✍ 古家あきら | 2026-10-17 更新
タクシー会社・バス会社の許可を確認する方法 — 旅客自動車運送事業の許可とは。社名タクシー3,763社、会社サイトに許可番号を書くのは1社だけ
先に結論です。タクシーやバスで料金を取って人を運ぶ営業は、道路運送法4条1項により、国土交通大臣の許可を受けなければできません。 法律の言葉では「一般旅客自動車運送事業」といい、許可は「乗合(路線バスなど)」「貸切(貸切バス)」「乗用(タクシー・ハイヤー)」の種別ごとに出ます。実際の窓口は地方運輸局と運輸支局です。
許可を持っている会社かどうかは、外から次の4つで確かめられます。
- ナンバープレート:営業に使う車は事業用の自動車で、いわゆる緑ナンバー(事業用ナンバー)です。白ナンバーの自家用車で料金を取って人を運ぶことは、道路運送法78条で原則禁止されています
- 会社が示す事業の種別と許可番号:会社概要に「一般乗用旅客自動車運送事業」などの種別や、運輸局の許可番号を載せている会社があります
- 国土交通省の行政処分情報:「自動車総合安全情報」のサイトで、運送事業者が受けた行政処分を会社名から検索できます
- 貸切バスなら安全性評価認定:日本バス協会の認定事業者一覧で、貸切バス会社の安全の取り組みの評価が分かります
しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、地域のタクシー会社やバス会社の名前で調べに来る人が少なくありません。運転手として応募する前の人、送迎や貸切を頼みたい担当者、そして破産や行政処分のニュースを見て気になった人です。ところが調べてみると、会社自身がサイトに許可のことを書いている例はかなり少ないのが実情でした。この記事では、制度の中身と確かめ方を整理し、うちのデータで見えたことを数字で示します。
タクシー・バスの「許可」とは何か
道路運送法3条の4つの種類
道路運送法3条は、人を運ぶ自動車の事業(旅客自動車運送事業)を次のように分けています。
- 一般乗合旅客自動車運送事業:乗合の旅客を運ぶ事業。路線バスや高速バスがこれに当たります
- 一般貸切旅客自動車運送事業:1つの契約で、国土交通省令で定める乗車定員以上の車を貸し切って運ぶ事業。いわゆる貸切バス・観光バスです
- 一般乗用旅客自動車運送事業:1つの契約で、その定員未満の車を貸し切って運ぶ事業。タクシーとハイヤーです
- 特定旅客自動車運送事業:特定の相手の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運ぶ事業。工場の従業員送迎や、施設の送迎を契約で引き受ける形がこれに当たります
上の3つをまとめて「一般旅客自動車運送事業」と呼び、4つ目だけが別枠です。「バス会社」と一口に言っても、路線を走らせる会社(乗合)と、団体を乗せる会社(貸切)では、持っている許可が違います。
許可するのは国土交通大臣、窓口は運輸局
道路運送法4条1項は「一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない」と定め、2項で許可は種別(乗合・貸切・乗用)について行うとしています。特定旅客自動車運送事業も43条で同じく国土交通大臣の許可制です。
ただし、実際に申請を受けて審査するのは国の出先機関です。88条により、国土交通大臣の権限は地方運輸局長に、さらに運輸監理部長や運輸支局長に任せることができます。会社概要に「関東運輸局」「北海道運輸局」などの名前と番号が並んでいるのはこのためです。
「白タク」がだめな理由
道路運送法78条は、事業用ではない自家用自動車を有償で運送に使うことを、災害時や市町村・NPOなどが登録して行う運送などの例外を除いて禁じています。許可を受けずに自家用車で料金を取って人を運ぶ行為が、いわゆる「白タク」です。
利用者の側から見ると、車のナンバーの色がいちばん手早い確認手段になります。許可を受けた事業者が営業に使う車は事業用の自動車として登録されるため、緑ナンバー(軽自動車なら黒地に黄色の文字)になります。白ナンバーの車が料金を取って客を乗せていたら、そこで立ち止まる理由になります。
許可を持っているかの確かめ方
1. 会社概要の「事業内容」と「許認可」の欄を見る
いちばん手軽なのは会社のサイトです。許可を持つ会社の多くは、事業内容の欄に「一般乗用旅客自動車運送事業」「一般貸切旅客自動車運送事業」のように種別の正式名を書いています。タクシー会社なら乗用、観光バス会社なら貸切、路線バス会社なら乗合が書かれているはずです。
一部の会社は、さらに許可番号まで書いています。運輸局の略称と「旅」の字が入った「関自旅一第○号」「北信交旅第○号」のような形です。番号があれば、どの運輸局の許可なのかが読み取れます。
注意したいのは、事業目的に書いてあることと、許可を持っていることは別だという点です。会社の事業目的(定款・登記)には、将来やるかもしれない事業も並べられます。「特定旅客自動車運送事業」が事業目的の一覧に入っていても、それだけで許可の証拠にはなりません。
2. 国土交通省の行政処分情報を検索する
国土交通省の自動車総合安全情報「事業者の行政処分情報」では、バス・タクシー・トラックの事業者が受けた行政処分(車両の使用停止、事業停止、許可取消しなど)を検索できます。処分を受けた記録があるということは、その会社が許可を受けた事業者であるという裏返しでもあります。
ただし、この検索は処分を受けた事業者の記録です。処分歴のない会社は出てきません。「出てこない=許可がない」とは読まないでください。行政処分の調べ方全般は会社の行政処分を調べる方法にまとめています。
3. 貸切バスは安全性評価認定の一覧を見る
貸切バスには、日本バス協会が行う「貸切バス事業者安全性評価認定制度」があります。国土交通省の発表(令和8年9月30日)によると、貸切バスの全事業者3,346者のうち、認定を受けている事業者は1,918者(57.3%)です。認定事業者の一覧は日本バス協会のサイトで確認できます。
認定は任意の制度なので、認定がないから許可がないわけではありません。ただ、団体旅行や社員旅行でバスを頼む担当者にとっては、許可の有無に加えて安全の取り組みを第三者がどう見ているかが分かる資料になります。
4. タクシー・路線バスの名簿は見つけられなかった
運転代行やレンタカーとは事情が違い、一般乗用(タクシー)と一般乗合(路線バス)について、全国の許可事業者を会社名で引ける国の名簿は、今回の執筆時点では確認できませんでした。会社の許可について確実に知りたいときは、本社のある地域の運輸支局に問い合わせるのが確実です。
貨物のトラック会社の場合は、安全性優良事業所(Gマーク)の検索が使えます。旅客とは制度が別なので、運送会社のGマークを確認する方法で分けて説明しています。
しょくばログのデータで見るタクシー会社・バス会社
社名に「タクシー」「ハイヤー」を含む会社は3,763社が活動中
しょくばログの法人データ(国税庁の法人番号データをもとにした約512万社。株式・有限・合名・合資・合同会社に限る)で、社名に「タクシー」か「ハイヤー」を含む会社を数えました。
- これまでに登録された数:4,494社
- 閉鎖済み:731社(16.3%)。会社全体の閉鎖率13.6%より少し高い
- 活動中:3,763社
社名だけで数えているので、許可を持っている会社の数ではありません。タクシー会社でも社名に「交通」「自動車」とだけ入れている会社はここに入らず、逆に「タクシー」を含んでも別の事業をしている会社が混じる可能性があります。なお、いづみタクシーの記事では法人の種類を絞らずに数えたため、数字がこれより大きくなっています。
タクシー会社の約半分は有限会社
活動中3,763社を法人の種類で分けると、次のとおりです。
- 有限会社:1,804社(47.9%)
- 株式会社:1,699社(45.2%)
- 合資会社:138社
- 合同会社:72社
- 合名会社:50社
活動中の会社全体で有限会社が占める割合は32.2%なので、タクシー会社は有限会社の比率が15ポイント以上高いことになります。有限会社は2006年の会社法施行後は新しく作れないため、2006年より前からある会社が多いことを示しています。
1万社あたりで多いのは高知・岩手・徳島
活動中の会社1万社あたりの「タクシー・ハイヤー」名の会社の数を都道府県ごとに出すと、次の順になりました。
- 高知県:53.9社(93社)
- 岩手県:42.9社(102社)
- 徳島県:40.9社(89社)
- 愛媛県:33.8社(131社)
- 長崎県:32.3社(97社)
東京都は1.1社で、高知県の約50分の1です。東京は会社の総数が多いぶん比率が薄まることに加え、地方には地域ごとの小さなタクシー会社が今も残っていることが、この差に表れているとみられます。数だけで見ると北海道(211社)、福岡県(196社)が多くなります。
「〇〇バス」の会社は995社、7割が株式会社
バスのほうは、社名の「バス」がキャンバス・オムニバスのような別の言葉にも含まれるため、漢字の直後に「バス」が来る社名(「〇〇観光バス」「〇〇交通バス」など)に絞って数えました。
- これまでに登録された数:1,202社、閉鎖済み207社(17.2%)、活動中995社
- 活動中の内訳:株式会社700社(70.4%)、有限会社277社(27.8%)、合同会社12社ほか
- 1万社あたりで多いのは徳島県6.4社、山梨県6.3社、栃木県6.2社、長野県5.9社。東京都は0.9社
社名で絞ると多くが「観光バス」でした。貸切バスの全事業者3,346者と比べると、社名にバスと入っている会社は3割ほどの計算になります。バス会社の多くは「〇〇交通」「〇〇自動車」「〇〇観光」といった社名で、社名だけでは見分けられないということです。
会社サイトで許可を書いているのはごく一部
2.7万社のサイトのうち、種別まで書いていたのは93社
しょくばログが内容を読み取れている会社サイト27,256社分の文章で、「旅客自動車運送事業」という言葉が出てくる会社を数えると93社(0.34%)でした。書かれていた種別の内訳(重複あり)は次のとおりです。
- 一般乗用(タクシー・ハイヤー):64社
- 一般貸切(貸切バス):38社
- 一般乗合(路線バス):21社
- 特定旅客:21社
93社のうち、運輸局の許可番号の形(「旅客自動車運送事業」の近くに「第○号」がある、など)まで書いていたのは20社(21.5%)です。
社名タクシーの会社では、許可番号を書いていたのは35社中1社
社名に「タクシー」「ハイヤー」を含む会社で、サイトの文章を読めた35社に絞ると、
- 「旅客自動車運送事業」と種別を書いていた:21社(60.0%)
- 許可番号まで書いていた:1社
でした。社名に「〇〇バス」を含む会社では、サイトを読めた24社のうち種別を書いていたのは8社です。
つまり、タクシー会社の多くは事業の種別までは書くが、許可番号はほとんど書かないのが普通です。会社の許認可の調べ方でも書いたとおり、許可の書き方は業種によってまちまちです。タクシー・バスの場合、許可番号がないことを理由に疑う必要はなく、種別の表記と緑ナンバー、行政処分情報を組み合わせて確かめるのが現実的です。
応募する人・頼む人がそれぞれ見るところ
運転手として応募するとき
- 会社概要に種別(一般乗用・一般貸切など)が書かれているか
- 行政処分情報で、直近に事業停止や車両の使用停止を受けていないか
- 法人番号で登記の状態(閉鎖・本店移転・商号変更)を確かめる。法人番号の調べ方が参考になります
二種免許の取得支援をうたう求人は多いですが、支援の条件(一定期間の勤務が必要か、途中で辞めた場合に費用の返還があるか)は会社ごとに違います。入社前に書面で確認してください。
送迎や貸切を頼むとき
- 依頼先が頼む内容に合った種別の許可を持っているか(団体の貸切ならバスの貸切、社員の毎日の送迎を契約で任せるなら特定旅客の可能性など)
- 貸切バスなら日本バス協会の安全性評価認定を見る
- 見積もりを出した車が緑ナンバーかどうか
相場より極端に安い送迎の申し出は、白ナンバーの自家用車ではないかを一度確かめてください。事故が起きたとき、許可を受けた事業者の保険や運行管理の仕組みが働かないことがあるので、契約の前に確かめておく価値があります。
よくある質問
タクシー会社が許可を持っているか、ネットで一覧から調べられますか
貸切バスは日本バス協会の安全性評価認定の一覧や、国土交通省の発表資料で事業者名を確かめられます。一方、タクシー(一般乗用)について全国の許可事業者を会社名で引ける国の名簿は、今回確認できませんでした。会社概要の種別表記、緑ナンバー、国土交通省の行政処分情報を組み合わせて確かめ、確実に知りたいときは本社を管轄する運輸支局に問い合わせてください。
「一般乗用旅客自動車運送事業」と「一般貸切旅客自動車運送事業」はどう違いますか
どちらも車を1つの契約で貸し切って人を運ぶ事業ですが、車の乗車定員で分かれます。国土交通省令で定める定員以上の車を貸し切るのが貸切(貸切バス)、定員未満の車を貸し切るのが乗用(タクシー・ハイヤー)です。許可は種別ごとに出るので、タクシーの許可だけを持つ会社が貸切バスを走らせることはできません。
会社サイトに許可番号が書いていないのは怪しいですか
それだけでは怪しいとは言えません。しょくばログのデータでは、社名にタクシーを含みサイトを読めた35社のうち、許可番号を書いていたのは1社だけでした。種別の表記があるか、営業車が緑ナンバーか、行政処分情報に何が出ているかを合わせて見てください。
社名に「タクシー」と入っていれば、許可を持っていると考えてよいですか
社名は会社が自由に付けられるので、許可の証拠にはなりません。タクシー事業をやめても社名を変えない会社や、車両の整備・不動産など別の事業に移った会社もあります。しょくばログの法人データでも、社名にタクシー・ハイヤーを含む会社の16.3%がすでに閉鎖しています。
特定旅客自動車運送事業とは何ですか
特定の相手の需要に応じて、一定の範囲の旅客だけを運ぶ事業です(道路運送法3条2号)。工場や施設の送迎を、契約を結んで引き受ける形が典型です。一般旅客とは別の許可(43条)で、こちらも国土交通大臣の許可制です。不特定の人を乗せる営業はできません。
まとめ
- タクシー・バスで料金を取って人を運ぶには、道路運送法4条の国土交通大臣の許可が必要。乗合・貸切・乗用の種別ごとに出て、窓口は地方運輸局・運輸支局
- 外から確かめる手がかりは、緑ナンバー、会社概要の種別と許可番号、国土交通省の行政処分情報、貸切バスの安全性評価認定
- 社名にタクシー・ハイヤーを含む会社は活動中3,763社で、有限会社が47.9%。1万社あたりでは高知・岩手・徳島が多い
- 会社サイトで種別を書くタクシー会社は6割だが、許可番号まで書くのは35社中1社。番号がないことより、種別・ナンバー・処分歴を組み合わせて見る
関連して、取引や応募の前に会社を確かめる手順は新しい取引先を確認する項目にもまとめています。
(データの出所:しょくばログ法人データ〔国税庁 法人番号公表サイトのデータをもとに集計、2026年10月17日時点〕、会社サイトの文章は、しょくばログが内容を読み取れた27,256社分。条文はe-Gov法令検索の道路運送法3条・4条・43条・78条・88条。貸切バス事業者数と認定事業者数は国土交通省の令和8年9月30日の報道発表)