✍ 古家あきら | 2026-10-06 更新

産業廃棄物の許可証と優良認定を確認する方法 — 産廃業者を選ぶ前に見るもの(会社サイト591社のうち許可番号を載せていたのは145社)

先に結論です。産廃業者を選ぶときは「許可を持っているか」だけでなく、「どの自治体の、どの業の許可か」を許可証で確かめます。 産業廃棄物の許可は全国共通の1枚ではありません。運ぶ区域や処分する施設のある都道府県・市ごとに、業の種類ごとに出ます。

しょくばログという会社データベースを運営していると、建設会社や運送会社の会社概要に「産業廃棄物収集運搬業許可」と書かれているのをよく見かけます。番号まで並べている会社もあれば、業の名前だけの会社もあります。この記事では、制度の中身を法令と環境省の資料で整理したうえで、会社のサイトがどう書いているかを集計して見えたことを数字で出します。なお、排出事業者としてどこまで責任を負うかといった法律判断は扱いません。そこは自治体の窓口や専門家に確認してください。

産業廃棄物の許可のしくみ

収集運搬業と処分業は別の許可

廃棄物処理法では、産業廃棄物を「運ぶ」仕事と「処分する」仕事で許可が分かれています。

そのため、手広く運ぶ会社ほど許可証が何枚にもなります。会社のサイトに許可番号がずらりと並んでいるのはこのためです。

事業者(排出する側)は、産業廃棄物の運搬や処分を他人に頼むときは、許可を持つ業者に委託しなければなりません(12条5項)。無許可で営業した場合も、無許可の業者に委託した場合も、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金(両方科されることもあります)の対象です(25条1項)。業者選びで許可を確かめるのは、頼む側にとっても他人事ではありません。

許可番号11桁の読み方

許可番号の付け方は、環境省の通知(平成12年「産業廃棄物処理業者及び特別管理産業廃棄物処理業者に係る許可番号取扱要領について」)で決まっています。

4桁目の区分は次のとおりです。

「積替え保管」は、集めた廃棄物をいったん別の場所で降ろして保管し、積み替えてから運ぶことです。これをするには、それを含む許可が要ります。

6〜11桁目の固有番号は、最初に許可を受けたときに付けられ、ほかの自治体で許可を受けても、更新や変更があっても変わりません。会社のサイトで、自治体ごとに番号の頭3桁だけが違い、後ろが同じになっているのはこのためです。

なお、通知には「優良認定を表す桁」はありません。番号だけで優良かどうかは判断できないので、後で説明する方法で確かめます。

有効期間と優良認定

許可には期限があり、更新しないと失効します。法律は「5年を下らない期間で政令で定める期間」としていて、政令(施行令6条の9など)で、新規は5年、更新のときに優良基準に適合した業者は7年、それ以外は5年と決まっています。

優良認定の基準は省令(施行規則9条の3、処分業は10条の4の2)で、次の5つです。

優良認定を受けた業者の許可証は、通常とは別の様式になっています。会社から許可証の写しをもらったら、様式の違いも手がかりになります。

全国の数:許可は24万件超

環境省が2026年3月26日に発表した資料では、令和6年4月1日時点の許可件数は、産業廃棄物処理業が248,458件、特別管理産業廃棄物処理業が23,843件でした。令和5年度の許可取消し等(事業停止命令などを含む)は、産業廃棄物で316件、特別管理で15件です。

この件数は「許可の数」で、「業者の数」ではありません。1社が複数の自治体の許可を持てば、その分だけ数えられます。

産廃情報ネットの統計(令和8年8月31日時点、自治体から集めた集計)では、産業廃棄物処理業の許可243,505件のうち、積替え保管をしない収集運搬が223,015件(91.6%)、積替え保管ありの収集運搬が8,400件でした。固有番号で数えた業者数は、産業廃棄物処理業で120,836者です。許可1件あたりで見ると、1つの業者がおよそ2件の許可を持っている計算になります。環境省の数字とは時点も集計のしかたも違うので、2つを並べて増減を比べることはしていません。優良認定を受けた業者の全国の件数は、今回確認した環境省と産廃情報ネットの資料には見当たりませんでした。

会社のサイトは何を書いているか:591社のデータ

しょくばログが保存している会社サイトの文章31,159社分を調べました。「産業廃棄物」か「産廃」という語が出てくるのは1,143社。そのうち「産業廃棄物収集運搬業」「産業廃棄物処分業」のような業の名前や「産業廃棄物…許可」の形で、産廃の許可を事業として掲げているのは591社でした。無作為に25社を読んで、ほぼすべてが自社の許可の記載であることを確かめています(講習会の受講歴のような例外も少し混じります)。

何を載せているか

591社のうち、それぞれの語に触れていた会社の数です。

多いのは収集運搬業で、処分業は3割ほどです。建設会社や運送会社が、自社の工事や運搬で出たものを運ぶために収集運搬の許可を持っている、という形が多いと読めます。

許可番号まで載せているのは4社に1社

11桁の許可番号を読み取れたのは145社(24.5%)でした。残りの446社は、業の名前は書いていても、11桁の番号は見当たりません。「愛知県」「許可取得」とだけ書いている会社もありました。10桁の形の番号や、番号を画像の許可証だけで見せている会社は、この数に入っていません。

番号を載せている145社のうち、2つ以上の番号を並べている会社は65社(44.8%)、6つ以上は16社です。許可が自治体ごとに出ることが、そのまま表れています。

145社から読み取れた番号は重複を除いて392件。4桁目の内訳は次のとおりです。

会社のサイトに載っている産廃の許可番号の7割余りは、積替え保管をしない収集運搬の許可でした。全国の許可(産廃情報ネットの統計で9割余り)よりは処分や特別管理の割合が高く、処分業者や複数の許可を持つ会社ほど番号をきちんと並べる傾向があるのかもしれません。

優良認定に触れているのは32社

優良認定(優良産廃処理業者認定、優良性基準適合認定など)に触れていたのは32社(591社の5.4%)でした。引越の優良認定や物流の表彰など、産廃と関係のない「優良認定」は除いています。

書き方は「東京都・埼玉県…で優良産廃処理業者に認定」と自治体を並べるもの、許可番号の横に「(優良認定)」と添えるもの、沿革に取得年を書くものなどさまざまです。優良認定は自治体ごとの許可の更新に合わせて付くので、「どの自治体の、どの業で」優良なのかを書いている会社のほうが読み手には親切です。32社のうち12社は「公表事項」「情報公開」のページを設けていました。優良基準の「事業の透明性」に対応するものと考えられます。

どんな会社が書いているか

591社を法人データベースと突き合わせると、次のとおりでした。

建設業と運輸業が多いのは、工事や運搬に付随して許可を取る会社が多いためと考えられます。

社名に「産業廃棄物」を含む法人

法人データベースで社名に「産業廃棄物」を含む法人は78件、そのうち閉鎖しているのは18件(23.1%)でした。「産廃」を含む法人は68件で、閉鎖16件(23.5%)です。データベース全体の閉鎖の割合(13.2%)より高めですが、母数が小さいので傾向とまでは言えません。現存する法人には協同組合や協会のような団体も含まれます。社名に「産業廃棄物」と入っていない産廃業者のほうがずっと多いので、社名から探すのは向きません。

産廃業者の許可を確かめる手順

1. 許可証の写しをもらう:業者に、関係する自治体の許可証の写しを出してもらいます。会社のサイトに許可証のPDFを載せている会社もあります 2. 自治体と業の区分を見る:積む場所と下ろす場所の両方の自治体の許可があるか、4桁目で収集運搬か処分か、積替え保管の有無を確かめます 3. 有効期限を見る:許可証に書かれた有効期限が切れていないかを確かめます 4. 扱える品目を見る:許可は扱える産業廃棄物の種類(事業の範囲)を限って出ることがあります。頼みたいもの(廃プラスチック類、がれき類など)が入っているかを見ます 5. 産廃情報ネットで照合する:業者名や固有番号で検索し、許可の情報や許可取消しの情報がないかを確かめます 6. 優良認定は公表事項で確かめる:優良と書いていたら、どの自治体の許可で認定されているか、公表事項のページがあるかを見ます

会社そのものの実在や登記は、法人番号で確かめるのが確実です。許認可全般の調べ方は会社の許認可を調べる方法に、行政処分の調べ方は会社の行政処分を調べる方法にまとめています。

よくある質問

産業廃棄物の許可は全国で使えますか?

使えません。収集運搬業は積み下ろしをする区域を管轄する自治体ごと、処分業は施設のある自治体ごとに許可が要ります。県をまたいで運ぶなら、それぞれの許可が必要です。

家庭の不用品回収も産廃の許可で回収できますか?

家庭から出るごみは一般廃棄物で、産業廃棄物とは許可が別です。家庭の不用品回収の許可については不用品回収業者の許可を確認する方法で扱っています。

優良認定の業者を選べば安心ですか?

優良認定は遵法性・透明性・環境配慮・電子マニフェスト・財務の基準を満たしたという意味で、判断材料の一つにはなります。ただし、頼みたい品目や区域の許可を持っているかは別の話なので、許可証の確認は省けません。

許可番号から優良認定かどうか分かりますか?

分かりません。許可番号の付け方を定めた環境省の通知に、優良認定を表す桁はありません。許可証の様式や、業者の公表事項、産廃情報ネットで確かめます。

解体工事を頼むときも、産廃の許可を確かめるべきですか?

解体工事では大量の産業廃棄物が出るので、解体業者が自分で運ぶなら収集運搬の許可が要ります。解体工事業の登録や許可については解体工事業の登録の調べ方を、新しい取引先を確認する全体の流れは新規取引先の確認事項を参考にしてください。

データについて

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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