✍ 古家あきら | 2026-10-05 更新

「100億宣言」企業は単独申請3,050社、すでに35社が売上100億円を突破──しょくばログDBで割ると、株式会社1万社あたりは愛知11.65社・東京3.83社

先に結論です。東京商工リサーチが2026年9月29日に公表した調査によると、「100億宣言」をした企業は2026年8月末時点で3,641社(単独申請3,050社・企業グループ591グループ)でした。 このうち2025年度の業績がわかった1,998社のなかで、すでに売上高100億円を達成した企業は35社(1.7%)です。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「この会社は伸びようとしているのか」を外から知る材料が少ないと感じます。決算を公開していない中小企業がほとんどだからです。100億宣言は、経営者が自分の言葉で成長目標を公表している数少ない材料です。この記事では、調査の数字と、しょくばログの台帳で割り直した都道府県ごとの比率をあわせて、応募者・取引先が宣言をどう読めばよいかを書きます。

出典:「100億円宣言企業」単独申請は3,050社 35社が100億円を突破、業歴100年超も185社(東京商工リサーチ・2026年9月29日)

出典:「100億宣言」企業の公表件数が3,000件を突破しました(中小企業基盤整備機構・2026年3月26日)

100億宣言とは

中小企業基盤整備機構の発表によると、100億宣言は令和7年度に始まった取り組みで、2025年5月8日から申請の受付が始まりました。対象は売上高10億円以上100億円未満の、成長を目指す中小企業です。宣言する会社は、売上高100億円という目標と、その実現に向けた戦略・体制・経営者の決意を公表します。

宣言企業の一覧は、中小機構の「100億企業成長ポータル」で公開されています(宣言企業一覧)。関連する支援策として、中小企業成長加速化補助金があります。

なお「中小企業」の範囲は業種ごとに資本金と従業員数で決まっています。売上高10億円を超えていても中小企業に当たる会社は多くあります。定義は中小企業の定義にまとめています。

東京商工リサーチの調査で確認できる数字

宣言した会社の6割強は、売上10億円台から50億円未満です。100億円まではまだ距離がある会社が中心で、宣言は「到達した証明」ではなく「目指すという表明」だと読むのが自然です。

しょくばログの台帳で割り直すと

数で多いのは東京、比率で高いのは愛知

調査の都道府県別の社数は、東京都が最多です。ただ東京は、そもそも会社の数が飛び抜けて多い地域です。そこで、しょくばログの台帳にある活動中の株式会社の数で割ってみました。

全国では、分析対象の1,998社を活動中の株式会社2,513,316社で割ると、1万社あたり約7.95社です。愛知県は東京都の約3倍の比率で宣言企業がいることになります。

愛知県は製造業が集まる地域です。調査で宣言企業の43.0%が製造業だったことと、愛知の比率が高いことは、向きとしては合っています。ただし、ここから「愛知の会社のほうが成長意欲が高い」とまでは言えません。東京には本社機能だけを置く会社や、売上10億円に届かない小さな会社が多く、分母の中身が違うからです。

この割り算の注意点

会社の規模を外から見積もる方法は会社の規模の調べ方で説明しています。

応募者・取引先が宣言をどう読むか

1. 宣言は「目標の公表」で、売上の保証ではない

宣言した会社の多くは、まだ売上10億円台から50億円未満です。宣言があるからといって、すぐに大きくなるとは限りません。一方で、経営者が数字の目標と戦略を外に出していることは、社内の方針を知る手がかりになります。面接や商談では「宣言の中身で、自分の仕事に関わるのはどこか」を聞くと、会話が具体的になります。

2. 伸びる会社は、人と設備に投資する

売上を大きく伸ばすには、採用と設備投資が欠かせません。宣言企業のなかには補助金を使って投資する会社もあるはずです。補助金の採択企業は公開されていますが、横断して調べられる情報には偏りがあります。探し方は補助金の採択企業から会社を調べる方法にまとめています。

3. 宣言企業一覧の社名は、法人番号で照らし合わせる

ポータルの一覧で気になる会社を見つけたら、社名だけでなく法人番号で確かめてください。同じ名前の会社は全国に多くあります。手順は法人番号の調べ方にあります。

4. 決算の時期と公告もあわせて見る

2025年度の業績は、決算月によって集計に入る時期がずれます。決算公告を出している会社なら、売上や利益の推移を確かめられることもあります。決算月の調べ方は会社の決算月の調べ方で説明しています。

よくある質問

Q. 100億宣言をしている会社は、どこで確認できますか。

中小企業基盤整備機構の「100億企業成長ポータル」に宣言企業の一覧が公開されています。社名を見つけたら、法人番号で同じ会社かどうかを確かめるのが確実です。

Q. 宣言企業は安全な就職先・取引先ですか。

宣言は成長目標の表明であり、経営の安全を示すものではありません。調査でも、宣言後に倒産した企業が1社ありました。財務や取引の判断は、宣言とは別に決算や取引実績で確かめてください。

Q. しょくばログの「1万社あたり」の数字は、何を表していますか。

その都道府県の活動中の株式会社1万社に対して、調査で確認された宣言企業が何社あるかを示しています。売上規模をそろえた比率ではないため、地域の会社の顔ぶれの違いも含んだ数字として見てください。

Q. 売上10億円未満の会社は宣言できないのですか。

中小機構の発表では、対象は売上高10億円以上100億円未満の中小企業とされています。詳しい要件は中小機構のポータルで確かめてください。

まとめ

経営者が目標を外に出している会社は、まだ多くありません。宣言を「この会社は何を目指しているのか」を聞くきっかけとして使うのが、いちばん実用的な読み方だと思います。

※この記事の台帳の数字は、国税庁の法人番号公表サイトのデータをもとにしょくばログが集計したものです(2026年10月5日時点)。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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