✍ 古家あきら | 2026-10-06 更新
運送会社のGマーク(安全性優良事業所)とは — 認定の意味と確認のしかた(トラック会社サイト1,940社のうち154社が記載)
先に結論です。Gマークは「許可」ではなく、許可を持つ運送会社の事業所が任意で受ける安全面の認定です。 運送会社のサイトに載っていたら、全日本トラック協会が公表している認定事業所の一覧で、会社名・住所・電話番号を突き合わせて確かめます。
- 誰が出すか:国土交通大臣が指定した公益社団法人の全日本トラック協会が、都道府県のトラック協会(適正化事業実施機関)と実施する「貨物自動車運送事業安全性評価事業」です
- 単位は会社ではなく事業所:認定は営業所など事業所ごとに出ます。本社営業所だけが取っていて、ほかの営業所は取っていない会社もあります。会社のサイトの「Gマーク取得」が、どの事業所のことかを見ます
- 有効期間は2年:2年ごとの更新です。「取得した」と年表に書いてあっても、今も有効かは別の話です
- 確かめる先:全日本トラック協会のサイトに、認定事業所の事業所名・住所・電話番号を載せた一覧があります
しょくばログという会社データベースを運営していると、運送会社の会社概要や沿革の欄に「Gマーク取得」とだけ書かれているのをよく見かけます。許可番号や協会の名前と並んでいることもあれば、年表の1行だけのこともあります。この記事では、制度の中身を協会と国土交通省の公開情報で整理したうえで、会社サイトにどう書かれているかを集計して見えたことを数字で出します。なお、運送会社に仕事を頼む前の許可の確認は、会社の許認可の調べ方にまとめています。
Gマークとは:安全面の取り組みを評価する認定
国の許可とは別の制度
トラックを使って他人の荷物を運ぶ事業(貨物自動車運送事業)は、貨物自動車運送事業法のもとで、一般貨物自動車運送事業は国土交通大臣の許可を受けて営みます。Gマークはこの許可とは別の制度で、許可を持つ事業所が自分から申請して評価を受けます。国土交通省のページによると、制度の運営は国土交通大臣が指定した全日本トラック協会が担い、評価は38項目です。
つまり、Gマークがあることは「許可がある」ことの証明にはなりません。逆に、Gマークが無いことは、無許可や危険な会社であることを意味しません。あくまで、安全面の取り組みを第三者に評価してもらった事業所に付く目印です。
何を評価するか
全日本トラック協会の説明では、評価は大きく3つの面から見ます。
- 安全に関する法令を守っているか
- 事故や違反の状況はどうか
- 安全に取り組む姿勢があるか
点数の基準や項目ごとの配点は、私が確認できた範囲では国土交通省のページには出ていませんでした。基準を知りたいときは、全日本トラック協会や、各都道府県のトラック協会が出している申請の案内を見るのが確実です。
申請できる事業所と更新
全日本トラック協会によると、新たに申請する事業所は、事業を始めて3年以上が経っている必要があります。認定の有効期間は2年です。令和8年の申請は6月1日からウェブのシステムで始まり、令和7年の結果は令和7年12月18日に発表されています。
長く続けて更新している事業所には、サイトや車両に「ゴールド」の表示を使う例もあります。しょくばログの保存データでは、トラック運送に触れてGマークに触れた154社のうち、「ゴールド」を使っていたのは2社でした。制度の細かい区分は、協会の案内で確かめてください。
全国の数:29,210事業所、全体の34.4%
全日本トラック協会の発表では、令和7年度(2025年度)に全国で7,227事業所が新たに「安全性優良事業所」と認定され、認定事業所は全国で29,210事業所になりました。全国のトラック運送事業所の34.4%にあたります。国土交通省のページでは、令和7年12月末現在で29,206事業所(全事業所の34.4%)、車両数では772,298台(全事業用トラックの52.5%)が認定を受けているとされています。協会と国土交通省で4事業所の差がありますが、数え方の時点が異なると考えられます。
ここで押さえておきたいのは、割合の分母です。34.4%は「事業所」の割合で、「会社」の割合ではありません。車両数で見ると過半数、事業所で見ると3分の1というのは、大きな事業所ほど取っている傾向があることを示しています。事故割合についても国土交通省のページに記載がありますが、数字の出し方に前提があるので、ここでは引用しません。
会社のサイトは何を書いているか:154社のデータ
しょくばログが保存している会社の公式サイト31,159社の文章を集計しました。まず、「貨物自動車運送事業」「一般貨物」「トラック」のいずれかに触れている会社が1,940社あります。このうち、Gマークまたは安全性優良事業所に触れていたのは154社(7.9%)です。
先ほどの全国の34.4%と比べて低く見えますが、比べられる数字ではありません。全国の数字は事業所ごと、こちらは会社のサイトに書かれているかどうかです。書いていないことは取っていないことを意味せず、サイトの文章として保存できていない場合もあります。サイトに書かれているかどうかと、認定を受けているかどうかは別物です。
書き方はばらばら
154社の書き方を見ると、次のような違いがありました。
- 年表に取得年だけを書く:「平成20年12月 安全性優良事業所認定取得」のように、沿革の1行で触れる書き方が目立ちます
- 許可や認証と並べる:運輸局の許可番号、グリーン経営認証などと並べて「安全性優良事業所(Gマーク)」と書く書き方です。認定証の番号まで載せている例もあります
- 協会名を添える:「全日本トラック協会『安全性優良事業所』認定」と協会名を書く会社は、154社のうち62社(40.3%)でした
- 連続年数を書く:「連続〇年」のような表記は1社だけでした
認定の有効期間は2年なので、年表に取得年しか書いていない場合、今も有効かはサイトからは分かりません。有効かどうかは協会の一覧で確かめます。
どんな会社が書いているか
154社の法人データを国税庁の法人番号公表データをもとにしたしょくばログのデータベースで見ると、次のとおりです。
- 法人の種類:株式会社が147社(95.5%)、有限会社が6社、そのほか1社でした
- 業種:日本標準産業分類の大分類で運輸業・郵便業に当たる会社が126社(81.8%)。残りは卸売業や倉庫・サービス業など、運送を自社の一部に持つ会社です
- 所在地:東京都20社、大阪府18社、愛知県16社、広島県11社、千葉県9社が上位でした
- 閉鎖された会社:154社のうち0社でした
株式会社が大半ですが、運送業の会社自体が株式会社に多いためか、Gマークだけの特徴かは確かめていません。これはサイトに書いている会社の傾向で、認定事業所全体の内訳ではありません。
運送会社の名前から探せるか
法人データベースで社名に「運送」「運輸」「物流」を含む法人は33,943件ありますが、社名だけで安全性の高い会社かは分かりません。運送の会社を選ぶときの見る順番は、次の節にまとめました。
運送会社のGマークを確かめる手順
1. 許可を確かめる:Gマークの前に、運送の許可(一般貨物自動車運送事業の許可)を持っているかを見ます。会社概要に運輸局名と許可番号が書いてあれば、許可番号と事業者名を、運輸局など公的な窓口で確かめます。確認の進め方は運転代行の認定を確かめる方法が参考になります 2. サイトの書き方を読む:「Gマーク取得」が、どの営業所のことかを見ます。年表だけで取得年が古いままなら、有効期間の2年が過ぎている可能性があります 3. 協会の一覧で突き合わせる:全日本トラック協会の認定事業所の一覧で、事業所名・住所・電話番号を確かめます。会社名ではなく事業所名で載っているので、営業所の住所で探します 4. 表記の違いに注意する:会社名の「株式会社」の位置や、営業所の名称が違うことがあります。1つの会社で見つからなければ、ほかの営業所で探します 5. 会社そのものの実在を確かめる:法人番号は法人番号とはで、取引を始める前の確認事項は新規取引先の確認事項で整理しています 6. ほかの認定マークと混同しない:Gマークは運送の安全に関する認定です。子育て支援のくるみんなど、雇用に関するマークは企業の認定マークの意味で説明しています
運送会社そのものの経営の難しさについては、運送会社の破産と燃料高も参考になります。
よくある質問
Gマークは法律で義務づけられていますか?
義務ではありません。許可を持つ事業所が任意で申請して受ける認定です。Gマークが無くても、許可を持っていれば運送を営めます。
Gマークの有効期間はどのくらいですか?
全日本トラック協会によると、2年です。新たに申請できるのは、事業を始めて3年以上の事業所です。サイトに取得年だけが書いてある場合は、今も有効かを協会の一覧で確かめます。
Gマークがある会社は事故を起こしにくいと言えますか?
認定は、法令の遵守状況、事故や違反の状況、安全への取り組みの3つの面から評価したものです。国土交通省のページには、認定事業所の事故割合が未取得の事業所の半分以下という記載があります。ただし、個々の会社が事故を起こさないことを約束するものではないので、この記事では「事故が少ない」とは言いません。
会社のサイトにGマークが載っていないと問題ですか?
それだけでは判断できません。しょくばログの保存データでも、トラック運送に触れる1,940社のうちGマークなどに触れていたのは154社(7.9%)でした。書いていない会社の中にも、認定を受けている事業所はあるはずです。確かめたいときは、協会の一覧で調べます。
Gマークの認定事業所は、どこで調べられますか?
全日本トラック協会のサイトに、認定事業所の事業所名・住所・電話番号が公表されています。希望した事業所は、サイトへのリンクや主な輸送品目も載っています。
データについて
- 会社サイトの集計:しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章(31,159社、文字化けが0.5%を超えるものは除外)を2026年10月6日に集計しました。「貨物自動車運送事業」「一般貨物」「トラック」の言葉、「Gマーク」「安全性優良事業所」の言葉、協会名、「ゴールド」、「連続〇年」の表記の有無を数えています。保存しているのは会社が自社サイトで公開した文章で、個々の会社の名前はこの記事に出していません
- 法人データ:国税庁の法人番号公表データをもとにした、しょくばログの法人データベースで、Gマークなどに触れた154社の法人の種類・業種・所在地・閉鎖の有無と、社名に「運送」「運輸」「物流」を含む法人の件数を2026年10月6日に数えました
- 全国の認定事業所数:全日本トラック協会「Gマーク制度について」(https://jta.or.jp/member/tekiseika/gmark.html、令和7年12月現在29,210事業所・34.4%、有効期間2年、新規申請は事業開始後3年以上)。国土交通省「Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000013.html、令和7年12月末現在29,206事業所・772,298台・評価38項目)
- 令和7年度の認定数:トラック協会の発表を載せたページ(2026年1月13日掲載、7,227事業所を新たに認定、申請7,504事業所)。この数え方(更新を含むか)は確認していません
- 確認できなかったこと:評価の点数基準と配点、「ゴールド」の正式な区分と条件、認定の取消しの仕組み、貨物自動車運送事業法の条文番号は確認していません