✍ 古家あきら | 2026-10-10 更新

ユースエール認定企業とは — 若者の採用・定着で認定される基準と確かめ方。会社サイト3万社で「ユースエール」を載せているのは1.97%だった

先に結論です。ユースエール認定企業とは、若者の採用・育成に積極的で、雇用管理の状況が優良な中小企業として、厚生労働大臣の認定を受けた会社のことです。 若者雇用促進法にもとづく制度で、対象は常時雇用する労働者が300人以下の会社に限られます。

認定を受けるには、新卒者などの離職率が20%以下、正社員の月平均の所定外労働時間が20時間以下、有給休暇の取得率が平均70%以上(または年10日以上)といった基準を満たす必要があります。全国の認定企業は1,984社(2026年3月末現在)です。

ある会社が認定を受けているかは、厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」で確かめるのが確実です。 会社のサイトや求人票に「ユースエール認定」と書かれていても、いつ認定を受けたのか、今も認定中なのかまでは分かりません。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「ユースエール 認定企業 一覧」で調べる方は、就職先・転職先の候補を「若手が辞めにくい会社かどうか」で絞りたい方が多いように感じます。そこで、うちが集めている会社サイト31,159社の本文で「ユースエール」という言葉を数えてみました。載せている会社は614社、全体の1.97%でした。地域による差がかなり大きく、山形県では8.6%、東京都では0.5%です。

以下、制度の中身、認定基準、一覧の探し方、そして数えて分かったことの順に書きます。

ユースエール認定とは

若者の採用・育成に積極的な中小企業を、国が認定する制度

ユースエール認定は、若者雇用促進法(2015年10月1日施行)で作られた制度です。若者の採用や育成に積極的に取り組み、雇用管理の状況が優良な中小企業を、厚生労働大臣が認定します。申請先は、会社のある都道府県の労働局です。

ポイントは、対象が中小企業に限られていることです。常時雇用する労働者が300人以下の会社でなければ申請できません。大企業向けの認定ではないので、知名度の高い大手企業の名前は一覧に出てきません。

認定マークを求人票や名刺に使える

認定を受けた会社は、ユースエールの認定マークを商品・広告・求人票などに使えます。会社のサイトの採用ページで、このマークや「ユースエール認定企業」という文言を見かけるのはそのためです。

ほかにも、厚生労働省の案内では次のような支援が挙げられています。

会社から見ると「若手の採用に使える看板」で、求職者から見ると「一定の基準で国のチェックを受けた会社」という目印になります。

ユースエールの認定基準

厚生労働省が示している主な要件は次のとおりです(2026年10月10日に厚生労働省のページで確認)。

規模と取り組みの要件

数字で決まる要件

情報を公表していること

認定を受けるには、若者雇用促進法で定められた職場の情報(採用の状況、研修の有無、残業や有給休暇の実績など)を公表している必要があります。

こうして並べると分かるとおり、ユースエールは「若手が入って、辞めずに育つか」を数字で見る認定です。離職率・残業・有給休暇は、求職者が一番知りたいのに求人票からは読み取りにくい項目なので、そこに国の基準が入っているのが特徴です。会社の離職率や残業時間を自分で調べる方法は、会社の離職率を調べる方法と会社の残業時間・有給休暇の取得率を調べる方法にまとめています。

全国の認定企業は1,984社

大分労働局のページによると、全国の認定企業は1,984社(2026年3月末現在)です。都道府県ごとの数も各労働局が公表しており、たとえば島根県は68社(2026年6月30日現在、島根労働局)、大分県は24社(2026年5月31日現在、大分労働局)です。

しょくばログの台帳では、閉鎖していない会社(株式会社・有限会社・合同会社など)だけで400万社を超えます。認定企業はその中のごく一部で、「持っていなくて普通、持っていれば目立つ」認定だと考えてよいでしょう。

ユースエール認定企業一覧の探し方

1. 若者雇用促進総合サイトで検索する:これが確実

認定企業は、厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」で検索できます。会社名・都道府県・業種などで絞り込めて、認定企業の職場情報(採用・定着の状況、研修、残業や有給休暇の実績など)も見られます。

会社のサイトに「ユースエール認定」と書かれていても、それがいつの時点の話かは分かりません。今も認定中かどうかは、このサイトで確かめてください。

2. 都道府県の労働局のページを見る

各都道府県の労働局は、新たに認定した会社をお知らせとして載せていることがあります。地元の会社を探すときは、労働局の「ユースエール認定企業」のページも手がかりになります。

3. ハローワークの求人票を見る

ユースエール認定企業はハローワークで重点的にPRされる対象です。ハローワークの求人から会社を調べる手順はハローワーク求人の事業所を調べる方法にまとめています。

4. 会社サイトの採用ページを見る:手がかりにとどまる

会社のサイトで認定マークを見つけたら、上の公式サイトで照合するのが順番です。サイトの記載は「会社が自分で書いたもの」なので、それだけで判断しないほうが安全です。

しょくばログの会社サイトで数えた「ユースエール」

ここからは、しょくばログが集めている会社サイトの本文で数えた結果です。本文に言葉が出てくるかどうかで数えたもので、その会社が今も認定中かどうかまでは確かめていません。

「ユースエール」を載せているのは31,159社中614社(1.97%)

本文を読み取れた会社サイト31,159社のうち、「ユースエール」という言葉が出てくるのは614社、1.97%でした。そのうち490社(79.8%)は「ユースエール認定」という形で書いています。

比べるために、ほかの認定の名前も数えました。

ユースエールは、えるぼしとほぼ同じ水準です。認定マークの全体像は企業の認定マークの意味で整理しています。

いちばん載せているのは従業員30〜99人の会社

gBizINFO(経済産業省の法人情報)にある従業員数で分けると、次のとおりでした。

30〜99人の会社がいちばん多く、割合は全体の2倍以上です。301人以上の会社はほぼゼロで、これは対象が300人以下に限られる制度の作りどおりです(5社は、gBizINFOの人数と認定時の人数がずれている、あるいは過去の認定に触れているといった事情が考えられますが、個別には確かめていません)。

地域差が大きい:山形県8.6%、東京都0.5%

会社サイトが300社以上ある都道府県で、記載している割合が高かったのは次のとおりです。

反対に低かったのは、東京都(8,192社中38社、0.5%)、神奈川県(1,537社中13社、0.8%)、大阪府(3,016社中27社、0.9%)です。

大都市圏ほど低く、地方ほど高い結果でした。理由までは数字から言えませんが、地方の中小企業ほど「若手を採りにくい」悩みが大きく、国の認定を看板として使う動機が強いのかもしれません。逆に言うと、東京で会社を探すときは、ユースエールの有無で絞ると候補がかなり減ります。 認定がないことを理由に候補から外すのはおすすめしません。

法人の種類別では株式会社が2.15%

合同会社は設立から年数の浅い会社が多く、直近3事業年度の離職率などの実績をそろえにくいことが影響していそうです。法人の種類の違いは法人の種類一覧を参照してください。

載せている会社は、採用ページに求人を出している割合も高い

「ユースエール」を載せている614社のうち、しょくばログが会社サイトから求人を読み取れた会社は125社(20.4%)でした。会社サイト全体では8.2%なので、2.5倍ほどです。認定を採用に使っている会社が多い、という当たり前の結果ですが、ユースエールが「採用の看板」として使われていることは数字にも出ています。

一緒に書かれていること

「ユースエール」を載せている614社の本文で、ほかに出てくる言葉も数えました。

注目したいのは、認定の時期を書いている会社が11.9%しかないことです。9割近くの会社は、いつ認定を受けたのかを書いていません。離職率の数字そのものに触れている会社も7.5%にとどまります。サイトの「ユースエール認定」の文字だけを見て安心せず、公式サイトで現在の状況と職場情報を確かめるのが大事だと分かります。

ユースエール認定を、会社選びでどう使うか

認定がある=働きやすい、とは限らない

ユースエールの基準は、申請時点の直近の実績で判断されます。認定のあとに職場の状況が変わることもありますし、部署や職種によって残業や離職の実態は違います。認定は「一定の基準を満たしたことがある」という目印であって、入社後の働き方を約束するものではありません。

認定がない=基準を満たしていない、でもない

認定は会社が自分で申請して初めて受けられます。基準を満たしていても、申請していない会社はたくさんあるはずです。300人を超える会社は、そもそも対象外です。

使い方のおすすめ

1. 若者雇用促進総合サイトで、認定の有無と職場情報(離職者数・研修・残業・有給休暇)を見る 2. 認定がない会社も、同じサイトや求人票で職場情報を公開していないか確かめる 3. 求人票の内容と、公開されている職場情報を見比べる(見方は求人票の見方) 4. 気になる会社は、ブラック企業の見分け方のような別の角度からも確かめる

業種ごとの離職率の傾向は業種別の離職率、高卒採用をしている会社の探し方は高卒採用をしている会社の調べ方も参考になります。

よくある質問

ユースエール認定企業の一覧はどこで見られますか?

厚生労働省の「若者雇用促進総合サイト」で検索できます。会社名・都道府県・業種などで絞り込めて、認定企業の職場情報も見られます。各都道府県の労働局のページで、新しく認定された会社が紹介されていることもあります。

ユースエール認定の条件は何ですか?

常時雇用する労働者が300人以下の中小企業であること、若者向けの正社員の求人をしていること、新卒者などの離職率が直近3事業年度で20%以下、正社員の月平均の所定外労働時間が20時間以下、有給休暇の取得率が平均70%以上(または年10日以上)、育児休業の取得実績、職場情報の公表などです。正確な要件は厚生労働省のページで確認してください。

大企業はユースエール認定を受けられますか?

受けられません。対象は常時雇用する労働者が300人以下の事業主です。しょくばログで数えた結果でも、従業員301人以上の会社サイトで「ユースエール」を載せていたのは6,690社中5社(0.07%)でした。

ユースエール認定企業は何社ありますか?

大分労働局のページによると、全国で1,984社(2026年3月末現在)です。都道府県ごとの数は各労働局が公表しています。

会社のサイトに「ユースエール認定」とあれば、今も認定中ですか?

そうとは限りません。しょくばログで数えたところ、「ユースエール」を載せている会社サイトのうち、認定の時期まで書いていたのは11.9%でした。今も認定中かどうかは、若者雇用促進総合サイトで確かめてください。

数字の出どころ

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

← お役立ち記事一覧へ