✍ 古家あきら | 2026-10-01 更新
日本トイザらスが民事再生を申請、負債132億円。店はドン・キホーテの運営会社へ。売上は1,943億円から752億円に。しょくばログDBで見る社名に「玩具・おもちゃ」を持つ法人399社、閉鎖率20.1%
先に結論です。日本トイザらス株式会社(川崎市幸区)が2026年10月1日、東京地裁に民事再生法の適用を申請しました。 負債は約132億2,600万円、債権者は1,159名です。店は通常どおり営業を続け、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)へ事業を譲渡する予定です。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「店が開いている」ことと「会社が元気である」ことは別の話だ、と感じる場面によく出会います。今回はまさにその形です。この記事では、報道で確かめられる事実を押さえたうえで、台帳から見える玩具の業界の姿と、取引先や働く人が確かめたいことを書きます。個別の会社を責める記事ではありません。
出典:日本トイザらス(株)が民事再生=負債132億2600万円(東京商工リサーチ・2026年10月1日)
出典:ドン・キホーテ、「トイザらス」日本事業買収を正式発表 10月末に全店取得へ(日本経済新聞・2026年10月1日)
何が起きたのか(報道で確認できる事実)
東京商工リサーチの発表で確かめられることを並べます。
- 日本トイザらスは1947年12月設立。本店は川崎市幸区
- 2026年7月時点で158店舗を展開していた
- 売上のピークは2007年1月期の約1,943億6,500万円
- 2019年1月期は約1,301億6,300万円、2025年12月期は約752億1,100万円
- 最終赤字は8期続いていた。少子化やネット通販との競争が響いた
- 10月1日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請。負債は約132億2,600万円、債権者は1,159名
- 三菱UFJ銀行からDIPファイナンス(手続き中の運転資金の融資)を受け、店は通常どおり営業する
- PPIHと事業譲渡の契約を結んでおり、裁判所の許可などを経て事業を譲る予定
日本経済新聞によると、PPIHは同じ日に日本事業の取得を正式に発表し、10月末に全店を引き継ぐ予定です。
ピークから見ると、売上は約4割の水準になりました。約19年かけて少しずつ縮んできた形です。
しょくばログの台帳で見えること
ここからは、国税庁の法人番号データをもとにしたしょくばログの台帳で見た数字です(2026年10月1日時点)。
本体は台帳ではまだ「活動中」
日本トイザらス株式会社は、台帳では閉鎖の登記はなく「活動中」の表示です。民事再生は会社をたたむ手続きではないので、申請しても法人番号の情報は変わりません。さらに今回は、事業を譲ったあとも会社そのものはしばらく残ります。店の看板と、取引の相手になる法人が、いずれ別々になるということです。
台帳には、同じ「トイザらス」の名を持つ法人として、東京都港区に本店を置く有限会社トイザらス・インターネット・ジャパンも載っていました。名前が似ていても法人番号は別です。取引先として確かめるときは、社名ではなく法人番号で見るのが確実です。調べ方は法人番号の調べ方にまとめています。
社名に「玩具・おもちゃ」を持つ法人は399社、閉鎖率20.1%
社名に「玩具」「おもちゃ」「オモチャ」のどれかを含む法人を数えると、累計399社でした。名前からの推定なので、保育園や団体など玩具の売り買いと関係の薄い法人が少し混じり、逆に社名にこれらの言葉がない玩具店(トイザらスもそうです)は入っていません。概数として見てください。
- 活動中:319社
- 閉鎖:80社(閉鎖率20.1%)
- 台帳全体の閉鎖率は13.3%なので、それより高めです
閉鎖80社の内訳は、清算の結了などが52社、登記官による閉鎖(長く登記の動きがない会社の整理)が27社、合併が1社でした。
東京の下町と、栃木に集まる
活動中319社の本店を都道府県別に見ると、東京都が75社(23.5%)で最も多く、愛知県22社、栃木県21社、埼玉県19社、大阪府16社と続きます。トイザらスの本店がある神奈川県は14社でした。
東京都の中では台東区13社、墨田区9社、葛飾区7社と、下町に固まっています。栃木県では「〇〇玩具製作所」という名の会社が並び、「栃木県玩具工業協同組合」「おもちゃ団地協同組合」といった組合も載っていました。作り手と卸がまとまって集まる地域があることが、台帳からも読み取れます。
有限会社が半分。小さな店と工房の業界
活動中319社のうち、有限会社が161社(50.5%)で、株式会社の82社(25.7%)を大きく上回りました。台帳全体の活動中の法人では有限会社は28.9%です。有限会社は2006年から新しく作れなくなったので、昔からある小さな店や工房が多い業界だと読めます。社名にも「〇〇玩具店」「おもちゃの〇〇」といった町のお店の名前が目立ちます。
大手の専門店が売上を落とす一方で、こうした小さな会社がどう商いを続けているかは、取引先を見るうえでも大事な視点です。老舗の見方は老舗企業の見方にもまとめています。
取引先や働く人が確かめたいこと
1. 「店が開いている」と「会社が続く」は別
民事再生では、営業を続けながら手続きが進みます。今回のように事業を別の会社へ譲る場合、店はそのまま残っても、取引の相手になる法人は変わります。譲渡のあと、元の会社がどうなるかは別の話です。この形は倒産前の事業譲渡の見分け方で詳しく書きました。
2. 申請前の取引と、申請後の取引を分けて考える
民事再生では、申請より前に生じた代金などは原則として再生手続きの中で扱われ、すぐには払われません。申請後の取引の代金は扱いが異なるので、支払いの条件を確かめてから取引を続けるのが安心です。破産・民事再生などの違いは倒産の種類の違いで、民事再生の会社を法人番号でどう読むかは民事再生と法人番号の読み方で整理しています。
3. 売上の推移を、長い目で見る
今回の会社は、ピークから約19年かけて売上が約4割になり、赤字が8期続いていました。1年ごとの変化だけでは流れは見えにくいものです。取引先の数字は、直近1年だけでなく5年、10年の幅で見るのが大切です。見方は取引先の信用の調べ方が参考になります。
4. 働く人は、雇用の引き継ぎの案内を待つ
事業譲渡では、店の運営とともに働く人の雇用も新しい会社へ移ることが多くあります。ただ、条件の細かな扱いは会社ごとに決まります。会社からの正式な案内を確かめてください。取引先が今も動いているかの確かめ方は会社の実在と倒産の確かめ方にあります。
よくある質問
トイザらスの店はなくなるのですか?
報道では、店は通常どおり営業を続け、PPIHが10月末に全店を引き継ぐ予定とされています。個々の店の今後は、会社からの発表で確かめてください。
台帳で「活動中」なのに、なぜ民事再生なのですか?
民事再生は会社を立て直すための手続きで、会社をたたむものではありません。申請しても法人の登記はすぐには変わらず、法人番号の情報も「活動中」のままです。
玩具の業界の会社は危ないということですか?
そうは言えません。今回の数字は社名からの推定で、閉鎖率は台帳全体より高めでも、8割は活動中です。個々の会社の状態は、その会社の情報で確かめる必要があります。
大きな会社なら安心ではないのですか?
規模が大きいことは信用の材料のひとつですが、それだけで今の状態はわかりません。今回のように、売上が長い時間をかけて縮み、赤字が続いている場合もあります。
まとめ
日本トイザらスが民事再生を申請し、負債は約132億2,600万円でした。売上はピークの約1,943億円から約752億円まで縮み、最終赤字が8期続いていました。店は営業を続け、PPIHへ事業が譲られる予定です。しょくばログの台帳では、社名に「玩具・おもちゃ」を持つ法人は399社、閉鎖率20.1%、有限会社が50.5%と、小さな店や工房の多い業界です。取引先の状態は、店が開いているかや法人番号の「活動中」だけで判断せず、取引の相手になる法人と売上の長い流れまで見ておくと安心です。