✍ 古家あきら | 2026-10-05 更新

「女性社長」が72万人を超え、初めて70万人台に──女性社長率トップの沖縄県は、しょくばログの台帳で合同会社の比率も全国1位だった

先に結論です。東京商工リサーチの調査で、2026年の女性社長は72万132人になり、初めて70万人を超えました。 前年より5.1%増え、社長全体に占める女性の割合(女性社長率)は15.8%です。2010年の21万2,153人から、16年で約3.4倍になりました。

都道府県別の女性社長率は、沖縄県が20.8%で1位、茨城県が18.1%で2位、最も低いのは新潟県の10.1%です。

しょくばログという会社データベースを運営していると、この「沖縄県」という名前に別の数字で見覚えがあります。台帳で活動中の会社を法人の種類ごとに数えると、沖縄県は合同会社の比率が15.7%で、47都道府県で最も高いのです。全国平均は8.3%です。

この記事では、調査の中身を押さえたうえで、しょくばログの台帳で見える数字を並べます。ただし、台帳には社長の性別の情報がありません。ここでの数字は「女性社長が多い理由」を示すものではなく、同じ地域・同じ規模の会社を調べるときの手がかりとして読んでください。

出典:「女性社長」72万132人、初めて70万人突破 16年間で3.4倍増、女性社長率トップは沖縄県(東京商工リサーチ・2026年10月5日)

調査で分かったこと

東京商工リサーチが約450万社の企業データから女性社長を抜き出して集計した、15回目の調査です。病院や生協の理事長も含みます。主な数字は次のとおりです。

人数は増え続けていますが、会社の規模で見ると小さな会社が大半です。年齢では60代以上が6割を超えています。

しょくばログの台帳で見ると

しょくばログの台帳は、国税庁の法人番号公表サイトの全件をもとにしています。この記事を書いた時点で、除外対象を除いた法人は累計575万1,223社、うち活動中が498万8,967社、閉鎖が76万2,256社(閉鎖率13.3%)です。

沖縄県は合同会社の比率が全国1位

活動中の会社を法人の種類で分けると、全国では株式会社が50.4%、有限会社が28.6%、合同会社が8.3%です。都道府県別に合同会社の比率を並べると、上位と下位は次のようになりました。

合同会社は2006年に始まった新しい会社の形で、設立の費用が株式会社より安く、1人でも作れます。合同会社が多いということは、比較的新しく、小さく始めた会社が多い地域だと読めます。女性社長率1位の沖縄県が合同会社の比率でも1位で、女性社長率最下位の新潟県が合同会社の比率では下から3番目でした。

ただし、これは2つの数字が同じ方向を向いているというだけです。合同会社の社長が女性かどうかは台帳では分かりません。女性社長率2位の茨城県は、合同会社の比率が7.7%で全国10位と、平均より少し低い水準です。

合同会社に勤める側の見え方は合同会社に入社するのは不利なのかにまとめています。

沖縄県は閉鎖率も低い

同じ台帳で、各県の閉鎖率(累計の法人のうち登記が閉じた割合)は、沖縄県が9.0%、茨城県が13.1%、新潟県が15.4%、東京都が14.2%でした。全国は13.3%です。

沖縄県は、新しく設立される会社の比率が高い分、閉じた会社の比率が相対的に低く見えている可能性があります。閉鎖率を年ごとに比べると休眠会社の一斉整理で数字が跳ねるため、ここでは今の時点の割合だけを示しています。

小さな会社ほど、外から見えるデータが少ない

女性社長の会社の68.1%は従業員5人未満です。この規模の会社を外から調べるときに知っておきたいのが、公開データの偏りです。

しょくばログの台帳で、経済産業省のgBizINFOから従業員数が分かる活動中の会社は14万4,755社でした。活動中の会社全体の2.9%にあたります。しかも、その中身は次のとおりです。

従業員数が公開データに載っている会社は、補助金の採択や国の認定などで情報が登録された会社が中心で、規模の大きい側に偏ります。5人未満の会社は、実際には会社全体の多数を占めるのに、公開データでは1割強しか見えません。

つまり、女性社長の会社の大半にあたる小さな会社は、データベースで「従業員数」や「売上」を調べても空欄になりやすい、ということです。空欄は「問題がある会社」という意味ではありません。

応募者・取引先が確かめたいこと

1. 社長の名前は登記と会社のサイトで確かめる

社長が誰かは、登記事項証明書の「代表取締役」や「代表社員」の欄で確かめられます。会社のサイトの会社概要に載っていることも多いです。調べ方は会社の代表者を調べる3つの方法で説明しています。

2. 社長の年齢と後継ぎの話を聞く

女性社長の平均年齢は65.2歳で、60代以上が6割を超えます。これは男性社長も含めた社長全体の高齢化と同じ流れです。小さな会社ほど、社長が引退したあとの体制が会社の先行きを左右します。社長の年齢を外から調べるときの限界は社長の年齢は外から調べられるかにまとめています。面接や商談で「この先の体制」を聞くのは失礼なことではありません。

3. 「女性が活躍できる職場か」は社長の性別だけで決めない

社長が女性であることと、女性が働きやすい制度があることは別の話です。育休の取得率や女性管理職の比率は、公表が義務づけられている会社とそうでない会社があります。確かめ方は会社の育休取得率・女性管理職比率を調べる方法で説明しています。

4. 小さな会社は、数字より「直接聞く」を優先する

従業員5人未満の会社は、公開データに数字がほとんど載りません。応募するなら、人数・勤務時間・休みの取り方を面接で直接聞くのが確実です。取引先なら、法人番号で実在を確かめたうえで、支払い条件を書面でそろえておくと安心です。実在の確かめ方は会社の実在と倒産の確かめ方にあります。

5. 有限会社の比率も見ておく

全国の活動中の会社の28.6%は有限会社で、2006年より前に作られた会社です。業歴の長い小さな会社が多い地域や業界では、有限会社の比率が高くなります。有限会社で働くことの見え方は有限会社に就職するのは不利なのかを参考にしてください。

よくある質問

Q. しょくばログで、社長が女性の会社を絞り込めますか。

できません。しょくばログの台帳の元になっている国税庁のデータには、代表者の名前も性別も含まれていません。社長の名前は登記事項証明書や会社のサイトで確かめてください。名前から性別を推し量ることもしていません。

Q. 沖縄県は合同会社が多いから女性社長が多い、ということですか。

そこまでは言えません。2つの数字が同じ県で1位だったというだけで、合同会社の社長の性別は台帳では分かりません。女性社長率2位の茨城県は合同会社の比率が全国10位で、必ずしも同じ並びにはなっていません。

Q. 従業員数が空欄の会社は、避けたほうがいいですか。

避ける理由にはなりません。公開データで従業員数が分かる会社は、活動中の会社の2.9%だけです。小さな会社ほど空欄になりやすいので、面接や商談で直接聞くのが確実です。

Q. 不動産業で女性社長率が高いのはなぜですか。

調査では理由までは示されていません。不動産業には、家族が持つアパートや土地を管理するための小さな会社も多く含まれます。数字を読むときは、会社の規模や事業の中身もあわせて見てください。

まとめ

しょくばログでは、全国の会社を法人番号で調べられます。気になる会社があれば、まず法人番号と所在地で照合してから、ここで書いた点を確かめてみてください。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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