✍ 古家あきら | 2026-10-02 更新

水道の指定業者を確認する方法 — 指定給水装置工事事業者とは何か。会社サイトで水道工事に触れる535社のうち、「指定」を書いていたのは20%

先に結論です。水道の「指定業者」とは、水道法16条の2にもとづいて、水道事業者(市町村の水道局や企業団など)が「この会社なら給水装置工事を適正にできる」と指定した会社、つまり「指定給水装置工事事業者」のことです。

押さえておきたい点は3つです。

確かめ方は、工事をする場所の水道局が公開している指定給水装置工事事業者の一覧を見ることです。水道法25条の3第2項で、水道事業者は指定をしたら「一般に周知させる措置」をとらなければならないと決まっています。

一方で、会社のサイトにはどこまで書いてあるのか。しょくばログという会社データベースを運営していると、業種をまたいで会社の公式サイトの文章を読む機会が多いのですが、保存している31,159社のサイトを数えたところ、水道工事や給水装置に触れていたのは535社でした。そのうち指定給水装置工事事業者(水道局指定)であることを書いていたのは107社(20.0%)、指定番号まで書いていたのはそのうち50社(46.7%)です。

「指定業者」とは何か(水道法の仕組み)

給水装置工事は、指定業者か水道局しかできない

道路の下の配水管から分かれて家や建物に水を引く給水管と、そこにつながる蛇口などの給水用具をまとめて「給水装置」と呼びます。これを新しく付けたり、配管を変えたりする工事が「給水装置工事」です。

水道法16条の2では、水道事業者は指定をしたうえで、供給規程(水道の利用ルール)によって「給水装置が水道事業者か指定給水装置工事事業者の施工したものであること」を水を供給する条件にできる、と決まっています。さらに同じ条の3項で、指定業者以外が施工した給水装置については、給水契約の申込みを拒んだり、給水を止めたりできるとされています。

つまり、「指定業者以外に頼むと何が困るのか」という問いの答えは、水道局が水を出してくれない、あるいは止められることがありうるということです。

指定業者でなくてもできる「軽微な変更」

ただし、すべての作業に指定が要るわけではありません。水道法16条の2第3項のただし書きと、水道法施行規則13条で、次のものは「給水装置の軽微な変更」として除かれています。

蛇口のパッキン交換のような作業は、指定業者でなくても扱えます。配管をいじる工事になると、指定業者の出番です。

指定の条件は「主任技術者」と「機械器具」

指定を受ける条件は水道法25条の3に並んでいます。主なものは次の3つです。

主任技術者は、工事の技術上の管理や、配管が基準に合っているかの確認をする役です(25条の4)。水道局が給水装置の検査をするときには、主任技術者の立ち会いを求められることもあります(25条の9)。

2018年の改正で、5年ごとの更新制になった

以前は、一度指定を受ければ期限はありませんでした。平成30年の水道法改正(平成30年法律第92号)で更新制が入り、いまは5年ごとに更新を受けないと指定が切れます(25条の3の2)。改正法の附則3条で、すでに指定を受けていた業者の最初の更新時期についての経過措置も置かれています。

更新制が入る前は、廃業していたり、主任技術者がいなくなっていたりする業者が名簿に残ったままになる、ということが起こりえました。更新制では、更新のたびに主任技術者や機械器具などの条件を満たしているかが改めて見られます(25条の3の2第4項で指定の基準を準用)。

指定は取り消されることもある

水道法25条の11では、主任技術者を置かなくなった、届出をしなかった、施工した工事が水道施設に障害を与えるおそれが大きい、不正な手段で指定を受けた、などの場合に、水道事業者は指定を取り消せると決まっています。

水道の指定業者を確認する方法

1. 工事をする場所の水道局の一覧を見る

指定は水道事業者ごとなので、全国共通の検索システムはありません。「(市町村名) 指定給水装置工事事業者」で検索すると、水道局(上下水道局・企業団など)のページが出てきます。一覧の形(PDF、検索ページ、窓口での閲覧など)は水道局によって違います。

見るときは次の点を確かめます。

2. 業者に指定番号を聞く

見積もりの段階で「どこの水道局の指定で、指定番号は何番ですか」と聞けば、指定を受けている業者ならすぐに答えられます。聞いた番号を、水道局の一覧で照らし合わせてください。

あとで紹介するとおり、会社のサイトでも番号まで書いている会社は少数派です。サイトに書いていないからといって指定がないとは限らないので、聞いて確かめるのがいちばん早い方法です。

3. 下水道は別の「指定」がある

台所や風呂、トイレの排水を下水道につなぐ「排水設備」の工事は、水道法の指定とは別に、自治体の下水道の条例による「指定排水設備工事事業者(指定工事店)」の制度で扱われています。水道(給水)の指定と下水道(排水)の指定は別物なので、排水管の工事を頼むなら、下水道側の指定も確認します。

4. 処分歴や会社の実在も確かめる

指定があっても、会社そのものに問題がないとは限りません。行政処分の調べ方は会社の行政処分を調べる方法に、会社が実際に存在して活動しているかの見分け方は幽霊会社の見分け方にまとめています。業種ごとの許認可の調べ方全体は会社の許認可を調べる方法が入口です。

会社サイトには、どこまで書いてあるのか(しょくばログの集計)

ここからは、しょくばログが保存している会社公式サイトの文章(文字化けの多いものを除いた31,159社)を数えた結果です。「給水装置」「水道工事」「給水工事」「水道局指定」「水道修理」「上下水道工事」のいずれかに触れていた会社は535社(1.72%)でした。

この535社には、水道工事を主な仕事にしている設備会社だけでなく、「空調・電気・給排水」のように事業の一つとして挙げている会社も含みます。業種(日本標準産業分類の大分類)で見ると、建設業が305社(57.0%)、製造業が67社でした。

「指定」の書き方

水道工事に触れている会社の5社に4社は、水道局の指定について何も書いていません。 書いていた107社でも、番号まで出しているのは半分弱でした。

指定を書いていた107社から無作為に25社を選んで前後の文章を読むと、25社すべてが自社の指定についての記載でした。そのうち8社は、2つ以上の市町村の名前を並べて指定を書いていました(「○○市指定給水装置工事事業者 第○号、△△町 第○号……」のような形)。指定が水道局ごとであることが、サイトの書き方にもそのまま表れています。

主任技術者と管工事

主任技術者は指定を受けるための条件なので、資格者がいることを書いている会社は、指定を受けている可能性が高いと読めます。ただ、サイトの文章だけでは指定の有無は決まらないので、最後は水道局の一覧で確かめてください。

「水漏れ」「つまり」と料金の書き方

水漏れやつまりの修理をうたう会社のほうが、水道工事全体より指定を書く割合はやや高めでした。一方で、料金の目安をサイトに出している会社は535社中11社しかありません。修理を頼むときは、作業前に見積もりを出してもらうのが前提になります。

所在地

535社の所在地は、東京都58社、愛知県38社、神奈川県36社、大阪府33社、新潟県28社、岩手県24社の順でした。指定を書いていた107社では、神奈川県14社、愛知県11社、東京都9社、大阪府8社の順です。

社名に「水道」を含む会社

サイトとは別に、法人DB(国税庁の法人番号データがもと)で、社名に「水道」を含む会社(株式・有限・合名・合資・合同)を数えると2,855社、そのうち登記が閉鎖されているのは355社(12.4%)でした。DBの会社全体の閉鎖率13.5%とほぼ同じ水準です。

現存している2,500社の内訳は、有限会社1,343社(53.7%)、株式会社1,080社(43.2%)、合同会社42社などです。DBの会社全体で現存している4,460,963社のうち有限会社は1,429,550社(32.0%)なので、水道の社名では有限会社の割合が全体より大きく高いことになります。

有限会社は2006年の会社法施行以降は新しく作れないので、現存する有限会社はすべて設立から20年以上たっています。地域で長く続いている家業型の水道屋さんが多いことが、この数字からも読めます。同じ傾向は解体工事業登録の記事で見た「解体」の社名(有限会社50.5%)にもありました。有限会社という形の読み方は有限会社に就職するのは不利なのかで書いています。

現存会社の所在地は、大阪府209社、埼玉県182社、千葉県173社、東京都158社、愛知県143社の順でした。社名には水道と関係の薄い会社も混じりうるので、これは「指定業者の数」ではなく「水道という社名の会社の傾向」として見てください。

水道業者を選ぶときに見ておきたいこと

最後に、工事や修理を頼む側の目線でまとめます。

工事の金額が大きい場合は建設業許可も関係します。建設業許可が要る線についてはリフォーム会社に建設業許可は必要かで書きました。同じように設備工事の許認可を扱った記事に電気工事業の登録を調べる方法があります。

よくある質問

水道の指定業者とは何ですか?

水道法16条の2にもとづいて、水道事業者(市町村の水道局など)が「給水装置工事を適正にできる」と認めて指定した会社のことで、正式には「指定給水装置工事事業者」といいます。事業所ごとに給水装置工事主任技術者を置き、必要な機械器具を持っていることが指定の条件です。指定は水道局ごとで、5年ごとに更新が要ります。

指定業者以外に水道工事を頼むとどうなりますか?

配管を伴う給水装置工事を指定業者以外が施工した場合、水道事業者は供給規程にもとづいて給水契約の申込みを拒んだり、給水を止めたりできます(水道法16条の2第3項)。ただし、単独水栓の取替えや補修、こま・パッキンなど末端の部品の取替え(配管を伴わないもの)は「軽微な変更」として除かれています。

指定給水装置工事事業者の一覧はどこで見られますか?

工事をする場所の水道局のサイトなどで調べます。水道事業者は指定をしたときに一般に周知させる措置をとるよう水道法25条の3第2項で決まっていますが、全国共通の検索はありません。「(市町村名) 指定給水装置工事事業者」で検索するか、水道局の窓口に問い合わせてください。

隣の市の指定業者に頼んでも大丈夫ですか?

指定は水道事業者ごとなので、工事をする場所の水道局の指定を受けていなければ、その場所では指定業者として扱われません。しょくばログの集計でも、指定を書いていた会社の一部は複数の市町村の指定を並べていました。頼む前に、工事場所の水道局の一覧に載っているかを確かめてください。

指定業者なら料金も安心ですか?

指定は工事の技術や体制についての制度で、料金が適正かどうかを水道局が保証するものではありません。今回数えた535社のうち、料金の目安をサイトに出していたのは11社でした。作業を始める前に見積もりを出してもらい、内容と金額を確認してから頼むのが確実です。

データについて

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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