✍ 古家あきら | 2026-10-04 更新

ホームセンター業界で再編が進む、キーワードは「1兆円」。大手3社はいずれも売上4,000億円台で、48社の最終利益は3年で27.4%減──しょくばログDBで見る社名に「ホームセンター」を持つ法人134社

先に結論です。ホームセンター業界では、売上高1兆円をめざす統合や提携が相次いでいます。 東京商工リサーチ(TSR)が2026年10月4日に公表した分析によると、業界には売上高1兆円の会社がまだありません。上位3社のカインズ(4,852億円)、コーナン商事(4,404億円)、DCM(4,203億円)は、いずれも4,000億円台です(2025年度・単体)。

TSRが比べた48社では、売上の伸びが前年比プラスマイナス5%以内に収まった会社が85.4%を占めました。最終利益は2022年度の1,108億5,200万円から、2025年度は803億8,600万円へと27.4%減っています。売上が伸びないなかで利益が削られている。それが、大手が規模を求める背景です。

しょくばログという会社データベースを運営していると、こうした業界再編のニュースのあとに「取引先の社名が変わった」「同じ名前の会社がいくつも出てくる」という場面が増えます。この記事は、特定の会社の経営を評価するものではありません。再編が進む業界で、取引先・働く人・応募する人が何を確かめておけばよいかを、台帳の数字とあわせて書きます。

出典:再編が進むホームセンター、キーワードは「1兆円」~統合や提携、共同購買やPB商品の取り組み~(東京商工リサーチ・2026年10月4日)

報道で確認できる事実

TSRの分析から、数字と動きを抜き出します。

TSRは、市場が伸び悩むなかで1兆円企業をめざす動きが活発になってきたとまとめています。

しょくばログの台帳で見ると

しょくばログは、国税庁の法人番号公表サイトのデータをもとに全国の法人を収録しています。大手のホームセンターは「カインズ」「コメリ」のように社名に業種名を入れていないことが多いため、ここで数えるのは社名に「ホームセンター」を含む法人です。大手ではなく、地域で店を構えてきた会社の姿に近い数字になります。

社名に「ホームセンター」を持つ法人は、活動中134社

台帳に載っている、社名に「ホームセンター」を含む法人は、これまでの累計で164社でした。そのうち活動中が134社、すでに登記が閉じているのが30社です。閉鎖の割合は18.3%で、台帳の全法人(累計約575万社)の13.3%より高くなっています。

活動中の134社を会社の種類で分けると、有限会社が73社(54.5%)、株式会社が59社(44.0%)でした。有限会社は2006年の会社法施行以降は新しく作れないため、半分以上が2006年より前からある会社ということになります。地域の店を長く続けてきた会社が多い業態だと読めます。

所在地は37の都道府県に分かれていました。多いのは東京都19社、北海道9社、大阪府9社、神奈川県8社、愛知県6社、長崎県6社です。インボイスの登録が確認できたのは64社(47.8%)でした。

閉じた30社のうち4社は「合併」

閉じた30社の閉じ方を見ると、清算の結了などが13社、登記官による閉鎖が12社、合併が4社、その他の清算結了などが1社でした。合併で閉じた法人は、相手の会社に吸収されて法人番号が使われなくなります。再編が進むと、この「合併で消える法人」が増えていきます。合併のあと請求書や契約の相手がどう変わるかは合併・買収のあと法人番号はどうなるかにまとめています。

同じ社名の法人がいくつもある

TSRの記事に出てくる会社名で台帳を引くと、まったく同じ社名の法人が複数、活動中で登録されています。

これは、それぞれの大手と関係がない会社がほとんどだと考えられます。社名は、本店の住所が違えば同じでも登記できるからです。社名だけで検索して見つかった会社を、そのまま取引先や応募先だと思い込むと、別の会社の情報を見てしまうことがあります。

取引先・働く人・応募する人が確かめたいこと

1. 取引先の社名ではなく、法人番号で押さえる

統合や提携が進むと、社名が変わったり、持株会社の下に入ったりします。社名は変わっても、法人番号は同じ会社であるかぎり変わりません。契約書や請求書に書かれた法人番号を控えておくと、名前が変わっても相手を間違えません。調べ方は法人番号の調べ方にあります。インボイスの登録番号から会社をたどる方法はインボイス登録番号の逆引きにまとめました。

2. 同じ社名の会社は、本店の住所で見分ける

上で見たように、同じ社名の法人は珍しくありません。会社の公式サイトに載っている本店所在地と、台帳の住所が一致するかを確かめてください。上場している会社かどうかは上場企業かどうかの確認方法で調べられます。

3. 納入する側は、共同仕入れの影響を見ておく

TSRが挙げた共同での仕入れやPB商品の相互供給は、仕入れる側にとっては原価を下げる取り組みです。ホームセンターに商品を納める中小の会社から見ると、取引の窓口や条件が見直されるきっかけになり得ます。取引先の決算の時期を押さえておくと、条件が変わりそうなタイミングを読みやすくなります。決算月の調べ方は会社の決算月の調べ方に書きました。

4. 働く人・応募する人は、どの会社に雇われるのかを確かめる

経営統合では、店の看板は同じでも雇い主の会社が変わることがあります。求人に応募するときは、店の名前ではなく、雇用契約を結ぶ会社の名前と法人番号を確かめておくと安心です。持株会社の仕組みについてはホールディングスとは何をする会社かで解説しています。

5. 小売の再編は、業種をまたいで起きている

同じ時期には、おもちゃの量販店でも大きな動きがありました。日本トイザらスの民事再生と事業譲渡の記事でも、台帳から見える業態の姿を整理しています。

よくある質問

Q. 社名に「ホームセンター」がつく法人の閉鎖率18.3%は高いのですか。

台帳の全法人の13.3%と比べると高めです。ただし、閉鎖の割合には何十年も前に閉じた会社も含まれます。最近になって閉鎖が増えたという意味ではありません。年ごとの推移は、休眠会社の一斉整理で数字が跳ねる年があるため、この記事では使っていません。

Q. カインズやコメリは、なぜこの134社に入っていないのですか。

社名に「ホームセンター」という言葉を含んでいないからです。この記事の134社は、社名にその言葉を入れて地域で店を営んできた会社の数です。大手を含む業界全体の数ではありません。

Q. 経営統合が決まったら、取引先の法人番号はすぐ変わりますか。

すぐには変わりません。統合の形によって変わります。持株会社の下に入るだけなら、元の会社の法人番号はそのまま残ります。合併で相手に吸収された場合は、吸収された側の法人が閉じ、存続する会社の法人番号に一本化されます。

Q. 同じ社名の会社がいくつも出てきたとき、どれが本物か分かりますか。

会社の公式サイトや有価証券報告書に載っている本店所在地と、台帳の住所を照らし合わせるのが確実です。社名だけでは判断しないでください。

まとめ

ホームセンター業界は、売上が伸び悩むなかで利益が3年で27.4%減り、大手が統合や提携で規模を求めています。しょくばログの台帳では、社名に「ホームセンター」を持つ活動中の法人は134社で、半分以上が有限会社でした。閉じた法人の中には合併で消えたものもあります。

再編が進むと、社名・看板・雇い主の会社が入れ替わります。取引先も、働く人も、応募する人も、名前ではなく法人番号と本店の住所で相手を確かめる。それが、業界が動くときにいちばん確実な守り方です。

※台帳の数字は、2026年10月4日時点でしょくばログが収録している国税庁の法人番号データに基づきます。社名に「ホームセンター」を含む法人を数えたもので、ホームセンター業を営む全ての会社を表すものではありません。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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