✍ 古家あきら | 2026-10-03 更新

薬局・ドラッグストアの許可を確認する方法 — 薬局開設許可と店舗販売業許可の違い。自社で薬局を運営すると書く87社のうち、サイトに許可番号を載せていたのは0社

先に結論です。処方箋を受けて調剤する「薬局」は薬局開設許可、処方箋を受けずに市販薬を売る「ドラッグストア(薬店)」は店舗販売業許可を、店舗ごとに受けています。 どちらも許可するのは店舗がある都道府県の知事で、保健所を置く市や東京23区では市長・区長です。許可は6年ごとに更新しないと効力を失います。

確かめ方は3つです。

しょくばログという会社データベースを運営していると、会社のサイトに「許可」の欄がある業種とない業種の差がよく見えます。薬局は、その差がはっきり出る業種でした。会社サイト31,159社を数えると、自社で調剤薬局やドラッグストアを運営していると書いている会社は87社。そのうち、薬局開設許可や店舗販売業許可の許可番号を載せていた会社は0社でした。一方で「管理薬剤師」という言葉は87社中50社(57.5%)に出てきます。会社の顔になるサイトでは、許可の話はほとんどしない。許可の情報は、店頭の掲示と行政の検索サイトのほうにある、ということです。

薬局とドラッグストアは、受けている許可が違う

薬局=薬局開設許可(調剤ができる)

医薬品医療機器等法(薬機法)第4条は、薬局は所在地の都道府県知事の許可を受けなければ開設してはならない、と定めています。保健所を設置する市や特別区にある薬局は、市長・区長の許可です。同じ条の第4項で、許可は6年ごとの更新制とされています。

薬局は、処方箋にもとづく調剤ができる場所です。あわせて市販薬(要指導医薬品・一般用医薬品)を売ることもでき、そのときは許可の申請書に「どの区分の医薬品を売るか」を書きます。

薬局には必ず管理者がいます。薬機法第7条で、開設者が薬剤師なら自分で、薬剤師でないなら薬局で働く薬剤師の中から「薬局の管理者」を指定して、実地に管理させなければいけません。求人で見かける「管理薬剤師」は、この管理者を指す呼び方です。

ドラッグストア(薬店)=店舗販売業許可(調剤はできない)

薬機法第24条は、薬局開設者か医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として医薬品を売ってはならないと定めています。販売業の許可は第25条で3種類に分かれます。

街のドラッグストアの多くは店舗販売業です。第26条で、許可は店舗ごとに、店舗の所在地の都道府県知事(保健所設置市・特別区は市長・区長)が与えるとされています。チェーンでも「会社として1つの許可」ではなく、店の数だけ許可がある、ということです。第27条で、店舗販売業者は薬局医薬品(処方箋が要る薬など)を売ってはならないとされています。調剤コーナーがあるドラッグストアは、その部分について薬局開設許可を別に受けています。

店舗販売業でも管理者は必須です。第28条で、店舗管理者は薬剤師か登録販売者でなければならないとされています。

誰が売れるかも決まっている

市販薬は、売れる人が区分で決まっています。薬機法第36条の9で、第1類医薬品は薬剤師、第2類・第3類医薬品は薬剤師か登録販売者が売る、と定められています。店舗販売業の店で薬剤師がいない時間に第1類医薬品の棚が閉まっていることがあるのは、このためです。

許可なしで売るとどうなるか

薬局を許可なしに開設すること(第4条第1項違反)や、販売業の許可なしに医薬品を売ること(第24条第1項違反)は、薬機法第84条で3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、またはその両方の対象です。

薬局・ドラッグストアの許可を確認する3つの方法

1. 医療情報ネット(ナビイ)で探す

薬機法第8条の2で、薬局開設者は、利用者が薬局を選ぶのに必要な情報を都道府県知事に報告し、知事はそれを公表しなければならないとされています(薬局機能情報提供制度)。

厚生労働省によると、以前は都道府県ごとに別々だったこの情報提供システムをまとめ、2024年4月から全国統一の「医療情報ネット(愛称:ナビイ)」として運用しています。薬局の名前や地域から探せて、営業時間や対応できるサービスなどを確かめられます。

ここに出てくるのは「薬局」です。調剤をしないドラッグストア(店舗販売業)は、この制度の対象ではありません。

2. ネット販売なら「一般用医薬品の販売サイト一覧」

市販薬のネット販売は、薬機法では「特定販売」と呼ばれます。特定販売ができるのは薬局と店舗販売業の許可を持つ店だけで、施行規則(第15条の6・第147条の7)で、その店に置いてある薬を売ること、都道府県知事と厚生労働大臣が見られるホームページで行うことが求められています。

厚生労働省は、各自治体から報告された一般用医薬品の販売サイトを「一般用医薬品の販売サイト一覧」として公開しています。薬局・薬店の名称や所在地で検索できます。見慣れない通販サイトで薬を買うときは、まずここで名前を探すのが早道です。

3. 店内の掲示・サイトの表示を見る

薬機法第9条の5で、薬局は利用に必要な情報を見やすい場所に掲示する決まりです。さらにネット販売をする店は、施行規則の別表第1の2・第1の3に並ぶ情報をホームページに見やすく表示しなければいけません。その中身は、たとえば次のとおりです。

販売サイトでこれらが見当たらない場合は、許可を持たない業者か、決まりを守っていない業者の可能性があります。逆にここが揃っていれば、許可証に書かれた名称や管理者名を、ナビイや販売サイト一覧と突き合わせられます。

会社サイトで、薬局を運営する会社は許可をどう書いているか

ここからは、しょくばログで実際に数えた結果です。対象は、しょくばログが保存している会社サイトのテキストのうち、文字化けのない31,159社です。

「薬局」「ドラッグストア」に触れる888社、運営側らしい272社

まず、サイトのどこかに「薬局」か「ドラッグストア」が出てくる会社は888社でした。病院の「院外処方の薬局へ」といった案内も含むので、ここからさらに絞ります。

調剤薬局・保険薬局・ドラッグストア・処方箋受付などに触れ、かつ「薬剤師」か「登録販売者」にも触れている会社は272社。この272社の中に、許可について書いている会社はどれだけあるかを見ました。

機械的な検索では「許可番号らしきもの」が4社に見つかりましたが、1件ずつ読むと、2社は商標の登録番号や社内報の号数で、もう1社は「店舗販売業」の語が加算の要件の説明文に出てくるだけでした。本当に許可番号を載せていたのは、掲示事項をそのままサイトに載せていた1社だけです。

272社には病院やクリニック、医療法人も入っています。サイトの冒頭3,000字に「当院」「病院」「クリニック」「診療所」が出てくる会社が129社ありました。

「自社で薬局を運営」と書く87社に絞ると

もっと絞って、「調剤薬局を運営」「ドラッグストア事業」のように、自社で薬局・ドラッグストアを運営していると書いている会社だけを数えると87社でした。87社とも調剤薬局・保険薬局などに触れていて、うち22社はドラッグストアにも触れています。

「管理薬剤師」が半数を超えるのは、採用ページで職種として募集しているためです。会社サイトは、患者向けというより採用と会社紹介のためのページになっている、という読み方ができます。

地域連携薬局は、名乗るのに条件がある呼び方です。薬機法第6条の2で都道府県知事の認定を受けたものだけが名乗れ、認定は1年ごとの更新制です。サイトに書いてあれば、ナビイや都道府県の公表で裏を取れます。

業種コードでは「医療・福祉」に入る会社が多い

87社の業種(日本標準産業分類の大分類)を、しょくばログの登録データで見ると次のとおりでした。

産業分類では調剤薬局やドラッグストアは小売業に入りますが、外から付けられた業種では医療・福祉に入っていることが多い、ということです。業種で検索するときは、両方を見たほうが取りこぼしません。業種の調べ方そのものは会社の業種を調べる方法にまとめています。

社名に「薬局」が入る会社は、有限会社が7割

しょくばログの法人データ(国税庁の法人番号データが元)で、会社(株式・有限・合名・合資・合同)のうち社名に「薬局」を含むものを数えました。

会社全体の閉鎖率は13.5%なので、社名に「薬局」「調剤」「ドラッグ」が入る会社は閉鎖済みの割合が高めです。

もう1つ目立つのが、有限会社の多さです。現存する「薬局」の会社7,974社のうち、有限会社は5,479社(68.7%)、株式会社は2,116社(26.5%)。「調剤」でも69.2%、「ドラッグ」でも70.2%が有限会社でした。会社全体の現存法人では有限会社は32.0%なので、2倍以上の割合です。2006年に有限会社を新しく作れなくなる前から続いている、街の薬局が多いことの表れと読めます。有限会社という形の意味は有限会社の会社に就職するのは不利かで詳しく書いています。

現存する「薬局」の会社が多い都道府県は、東京都1,025社、神奈川県586社、福岡県586社、大阪府388社、北海道339社、埼玉県323社。「調剤」に限ると福岡県が221社で最も多く、現存1,349社の16.4%を占めていました。

ただし、社名に「薬局」が入っていなくても薬局を運営する会社はたくさんありますし、社名に入っていても今は薬局をしていない会社もあります。社名はあくまで手がかりで、許可の有無は上の3つの方法で確かめてください。

取引・転職の前に、どこを見ればいいか

薬を買う人・患者として

取引先・M&Aの相手として

薬局の許可は店舗ごと・6年更新です。会社として信用できるかとは別に、店ごとの許可が切れていないか、管理者は誰かを、相手から許可証の写しをもらって確かめるのが確実です。会社そのものの信用の見方は取引先の信用を調べる方法にまとめています。許認可全般の検索先は会社の許認可を調べる方法が入口になります。

転職・就職先として

採用ページの「管理薬剤師」「店舗管理者」の募集は、その店で法律上の責任者になるポジションです。何店舗の管理を任されるのか、ほかの店との兼務はあるのかを面接で聞いておくと安心です。薬機法第7条・第28条で、管理者はその店以外で薬事の実務に就かないのが原則(知事の許可がある場合を除く)とされています。

医療法人が運営する病院・クリニックと違い、薬局の多くは株式会社・有限会社です。医療法人の経営状況の調べ方は医療法人の経営状況を調べる方法を、同じく保健所の許可が要る飲食店の場合は飲食店の営業許可を確認する方法を参考にしてください。

よくある質問

薬局とドラッグストアの許可の違いは何ですか?

薬局は「薬局開設許可」を受け、処方箋にもとづく調剤ができます。調剤をしないドラッグストア(薬店)は「店舗販売業許可」を受け、要指導医薬品と一般用医薬品(市販薬)を売ります。どちらも店舗ごとに都道府県知事(保健所設置市・特別区は市長・区長)が許可し、6年ごとの更新制です。

薬局の許可番号はどこで確認できますか?

店内に掲示されている許可証の記載事項か、ネット販売をしている店ならホームページの表示で確認できます。薬局そのものは医療情報ネット(ナビイ)で検索できます。しょくばログで数えた範囲では、会社のサイトに許可番号を載せている薬局運営会社はほとんどなかったので、会社サイトではなく店頭・販売サイト・行政の検索を見るのが確実です。

ネットで売っている市販薬のサイトが本物か確かめるには?

厚生労働省の「一般用医薬品の販売サイト一覧」で、店の名称や所在地を検索してください。あわせて、サイトに許可の区分、管理者の氏名、勤務する薬剤師・登録販売者の氏名、店舗の外観と陳列の写真が表示されているかを見ます。施行規則で表示が求められている項目です。

登録販売者しかいない店でも薬を買えますか?

第2類・第3類医薬品は、薬剤師か登録販売者が売れます。第1類医薬品は薬剤師しか売れないため、薬剤師がいない時間は第1類の売場を閉めている店があるのはこのためです(薬機法第36条の9)。

「地域連携薬局」は誰でも名乗れますか?

名乗れません。都道府県知事の認定を受けた薬局だけが名乗れ、認定は1年ごとの更新です(薬機法第6条の2)。地域連携薬局でない薬局が、紛らわしい名称を使うことも禁じられています。がんなどの専門的な薬学管理を行う「専門医療機関連携薬局」も、同じく知事の認定制です(第6条の3)。サイトや看板に書いてあれば、ナビイや都道府県の公表で確かめられます。

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この記事の数字について:会社サイトの集計は、しょくばログが保存している会社サイトのテキスト(文字化けのない31,159社)を2026年10月3日に正規表現で数え、許可番号は該当箇所を1件ずつ目視で確認しました。法人数・閉鎖率・法人種別は国税庁の法人番号データをもとにしたしょくばログの登録データです。条文は e-Gov 法令検索(医薬品医療機器等法・同施行規則)で、医療情報ネットと販売サイト一覧は厚生労働省のページで確認しました。個別の会社名は出していません。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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