✍ 古家あきら | 2026-10-02 更新

LPガス販売事業者の登録を調べる方法 — 液石法の登録と、会社サイトに「販売事業者証」を載せていた割合(149社中22%)

先に結論です。LPガス(プロパンガス)を一般の家庭や店に売る会社は、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(液石法)3条にもとづいて、液化石油ガス販売事業者の登録を受けなければなりません。

登録先は、販売所をどこに置くかで決まります。

確かめ方は主に2つです。

では、会社のサイトには実際どこまで書いてあるのか。しょくばログという会社データベースを運営していると、業種をまたいで会社の公式サイトを読むことが多いのですが、保存している31,159社のサイトを数えたところ、LPガスの販売・供給に触れていたのは149社でした。そのうち登録や「液化石油ガス販売事業者証」に触れていたのは33社(22.1%)。残りの116社のサイトからは、登録の有無を読み取れませんでした。

この記事では、登録の仕組みと確かめ方を条文に沿って整理したうえで、会社サイトの書き方と、社名に「プロパン」「燃料」を含む会社の特徴をしょくばログのデータで見ていきます。

LPガス販売事業者の「登録」とは(液石法の仕組み)

一般消費者に売るなら登録が要る

液石法でいう「液化石油ガス販売事業」は、液化石油ガスを一般消費者等に販売する事業のことです(2条3項)。ここでいう一般消費者等は、ガスを燃料として生活に使う人などで、自動車用の燃料は除かれています(2条2項)。ボンベを家に置いて配管でガスを送る、いわゆるプロパンガスの家庭向け供給がその代表です。

この事業を始める会社は、液石法3条で登録を受けなければなりません。申請書には次のようなことを書きます(3条2項)。

行政庁は、申請があれば登録を拒む理由がない限り、名称・販売所・登録年月日・登録番号を登録簿に載せます(3条の2)。液石法などに違反して罰金以上の刑を受けてから2年たっていない、登録を取り消されてから2年たっていない、といった場合は登録を拒まれます(4条)。

登録先は「販売所がどこにあるか」で変わる

冒頭のとおり、登録先は知事・指定都市の長・経済産業大臣のどれかです。会社の本店がどこかではなく、販売所を置く範囲で決まる点に注意してください。

販売所を増やしたり減らしたりして範囲が変わると、新しい登録先で登録を受け、もとの登録先に届け出ることになっています(6条)。会社サイトでは、大臣の登録を「○○経済産業局長」「関東経済産業局・関東東北産業保安監督部」のように書いている例が見られました。

販売所ごとに「業務主任者」を置く

液石法19条で、販売事業者は販売所ごとに「液化石油ガス業務主任者」を選び、登録先に届け出なければなりません。業務主任者になれるのは、高圧ガス保安法の販売主任者免状を持ち、LPガスの販売の経験がある人です。

保安業務は「保安機関」に任せることもできる

販売事業者には、契約した家庭や店の設備の点検・調査、ガス漏れの通報を受けたときの緊急対応などの「保安業務」を行う義務があります(27条)。これを自社でやるか、認定を受けた「保安機関」に委託するかを選べます。

ここで制度が2つに分かれます。

会社サイトで「保安機関認定」と「販売事業者登録」が並んで書かれているのは、この2つが別の手続きだからです。

契約したら書面が届く

一般消費者等と販売契約を結んだら、販売事業者は遅滞なく書面を渡さなければなりません(14条)。書面には、ガスの種類、引渡しの方法、設備の管理の方法、保安業務を行う保安機関の名称などが載ります。手元にこの書面があれば、どの会社から買っていて、だれが保安を受け持っているかがわかります。

登録は取り消されることもある

業務主任者を置かない、保安業務をしない、行政庁の命令に従わない、といった場合、登録は取り消されたり、事業の停止を命じられたりすることがあります(26条)。事業をやめたときは廃止の届出が必要で(23条)、合併や事業の全部譲渡では、承継した会社が販売事業者の地位を引き継ぎます(10条)。

LPガス販売事業者の登録を調べる方法

1. 会社の標識(液化石油ガス販売事業者証)を見る

いちばん手早いのは、会社の標識を見ることです。液石法7条1項で、販売事業者は決められた様式の標識を販売所ごとに見やすい場所へ掲示し、事業規模が著しく小さい場合などを除いて、インターネットでも公開することになっています。

しょくばログが保存している会社サイトでも、「液化石油ガス販売事業者証」という見出しで、登録番号・登録年月日・名称を並べているページが多く見られました。会社概要やフッターに「液化石油ガス販売事業者証」のリンクがあり、PDFや画像で載せている会社もあります。

標識には次のようなことが書かれています。

なお7条2項で、販売事業者でない者が標識やこれに似た標識を掲示・公開することは禁じられています。

2. 登録先に登録簿の閲覧を請求する

標識が見つからない、内容が本当か確かめたい、というときは、登録先の行政庁に登録簿の閲覧や謄本の交付を請求できます(3条の2第3項)。請求できるのは「何人も」と書かれているので、取引先やお客さんでもかまいません。手数料がかかります(86条)。

どこに請求するかは、販売所の場所で決まります。販売所が1つの都道府県の中だけなら都道府県、指定都市の中だけなら市、複数の都道府県にまたがるなら経済産業大臣の登録で、会社サイトの標識には経済産業局や産業保安監督部の名前が書かれています。まず会社サイトの標識で、登録先がどこかを見るとよいでしょう。

3. 契約書面で、販売事業者と保安機関の名前を見る

すでにLPガスを使っている家庭や店なら、14条の書面を見るのが確実です。販売事業者の名前と、保安業務を受け持つ保安機関の名前が書かれています。賃貸住宅で大家さんや管理会社がガス会社を決めている場合も、契約の書面などで会社名を確かめられます。

4. 処分歴や会社そのものも確かめる

登録があっても、過去に処分を受けているかは別に調べます。処分の公表先は業種ごとにばらばらなので、会社の行政処分を調べる方法にまとめています。LPガス以外の許認可も合わせて確かめたいときは、会社の許認可を調べる方法が入口になります。

会社サイトには、どこまで書いてあるのか(しょくばログの集計)

ここからは、しょくばログが保存している会社公式サイトの文章で数えた結果です。文字化けの多いものを除いた31,159社が対象です。

LPガスに触れる会社は378社、販売・供給の文脈は149社

「LPガス」「LPG」「プロパン」「液化石油ガス」のどれかが出てくる会社は378社(1.21%)でした。ただ、この中には「オール電化への切り替え」や「LPガス車」のように、売る側ではない話も混ざります。

そこで、LPガスの言葉のすぐあとに「販売」「供給」「配送」「充填」「保安」「小売」が続く会社にしぼると149社(0.48%)になりました。以下はこの149社の数字です。

登録・事業者証に触れていたのは33社(22.1%)

149社のうち、「液化石油ガス販売事業者」「販売事業者登録」などの言葉で登録に触れていたのは33社(22.1%)でした。

33社の書き方を見ると、ほぼ全部(32社)が「液化石油ガス販売事業者証」「販売事業者標識」の形で載せていました。7条の標識をそのままサイトに出す書き方が主流です。

ただし、文章の中に登録番号まで読み取れたのは11社でした。

番号が読み取れない会社の多くは、事業者証を画像やPDFで載せているとみられます。サイトの文章を検索しても番号が出てこないときは、「液化石油ガス販売事業者証」のリンクを探して開いてみてください。

お知らせ欄に「液化石油ガス販売事業者証を掲載しました」といった2023年以降の日付の記載がある会社も3社ありました。また、登録年月日として「平成9年4月1日」を書いている会社が複数ありました。

保安機関・設備士・料金の書き方

同じ149社で、ほかの言葉に触れていた会社の数です。

業務主任者は19条で必ず置くものですが、サイトに書いている会社はほとんどありません。サイトに書いていないことは、置いていないことを意味しません。

料金の言葉は、登録に触れていた33社では10社に出てきました。登録をきちんと載せている会社ほど、料金の情報も出している傾向が見えます。ただ数が少ないので、傾向として読むのにとどめてください。

どんな業種の会社か

149社の業種(日本標準産業分類の大分類)は次のとおりでした。

LPガスの販売は、燃料の卸・小売、都市ガス会社の兼業、住宅設備の工事会社など、いろいろな業種の会社が手がけています。登録に触れていた33社に限ると、電気・ガス・熱供給・水道業が11社、卸売業・小売業が7社でした。法人種別は株式会社が32社、その他の法人が1社です。

本社の所在地は、東京都18社、愛知県16社、大阪府9社、新潟県・山形県・神奈川県が各7社でした。

社名に「プロパン」「燃料」を含む会社

次は、国税庁の法人番号公表サイトのデータをもとにした、しょくばログの法人DBで数えた結果です。会社(株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社)に限っています。

「プロパン」の会社は6割が有限会社

社名に「プロパン」を含む会社は913社ありました。

会社全体では、登記閉鎖の割合が13.5%、現存会社に占める有限会社の割合が32.0%です。「プロパン」の会社は、どちらも全体より高くなっています。

有限会社は2006年の会社法施行で新しく作れなくなったので、有限会社の割合が高いということは、それより前からある会社が多いということです。有限会社の見方は有限会社に就職するのは不利なのかでくわしく書いています。

現存753社の所在地は、福岡県66社、神奈川県42社、北海道33社、宮崎県32社、熊本県30社の順でした。九州が上位に多く入っています。

「燃料」の会社も有限会社が56%

社名に「燃料」を含む会社は1,607社で、登記閉鎖は258社(16.1%)、現存1,349社のうち有限会社が754社(55.9%)でした。現存の所在地は北海道が175社でいちばん多く、東京都133社が続きます。

燃料の小売では、ガソリンスタンドの倒産・廃業が続いていることをガソリンスタンドの倒産・廃業の記事で取り上げました。LPガスを扱う会社も、同じ燃料小売の流れの中にあります。

「ガス」だけで数えると性格が変わる

社名に「ガス」を含む会社は3,975社で、登記閉鎖は702社(17.7%)でした。ただ現存3,273社のうち有限会社は957社(29.2%)で、全体の32.0%とほぼ変わりません。「ガス」には都市ガス、高圧ガス、溶接用ガスなどを扱う会社も入るため、「プロパン」の会社とは顔ぶれが違うとみられます。

注意点として、法人DBの登記閉鎖は、休眠会社の一斉整理などで一度にまとまって起きることがあります。ここで使っているのは、ある時点での閉鎖の割合だけです。

LPガスの会社を選ぶとき・取引するときに見ておきたいこと

ここまでの内容を、確かめる順番にまとめます。

同じ「インフラ系の工事・供給」の確認方法は、水道の指定業者を確認する方法や電気工事業登録を調べる方法にもまとめています。ガス・水道・電気で、それぞれ登録や指定の仕組みが違います。

よくある質問

LPガス販売事業者の登録番号はどこで見られますか?

まず会社サイトの「液化石油ガス販売事業者証」を探してください。液石法7条で、標識は販売所に掲示し、事業規模が著しく小さい場合などを除いてインターネットでも公開することになっています。しょくばログの集計では、登録に触れていた33社のうち32社が事業者証の形で載せていましたが、番号を文章で読み取れたのは11社で、画像やPDFで載せている会社もあります。

LPガス販売事業者の一覧はありますか?

液石法3条の2第3項で、だれでも登録をした行政庁に登録簿の閲覧や謄本の交付を請求できます。登録先は販売所の場所によって都道府県知事・指定都市の長・経済産業大臣に分かれるので、知りたい会社の登録先に請求します。手数料がかかります。

登録は知事と経済産業大臣のどちらですか?

販売所の範囲で決まります。1つの都道府県の中だけなら知事、1つの指定都市の中だけならその市の長、2つ以上の都道府県にまたがるなら経済産業大臣です(液石法3条1項)。本店の場所ではなく、販売所を置く範囲で決まります。

LPガス販売事業者の登録に更新はありますか?

液石法の条文上、販売事業者の登録には更新の定めは見当たりません。更新が必要なのは、保安業務を行う保安機関の認定のほうで、5年以上10年以内で政令が定める期間ごとに更新を受けます(32条)。会社サイトで登録と保安機関の認定が別々に書かれているのはこのためです。

登録しているかどうかサイトに書いていない会社は大丈夫ですか?

サイトに書いていないことは、登録していないことを意味しません。しょくばログの集計では、LPガスの販売・供給に触れる149社のうち、登録や事業者証に触れていたのは33社(22.1%)でした。気になるときは、会社に登録番号を聞くか、登録先に登録簿の閲覧を請求して確かめてください。

データについて

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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