✍ 古家あきら | 2026-09-11 更新

補助金の採択企業から会社を調べる方法 — gBizINFOの補助金12万法人を数えたら「ものづくり補助金」は47社しか載っていなかった

先に結論です。補助金の採択企業は、補助金ごとの事務局サイトで事業者名つきで公開されています。事業再構築補助金の採択結果には法人番号まで付いています。 だから「この会社は補助金を取ったことがあるか」は、外から無料で確かめられる数少ない情報のひとつです。

ただし、「1か所で横断検索できる」と紹介されがちな経済産業省のgBizINFO(補助金情報)は、中身にかなり偏りがあります。うちで全件データを法人番号で突合して数えたところ、541,360件のうち40.5%は農林水産省の交付金で、中小企業庁分の98.7%は事業再構築補助金。ものづくり補助金は47社、IT導入補助金は0件でした。「gBizINFOに出てこない=採択されていない」ではない、というのがこの記事でいちばん伝えたいことです。

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「取引候補の会社が設備投資にお金を使う会社なのか知りたい」「求人票に"事業再構築補助金採択"と書いてあるが本当か」という相談を定期的にいただきます。採択企業リストは、会社が何に投資しようとしたかを外から読める、ほとんど唯一の公的な記録です。どこにあって、何が読めて、何が読めないのかを、実数つきでまとめます。

採択企業リストはどこで公開されているか

補助金の採択結果は、その補助金の事務局サイトに公募回ごとの一覧として載ります。国が一括で出しているわけではないので、補助金ごとに探す場所が違います。主要なものを、2026年9月に実際にページを確認した範囲で並べます。

共通しているのは、PDFで、回ごとに分かれていて、事業者名で載るということ。逆に言うと、「ある会社名を入れたら、その会社の採択履歴が全部出る」検索窓は、事務局サイトには基本的にありません。会社名で調べたいときは、PDFを開いてブラウザの検索(Ctrl+F)で当てるのが現実的な手順です。

採択者一覧に法人番号が付いているかどうかは補助金によって違います。付いていない一覧を使うときは、同名の別会社を掴まないよう、所在地を会社の住所を調べる方法の手順で照合してください。会社名から法人番号を引く手順は会社名から法人番号を調べる方法にあります。

横断で探すならgBizINFO — ただし中身の偏りを知ってから

補助金ごとにPDFを開くのが面倒なら、経済産業省のgBizINFOに「補助金情報」という項目があります。各府省が交付した補助金と、電子申請システムjGrantsを経由した補助金を、法人番号にひもづけて一覧にしたものです。gBizINFOは全件データをファイルでダウンロードできるので、うちはそれをそのまま会社データベースに取り込んでいます。

ここからが実数です。2026年6月14日に取得した全件ファイルの補助金情報は541,360件、法人数にして127,764法人でした。うちのデータベースで活動中の法人4,988,967社に対して2.6%。株式会社だけで見ると、活動中2,513,316社のうち56,750社で2.3%です。「補助金を取ったことがある会社」は、法人番号の世界では50社に1社程度、ということになります。

発行元は農林水産省が4割

541,360件を発行元の府省で数えると、こうなります。

いちばん多い個別の名称は「水田活用直接支払交付金」で80,231件。「畑作物の直接支払交付金」33,102件、「水田活用の直接支払交付金」25,576件と続きます。つまりgBizINFOの補助金情報は、上位が農業の経営安定対策で埋まっている。世間で「補助金」と聞いて思い浮かべる設備投資やIT化の補助金は、件数で見ると少数派です。

中小企業庁分の98.7%は事業再構築補助金

では中小企業庁の34,996件の中身はどうか。名称ごとに数えると、「[第五回]令和2年度事業再構築補助金(交付申請等)」6,134件を筆頭に、第一回から第十一回までの事業再構築補助金が34,552件、中小企業庁分の98.7%を占めます。残りは消費税軽減税率対策や小規模事業者支援など、合わせて数百件です。

そして、名称に「ものづくり」を含む件数は全体で73件、法人数で47社。名称に「IT導入」を含む件数は0件でした。ものづくり補助金は直近3回の締切だけで1,668者が採択され、IT導入補助金も2026年度に入って3次締切分まで交付決定が出ている補助金ですから、gBizINFOの補助金情報がこの2つの採択実績をほぼ反映していないことは明らかです。なぜ載らないのかは公式に説明されていないので断定しませんが、両補助金とも国が直接交付するのではなく、民間の事務局(中央会や中小機構)を通す間接補助である点が関係していると、うちは見ています。

一方で、出典元の列を見ると「jGrants」が36,688件あり、これがほぼ事業再構築補助金に対応します。電子申請システムを通った補助金はgBizINFOに流れやすく、そうでないものは各府省の提供次第——それがこの偏りの正体です。

「補助金を取った法人」の顔ぶれ

127,764法人を法人種別で分けると、株式会社以外の比重が意外に大きいことも分かります。

その他の設立登記法人の中身を名称で数えると、医療法人が30,342法人、農事組合法人が5,856法人、学校法人が4,060法人。コロナ関連(名称に「コロナ」または「インフルエンザ流行期」を含むもの)の受給法人は38,613法人で、全体の30.2%にあたります。医療機関向けの感染拡大防止支援や、幼稚園・学校向けの感染症対策が大量に入っているためです。

さらに、件数が多い法人の上位5つは全部、都道府県でした。1位は鹿児島県の1,635件、以下、福島県1,520件、北海道1,476件、山口県1,472件、熊本県1,403件。「補助金件数が多い=積極的な会社」と単純に読むと、こういう自治体や医療法人が混ざります。法人の種類の見分け方は法人の種類一覧にまとめてあります。

事業再構築補助金の採択企業34,498社は、どんな会社か

会社を調べる目的で使い勝手がいいのは、法人番号つきで公開され、gBizINFOにも載っている事業再構築補助金です。うちのデータベースで受給法人34,498社の姿を数えました。

活動中の全法人に占める東京都の割合は23.0%ですから、事業再構築補助金の採択企業は東京の比重が低く、大阪(全法人では8.4%)・愛知(同4.8%)の比重が高い。製造業や飲食・サービスの現場を持つ地方の中堅会社が、コロナ後の転換に手を挙げた——という構図が数字に出ています。従業員6〜50人が57.2%を占めるので、規模感としては中小企業の定義のど真ん中です。

注意点は、従業員数の分布が「gBizINFOに従業員数の記載がある7,411社」に限った集計だということ。採択企業の21.5%しかカバーしていないので、残り8割の分布がこれと同じとは限りません。従業員数そのものの調べ方は会社の従業員数を無料で調べる方法に書いています。

採択リストから読めること、読めないこと

採択企業リストの価値は、会社が自分のお金と時間を使って「これをやる」と申請し、審査を通ったという事実そのものにあります。登記にも決算公告にも出てこない「投資の方向」が、事業計画名として文字で残ります。事業再構築補助金の採択者一覧には事業計画の概要が載るので、「飲食店が冷凍食品のEC事業へ」「印刷会社がパッケージ製造へ」といった転換の中身まで読めます。

ただし、読み方を間違えやすい点が3つあります。

閉鎖率の0.63%も、慎重に扱う数字です。採択から日が浅い会社が多く、数字としては「今のところ低い」以上のことは言えません。会社の閉鎖・休眠の見分け方は会社の解散・休眠を調べる方法に別でまとめています。

使い方の実例 — 求職者とB2Bで見る場所が違う

求職者の場合は、求人票に「事業再構築補助金採択」「ものづくり補助金採択」と書いてあったら、事務局の採択者一覧で会社名を当てるのが早い。載っていれば、事業計画の概要から「入社後に何をやらされるか」の輪郭が読めます。載っていなければ、どの回で採択されたのかを面接で聞けばいい。答えられない会社は、話を盛っている可能性を疑っていい。求人票の表記を検証する考え方は求人票が「架空」だと見分ける方法と同じです。

B2Bの与信・営業の場合は、gBizINFOの法人ページで補助金情報を開き、名称と証明日を見ます。事業再構築補助金なら中央値で約1,911万円の投資計画が動いた会社です。設備・IT・内装・広告の売り手にとって、「予算を組んで審査を通した経験がある会社」というのは、飛び込みで当たるより成約に近い相手です。ただし証明日から時間が経っている場合は、投資はもう終わっています。日付は必ず見てください。

会社の事業内容と、投資の方向が噛み合っているかを見るには、会社の事業内容を無料で調べる方法と、政府調達の落札実績を突合した会社の取引先を調べる方法を併用すると、会社の「お金の入口と出口」が両側から見えます。

実際の手順 — 会社名から補助金の採択履歴を確認する

順番はこうです。

うちのデータベースには、gBizINFO全件の補助金情報を法人番号で突合した状態で入れてあります。この記事の数字はすべてそこから出したもので、個別の会社ページでの表示は順次整備している段階です。まずは公的な一次情報である事務局サイトとgBizINFOを直接見てください。

よくある質問

補助金の採択企業は本当に誰でも見られるのですか?

はい。事業再構築補助金・ものづくり補助金・IT導入補助金・小規模事業者持続化補助金は、いずれも事務局サイトで採択者(交付決定事業者)一覧をPDFで公開しています。ログインも申請も要りません。事業再構築補助金の一覧には法人番号と所在地、事業計画の概要まで載っています。

gBizINFOで補助金が出てこない会社は、採択されていないということですか?

いいえ。うちが2026年6月取得の全件データを数えたところ、gBizINFOの補助金情報にはIT導入補助金が0件、ものづくり補助金が47社しか載っていませんでした。事業再構築補助金(34,498社)や働き方改革推進支援助成金(16,008社)、業務改善助成金(7,013社)は載っています。gBizINFOにない補助金は、事務局サイトの採択者一覧で個別に確認してください。

補助金を受けている会社は、経営が苦しい会社ですか?

補助金の種類によります。コロナ関連の感染拡大防止支援(受給38,613法人)は業績と無関係に医療機関等へ広く配られたものです。一方、事業再構築補助金やものづくり補助金は、自己負担分を用意して投資計画を出し、審査を通った会社にしか出ません。少なくとも「投資の予算を組める会社」であることは分かりますが、それ以上の経営状態は取引先の信用を調べる方法の手順で別途確認が必要です。

個人事業主の採択も調べられますか?

事務局サイトの採択者一覧には、屋号や個人名で載る場合があります。ただしgBizINFOと、うちのデータベースは法人番号を軸にしているので、法人番号を持たない個人事業主は載りません。小規模事業者持続化補助金がgBizINFOで1,258社しか出てこないのは、この補助金の受給者に個人事業主が多いことも一因です。個人事業主と法人の見分け方は個人事業主と法人の見分け方を参照してください。

採択されたのに、その後で倒産することはありますか?

あります。うちのデータベースでは、事業再構築補助金の受給法人34,498社のうち、2026年6月時点で登記が閉鎖されているのは218社(0.63%)でした。数としては少数ですが、ゼロではありません。採択は「計画が審査を通った」という事実であって、その計画がうまくいった証明ではない、と理解しておくのが正確です。

まとめ

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この記事で使ったデータ:経済産業省gBizINFO 全件ダウンロード「補助金情報」(2026年6月14日取得分、541,360件)を、国税庁法人番号公表サイト由来のしょくばログ会社データベース(活動中4,988,967社、2026年6月時点)に法人番号で突合して集計。従業員数はgBizINFO基本情報の記載がある法人のみ。事業再構築補助金・ものづくり補助金・IT導入補助金の公開形式と申請・採択件数は、各事務局サイトを2026年9月11日に確認。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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