✍ 古家あきら | 2026-09-25 更新

経審(経営事項審査)の点数を検索する方法 — 建設業許可業者600社をCIICで照会したら、点数が出たのは東京14%・新潟29%だった

先に結論です。建設会社の経審(経営事項審査)の点数は、一般財団法人 建設業情報管理センター(CIIC)の「経営事項審査結果の公表」で、許可番号か商号を入れれば誰でも無料で調べられます。 出てくるのは「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」というPDFで、業種ごとの総合評定値(P点)だけでなく、完成工事高、技術職員の数、社会保険の加入状況、営業停止処分の有無、そして直近の決算の数字まで載っています。

ただし、建設業の許可を持っている会社の大半は、ここに出てきません。 しょくばログで東京都と新潟県の建設業許可業者名簿から無作為に300社ずつ選び、2026年9月25日にCIICで照会したところ、結果が公表されていたのは東京43社(14.3%)、新潟86社(28.7%)でした。経審は「公共工事を元請けで受けたい会社」が受ける審査なので、民間の仕事だけをしている会社は受けていないのが普通です。出てこないことは、それだけでは悪い兆候ではありません。

出典:建設業法(e-Gov法令検索) 出典:建設業法施行令(e-Gov法令検索) 出典:経営事項審査結果の公表(一般財団法人 建設業情報管理センター)

しょくばログという会社データベースを運営していると、「工務店にリフォームを頼む前に経営状態を確かめたい」「建設会社の求人に応募するので、会社の中身を知りたい」という声がよく届きます。上場していない建設会社の決算書は、ふつうは外から見られません。その数少ない例外が経審です。どこまで見られて、どこから先は見られないのかを、実際に600社を照会した結果と合わせて整理します。

経審とは何か — 公共工事を元請けで受ける会社の「通信簿」

経審は、建設業法27条の23に定められた審査です。条文は「公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は(中略)その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない」としています。

その「政令で定めるもの」は、建設業法施行令45条で、国・地方公共団体などが発注する、1件500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の工事と決められています。災害直後の応急工事などは例外です。

審査は2つに分かれています。

この2つを合わせて計算したのが「総合評定値」で、一般にP点と呼ばれます(同27条の29)。公共工事の入札では、発注者がこのP点を使って入札に参加できる会社の格付けをするのが一般的です。

つまり経審は、すべての建設会社が受ける審査ではありません。 公共工事を元請けで取りに行く会社だけが、手数料を払って受けるものです(公表の有効期間が1年7か月なので、続けて公共工事を受ける会社は決算のたびに受け直します)。ここを押さえておかないと、検索して出てこなかったときに判断を誤ります。

CIICでの検索の手順

CIICのサイトは、トップページから「経営事項審査結果の公表」に進むと、検索方法を2つ選べます。

許可番号で検索する(確実)

建設業の許可番号が分かっているなら、こちらが確実です。入力するのは次の2つです。

1回の検索で10件までまとめて照会できます。北海道知事許可だけは、CIICが用意している「許可番号変換表」に沿って番号を置き換えて入力する必要があります。

許可番号は、会社のホームページの会社概要、工事現場に掲げる標識、見積書や契約書にたいてい書かれています。分からなければ、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で会社名から許可番号を先に調べます。許可そのものの調べ方は会社の許認可を調べる方法にまとめています。

商号で検索する

許可番号が分からないときは商号(会社名)でも検索できます。ただ、同じ名前の会社が別の県にあることは珍しくないので、結果に出てきた所在地と代表者名で本人確認をしてから読んでください。

実際に照会して気づいたのは、JIS規格の第一〜第四水準に入っていない漢字は「*」に置き換えて表示されることです。社名や代表者名に旧字体が入っている会社では、「*野」のような表示になります。商号で見つからないときは、表記の違いを疑って許可番号で探し直すのが早道です。

検索結果に出てくるもの

検索結果の一覧には、許可番号・商号・代表者・所在地が並び、「詳細」を押すとPDFが開きます。これが「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」で、1枚に次の情報がまとまっています。

非上場の建設会社の決算の数字が、ここまで具体的に誰でも見られる場所はほかにほとんどありません。取引先の信用を外から確かめる方法全般は取引先の調べ方で、信用調査会社に頼んだ場合の費用は信用調査の費用相場で扱っています。経審はその間を埋める「無料で見られる公的な資料」と考えると位置づけが分かりやすくなります。

600社を照会して分かった「出てこない会社のほうが多い」という事実

経審の結果がどれくらいの会社について公表されているのか、実際に数えてみました。

方法:東京都が公開している建設業許可業者名簿(令和8年4月版・41,851件)と、新潟県が公開している許可業者リスト(9,074件)から、それぞれ無作為に300件を選び、2026年9月25日にCIICの許可番号検索で10件ずつ照会しました。どちらも知事許可の名簿なので、国土交通大臣許可の大手は入っていません。

全体では5社に1社

建設業の許可を持っていても、経審の結果が見られるのは全体で5社に1社程度でした。東京では7社に1社です。法人だけに絞ると、東京が282社中43社(15.2%)、新潟が258社中86社(33.3%)になります。

資本金が大きいほど出てくる

名簿に載っている資本金の額で分けると、はっきりした傾向がありました(2都県の合計)。

資本金1,000万円を境に、公表されている割合が1割台から3割台に跳ね上がります。1億円以上でも半分弱で、大きい会社でも経審を受けていない会社は珍しくありません。 1億円以上の区分は照会した数が17社と少ないので、割合はあくまで目安です。個人事業主は60件照会して1件も出てきませんでした。

同じ資本金でも、東京と新潟で倍以上違う

いちばん差が開いたのは資本金1,000万円以上3,000万円未満の会社です。東京は111社中17社(15.3%)、新潟は96社中55社(57.3%)でした。

同じ規模の会社でも、新潟では半分以上が経審を受けているのに、東京では7社に1社にとどまります。東京の中小建設会社は、民間の工事や大手の下請けだけで仕事が回っている会社が多い、という読み方ができそうです。地方では、地元の自治体の公共工事が経営の柱になっている会社が多いのかもしれません。この理由までは今回の照会では確かめていませんが、「経審を受けているかどうか」は会社の良し悪しではなく、仕事の取り方の違いを映していると考えたほうが実態に近いはずです。

資本金の分布そのものについては資本金が少ない会社は危ないのかで、建設業に資本金1億円ちょうどの会社が多い理由は減資した会社はやばいのかで扱っています。

検索しても出てこないときに考えること

CIICの画面には、「該当なし」になる理由がいくつか書かれています。照会の結果と合わせると、出てこない理由は大きく4つです。

1. そもそも経審を受けていない:いちばん多いケースです。公共工事を元請けで受けない会社には、受ける必要がありません 2. 有効期間が切れている:CIICが公表しているのは、審査基準日(決算日)から1年7か月以内のものだけです。以前は受けていたが、公共工事から手を引いた会社はここで消えます 3. 審査が終わって間もない:行政庁の最終審査から約1か月たたないと公表されません 4. 入力の誤り:大臣知事コードの間違い、北海道の番号変換、商号の旧字体など

2の「以前は受けていたが、今は出てこない」は、公共工事から撤退したことを意味する場合があります。気になるときは、会社のホームページの沿革や、自治体の入札参加資格者名簿を合わせて見ると、流れがつかめます。

反対に、出てくる会社については、直近の決算の数字が、登録経営状況分析機関の分析と許可行政庁の審査を経て点数になっていることになります。自己申告だけの数字ではない、という点で使い道があります。

経審の通知書で見ておきたい4つの点

建設会社に仕事を頼む人、応募する人が通知書を開いたとき、点数の大小より先に見てほしいのは次の4点です。

P点そのものは、公共工事の入札で使う相対的な物差しです。業種や規模によって点数の出方がまったく違うので、「何点以上なら安心」という基準はありません。 同じ業種・同じ地域の会社どうしで見比べるのが本来の使い方です。

よくある質問

経審の結果は誰でも見られますか?

はい。CIICの「経営事項審査結果の公表」は、登録も料金も要らずに誰でも検索できます。許可番号と商号のどちらからでも探せて、許可番号なら1回に10件までまとめて照会できます。見られるのは直近のもので、審査基準日から1年7か月を過ぎたものは表示されません。

経審の結果が出てこない建設会社は危ないのですか?

それだけでは判断できません。しょくばログが東京都と新潟県の許可業者600社を照会したところ、結果が公表されていたのは129社(21.5%)で、8割近くは出てきませんでした。経審は公共工事を元請けで受ける会社のための審査なので、民間工事が中心の会社は受けていないのが普通です。経営状態を確かめたいなら、ほかの方法と組み合わせてください。

工務店やリフォーム会社も経審を受けていますか?

受けている会社もありますが、多くはありません。住宅の新築やリフォームは民間の工事なので、公共工事を元請けで受けない工務店には経審を受ける理由がないからです。建設業の許可がなくても500万円未満の工事は請け負えるため、そもそも許可を持っていないリフォーム会社もあります。この点は建設業許可のないリフォーム会社の記事で数字と合わせて説明しています。

P点は何点あれば良い会社といえますか?

一律の基準はありません。P点は業種ごとに出る点数で、完成工事高や技術職員の数に大きく左右されるため、規模の小さい会社は低めに出ます。公共工事の発注者は、P点と独自の評価を組み合わせて入札に参加できる会社の格付けをしています。見るなら、同じ業種・同じくらいの規模の会社どうしで比べてください。

経審の通知書から決算書の中身は分かりますか?

一部は分かります。通知書には経営状況分析に使った単独決算の数字として、流動負債・固定負債・自己資本・売上高・経常利益・営業キャッシュフローなどが載っています。貸借対照表や損益計算書の全体ではありませんが、非上場の建設会社については、無料で見られる数少ない決算情報です。

まとめ

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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