✍ 古家あきら | 2026-10-02 更新
屋外広告業の登録を確認する方法 — 看板を出す会社に要る都道府県ごとの登録と、会社サイトに書いていた割合(192社中5.7%)
先に結論です。看板の設置や表示を請け負う会社は、都道府県(指定都市・中核市を含む)の条例にもとづいて「屋外広告業」の登録を受けるのが原則です。根拠は屋外広告物法9条で、登録の有効期間は同法10条で5年と決まっています。
ポイントは3つです。
- 登録は自治体ごと:東京都で登録していても、大阪府で営業するなら大阪府の登録が別に要ります
- 有効期間は5年:更新しなければ切れます
- 確かめるなら登録業者名簿:東京都や大阪府は、登録業者の一覧をPDFやExcelで公開しています
では、会社の公式サイトには実際どこまで書いてあるのか。しょくばログという会社データベースを運営していると、業種をまたいで会社のサイトを読むことが多いのですが、保存している31,159社のサイトを数えたところ、看板や屋外広告物の製作・施工・設置に触れていたのは192社でした。そのうち屋外広告業の登録に触れていたのは11社(5.7%)。建設業許可に触れていた45社(23.4%)の4分の1以下です。残りの181社のサイトからは、登録の有無を読み取れません。
この記事では、屋外広告業の登録の仕組み、登録を確かめる方法、そして会社サイトの書き方の実態を、数字とあわせて整理します。
屋外広告業の「登録」とは(屋外広告物法の仕組み)
「屋外広告業」の範囲
屋外広告物法2条では、屋外広告物を「常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるもの」と定め、看板・立看板・はり紙・はり札・広告塔・広告板などを例に挙げています。
そのうえで「屋外広告業」を、広告物の表示や、広告物を掲出する物件の設置を行う営業としています。看板をデザインして印刷するだけでなく、現場で取り付ける、外壁に表示するといった仕事が中心です。大阪府の案内でも、広告主から屋外広告物の表示や掲出物件の設置に関する工事を請け負い、屋外で公衆に表示することを業として行う営業を指すと説明しています。
法律は「条例で登録制にできる」と定めている
屋外広告物法9条は、都道府県は、条例で、その区域で屋外広告業を営もうとする者に知事の登録を受けさせることができる、という書き方です。つまり、登録制の具体的な中身は、各都道府県の条例で決まります。
さらに同法27条で、都道府県が処理する事務のうち政令で定めるものは、指定都市と中核市が処理することになっています。そのため、たとえば大阪市で営業するには、大阪府ではなく大阪市長の登録が要る、という形になります。
条例に入れなければならないこと
条例の中身は自由ではありません。屋外広告物法10条は、条例に次のことを定めるよう求めています。
- 登録の有効期間:5年
- 登録を拒否する場合:登録を取り消されて2年たたない者、条例違反で罰金以上の刑を受けて2年たたない者、業務主任者を選んでいない者など
- 業務主任者の選任:営業所ごとに、国土交通大臣の登録を受けた機関の試験(屋外広告士の試験)に合格した人や、都道府県の講習会を修了した人などから選ぶ
- 取消し・営業停止:不正な手段で登録を受けたときや、条例・処分に違反したときは、登録の取消しや6か月以内の営業停止
登録しないで営業した場合の扱いは、条例で決まります。大阪府の案内では、無登録営業に「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」の罰則があると説明しています。
「特例届出」で済む市もある
自治体ごとに登録が要るとなると、府県と市の両方に登録し直す手間がかかります。そこで一部の自治体では、府県の登録を受けた業者が、市に届け出ることで市の登録業者とみなされる「特例届出」を設けています。
大阪府の案内によると、大阪府知事の登録業者は、大阪市・堺市・豊中市・吹田市・高槻市・枚方市・八尾市・寝屋川市・東大阪市の9市で、この特例届出を使えます。手数料はかかりません。
あとで紹介する会社サイトの集計でも、「○○県屋外広告業登録」と並べて「○○市特例屋外広告業届出」を書いている会社がありました。
看板そのものの「許可」とは別の話
ややこしいのが、業者の登録と、看板1枚ごとの許可が別物だという点です。屋外広告物法4条で、都道府県は条例により、広告物の表示や掲出物件の設置に知事の許可を要するとすることができます。
- 屋外広告業の登録:看板を請け負う会社が受けるもの
- 屋外広告物の表示許可:個々の看板を出すときに受けるもの(地域や大きさで要否が変わる)
業者が登録していても、看板ごとの許可が要らなくなるわけではありません。
屋外広告業の登録を確かめる方法
1. 自治体の「登録業者名簿」を見る
いちばん確実なのは、登録先の自治体が公開している名簿です。
- 東京都:都市整備局のサイトで「屋外広告業登録業者の一覧」を公開しています。登録番号順のPDFには、番号・分類・法人名・住所・初回登録日・有効期限などの欄があります。東京都オープンデータカタログサイトにも同じ一覧のデータセットがあります
- 大阪府:「屋外広告業登録業者簡易閲覧用名簿」をPDFとExcelで公開しています。業者名順と登録番号順の2種類があります
ほかの自治体も、「(都道府県名・市名) 屋外広告業 登録業者 一覧」で探すと見つかることが多いです。公開していない自治体もあるので、その場合は担当課に問い合わせます。
2. 登録先がどこかを先に考える
名簿を探す前に、どの自治体の名簿を見ればいいかを決めておく必要があります。見るべきは、会社の本社所在地ではなく、看板を出す場所の自治体です。
- 看板を出す場所が指定都市・中核市なら、まずその市の名簿
- それ以外なら、都道府県の名簿
- 府県の登録+市の特例届出という形もある
本社が東京にある会社でも、千葉県で看板を出すなら千葉県の登録を見ます。
3. 会社の資料・サイトの「許認可」欄を見る
会社案内や見積書、サイトの会社概要に、登録番号を書いている会社もあります。書いてあれば、その番号を名簿と照らし合わせます。番号の表記は自治体ごとに違い、東京都は「都広」、埼玉県は「埼広」のような略称が付いた番号を書いている会社がありました。
4. 処分歴や会社そのものも確かめる
登録の取消しや営業停止の処分は、自治体が公表している場合があります。行政処分の探し方は会社の行政処分歴を調べる方法、許認可全般の探し方は会社の許認可を調べる方法にまとめています。
会社サイトには、どこまで書いてあるのか(しょくばログの集計)
ここからは、しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章を数えた結果です。文字化けが多いサイトを除いた31,159社が対象です。
看板に触れる会社は871社、製作・施工の文脈は192社
まず、「看板」「屋外広告」「野立て」「袖看板」「広告塔」のどれかに触れていた会社は871社(2.80%)でした。ただ、この中には「看板商品」「看板メニュー」のような使い方も入ります。
そこで、「看板」「屋外広告物」「サイン」の近くに「製作」「制作」「施工」「設置」「工事」「取付」が出てくる会社に絞ると、192社(0.62%)になりました。以下はこの192社を分母にしています。
屋外広告業の登録に触れていたのは11社(5.7%)
192社のうち、「屋外広告業登録」など登録に触れていたのは11社(5.7%)でした。
比べると、同じ192社で建設業許可に触れていたのは45社(23.4%)です。看板の取り付けは建設工事でもあるため、建設業許可を書く会社は多い一方、屋外広告業の登録はあまり書かれていません。
登録に触れていた11社の書き方を目で確かめると、次のとおりでした。
- 登録番号まで書いていた:8社
- 2つ以上の自治体の登録を並べていた:8社(「全19ヵ所に登録」と書いた会社もありました)
- 市の「特例屋外広告業届出」も書いていた:3社
- 地域名だけで番号がない:「関東及び主要地域」のような書き方が1社
1つの自治体だけを書いていた会社は少数でした。看板の仕事は、本社のある県の外でも請けることが多く、登録先がいくつにも分かれる様子がサイトの書き方からも見えます。
業務主任者・屋外広告士・点検の書き方
192社の中で、ほかの項目に触れていた会社の数です。
- 屋外広告士:8社(4.2%)。登録に触れた11社では3社
- 業務主任者:1社
- 看板の点検・安全点検:7社(3.6%)
- デジタルサイネージ・LEDビジョン:22社(11.5%)
屋外広告士は業務主任者になれる資格の1つですが、サイトで資格者がいることを書いている会社は少数でした。
どんな業種の会社か
192社を、しょくばログの業種分類(日本標準産業分類の大分類)で見ると次のとおりです。
- 分類不能:62社
- 建設業:41社
- 製造業:39社
- 学術研究、専門・技術サービス業(広告業を含む):22社
- その他:28社
看板の会社は、建設業・製造業・広告業のどこに入るかが会社によってばらつきます。業種分類の見方は会社の業種を調べる方法で解説しています。
所在地は東京都43社、大阪府17社、愛知県12社、神奈川県10社の順でした。登録に触れた11社でも、東京都が5社で最多です。
社名に「看板」を含む会社は7割が有限会社
しょくばログの法人データ(国税庁の法人番号データ)で、社名に「看板」を含む会社(株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社)を数えました。
- 社名に「看板」を含む会社:443社
- 閉鎖済み:56社(12.6%)
- 現存387社のうち有限会社:271社(70.0%)
- 現存387社のうち株式会社:94社(24.3%)
会社全体では、現存する会社に占める有限会社の割合は32.0%です。社名に「看板」を含む会社は、その2倍以上の割合で有限会社でした。2006年の会社法施行で有限会社を新しく作れなくなっているので、古くから続く地域の看板店が多いと考えられます。有限会社の見方は有限会社に就職するときの見方で整理しています。
比べるために、社名に「サイン」「広告」を含む会社も数えました。
- 「サイン」:1,349社、閉鎖14.2%、現存1,157社のうち有限会社33.7%
- 「広告」:1,685社、閉鎖19.2%、現存1,361社のうち有限会社35.2%
「サイン」「広告」は、看板に限らずデザインや広告代理の会社も含むため、有限会社の割合は会社全体(32.0%)に近くなります。社名だけで業態は決まらないので、あくまで傾向として見てください。
看板を頼むとき・取引するときに見ておきたいこと
看板の発注や、看板会社との取引を検討するときは、次の順に確かめると漏れが少なくなります。
- 看板を出す場所の自治体で登録しているか:本社所在地ではなく、設置場所の自治体の名簿を見る
- 有効期限が切れていないか:登録は5年ごと。名簿の有効期限欄で確かめる
- 看板そのものに許可が要るか:業者の登録とは別。業者が申請を代行するのか、だれが申請するのかを決めておく
- 取り付け工事の規模:工事の内容によっては建設業許可も関係する。解体工事業の登録の記事や電気工事業の登録の記事と同じく、業種ごとの登録と建設業許可は別に確かめる
- 設置後の点検:大きな看板は落下の危険があるため、点検をだれが担うのかを契約で決めておく
よくある質問
屋外広告業の登録番号はどこで確かめられますか?
登録先の自治体が公開している登録業者名簿で確かめられます。東京都は都市整備局のサイトとオープンデータカタログサイト、大阪府は府のサイトでPDFとExcelの名簿を公開しています。会社が番号を書いていれば、その番号を名簿と照らし合わせます。
屋外広告業の登録は全国で共通ですか?
共通ではありません。屋外広告物法9条にもとづき、都道府県・指定都市・中核市がそれぞれ条例で定めています。営業する自治体ごとに登録が要り、府県の登録で市の登録を代えられる「特例届出」の有無も自治体によって違います。
登録の有効期間はどのくらいですか?
屋外広告物法10条で、条例に定める有効期間は5年とされています。5年ごとに更新しないと登録は切れます。名簿に有効期限が載っている自治体なら、そこで確かめられます。
看板の会社のサイトに登録のことが書いていなければ、無登録ですか?
そうとは限りません。しょくばログの集計では、看板の製作・施工に触れる192社のうち、登録に触れていたのは11社(5.7%)だけでした。書いていないだけの会社が多いと考えられるので、自治体の名簿で確かめるのが確実です。
屋外広告業の登録と、看板の設置許可は同じですか?
別のものです。屋外広告業の登録は看板を請け負う会社が受けるもので、看板の設置許可は個々の看板を出すときに受けるものです(屋外広告物法4条にもとづく条例)。業者が登録していても、看板ごとの許可が必要な場合があります。
データについて
- 会社サイトの集計:しょくばログが保存している会社の公式サイトの文章(31,159社、文字化けが0.5%を超えるものは除外)を、2026年10月2日に集計しました。キーワードの出現で数えているため、サイトに書いてあっても保存していないページにある場合は数えていません。登録に触れた11社の書き方は、該当部分を目で確かめて分類しました
- 社名の集計:国税庁の法人番号公表データをもとにした、しょくばログの法人データベースで、株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社を対象に数えました
- 条文:屋外広告物法2条・4条・9条・10条・27条を、e-Gov法令検索のAPIで確認しました
- 自治体の運用:東京都都市整備局・大阪府の公式サイトの案内(登録業者名簿の公開形式、特例届出の対象市、無登録営業の罰則)を参照しました。自治体ごとに条例が違うため、実際の手続は営業する自治体の案内で確かめてください