✍ 古家あきら | 2026-10-04 更新

運転代行業者の認定を確認する方法 — 公安委員会の認定番号と、法人データで見える248社(全国7,558業者の3%)

先に結論です。運転代行(お酒を飲んだ人の代わりにその人の車を運転して送る営業)は、自動車運転代行業法4条により、都道府県公安委員会の「認定」を受けなければ営めません。 認定を受けているかどうかは、次の3つで確かめられます。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「この会社は何の許可を持っているのか」を法人番号から引けないかとよく考えます。運転代行については、正直に言うと法人データからはほとんど見えません。全国の認定業者は7,558(令和6年末)ありますが、しょくばログの法人データで社名に「運転代行」「代行運転」を含む現存の会社は248社。全体の3%ほどです。多くは個人事業主か、「○○代行」のような屋号で営業しているからです。この記事では、制度の決まりと確かめ方を整理したうえで、法人データで見えた248社の姿を数字で出します。

運転代行の「認定」とは何か

法律でいう運転代行は「酔ったお客」を送る営業

自動車運転代行業法2条は、運転代行業を次の3つすべてに当てはまる営業と定めています。

1. 主として、夜に飲食店でお酒を飲んで酒気を帯びた人に代わって、その人の車を運転すること 2. その人(利用者)を車に乗せること 3. 常態として、営業用の車(随伴車)がついてくること

つまり「お酒を飲んだお客を、お客の車ごと家まで送る」形の営業が対象です。車の回送や陸送のように、お客を乗せない運転の請負は、この法律の運転代行には当たりません。会社のサイトで「運転代行」という言葉が出てきても、この意味とは限らない点は後で数字で見ます。

認定を出すのは都道府県公安委員会

認定の窓口は、主たる営業所がある都道府県の公安委員会です(法5条)。申請書は警察署長を経由して出す決まりで(国家公安委員会の施行規則3条)、申請書には営業所、損害賠償のための措置、安全運転管理者、法人なら役員の氏名などを書きます。

公安委員会は、申請者が欠格事由に当たらなければ認定をし、当たれば拒否します。認定や拒否の前には国土交通大臣に協議して同意を得る決まりもあります(法5条4項)。警察と国土交通省の両方が関わる業種です。

認定を受けられない人

法3条は、運転代行業を営んではならない人を挙げています。主なものは次のとおりです。

認定を受けずに営業すると罰則があります(法32条1号、30万円以下の罰金)。他人に自分の名義で営業させる名義貸しも禁じられています(法10条)。

保険・約款・料金の掲示も義務

認定を受けた後も、守るべきことがあります。

利用者から見て一番大事なのは保険です。運転代行中の事故は、お客の車の保険ではなく業者側の措置で補償するのが法律の建て付けです。

認定を確かめる3つの方法

1. 随伴車の表示を見る

迎えに来た随伴車には、国土交通省の施行規則8条により、次の4つを表示する決まりがあります。

表示灯をつける場合は、「代行」の文字を他の文字と同じ大きさ以上で表示する決まりもあります。タクシーと見分けるための決まりです。随伴車にお客を乗せて運ぶと、運転代行ではなく無許可のタクシー営業(いわゆる白タク)になります。

また、お客の車を運転するときは、その車の前後に「代行運転自動車標識」を表示する決まりです(法16条、国家公安委員会の施行規則12条)。

2. 業者のサイトで認定の標識を見る

法6条は、認定を受けた業者に、認定の標識を主たる営業所の見やすい場所に掲げることを義務づけています。この条文は2024年4月1日に施行された改正(デジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律、令和5年法律第63号)で、標識をインターネットで公開することも加わりました。方法は「業者のウェブサイトへの掲載」です(国家公安委員会の施行規則7条)。

ただし、次のどちらかに当たる業者は掲載しなくてよいとされています(令和6年国家公安委員会・国土交通省令第1号)。

逆に言えば、自社サイトがあって随伴車が2台以上の業者のサイトに標識がなければ、決まりを守っていないことになります。白書の数字から計算すると、随伴車は1業者あたり平均2.3台(17,033台÷7,558業者)。1台で営む小さな業者も少なくないとみられるので、「サイトに標識がない=無認定」とまでは言えません。その場合は次の一覧で確かめます。

3. 県警の「認定業者一覧」を見る

いくつかの県警は、認定業者の一覧をサイトで公表しています。例えば次の4つです。

秋田県警の一覧には「認定番号の欠番は廃業となったもの」と注記があり、表題の稼働業者総数は2022年4月22日現在の235から、2023年4月17日現在の219に減っていました。秋田県警は運転代行業者への行政処分も公表しています。

一覧に載る名称は「○○代行」のような屋号が多く、法人番号はついていません。会社の正式名称で探しても見つからないことがあるので、随伴車や名刺にある認定番号で照らし合わせるのが確実です。一覧を公表していない県では、主たる営業所を管轄する警察署に問い合わせます。

全国の認定業者は7,558、従業員は5万4,871人

内閣府の「令和7年版交通安全白書」によると、令和6年末時点で全国7,558業者が公安委員会の認定を受けて営業しています。運転代行に従事する従業員は5万4,871人、随伴車は1万7,033台です。1業者あたりにすると、従業員は約7.3人、随伴車は約2.3台。多くが小さな事業者だと分かります。

この規模感は、次の法人データの結果とも合っています。

法人データで見える運転代行の会社(しょくばログの集計)

しょくばログの法人データ(国税庁の法人番号公表データがもとです)で、社名に「運転代行」か「代行運転」を含む株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社を数えました。

現存は248社、全国7,558業者の3%

社名に「運転代行」「代行運転」を含む会社は287社。うち閉鎖済みが39社(13.6%)で、現存は248社でした。全国の認定業者7,558に対して3.3%です。

社名に「代行」を含む会社まで広げると1,048社になりますが、こちらには家事代行や営業代行なども入るので、運転代行の数としては使えません。社名に「運転代行」と入れない会社が多い以上、法人データから運転代行業者を網羅するのは無理です。屋号で営業する個人事業主も多い業態なので、相手が法人かどうかは別に確かめる必要があります。見分け方は個人事業主と法人の見分け方にまとめています。

6割が有限会社

現存248社の法人種別は次のとおりです。

しょくばログの法人データ全体(現存の会社446万社)では、有限会社は32.0%です。運転代行の会社はそのほぼ2倍の割合で有限会社でした。有限会社は2006年の会社法施行で新しく作れなくなっているので、運転代行の会社には、それより前に作られて今も有限会社のまま続く会社が多いことになります。有限会社については有限会社に就職しても大丈夫かで詳しく書いています。

閉鎖率を法人種別で分けると、株式会社が78社中10社(12.8%)、有限会社が177社中27社(15.3%)。全体の閉鎖率は13.5%なので、運転代行の会社が特に多く閉じているわけではありません。

東京の割合は全体の4分の1以下、東北が2割

現存248社の本店所在地は40都道府県にまたがります。多い順に栃木16、新潟16、東京14、青森13、宮城13、茨城12、北海道11、福島11、大分11社でした。

目立つのは東京の少なさです。法人データ全体では会社の24.4%が東京にありますが、運転代行の会社では5.6%でした。東北6県を合わせると54社で、全体の21.8%を占めます。

会社の数に対する比率でも見ました。現存の会社1万社あたりの運転代行の会社の数は次のとおりです。

電車やバスで飲みに行ける大都市ではあまり使われず、車で移動するしかない地方で使われるサービスだということが、法人の分布からも読み取れます。

会社のサイトには、どう書かれているか

しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章(31,159社)で、「運転代行」「代行運転」に触れていたのは20社(0.06%)だけでした。中身を1社ずつ目で確かめると、運転代行業者のサイトはほとんどありません。

しょくばログの保存サイトは、採用ページを持つ会社に偏っています。小さな運転代行業者のサイトはほぼ入っていないと考えたほうがよさそうです。

それでも気になった点が1つあります。認定番号を書いていたのは1社だけで、その書き方は「運転代行許可 ○○県公安委員会 第○号」でした。運転代行は許可ではなく認定です。番号を示している点は良いのですが、制度の名前が違っていました。同じように、許認可の名前と番号が正しいかは、会社の許認可を調べる方法の手順で確かめられます。

運転代行を使うとき・取引するときに見ておきたいこと

利用者として

飲食店・ホテルとして業者を紹介するとき

お客に業者を紹介するなら、認定番号と保険の内容を一度確かめておくのが安心です。県警の一覧に載っているか、名称と認定番号で照らし合わせます。過去に行政処分を受けていないかは、会社の行政処分を調べる方法で探し方をまとめています。タクシー会社が運転代行を兼ねていることもあり、タクシー業界の処分の例は和泉タクシーの破産と行政処分の記事でも扱いました。

運転代行の会社に就職・転職するとき

運転代行のドライバーは、お客の車を運転してお客を乗せるので、お客の車(普通自動車)を運転するには普通第二種免許が要ります(道路交通法86条5項)。普通免許だけでは代行運転はできません(同法85条12項)。随伴車の運転だけなら事情が違うので、求人票の応募資格で確かめてください。会社が法人かどうか、何をしている会社かは、会社の業種を調べる方法や、屋号から運営会社をたどる店名・サイト名から運営会社を調べる方法が使えます。

よくある質問

運転代行は「許可」ですか、「認定」ですか?

「認定」です。自動車運転代行業法4条により、都道府県公安委員会の認定を受けます。タクシーのような道路運送法の許可とは別の制度です。サイトや名刺に「許可」と書いてあっても、認定番号を指していることがあるので、番号と公安委員会の名称で確かめてください。

認定番号はどこで確認できますか?

随伴車の車体(公安委員会名と認定番号)、営業所に掲げた標識、業者のサイトの3か所です。県警によっては認定業者の一覧を公表しているので、そこで番号と名称を照らし合わせることもできます。

業者のサイトに認定の標識がないのは違反ですか?

2024年4月から、標識をサイトに載せることが義務になりました。ただし、随伴車が1台以下の業者と、自社サイトを持たない業者は対象外です。自社サイトがあって随伴車が2台以上なのに載せていない場合は、決まりを守っていないことになります。

認定を受けていない業者を使うとどうなりますか?

無認定の営業は罰則の対象です(法32条)。利用者が罰せられる決まりではありませんが、法12条の損害賠償の措置が整っていない可能性があり、事故のときに補償を受けられないおそれがあります。認定番号と保険の内容は、頼む前に確かめておくのが安全です。

運転代行の会社を法人番号で探せますか?

一部しか探せません。しょくばログの法人データで社名に「運転代行」「代行運転」を含む現存の会社は248社で、全国の認定業者7,558の3%です。屋号で営業する会社や個人事業主が多いため、県警の一覧や随伴車の認定番号で確かめるほうが確実です。

データについて

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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