✍ 古家あきら | 2026-10-06 更新
登録小売電気事業者を確認する方法 — 登録番号「A+4桁」の見方と、一覧から消えた192番号(823事業者を集計)
先に結論です。電気を一般の家庭や会社に売る会社(小売電気事業者)は、電気事業法2条の2にもとづいて、経済産業大臣の登録を受けなければなりません。登録を受けているかどうかは、資源エネルギー庁が公開している「登録小売電気事業者一覧」で、会社名だけでなく登録番号(Aで始まる4桁)と法人番号まで照らし合わせると確実です。
しょくばログという会社データベースを運営していると、許認可の番号と法人番号を突き合わせて会社を確かめる作業を日常的にします。電気の小売は国の一覧に法人番号まで載っている珍しい制度なので、今回は一覧そのものを集計してみました。令和8年9月30日現在の一覧に載っているのは823事業者。登録番号はA1015まで進んでいるのに、A0001〜A1015のうち192番号は一覧に見当たりません。いったん登録を受けたあと、一覧から外れた番号がそれだけあるということです。
この記事では、登録の仕組み、一覧の見方、会社サイトでの書かれ方(しょくばログの集計)、そして「撤退した新電力」をどう見分けるかを順に整理します。電気料金の比較や乗り換えのおすすめはしません。
小売電気事業者の「登録」とは(電気事業法の仕組み)
電気を売るなら登録が要る
電気事業法2条1項3号は、小売電気事業者を「小売電気事業を営むことについて次条の登録を受けた者」と定めています。そして2条の2で、小売電気事業を営もうとする者は経済産業大臣の登録を受けなければならないとしています。都道府県ごとの登録ではなく、全国で1本です。
登録を受けずに小売電気事業を営むと、117条の2第1号で「1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金」(併科あり)の対象になります。
登録簿に「登録番号」と「登録年月日」が載る
2条の4は、登録の申請があったとき、経済産業大臣が名称・住所・代表者、営業所、供給能力の確保に関する事項などとあわせて、登録年月日と登録番号を小売電気事業者登録簿に載せると定めています。資源エネルギー庁の一覧で「A0002」「A1015」といった番号が並んでいるのが、この登録番号です。
申請のときは、供給能力の確保の見込みや、事業を適正かつ確実に行う体制を書いた書類を出します(2条の3)。供給能力を確保できる見込みがない者などは、登録を拒否されます(2条の5第1項4号)。
名義を貸すことはできない
2条の16は、小売電気事業者が自分の名義を他人に使わせたり、事業を他人に経営させたりすることを禁じています。違反は117条の2第2号・3号で、無登録営業と同じ罰則の対象です。
営業の電話や訪問で、聞いたことのない会社名を名乗る相手が「○○電力の代理店です」と言う場合があります。話をしてくるのが代理店(契約の媒介・取次ぎ・代理をする者)でも、電気を売る契約の相手(小売電気事業者)は登録を受けた会社でなければなりません。契約書面で、どの会社が小売電気事業者なのかを確かめてください。
契約前の説明と、契約後の書面
小売電気事業者と、その契約の媒介・取次ぎ・代理をする者には、契約前に料金その他の供給条件を説明する義務(2条の13)と、契約後に書面を交付する義務(2条の14)があります。2条の14の書面には、小売電気事業者等の氏名または名称と住所、契約年月日、料金その他の供給条件が書かれます。
苦情や問い合わせを適切かつ迅速に処理する義務(2条の15)もあります。
やめるときは「周知」と「届出」、登録は抹消される
2条の8第3項は、事業を休止・廃止しようとするとき、あらかじめ契約先に周知させなければならないとしています。休止・廃止したあとは経済産業大臣に届け出ます(同条1項)。法人が合併以外の理由で解散したときは、清算人や破産管財人が届け出ます(同条2項)。
廃止や解散の届出、または登録の取消し(2条の9)があると、登録は抹消されます(2条の10)。一覧から番号が消えるのは、この抹消のあとです。
事業をまるごと譲り受けた会社や、合併後の会社は、小売電気事業者の地位を承継します(2条の7)。この場合は承継した側が届け出ます。
登録小売電気事業者を確認する方法
1. 資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者一覧」を見る
資源エネルギー庁のサイトに「登録小売電気事業者一覧」のページがあり、1つの表にすべての登録事業者が並んでいます。令和8年9月30日現在の版では、表の上に「計823事業者(電気事業法に基づく登録事業者数)」と書かれていました。
表の項目は次のとおりです。
- 登録番号:A+4桁(例:A0002)
- 氏名又は名称
- 法人番号:13桁
- 住所(本社):都道府県と市区町村以降
- 代表者情報:役職と氏名
- 登録年月日
- 休止予定期間:開始と終了
検索窓はないので、ブラウザのページ内検索(Ctrl+F)で社名か登録番号を探すのが手早いです。同じページからExcel形式のデータもダウンロードでき、資源エネルギー庁が各事業者の協力で把握している「その他の情報」も含まれていると案内されています。
2. 社名ではなく「法人番号」で照らし合わせる
社名だけで探すと、似た名前の会社や、ブランド名と社名が違う会社で迷います。一覧には法人番号が載っているので、契約書面や請求書の会社名から法人番号を調べ、一覧の法人番号と一致するかを確かめるのがいちばん確実です。法人番号は国税庁の法人番号公表サイトや、しょくばログで社名から引けます(法人番号を会社名から検索する方法)。
ブランド名(「○○でんき」など)しか書かれていない場合は、契約書面の「小売電気事業者」欄、またはサービスサイトの会社概要を見て、運営会社の正式名称を確かめてから一覧に当たってください。
3. 休止予定期間の欄も見る
見落としやすいのが「休止予定期間」の欄です。令和8年9月30日現在の一覧では、823事業者のうち35事業者にこの欄の記載がありました。そのうち、この記事を書いた2026年10月6日の時点で期間の途中にあたるのは9事業者です。登録は残っていても、その期間は電気を売っていない可能性があります。
4. 一覧に無いときは、登録番号と日付をもう一度確かめる
一覧は「いま登録を受けている事業者」の表です。過去に登録していて、廃止や解散で抹消された事業者は載りません。相手の会社が「登録番号A○○○○」と名乗っているのに一覧に無いときは、番号の打ち間違いでなければ、すでに登録が抹消されている可能性があります。一覧の日付(「令和○年○月○日現在」)も一緒に確認してください。
5. 会社そのものも確かめる
登録の有無とは別に、会社が登記上いまも存続しているか、商号変更や合併がないかも見ておくと安心です。しょくばログの会社ページでは、法人番号ごとに登記の閉鎖の有無を確認できます(会社が実在するか確認する方法)。許認可全般の調べ方は会社の許認可を調べる方法にまとめています。
一覧を集計してわかったこと(しょくばログの集計)
ここからは、資源エネルギー庁の一覧(令和8年9月30日現在)を表から1行ずつ読み取り、しょくばログの法人DBと法人番号で突き合わせた結果です。
823事業者、番号はA1015まで。192番号が一覧に無い
一覧に載っている登録番号は、いちばん小さいものがA0002、いちばん大きいものがA1015でした。A0001からA1015までの1,015番号のうち、一覧にあるのは823番号。192番号(18.9%)は一覧に見当たりません。
一覧にあるのは現在の登録だけなので、この192番号は、廃止・解散の届出や取消しで抹消された番号だと考えられます。ただ、一覧からは、それぞれがなぜ消えたのか(廃止なのか、承継なのか、取消しなのか)まではわかりません。
最初期の番号ほど残りにくい様子も見えます。A0001〜A0100の100番号のうち、一覧に残っているのは78番号でした。
登録年月日は2016年が205件で最多
一覧の登録年月日を年ごとに数えると、次のとおりです(2026年は9月30日まで)。
- 2015年:78件
- 2016年:205件
- 2017年:61件
- 2018年:80件
- 2019年:78件
- 2020年:71件
- 2021年:45件
- 2022年:42件
- 2023年:17件
- 2024年:49件
- 2025年:61件
- 2026年:36件
電力の小売が全面自由化されたのは2016年4月で、その前後の2015〜2016年の登録が283件(いま一覧に残る823件の34.4%)を占めます。2023年は17件と、年ごとの件数でいちばん少なくなっていました。
ここで数えているのは「いま一覧に残っている事業者の登録年月日」です。すでに一覧から消えた事業者は入っていないので、年ごとの新規登録の総数ではありません。
本社は東京都が4割
本社の都道府県は、東京都が327事業者(39.7%)で最多でした。続いて大阪府52、愛知県28、北海道25、神奈川県24、福岡県23、兵庫県23、埼玉県21、長野県20、千葉県19です。
株式会社が93%、合同会社が31社
しょくばログの法人DBで823事業者すべての法人番号が見つかりました。法人の種類は、株式会社769(93.4%)、合同会社31(3.8%)、その他の法人20、有限会社3です。
業種(日本標準産業分類の大分類)は、分類不能が505(61.4%)、電気・ガス・熱供給・水道業が213(25.9%)、卸売業・小売業36、製造業20、情報通信業18、建設業11でした。小売電気事業者の多くは、DB上では業種が付いていません。ガス会社、石油販売、通信会社、ケーブルテレビなど、本業が別にある会社が電気も売っている例が多いのは、一覧の社名を眺めるだけでもわかります。
合併で閉鎖済みの法人番号が4件、一覧に残っていた
823事業者のうち4件は、しょくばログの法人DB(国税庁の法人番号データ)で、登記がすでに閉鎖されていました。閉鎖の理由はいずれも「合併による解散等」です。閉鎖日は2016年が1件、2024年が1件、2026年が2件でした。
合併後の会社が地位を承継していれば事業は続いていますが、一覧の記載(社名・法人番号)は古いまま、ということになります。一覧の情報は届出にもとづくので、登記と時差が出ることがあると覚えておくと、照らし合わせで迷いません。合併で登記から消える会社の数え方は「買収された会社」は登記から消えるのかで説明しています。
会社サイトには登録番号が書いてあるのか
しょくばログでは、会社の公式サイトの文章を保存して、会社ページの情報に使っています。文字化けの多いものを除いた31,159社分です。
一覧の823事業者のうち、サイトを確認できたのは104社
一覧の823事業者のうち、しょくばログにサイトの文章が保存されていたのは104社でした。そのうち、自社の登録番号(一覧と同じA+4桁)をサイトに書いていたのは13社(12.5%)です。
13社の該当箇所を目で見て確かめると、書き方はいくつかに分かれました。
- 会社概要の「許認可」「登録」欄に、建設業許可や古物商許可と並べて書く
- 「小売電気事業者 登録番号 A○○○○」と、登録番号の語をつけて書く
- 「経済産業省」「資源エネルギー庁」と登録先を添える
- 登録年月日まで書く
- 事業内容の欄に「電力事業(小売電気事業者登録番号:A○○○○)」とかっこ書きする
残りの91社は、サイトの保存した範囲では登録番号が見つかりませんでした。保存しているのは会社サイトのうち主要なページの文章なので、電気のサービスを別ドメインのサイトで案内している会社も多く、「会社サイトに番号が無い」ことは「登録していない」ことを意味しません。
31,159社全体で見ても、「登録小売電気事業者」「小売電気事業者登録」などの語に触れている会社は13社だけでした。電気を売っている会社でも、会社サイトの会社概要に登録を書く習慣はまだ広くないようです。
同じエネルギー系の登録でも、LPガスの販売事業者は会社サイトに「販売事業者証」を載せる会社が多く、149社中22.1%が登録や事業者証に触れていました(LPガス販売事業者の登録を調べる方法)。電気工事業の登録については電気工事業の登録を調べる方法を見てください。電気を「売る」登録と、電気工事を「する」登録は別の制度です。
新電力の撤退・廃業を見分けるには
「契約している会社がまだ電気を売っているか」を一覧で確かめるときに見るのは、次の3つです。
- 一覧に残っているか:登録番号と法人番号で探す。無ければ抹消された可能性
- 休止予定期間が入っていないか:入っていれば、その期間は事業を休む予定
- 法人番号の登記が閉鎖されていないか:合併なら承継先を、清算や破産なら事業の終わりを疑う
事業を休止・廃止する会社には、契約先へあらかじめ周知する義務があります(2条の8第3項)。お知らせが届いたら、廃止日、ほかの会社への切り替えの期限、届かなかった場合の扱いを必ず読んでください。
会社がいまも活動しているかの見方は会社が実在するか確認する方法で扱っています。
確認できなかったこと
- 一覧から消えた192番号が、それぞれ廃止・承継・取消しのどれにあたるか(一覧には現在の登録しか載らないため)
- 過去に登録されていた事業者の一覧を、資源エネルギー庁が別に公開しているかどうか(今回の調査では見つけられませんでした)
- 番号に欠けがある理由のうち、そもそも使われなかった番号があるかどうか
よくある質問
登録小売電気事業者の登録番号はどこで見られますか?
資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者一覧」です。登録番号はAで始まる4桁で、名称・法人番号・本社住所・代表者・登録年月日と一緒に載っています。契約書面やサービスサイトの会社概要に書いている会社もありますが、しょくばログの集計では、サイトを確認できた104社のうち番号を書いていたのは13社(12.5%)でした。
小売電気事業者の一覧は何社くらいありますか?
令和8年9月30日現在の一覧では823事業者です。登録番号はA1015まで進んでいますが、A0001〜A1015のうち192番号は一覧にありません。一覧には現在の登録だけが載るため、廃止や解散で抹消された番号は外れます(192番号それぞれの理由までは一覧からはわかりません)。
一覧に載っていない会社と契約してしまったら?
まず契約書面の「小売電気事業者」欄を見てください。話をしてきたのが代理店(媒介・取次ぎ・代理)なら、電気を売るのは別の登録事業者のはずです。その会社の名称と法人番号で一覧を探し、それでも見つからなければ、契約した会社に登録番号を問い合わせてください。
登録に有効期限や更新はありますか?
電気事業法の条文上、小売電気事業者の登録に有効期間や更新の定めは見当たりません。登録は、廃止・解散の届出や取消しがあったときに抹消されます(2条の10)。一覧に載っているかどうかは、いつの時点の一覧かとあわせて確かめてください。
登録小売電気事業者と電気工事業の登録は同じですか?
別の制度です。小売電気事業者の登録は電気事業法にもとづく「電気を売る」ための登録で、登録先は経済産業大臣です。電気工事業の登録は電気工事業法にもとづく「電気工事をする」ための登録で、多くは都道府県知事に登録します。
データについて
- 登録事業者の集計:資源エネルギー庁「登録小売電気事業者一覧」(令和8年9月30日現在・2026年10月6日取得)の表を1行ずつ読み取り、登録番号・法人番号・都道府県・登録年月日・休止予定期間を数えたもの
- 法人の種類・業種・閉鎖の集計:国税庁法人番号公表サイトのデータをもとにした、しょくばログの法人DB。一覧の823事業者の法人番号はすべてDBで見つかりました。業種は日本標準産業分類の大分類
- 会社サイトの集計:しょくばログが保存している会社公式サイトの文章のうち、文字化けの多いものを除いた31,159社。登録番号を書いていた13社は該当箇所を目視し、いずれも自社の登録番号であることを確かめています。個社名は出していません
- 制度の説明:電気事業法(昭和39年法律第170号)2条・2条の2〜2条の10・2条の13〜2条の17・117条の2(e-Gov 法令検索の API で条文を確認)