✍ 古家あきら | 2026-10-02 更新
茨城・筑西市のデイサービス運営「つくばアカデミー」が破産開始決定、負債約1億2000万円。事業停止から約1年9か月後の決定で、台帳はまだ「活動中」。同じ名前の別法人もあり、しょくばログDBで見る社名に「デイサービス」を持つ法人252社
先に結論です。茨城県筑西市を中心にデイサービスを手がけていた株式会社つくばアカデミーが、2026年9月24日付で東京地裁から破産手続きの開始決定を受けました。 帝国データバンクつくば支店の発表を報じた茨城新聞によると、負債は約1億2,000万円です。
この件で目を引くのは日付の並びです。報道では、同社は2024年12月にはすでに事業を止めた状態でした。破産の決定はそこから約1年9か月後です。しょくばログで台帳を引くと、同社には今も閉鎖の登記がなく「活動中」と表示されます。さらに、茨城県内には同じ「つくばアカデミー」という名前の別の法人もあります。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「事業が止まった日」「破産が決まった日」「台帳で閉鎖と出る日」がそれぞれ別だということを何度も見ます。この記事は個別の会社を責めるためのものではありません。利用者の家族、働いていた人、取引先が、似た場面で何を確かめればよいかを書きます。
出典:つくばアカデミー 破産手続き開始決定 負債1億2000万円 茨城(茨城新聞クロスアイ・2026年9月30日)
報道で確認できる事実
茨城新聞の記事から、確かめられる内容を並べます。
- 株式会社つくばアカデミーは茨城県筑西市市野辺に本店を置き、2010年に設立
- 筑西市を中心に、桜川市、結城市、栃木県真岡市などでデイサービスを展開
- 2026年9月24日付で東京地裁から破産手続きの開始決定。負債は約1億2,000万円
- 関連会社で老人福祉施設を運営していたN管財(埼玉県、旧日本ヒューマンサポート)が、借入の多さなどで赤字が続き、不適切な会計処理の情報も表に出て、2024年3月に東京地裁へ民事再生法の適用を申請
- それに連鎖する形で、つくばアカデミーも2024年12月に事業を止めた状態になっていた
関連会社の民事再生は、当時も報じられています。2024年3月29日の申請で、負債は約62億円でした。
出典:老人ホーム「日本ヒューマンサポート」が民事再生、負債62億円(不景気.com・2024年4月1日)
時系列で並べると「空白の1年9か月」が見える
日付を順に並べると、次のようになります。
- 2024年3月:関連会社(旧日本ヒューマンサポート)が民事再生を申請
- 2024年12月:つくばアカデミーが事業を止めた状態に
- 2026年9月24日:つくばアカデミーに破産手続きの開始決定
- 2026年9月30日:帝国データバンクが発表、報道
事業が止まってから破産が決まるまで、約1年9か月あります。この間、外から見ると「通所していた事業所がいつの間にか閉まっていた」だけで、会社として何が起きているのかは分かりにくい状態だったはずです。グループの中心の会社が再生手続きに入ると、ニュースになるのはたいてい中心の会社だけで、周りの小さな会社の動きは後から分かることが多いと感じます。事業の一部を別の会社に移したあとに残った会社がどうなるかは、事業譲渡のあとの倒産の見方でも整理しています。
しょくばログの台帳で見ると
国税庁の法人番号の台帳から作ったしょくばログのデータで、法人番号5050001033188の株式会社つくばアカデミーを引きました。本店は筑西市市野辺で、閉鎖の登記はなく「活動中」の表示です。同じ住所に別の法人は登録されていませんでした。
破産の決定が出ても、会社の登記がすぐ閉じるわけではありません。財産の整理が終わってから閉鎖の登記がされるので、台帳で「閉鎖」と出るのはさらに先になります。今回のように事業が止まってからの期間も含めると、実際の動きと台帳の表示の間に、2年近いずれが出ることもあるわけです。この時差は破産決定でも閉鎖と出ない理由で詳しく見ました。
同じ名前の別法人がある
台帳で「つくばアカデミー」を含む名前を探すと、2法人が出てきます。今回の株式会社つくばアカデミー(筑西市)のほかに、有限会社つくばアカデミー(結城郡八千代町)があり、こちらは別の法人番号を持つ別の会社です。今回の報道とは関係のない会社なので、名前だけで同じ会社だと思い込まないことが大切です。
旧日本ヒューマンサポートについても同じです。台帳には、埼玉県春日部市の株式会社N管財のほか、さいたま市大宮区や東京都港区に「株式会社日本ヒューマンサポート」という名前の法人がそれぞれ登録されています。どの法人がどの事業を担っているのかは、名前ではなく法人番号と本店の住所で見分けるのが確実です。同じ名前の会社の見分け方は法人番号の調べ方にまとめています。
社名に「デイサービス」を持つ法人
デイサービスは事業所の名前で呼ばれることが多く、運営する法人の名前は表に出にくい事業です。参考までに、台帳で社名に「デイサービス」を含む法人を数えました(社名からの推定なので概数です)。
- 全国で累計252社、うち活動中203社、閉鎖49社。閉鎖率は19.4%で、台帳全体の13.3%より高め
- 活動中の203社の内訳は、株式会社43.8%、有限会社24.6%、合同会社19.2%
- 茨城県で社名に「デイサービス」を含む法人は2社だけ
ほとんどのデイサービスは、社名に「デイサービス」を入れていない法人が運営しています。社名で探しても見つからないのが普通なので、事業所から運営法人をたどる手順のほうが役に立ちます。手順は介護事業所の運営法人を調べる方法に書きました。介護の法人の閉鎖率をもう少し広く見た記事として、訪問介護・看護の3法人の破産と介護法人の閉鎖率もあります。
利用者の家族・働く人・取引先が確かめたいこと
運営法人の名前と法人番号を控えておく
通っている事業所の契約書や重要事項説明書には、運営する法人の名前が書かれています。名前に加えて法人番号と本店の住所まで控えておくと、同じ名前の別会社と取り違えずに済みます。グループの中心がどこかを知りたいときは、グループ会社・親会社の調べ方が参考になります。
「グループの中心の会社」のニュースを自分ごととして見る
今回は、関連会社の民事再生から約9か月後に、つくばアカデミーの事業が止まりました。利用している事業所の運営法人が、どこかのグループに入っているなら、中心の会社のニュースは自分の事業所にも関わる可能性があります。民事再生と破産の違いは倒産の種類の違いで整理しています。
登記だけで「動いている」と判断しない
台帳で「活動中」と出ても、事業が続いているとは限りません。事業所が開いているか、電話がつながるか、求人や案内が更新されているかもあわせて見るのが確実です。手順は会社の実在と倒産の確かめ方と取引先の信用の調べ方にあります。
よくある質問
つくばアカデミーのデイサービスは、今も利用できますか?
報道では、同社は2024年12月に事業を止めた状態になっていたとされています。事業所の今の運営状況は、事業所のある市町村の介護保険の担当窓口や、ケアマネジャーに確かめてください。
八千代町の有限会社つくばアカデミーも関係していますか?
台帳では、法人番号も本店の住所も違う別の法人です。今回の報道は筑西市の株式会社つくばアカデミーについてのもので、名前が同じだけで関係があると判断する材料はありません。
破産の決定が出たのに、しょくばログで「活動中」と表示されるのはなぜですか?
閉鎖の登記は、破産の手続きで財産の整理が終わってから行われるためです。決定が出た時点では登記は開いたままで、国税庁の台帳にも閉鎖として反映されていません。
働いていた人の未払いの給料はどうなりますか?
会社が破産した場合、未払いの賃金の一部を国が立て替える「未払賃金立替払制度」があります。対象になるかどうかや手続きは、労働基準監督署に相談するのが確実です。
デイサービスを運営する会社の安定性は、どこで確かめられますか?
運営法人の名前と法人番号を確かめたうえで、自治体の指定や処分の情報、法人の登記、グループの中心の会社のニュースをあわせて見ると、外から分かる範囲はかなり広がります。社会福祉法人であれば財務の書類も公開されています。