときは、「般」「特」の別と業者番号の数字で探すのが確実です。
括弧の中の年度の数字
括弧の中の許可年度の数字を、番号の表記ごとに数えると、次のとおりでした(2,442件)。
- 1〜8(令和の年とみられるもの):1,922件(78.7%)
- 9〜31(平成の年とみられるもの):493件(20.2%)。多いのは28(106件)、30(76件)、29(71件)
- 40〜63(昭和の年とみられるもの):27件
許可は5年ごとの更新です(法3条3項)。ただ、更新や業種の追加のときに括弧の年度の数字がどう変わるのかは、今回読んだ国交省の公開資料では確認できませんでした。括弧の数字が古いからといって、許可が切れているとは決めつけられません。 有効期間は、検索システムか許可通知書で確かめてください。
全国の数:特定建設業は50,511業者、両方持つのは約2万4千業者
国土交通省の「建設業許可業者数調査の結果」(令和8年3月末現在、令和8年5月15日公表)によれば、全国の数は次のとおりです。
- 建設業許可業者の総数:483,823業者
- 一般建設業の許可業者:457,617業者(前年同月比0.1%減)
- 特定建設業の許可業者:50,511業者(同1.6%増)
一般と特定を足すと508,128業者で、総数より24,305業者多くなります。国交省の資料は、この差を「一般と特定の両方の許可を取得している業者の数が重複して計上されているから」と説明しています。つまり、業種によって一般と特定を両方持つ会社は、全国に約2万4千業者(総数の約5%) あります。特定建設業の許可を持つ会社は、総数の約1割(10.4%)です。
資本金で見ると、特定はほぼ全部が2,000万円以上
同じ資料の資本金階層別の表で、特定建設業の許可業者50,511業者を見ると、次のようになっていました。
- 資本金2,000万円以上の法人:50,363業者(99.7%)
- 個人:141業者
- 資本金2,000万円未満の法人:7業者
財産要件の「資本金2,000万円以上」が、数字にそのまま表れています。反対に、資本金2,000万円以上の許可業者は全部で82,204業者で、そのうち特定建設業の許可を持つのは50,363業者(61.3%)でした。資本金が2,000万円以上でも、4割ほどは一般建設業の許可だけです。下請に大きく出す元請の仕事をしていなければ、特定は要らないからです。
兼業(建設業以外の営業もしている)の割合も、特定建設業が52.8%、一般建設業が28.6%と、特定のほうが高くなっていました。
会社のサイトに書かれた「般」と「特」:1,238社のデータ
しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章(31,159社)から、建設業の許可番号(「○○知事許可(般-n)第○号」「国土交通大臣許可(特-n)第○号」の形)が読み取れた会社を数えました。
- 許可番号が読み取れた会社:1,238社(保存サイトの4.0%)
- 「般」だけを載せている会社:655社(52.9%)
- 「特」だけを載せている会社:365社(29.5%)
- 「般」と「特」の両方を載せている会社:218社(17.6%)
「特」を載せている会社は、合わせて583社(47.1%)でした。全国の許可業者に占める特定の割合(10.4%)よりずっと高い数字です。会社のサイトを持ち、許可番号まで載せる会社は、元請の仕事をする規模の大きな会社に偏っていると考えられます。サイトの表示から、建設業界全体の一般・特定の比率は読めません。
両方を載せている218社のうち、一般と特定で業者番号が同じだった会社は203社(93.1%)でした。ガイドラインの「1業者1番号」の決まりと合っています。番号が違った15社は、理由までは確かめていません。「(般特-n)」とまとめた書き方は20件ありました。
括弧の形はないものの「(般-4)」のような書き方だけが見つかった会社が、ほかに386社ありました。行政庁名が離れた場所に書かれているなど、決まった形で読み取れなかったものです。1,238社は「確実に読み取れた数」で、実際はもう少し多いと考えてください。
サイトに書かれた資本金と照らし合わせる
同じ会社のサイトの文章で、会社概要の「資本金」の記載が読み取れた会社について、資本金の帯を見ました。
- 「特」だけの会社(資本金が読めた293社):2,000万円以上が292社(99.7%)
- 「般」と「特」の両方の会社(同184社):2,000万円以上が176社(95.7%)
- 「般」だけの会社(同497社):2,000万円以上が241社(48.5%)、1,000万〜2,000万円未満が175社、1,000万円未満が81社
「特」を載せた会社で2,000万円未満と読めたのは9社で、桁の読み取り違いや、別の時点の資本金の可能性があり、確かめていません。全体としては、国交省の統計と同じく、「特」の会社はほぼ全部が資本金2,000万円以上でした。一方で、「般」だけの会社にも、資本金2,000万円以上が半分ほどいます。資本金の大きさだけで、一般か特定かは決まりません。会社の資本金の調べ方は会社の資本金の調べ方にまとめています。
法人データベースで見た内訳
1,238社を法人データベースで調べると、次のとおりです。
- 法人の種類:株式会社1,192社、有限会社44社
- 業種(日本標準産業分類の大分類)で建設業に分類される会社:「特」だけの会社は365社のうち185社(50.7%)、「般」だけの会社は655社のうち225社(34.4%)。「般」だけの会社では、製造業や卸売業など、本業の傍らで設備の工事をする会社も目立ちました
- 所在地:東京都が254社で最も多く、大阪府(121社)、愛知県(114社)、神奈川県(96社)が続きます
- 閉鎖の登記が入っている会社:0社
確認の手順(まとめ)
1. 会社のサイトの会社概要、見積書、契約書、店舗や現場の標識で、建設業の許可番号を探す。括弧の中の「般」「特」と、許可の業種を書き留める 2. 国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」(https://etsuran2.mlit.go.jp/TAKKEN/)で「建設業者」を選び、社名か許可番号で検索する。業種ごとに一般・特定の別と有効期間が出ます 3. 元請として大きな工事を任せる相手なら、頼みたい業種で「特」の許可を持っているかを見る。持っている業種と頼む工事の業種がずれていないかも確かめる 4. 公共工事の実績や経営規模を見たいときは、経営事項審査の点数の調べ方で経審の結果を確認する 5. 会社そのものの実在は会社の実在と倒産の確認で、処分歴は行政処分の調べ方で確かめる
検索システムの情報は、更新のタイミングによってずれることがあります。出てこないときに「無許可だ」とその場で決めつけず、会社に許可通知書の写しを見せてもらうか、許可をした都道府県や地方整備局に問い合わせてください。ほかの業種の許認可の見方は会社の許認可の調べ方に、建設業の中で番号の書き方が決まっている例は電気工事業の登録の調べ方や解体工事業の登録の調べ方にまとめています。
よくある質問
一般建設業の許可で、5,000万円以上の工事は請け負えますか?
請け負えます。一般と特定の線引きは、受注する金額ではなく、元請として下請に出す金額の合計で決まります(法3条1項2号)。受注額が大きくても、下請に出す額が5,000万円(建築工事業は8,000万円)未満なら、一般建設業の許可で施工できます。
下請の会社にも特定建設業の許可は要りますか?
要りません。特定建設業の線引きは「発注者から直接請け負う」工事、つまり元請の立場に限られます。下請として受けた工事をさらに別の会社に出す場合は、下請代金が大きくても、特定建設業の許可は求められていません。
一般と特定の両方の許可を持つことはできますか?
業種が違えば持てます。たとえば電気工事業は一般、建築工事業は特定という持ち方です。同じ業種で両方は持てず、特定の許可を受けると、その業種の一般の許可は効力を失います(法3条6項)。国交省の統計から計算すると、業種によって両方を持つ会社は全国に約2万4千業者あります。
許可番号の「般」と「特」で業者番号が同じなのはなぜですか?
国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」が、業者番号は1業者に1番号とし、一般と特定を通じて同じ番号を付けると定めているからです。保存データでも、両方を載せていた218社のうち203社は、同じ業者番号でした。
特定建設業の許可を受けるには資本金はいくら必要ですか?
ガイドラインの財産的基礎の基準は、資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上、欠損の額が資本金の20%以下、流動比率75%以上の4つをすべて満たすことです。国交省の統計でも、特定建設業の許可業者の99.7%が資本金2,000万円以上の法人でした。個別の会社が基準を満たすかどうかは、許可行政庁の審査で判断されます。
データについて
- 会社サイトの集計:しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章(31,159社、文字化けが0.5%を超えるものは除外)を2026年10月5日に集計しました。「国土交通大臣」または「○○知事」に続く「許可(般-n)第○号」「(特-n)」「(般特-n)」の形を許可番号の表示として数えています。資本金は、同じ文章の最初の「資本金」の記載から読み取ったもので、読み取れなかった会社は「不明」にしています。保存しているのはサイトの一部のページなので、ほかのページに番号を載せている会社は数に入っていません。業種・法人の種類・所在地は法人データベースの情報で、会社名は出していません。集計スクリプトは scripts/analyze_ippan_tokutei_hp_cache.py です
- 全国の許可業者数:国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について」(令和8年3月末現在、令和8年5月15日公表、https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00350.html)の概要と詳細(表-4、表-6の資本金階層別の表)。両方を持つ業者の数(24,305業者)は、一般と特定の合計から総数を引いて計算したものです
- 金額要件の見直し:国土交通省「建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します」(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00267.html)。施行は令和7年2月1日です
- 条文:建設業法(昭和24年法律第100号)の3条・7条・15条・16条・24条の8・26条・40条・47条、建設業法施行令の1条の2・2条・5条の2・5条の3・5条の4を、e-Gov法令検索のAPIで確認しました(https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100)
- 許可番号と財産的基礎:国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001860019.pdf)で、許可番号の構成(許可行政庁名・一般/特定の別・許可年度・業者番号)、1業者1番号の扱い、特定建設業の財産的基礎の4つの基準を確認しました
- 確認できなかったこと:更新や業種追加のときの括弧の年度の数字の扱い、都道府県別の特定建設業の許可業者数、元請の工事で下請代金が5,000万円以上になった件数は確認していません