✍ 古家あきら | 2026-10-03 更新
通関業者を調べる方法 — 財務大臣の許可と、税関が公表する一覧(全国997社・営業所2,036か所)の見方
先に結論です。他人の依頼を受けて、輸出や輸入の申告などの通関手続を代わりに行う「通関業」は、通関業法3条により財務大臣の許可を受けなければ営めません。 許可を受けた会社が「通関業者」です。許可の権限の一部は税関長に委任できると同法40条の3に書かれているので、実際の手続は営業所を管轄する税関が窓口になります。
通関業者を探す・確かめるときは、次の2つを見ます。
- 税関の「通関業者一覧」:税関のサイトで、全国分のExcelと、9つの税関ごとの一覧が公表されています。社名・法人番号・所在地・営業所・許可の条件が載ります
- 日本通関業連合会の「通関業者検索」:連合会の会員企業を、取扱品目で絞って探せます。会員のみの一覧なので、全社の網羅ではありません
しょくばログという会社データベースを運営していると、法人番号をキーにして会社を突き合わせる場面が多いのですが、税関の一覧は法人番号つきで公表されているので、突合に向いています。2026年6月1日時点のExcelを数えたところ、通関業者は997社、営業所は2,036か所でした。社名に「通関」と入っている会社は、そのうち14社(1.4%)しかありません。社名で検索しても、ほとんど見つからないということです。
通関業とは何か・なぜ許可が要るのか
「他人の依頼」を受けて通関手続を代行する営業
通関業法2条は、通関業務を「他人の依頼によってする」事務と定めています。中身は、輸出・輸入の申告や承認の申請(その許可・承認を得るまでの手続)を、依頼した人に代わって行うこと、それに必要な申告書などの書類を作ることなどです。そして「通関業」は、業として通関業務を行うこと、「通関業者」は3条1項の許可を受けた者、と定義されています。
ポイントは「他人の依頼」です。自社が輸入する商品の通関を自社の社員が行うだけなら、通関業にはなりません。メーカーや商社に「通関」の業務や求人があっても、許可を持っているとは限らないのはこのためです。
許可権者は財務大臣、手続の窓口は税関
通関業法3条1項は、通関業を営もうとする者は財務大臣の許可を受けなければならないと定めています。「税関長の許可」と書かれている資料もありますが、条文の許可権者は財務大臣です。40条の3で、財務大臣はその権限の一部を税関長に委任できるとされていて、窓口は営業所のある地域の税関になります。
許可には条件を付けることができます(3条2項)。条件は「この法律の目的を達成するために必要な最少限度」でなければなりません(3項)。税関の一覧にも「許可に付する条件」の欄があり、ここに「貨物限定」が出てきます。後で数字を示します。
許可の基準と、許可を受けられない人
許可の審査基準は5条に3つあります。
- 通関業の経営の基礎が確実であること
- 人的な構成から見て業務を適正にできる能力があり、十分な社会的信用があること
- 営業所に13条の要件(通関士の設置)が備わることになっていること
欠格事由は6条にあり、破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない人、拘禁刑以上の刑の執行を終えてから3年がたっていない人、暴力団員などが挙がっています。法人は、役員に該当する人がいる場合も許可を受けられません。
営業所ごとに「通関士」を置く
通関業者は、通関業務を行う営業所ごとに、政令で定めるところにより通関士を置かなければなりません(13条)。通関士は、通関士試験に合格し(23条)、通関業者が財務大臣に届け出て確認を受けた人です(31条)。ただし、その営業所で扱う貨物が、許可の条件で一定の種類だけに限られている場合は、通関士の設置は不要です(13条ただし書)。
営業所を新しく設けるときも、財務大臣の許可が要ります(8条)。認定通関業者は、届出で足りる特例があります(9条)。
名義貸しの禁止、料金の掲示
通関業者は、自分の名義を他人に通関業のために使わせてはいけません(17条)。通関業務の料金の額は、営業所で依頼者が見やすいように掲示する義務もあります(18条)。そのため、通関業者のサイトには料金改定のお知らせが出ていることがあります。
許可がなくなる場合・取り消される場合
許可は、通関業をやめたとき、法人が解散したとき、破産手続開始の決定を受けたときなどに消滅し(10条)、財務大臣が遅滞なく公告します。法令に違反したときは、1年以内の通関業務の停止か許可の取消しがあり(34条)、不正の手段で許可を受けたことが分かったときなども取消しの対象です(11条)。
無許可で通関業を営んだ者には、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の罰則があります(41条)。
通関業者を調べる方法
1. 税関の「通関業者一覧」を開く
税関のサイトの「通関業者一覧」ページで、2026年10月3日に確認したときは、令和8年6月1日時点の一覧が公表されていました。形式はExcel(xlsx)で、全国分を1つにまとめたファイルと、函館・東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・門司・長崎・沖縄の9つの税関ごとの一覧があります。
全国版は、通関業者名・法人番号・所在地(本社)・営業所名と営業所所在地(営業所ごとに1行)・許可に付する条件(貨物限定、許可の期限)の列でできています。
更新の頻度は確認できませんでした。時点より後に許可を受けた会社や、許可が消えた会社は反映されていない可能性があります。
2. 法人番号で突き合わせる
一覧には法人番号がついているので、社名ではなく法人番号で照らすと間違えにくくなります。法人番号の調べ方は法人番号の調べ方に、処分歴の探し方は会社の行政処分歴を調べる方法にまとめています。
3. 認定通関業者と業界団体の検索
税関のサイトには、認定通関業者の一覧のページもあります。確認した門司税関のページは、書かれた日付が2021年2月18日で、古いまま残っている可能性があります。日本通関業連合会の「通関業者検索」では、会員企業の営業所を取扱品目で絞り込めますが、会員のみの掲載なので、載っていないからといって無許可とは言えません。
4. 最後は税関への問い合わせ
会社が「通関ができます」と言っていても、許可を持つ通関業者に委託している場合があります。契約前に確かめたいときは、法人番号を聞いて一覧と照らし、不明点は営業所を管轄する税関に問い合わせるのが確実です。許認可全般の探し方は会社の許認可を調べる方法にまとめています。
税関の一覧を数えると(2026年6月1日時点)
997社・営業所2,036か所、3社に1社は複数の営業所
一覧は2,036行で、法人番号で数えると997社でした。営業所が1か所の会社が650社(65.2%)、2か所以上の会社が347社(34.8%)です。営業所数がいちばん多い会社は81か所ありました。
許可の条件の欄を見ると、貨物が限定されている営業所は114か所(5.6%)です。そのほとんどは「コンテナー及びその修理用部分品」に関するもの(110か所)で、石油類や液化天然ガス(LNG)などに限られた営業所が少数ありました。許可の期限が書かれている営業所は31か所(30社)で、期限は2026年6月から2029年4月でした。
営業所の72%は7都府県、大阪・横浜・神戸に集中
営業所の所在地を都道府県で数えると、次のとおりです。
- 大阪府:321か所
- 東京都:313か所
- 神奈川県:217か所
- 千葉県:168か所
- 福岡県・愛知県:各156か所
- 兵庫県:138か所
この7都府県で営業所の72.2%(1,469か所)を占めます。1位の大阪府だけで15.8%、上位3都府県で41.8%、上位5都府県で57.7%です。47都道府県すべてに営業所はありますが、港や空港のある地域に偏っています(2か所は住所の書き方から都道府県を判別できず、都道府県別の集計からは外れています)。
市町村で見ると、港湾都市の名前が並びます。
- 大阪市:221か所(10.9%)
- 横浜市:195か所(9.6%)
- 神戸市:118か所(5.8%)
- 成田市:99か所(4.9%)
- 福岡市:94か所(4.6%)
- 名古屋市:81か所(4.0%)
東京都は区ごとに分かれ、港区82か所、大田区58か所、中央区52か所と続きます。成田市には成田国際空港、泉佐野市(38か所)と泉南市(32か所)には関西国際空港、常滑市(29か所)には中部国際空港があり、空港の周りにも営業所が集まっています。
本社の所在地で見ると、東京都242社、大阪府138社、神奈川県118社、兵庫県71社、福岡県53社、愛知県49社の順です。
法人番号で突き合わせると、半数は「分類不能」
一覧の997社を、しょくばログの法人データ(国税庁の法人番号公表データ)に法人番号で突き合わせると、996社が見つかりました。内訳は次のとおりです。
- 株式会社:971社(97.5%)
- 有限会社:19社(1.9%)
- 合同会社:4社
- その他の法人:2社
会社全体では、現存する会社の32.0%が有限会社です。通関業者は有限会社の割合がとても低くなっています。
日本標準産業分類の大分類で見ると、分類不能が512社(51.4%)、運輸業・郵便業が427社(42.9%)、卸売業・小売業が27社、製造業が9社でした。通関業者の約半数は、法人番号のデータだけでは業種が分かりません。社名のほうも見ると、運輸・運送・物流・海運・倉庫・ロジスティクスといった語を含む社名は492社(49.4%)で、「通関」を含む社名は14社(1.4%)でした。業種の見方は会社の業種を調べる方法で解説しています。
会社サイトには、どこまで書いてあるのか(しょくばログの集計)
しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章のうち、文字化けの多いものを除いた31,159社を対象に、「通関」という言葉を数えました。
「通関」に触れる会社は266社(0.85%)
「通関」に触れていたのは266社(0.85%)です(「富士通関連」「南通関ケ原」のように別の語に含まれるものは除外しています)。
業種は、運輸業・郵便業が135社(50.8%)、分類不能が66社(24.8%)、製造業が17社、卸売業・小売業が14社、情報通信業が11社でした。所在地は、東京都84社(31.6%)、大阪府39社(14.7%)、神奈川県25社、千葉県16社、愛知県15社の順で、この5都府県で67.3%です。税関の一覧で営業所が集まっていた地域と重なっています。
266社のうち、「輸出」「輸入」「貿易」のいずれかにも触れていたのは202社(75.9%)で、通関は貿易や物流の話の一部として出てきます。海外取引の書き方は会社の海外拠点・海外進出を調べる方法にまとめています。
目視で分けると、「通関」の中身はばらばら
「通関」に触れた266社から無作為に抽出して前後の文章を目で確かめたところ、28件のうち10件は、通関業を営むという意味ではありませんでした。内訳は次のとおりです。
- 求人・派遣・資格の欄:「通関士」が資格や募集職種として出てくるもの
- 自社の輸入に伴う通関:石油やLNGの輸入に関わる事務の説明など
- そのほか:ネットショップの配送の注意書き、職種メニューなど
「通関業」「通関業務」「通関士」「通関営業所」「通関部」「通関課」「通関事業」のどれかの語に触れている会社は130社でした。この130社のうち88社は税関の一覧に載っていた会社で、42社は載っていませんでした。載っていない42社のうち30社を目で確かめると、25社は求人・資格・自社の輸入に伴う通関などの文脈で、通関業者として事業を書いているように読めたのは5社前後でした。
つまり、会社サイトの「通関」「通関士」という言葉だけでは、許可を持つ通関業者かどうかは判断できません。許可の確認は、サイトではなく税関の一覧でする必要があります。
許可に触れていた会社は18社、許可番号まで書いていたのは3社
「通関業の許可」「財務大臣」と通関の組み合わせなど、許可に触れていた会社は18社でした(266社の6.8%)。許可番号まで書いていたのは3社です。18社はすべて、税関の一覧に載っている会社でした。
このほか、通関士に触れていた会社が61社(22.9%)、AEOまたは認定通関業者という語に触れていた会社が28社(10.5%)ありました。
一覧に載る997社のうち、サイトを保存していた172社を見ると
税関の一覧に載る997社のうち、しょくばログが読めるサイトを保存していた会社は172社(17.3%)でした。この172社のうち、
- 「通関」に触れていた:133社(77.3%)、うち「通関業」という言葉を使っていた会社が100社(58.1%)
- 通関士に触れていた:44社(25.6%)
- 許可に触れていた:18社(10.5%)、許可番号まで書いていた会社は3社(1.7%)
許可を持つ通関業者でも、許可の話をサイトに書いている会社は1割ほどです。書いていないから無許可とは限りません。
社名に「通関」を含む会社
しょくばログの法人データで、社名に「通関」を含む会社(株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社)を数えました。
- 社名に「通関」を含む会社:28社
- 閉鎖済み:7社(25.0%)
- 現存21社のうち株式会社:16社(76.2%)、有限会社3社(14.3%)、合資会社2社
会社全体の閉鎖率は13.5%なので高めですが、母数が28社と小さいので傾向として見てください。現存21社のうち、沖縄県が5社で最多でした。社名に「通関」とあっても税関の一覧に載る通関業者とは限りません。有限会社の見方は有限会社に就職するときの見方にまとめています。
通関業者に頼むとき・取引するときに見ておきたいこと
- 許可を受けた会社か:税関の一覧に、法人番号で載っているか。時点の日付も確かめる
- 貨物の限定がないか:コンテナー関係などに限られた許可だと、ほかの貨物は扱えない
- 倉庫や運送も同じ会社か:通関と保管、陸送を一社で請ける会社も多いので、見積書で料金を分ける。倉庫の登録は倉庫業の登録を確認する方法に、運送会社の見方は運送会社の倒産と燃料高を扱った記事にまとめています
よくある質問
通関業者の一覧は、どこで見られますか?
税関のサイトの「通関業者一覧」ページです。全国分のExcelと、9つの税関ごとの一覧が公表されています。2026年10月3日に確認した時点では、令和8年6月1日時点の版でした。日本通関業連合会の「通関業者検索」では、会員企業を取扱品目で絞って探せます。
通関業の許可は、誰が出しますか?
通関業法3条で、許可権者は財務大臣です。財務大臣は、権限の一部を税関長に委任できます(40条の3)。申請の窓口や実際の手続は、営業所を管轄する税関に確かめてください。
通関業の許可がなくても、通関の手続はできますか?
他人の依頼を受けて代行する場合は許可が必要で、無許可で営むと1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(41条)。自社の貨物の通関を自社で行う場合は、他人の依頼ではないので許可は問題になりません。
通関業の許可の条件には、どんなものがありますか?
許可の基準は、経営の基礎が確実であること、業務を適正に行える人的構成と社会的信用があること、営業所に通関士を置くことです(5条)。欠格事由は6条にあります。税関の一覧には「貨物限定」と「許可の期限」の欄があり、貨物限定は2,036営業所のうち114か所でした。
会社のサイトに通関の許可が書いていなければ、無許可ですか?
そうとは限りません。しょくばログの集計では、税関の一覧に載る会社のうちサイトを保存していた172社で、許可に触れていたのは18社(10.5%)でした。書いていないだけの会社が多いと考えられるので、税関の一覧で法人番号を照らすのが確実です。
データについて
- 税関の一覧:税関「通関業者一覧」ページ(https://www.customs.go.jp/tsukangyousha/index.htm)で公表されていた全国版Excel(令和8年6月1日時点、2026年10月3日に取得)を、法人番号ごと・営業所ごとに集計しました。許可の期限は、日付が入っていた行だけを数えています
- 会社サイトの集計:しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章(31,159社、文字化けが0.5%を超えるものは除外)を、2026年10月3日に集計しました。語の出現で数えているため、保存していないページに書いてある場合は数えていません。「通関」の中身は、無作為に抽出して該当部分を目で確かめて分類しました
- 法人データ:国税庁の法人番号公表データをもとにした、しょくばログの法人データベースで、一覧の法人番号を突き合わせ、社名に「通関」を含む株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社を数えました
- 条文:通関業法(昭和42年法律第122号)の2条・3条・5条・6条・8条・9条・10条・11条・13条・17条・18条・22条・23条・31条・34条・40条の3・41条を、e-Gov法令検索のAPIで確認しました
- 確認できなかったこと:一覧の更新頻度、申請手続の詳細、通関士の設置人数の基準(政令)は確認していません