✍ 古家あきら | 2026-10-02 更新
倉庫業の登録を確認する方法 — 他人の荷物を預かる会社に必要な国交省の登録。会社サイトで「倉庫」に触れる3,056社のうち、倉庫業登録か「営業倉庫」を書いていたのは2.4%
先に結論です。他人から預かった荷物を倉庫で保管してお金を受け取る「倉庫業」は、倉庫業法3条により国土交通大臣の登録を受けないと営めません。 申請の窓口は各地方運輸局です。登録を受けた倉庫は「営業倉庫」と呼ばれます。
反対に、自社の商品や材料を置いておくだけの「自家用倉庫」には登録は要りません。 メーカーの製品倉庫や、小売店のバックヤードがこれにあたります。
登録を確かめる方法は、主に次の3つです。
- 国土交通省の「登録倉庫事業者棟別リスト」:倉庫ごとの一覧をExcelで公表(2026年10月時点で確認できたのは令和6年3月31日時点の版)
- 地方運輸局への問い合わせ:登録の窓口なので、最新の状況はここが確実
- 会社に登録番号を聞く:契約前なら、どの倉庫が登録済みかを聞いてリストと照らし合わせる
一方で、会社のサイトを見ても、登録しているかどうかはほとんど書かれていません。 しょくばログという会社データベースを運営していると、業種をまたいで会社の公式サイトの文章を読む機会が多いのですが、保存している31,159社のサイトを数えたところ、「倉庫」という言葉に触れていたのは3,056社でした。そのうち倉庫業の登録に触れていたのは21社、「営業倉庫」と書いていたのは55社、どちらかに触れていたのは合わせて74社(2.4%)です。
ただし、この数字は「登録していない会社が多い」という意味ではありません。理由は後で詳しく書きます。
倉庫業とは何か・なぜ登録が要るのか
「寄託を受けた物品」を保管する営業
倉庫業法2条は、倉庫業を「寄託を受けた物品の倉庫における保管」を行う営業と定めています。寄託とは、物を預かって保管する契約のことです。ポイントは「他人の物」を「預かって」「お金を受け取る」ことで、この3つがそろうと倉庫業になります。
国土交通省の説明では、営業倉庫は他人の物品を預かるという性格から、登録の際に次の2つが求められます。
- 保管する物品に応じた倉庫の施設基準を満たすこと(建物の強度、防火、防水、防犯など)
- 倉庫ごとに、一定の要件を備えた「倉庫管理主任者」を選任すること(倉庫業法11条)
火事や盗難で預かった荷物がなくなれば、荷主の損害は大きくなります。だから「誰でも倉庫を貸してよい」ではなく、国が施設と管理体制を確かめてから営業を認める仕組みになっています。
倉庫の種類
国土交通省は営業倉庫を、預かる物によっていくつかの種類に分けています。
- 1類〜3類倉庫(一般的な物品を保管する倉庫。保管できる物の範囲が類ごとに違う)
- 冷蔵倉庫(冷やして保管する食品など)
- 危険品倉庫(消防法の危険物や高圧ガスなど)
- トランクルーム(家財や美術品など、個人の物を預かる倉庫)
預ける物によって、使える倉庫の種類が決まります。冷凍食品を一般の倉庫に預けることはできませんし、危険物は危険品倉庫でなければ扱えません。
無登録で営むと罰則がある
倉庫業法28条は、登録を受けずに倉庫業を営んだ者を「1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金」に処し、両方を科すこともあると定めています(2025年6月の刑法改正以降、懲役は拘禁刑に読み替えられています)。倉庫管理主任者を選任しないなどの違反にも、29条で50万円以下の罰金があります。
登録が要らないケース
次のような場合は、倉庫業の登録は要りません。
- 自家用倉庫:自社の商品・原材料・備品だけを保管する
- ほかの営業に付随する保管・短期間の一時預かり:倉庫業法2条は、保護預りなど他の営業に付随して行われる保管や、携帯品の一時預りのように比較的短い期間に限る保管(政令で定めるもの)を倉庫業から除いています
- 場所を貸すだけの契約:荷物を「預かる」のではなく、スペースそのものを貸す賃貸借の形をとるもの
最後の点は、よく混同されます。屋外のコンテナ型収納やレンタル収納スペースの多くは、スペースを貸す契約になっていて、荷物を預かる倉庫業の「トランクルーム」とは別物です。家財を預けるとき、どちらの契約なのかで、荷物が壊れたり盗まれたりしたときの扱いが変わります。契約書の「寄託」「賃貸借」の文字を確かめておくと安心です。
倉庫業の登録を確認する方法
1. 国土交通省の「登録倉庫事業者棟別リスト」
国土交通省の倉庫業法のページで、登録を受けた倉庫事業者の一覧が「登録倉庫事業者棟別リスト」としてExcelで公表されています。会社単位ではなく倉庫の棟ごとの一覧なので、会社名で絞り込むと、その会社がどこにどんな倉庫を持っているかまで分かります。
注意したいのは時点です。2026年10月に確認した時点で公表されていたのは令和6年3月31日時点の版でした。その後に登録した倉庫や、廃止した倉庫は反映されていません。最近できた物流センターが載っていないからといって、無登録とは限りません。
2. 窓口の地方運輸局に問い合わせる
倉庫業の登録の申請や変更、廃止の届出は、倉庫がある地域を管轄する地方運輸局(関東運輸局、中部運輸局など)が窓口です。運輸局のサイトには登録申請の手続きや書類がまとまっています。リストに載っていない倉庫の状況を知りたいときは、運輸局の倉庫業の担当に問い合わせるのが確実です。
3. 業界団体の会員名簿は「登録の一覧」ではない
日本倉庫協会は会員事業者を地区別・倉庫の種類別に公開しています。冷蔵倉庫なら日本冷蔵倉庫協会があります。会員になっている会社はほぼ営業倉庫を持つ事業者ですが、協会に入っていない登録事業者もいるので、「名簿にない=無登録」とは言えません。会社の候補を探す入口として使い、登録の有無はリストか運輸局で確かめるのが順番です。
4. 契約前なら会社に直接聞く
取引を検討しているなら、「どの倉庫で保管するのか」「その倉庫は営業倉庫として登録されているか」「倉庫の種類(何類か、冷蔵か)」を聞いてください。まともな倉庫会社であれば、すぐに答えが返ってきます。保管料の見積もりと一緒に、火災保険をどちらが掛けるのかも確認しておくと後でもめません。
業種ごとの許認可を調べる考え方は、会社の許認可を調べる方法にまとめています。
会社サイトには、どこまで書いてあるのか(しょくばログの集計)
ここからは、しょくばログが保存している会社公式サイトの文章(文字化けの多いものを除いた31,159社)を数えた結果です。「倉庫」という言葉に触れていた会社は3,056社(9.8%)でした。
「倉庫」に触れる会社の業種
日本標準産業分類の大分類で見ると、内訳は次のとおりです。
- 製造業:731社(23.9%)
- 分類が付いていない会社:728社(23.8%)
- 運輸業・郵便業:567社(18.6%)
- 建設業:426社(13.9%)
- 卸売業・小売業:245社(8.0%)
いちばん多いのは製造業でした。工場の敷地にある製品倉庫や資材倉庫の話がほとんどで、これは自家用倉庫です。「倉庫」に触れている会社の多くは、そもそも倉庫業の登録が要らない会社だということです。
登録と「営業倉庫」の書き方
3,056社のうち、登録や営業倉庫に触れていた会社は次のとおりです。
- 「倉庫業の登録」「倉庫業者登録」などに触れていた:21社(0.7%)
- 「営業倉庫」と書いていた:55社(1.8%)
- どちらかに触れていた:74社(2.4%)(両方は2社)
- 74社のうち、倉庫業の登録番号らしき記載(「第○号」など)があった:19社(25.7%)
- 「倉庫管理主任者」に触れていた会社は、3,056社全体で5社だけ
74社の業種を見ると、運輸業・郵便業が46社(62.2%)でした。逆に、運輸業で「倉庫」に触れていた567社から見ると、登録か営業倉庫に触れていたのは46社(8.1%)です。
物流・保管の仕事をうたっても、登録は書かない
「物流センター」「保管業務」「倉庫保管」「在庫保管」のいずれかに触れていた会社は582社ありました。このうち539社(92.6%)は、倉庫業の登録にも営業倉庫にも触れていません。運輸業に絞っても、該当する302社のうち登録か営業倉庫に触れていたのは31社(10.3%)でした。
ここは読み方に注意が要ります。この539社が無登録だという意味ではありません。考えられる理由は次のとおりです。
- 登録はしているが、サイトに書いていない
- 自社では倉庫を持たず、登録した倉庫会社に保管を委託している(物流をまとめて請け負う会社によくある形)
- 自社の荷物の保管や、運送途中の一時保管だけを指している
いずれにしても、サイトを読むだけでは登録の有無は判断できないというのが実感です。登録を確かめたいときは、前の章のリストや運輸局で確認してください。
倉庫の種類と、周りの許認可
「倉庫」に触れていた3,056社の中で、倉庫の種類や周りの許認可に触れていた会社です。
- 冷蔵倉庫・冷凍倉庫:122社(4.0%)
- 保税倉庫・保税蔵置場:58社(1.9%)
- トランクルーム:38社(1.2%)
- 危険物倉庫:38社(1.2%)
- 貨物自動車運送事業(トラック運送の許可):254社(8.3%)
運送と倉庫をセットで手がける会社は、トラック運送の許可には触れても、倉庫業の登録まで書くことは少ないようです。運送業の会社の動向は、運送会社の破産と燃料高・運送業の法人データで見ています。保税倉庫は輸出入とつながる話なので、会社の海外拠点を調べる方法もあわせてどうぞ。
所在地
「倉庫」に触れていた3,056社の本店所在地は、東京都659社、大阪府383社、愛知県296社、神奈川県149社、埼玉県128社、広島県119社の順でした。登録か営業倉庫に触れていた74社に限ると、東京都が多いものの、新潟県・石川県・岐阜県といった地方の会社も入っています。
社名に「倉庫」を含む法人
国税庁の法人番号のデータから作ったしょくばログの法人DBで、社名に「倉庫」を含む法人を数えました(社名からの推定です)。
- 累計3,837法人、うち活動中3,482、閉鎖355。閉鎖率は9.3%で、会社全体の13.5%より低い
- 活動中3,482法人の内訳は、株式会社1,840(52.8%)、有限会社1,425(40.9%)、合資会社80
- 会社全体(活動中)の有限会社の比率は32.0%なので、「倉庫」の名前を持つ会社は有限会社が多め
- 活動中の所在地は、大阪府577、埼玉県556、東京都347、神奈川県225、愛知県225の順
閉鎖率が低く、有限会社が多い。古くから続く小さな倉庫会社が多いことがうかがえます。埼玉県が東京都より多いのは、首都圏の倉庫が地価の安い郊外に集まっていることと関係がありそうです。ただし、社名に「倉庫」とあっても倉庫業を営んでいるとは限らず、反対に大手の物流会社は社名に「倉庫」を入れていないことも多いです。有限会社が今も残っている理由は、有限会社に就職するのはありかで書きました。
倉庫会社と取引する・働くときに見ておきたいこと
荷物を預ける側、取引先として付き合う側、働く側で、確かめたいことは少しずつ違います。
- 荷物を預ける側:預ける倉庫が営業倉庫として登録されているか、倉庫の種類が荷物に合っているか(冷蔵・危険品など)、火災保険はどちらが掛けるのか
- 家財を預ける個人:契約が「寄託」(倉庫業のトランクルーム)か「賃貸借」(スペースを借りるだけ)か。後者だと、荷物の破損や盗難の補償がない場合がある
- 取引先として付き合う側:会社が実在するかは法人番号で、倉庫業の登録はリストと運輸局で、と分けて確かめる
- 働く側:倉庫管理主任者は倉庫ごとに必要な役目なので、経験を積むとこの役を任されることがある。求人票に「営業倉庫」とあれば、倉庫業の登録を持つ会社だと分かる手がかりになる
新しい取引先を確かめる手順全体は、新規取引先の確認事項にまとめています。業種の調べ方そのものは会社の業種を調べる方法へ。
よくある質問
自社の商品を置く倉庫にも登録は必要ですか?
要りません。倉庫業の登録が必要なのは、他人から荷物を預かって保管料を受け取る場合です。自社の商品や材料だけを置く自家用倉庫は対象外です。ただし、空いたスペースで他社の荷物を有料で預かり始めると倉庫業にあたるので、その時点で登録が必要になります。
倉庫業の登録はどこで調べられますか?
国土交通省が倉庫業法のページで「登録倉庫事業者棟別リスト」をExcelで公表しています。倉庫の棟ごとの一覧なので、会社名で絞り込めます。2026年10月時点で確認できたのは令和6年3月31日時点の版なので、それ以降の登録は管轄の地方運輸局に問い合わせてください。
レンタル収納スペースやコンテナ収納も倉庫業ですか?
多くは倉庫業ではありません。荷物を「預かる」のではなく、スペースを「貸す」賃貸借の契約になっているためです。倉庫業の登録を受けたトランクルームは、荷物を預かる寄託契約です。どちらの契約かで、荷物に何かあったときの補償が変わるので、契約書で確かめてください。
運送会社が荷物を一時的に置くのも倉庫業ですか?
倉庫業法2条は、他の営業に付随して行われる保管や、比較的短い期間に限る一時預りのうち政令で定めるものを倉庫業から除いています。ただし、運送とは別に保管料を受け取って継続的に預かるなら倉庫業にあたり、登録が必要です。どちらにあたるか迷う場合は、管轄の地方運輸局に確かめるのが確実です。運送と保管をセットで請け負う会社は、トラック運送の許可と倉庫業の登録の両方を持っているのが普通です。
倉庫業の登録は会社の登記簿に載りますか?
載りません。登記簿や法人番号のデータは「会社があるか」を示すもので、倉庫業の登録は国土交通省の別の仕組みで管理されています。会社の実在は法人番号の調べ方で、登録は棟別リストと運輸局で、と分けて確かめてください。
データについて
- 会社サイトの集計:しょくばログが保存している会社公式サイトの文章のうち、文字化けの多いものを除いた31,159社。表現の数え方は正規表現ベースで、個社名は出していません。業種は日本標準産業分類の大分類で、しょくばログの法人DBに付いているものを使っています。集計スクリプトは `scripts/analyze_soko_toroku_hp_cache.py`(2026年10月2日実行)
- 社名の集計:国税庁法人番号公表サイトのデータをもとにした、しょくばログの法人DB
- 制度の説明:国土交通省「物流:倉庫業法」(登録倉庫事業者棟別リスト・令和6年3月31日時点)、倉庫業法(2条・3条・11条・28条・29条)、国土交通省中部運輸局「倉庫業について」、一般社団法人日本倉庫協会「会員事業者一覧」