✍ 古家あきら | 2026-10-07 更新
建設キャリアアップシステムの事業者登録とは — 許可とは別の仕組み、登録事業者の検索と、会社サイトでの書かれ方(建設会社3,489社のうち載せていたのは35社)
先に結論です。建設キャリアアップシステム(CCUS)の事業者登録は、会社の情報をCCUSというシステムに登録する手続きで、建設業許可のような「国が営業を認める許可」ではありません。 登録すると事業者IDが発行され、5年ごとに更新します。登録しているかどうかは、CCUSのホームページにある登録事業者の検索で、社名や所在地から調べられます。
- 運営しているのは一般財団法人建設業振興基金:技能者の資格や現場での就業履歴をためる仕組みで、事業者登録はその入口です。技能者を現場に入れる会社が、事業者として登録します
- 登録料は資本金で決まり、5年ごと:一人親方は無料、資本金500万円未満の法人は6,000円、500億円以上は240万円(税込)です(建設業振興基金「インターネット申請ガイダンス 事業者情報登録」2026年3月23日版)
- 登録事業者は31万を超える:2026年7月31日時点の事業者登録数は累計315,210、うち一人親方を除くと205,479です(建設業振興基金「建設キャリアアップシステムの運営状況について」2026年8月18日)
- 調べる場所:CCUSのホームページの登録事業者検索で、商号または名称、所在地などから探せます
- 会社のサイトに書いている会社はごく少数:しょくばログが保存している会社サイト31,159社のうち、「建設キャリアアップ」「CCUS」の語がある会社は65社(0.2%)。業種が建設業の会社に限っても3,489社のうち35社(1.0%)でした
しょくばログという会社データベースを運営していると、建設会社の採用ページを毎日のように目にします。建設業許可の番号はページの下のほうによく載っていますが、CCUSの話はほとんど見かけません。登録している会社が31万を超えているのに、サイトには出てこない。この差がどこから来るのかを、制度の側と会社サイトの側の両方から見ていきます。
CCUSの事業者登録とは何か:許可ではなく「システムへの登録」
技能者の経歴をためる仕組みの、会社側の入口
CCUSは、建設現場で働く技能者の資格や、どの現場でいつ働いたかという就業履歴を、業界共通の仕組みにためていくシステムです。運営しているのは一般財団法人建設業振興基金で、国土交通省と建設業の業界団体が普及を進めています。
技能者が自分の情報を登録するのが「技能者登録」、会社が自社の情報を登録するのが「事業者登録」です。現場に入る技能者の所属先として、また現場を登録して就業履歴をためる側として、会社がシステムに参加するための手続きが事業者登録にあたります。
運営元の資料では、2026年7月31日時点で技能者登録数は累計1,893,445、事業者登録数は累計315,210です。事業者登録数の累計は、登録を更新しなかった事業者の数を引いた数とされています。
建設業許可とは何が違うか
いちばん間違えやすいのがここです。建設業許可は、建設業法にもとづいて国土交通大臣か都道府県知事が出すもので、一定の規模を超える工事を請け負うには許可が要ります。許可の調べ方は 会社の許認可を調べる方法 に、一般建設業と特定建設業の違いは 一般建設業と特定建設業の違い にまとめています。
CCUSの事業者登録は、それとは別の仕組みです。運営元が会社の情報を確認して事業者IDを発行するもので、工事を請け負う資格を国が認めたことを意味しません。経審(経営事項審査)の点数とも別物です。経審の点数の調べ方は 経審の点数を検索する方法 をご覧ください。
つまり、ある建設会社を確かめたいときは、建設業許可・経審・CCUSを別々に見る必要があります。どれか1つが見つかっても、ほかの2つがあるとは限りません。
登録の流れと費用:資本金で変わる登録料と5年の有効期限
登録はインターネットか認定登録機関で
運営元のガイダンスによると、事業者情報の登録申請には、CCUSのホームページからインターネットで申請する方法と、記入した申請書を認定登録機関に持参する方法の2つがあります。本人のほか、代行申請もできます。運営状況の資料では、認定登録機関は235か所、CCUS登録行政書士は1,245名とされています(2026年7月31日時点)。
一人親方は、事業者情報と技能者情報の両方を登録します。審査のあとに登録料を払うと事業者IDが発行され、IDの有効期限は5年です。
事業者登録料(5年ごと・税込)
ガイダンスに載っている登録料は次のとおりです。法人の資本金は、提出した確認書類か、建設業許可番号から参照された資本金の情報で決まります。
- 一人親方:0円(無料)
- 一人親方以外の個人事業主:6,000円
- 資本金500万円未満:6,000円
- 500万円以上1,000万円未満:12,000円
- 1,000万円以上2,000万円未満:24,000円
- 2,000万円以上5,000万円未満:48,000円
- 5,000万円以上1億円未満:60,000円
- 1億円以上3億円未満:120,000円
- 3億円以上10億円未満:240,000円
- 10億円以上50億円未満:480,000円
- 50億円以上100億円未満:600,000円
- 100億円以上500億円未満:1,200,000円
- 500億円以上:2,400,000円
このほか、システムを操作する管理者IDの利用料などがかかります。金額は改定されることがあるので、申請の前にCCUSのホームページで最新の料金を確かめてください。
登録事業者を調べる方法
CCUSの登録事業者検索を使う
運営元の資料には、CCUSのホームページに登録事業者の検索機能があり、商号または名称、所在地などで探せると書かれています。手順は次のとおりです。
1. 会社の正式名称と所在地を確かめる:株式会社が前につくか後ろにつくか、旧社名かどうかで検索結果が変わります。正式名称は 法人番号の調べ方 で確認できます 2. CCUSの登録事業者検索で、名称と所在地を入れる:同じ名前の会社が別の県にあることもあるので、所在地まで照らし合わせます 3. 見つからないときは表記ゆれを疑う:ひらがな・カタカナ・英字の違いや、略称で登録されている場合があります 4. 建設業許可は別に調べる:CCUSで見つかっても、許可の有無は国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムで確かめます
登録が見つからなくても、すぐ悪いとは言えない
CCUSに登録していないことは、法律違反を意味しません。建設業許可とは違い、登録していない会社が工事をしてはいけない、というものではないからです。逆に、登録していることも、会社の経営や工事の質を保証するものではありません。
見るべきなのは、登録の有無そのものより「その会社の現場の働き方と結びついているか」です。たとえば求人に応募する立場なら、面接で「現場でCCUSのカードを使っていますか」「就業履歴はたまりますか」と聞くほうが、登録の有無よりも多くのことが分かります。
会社のサイトは何を書いているか:65社のデータ
ここからは、しょくばログが法人番号に結びつけて保存している会社の公式サイトのうち、文字化けなく読めた31,159社を調べた結果です(2026年10月7日集計)。
CCUSに触れているのは65社、0.2%
31,159社のうち、「建設キャリアアップ」「CCUS」のどちらかの語がある会社は65社(0.2%)でした。
65社の業種を見ると、建設業が35社でいちばん多く、次いで業種を分類できない会社が15社、製造業と学術研究・専門・技術サービス業が6社ずつでした。法人の種類は、株式会社が59社、有限会社が2社、その他の法人が4社でした。
書き方まで見ると、「事業者登録」「事業者ID」「登録事業者」などの言葉がCCUSのすぐ近くにある会社は7社、技能者のレベルやカードに触れている会社は6社でした。CCUSの番号らしい数字列をCCUSの語のそばに載せている会社は、見つかりませんでした。
建設会社に限っても1.0%
保存しているサイトのうち、業種が建設業に分類されている会社は3,489社です。このうちCCUSの語がある会社は35社(1.0%)でした。
比べるために、同じ3,489社で「建設業許可」「許可番号」「知事許可」などの許可の書き方がある会社を数えると、875社(25.1%)ありました。許可を書いている875社のうち、CCUSにも触れている会社は12社(1.4%)です。
建設会社のサイトでは、許可は4社に1社が書いていて、CCUSは100社に1社しか書いていない、ということになります。運営元の数字では一人親方を除いても20万を超える事業者が登録しているので、「登録はしているがサイトには書いていない」会社がかなりの数あると考えられます。
サイトに書かれていないのは、なぜか
理由は推測になりますが、建設業許可は請け負える工事の範囲にかかわるので、発注者に見せる意味があります。一方、CCUSは現場の運用の仕組みで、元請けや現場の中で使われるものです。会社の外の人に向けたサイトでわざわざ書く動機が、許可に比べて弱いのだと思います。
採用の面では、技能者にとってCCUSは自分の経歴が記録に残る仕組みです。採用ページで「CCUSに登録しています」「現場で就業履歴をためられます」と書いている会社はまだ少ないので、書くだけで他社との違いになりえます。建設会社の採用ページの見方は 電気工事業登録を調べる方法 や リフォーム会社と建設業許可 でも扱っています。
建設業の法人全体の規模
参考として、国税庁の法人番号公表サイトのデータ(約579万法人)では、業種が建設業に分類されている法人は260,687で、そのうち登記記録が閉鎖されているものが38,817あります。CCUSの事業者登録数には個人事業主も含まれ、業種の分け方も違うので、この2つの数字から登録率を出すことはできません。規模の目安として並べておきます。
よくある質問
建設キャリアアップシステムの事業者登録は、必ずしなければいけませんか?
建設業許可のように、登録しないと工事を請け負えない、という仕組みではありません。ただ、運営元の資料にも「CCUSモデル工事」という言葉が出てくるように、発注者や元請けがCCUSの活用を求める工事があります。自社が入る現場で求められるかどうかを、元請けや発注者に確認してください。
事業者登録の費用はいくらですか?
資本金で決まります。一人親方は無料、資本金500万円未満の法人と一人親方以外の個人事業主は6,000円、資本金500億円以上は240万円です(税込・5年ごと)。このほか管理者IDの利用料などがかかります。金額はCCUSのホームページで最新のものを確認してください。
登録の有効期限はありますか?
事業者IDの有効期限は5年で、5年ごとに更新料を払って更新します。更新しないと登録が切れ、運営元が公表する事業者登録数の累計からも外れます。
ある会社が登録しているかは、どこで調べられますか?
CCUSのホームページにある登録事業者の検索で、商号または名称、所在地などから探せます。社名の表記ゆれで見つからないことがあるので、法人番号公表サイトで正式名称を確かめてから検索すると確実です。
CCUSに登録している会社は、信用できる会社ですか?
登録していることは、会社の経営状態や工事の質を保証するものではありません。登録は運営元が会社の情報を確認して事業者IDを出す手続きで、国が会社を審査して認める許可とは違います。会社を確かめるときは、建設業許可・経審・決算の情報なども合わせて見てください。
データについて
- 会社サイトの集計:しょくばログが法人番号に結びつけて保存している会社の公式サイトのうち、文字化けなく読めた31,159社が対象(2026年10月7日集計)。「建設キャリアアップ」「CCUS」の語がある65社を数え、業種・法人の種類は国税庁の法人番号公表サイトのデータと照らし合わせました。保存しているのは会社サイトの一部で、日本の会社サイト全体ではありません。語の有無で数えているので、画像だけで書かれている場合は数に入っていません
- 建設業の法人数:国税庁の法人番号公表サイトのデータ(約579万法人)のうち、業種が建設業に分類されている法人を数えました。閉鎖は登記記録の閉鎖の有無で判定しています
- 登録数・サポート体制:一般財団法人建設業振興基金 建設キャリアアップシステム事業本部「建設キャリアアップシステムの運営状況について」(2026年8月18日、2026年7月31日時点の数字。日本建設業連合会のサイトに掲載されたPDFで2026年10月7日に閲覧)
- 登録料・有効期限・申請方法:一般財団法人建設業振興基金「建設キャリアアップシステム インターネット申請ガイダンス 事業者情報登録」(2026年3月23日版、2026年10月7日に閲覧)
- 個別の会社名は出していません。この記事は制度の仕組みとデータの紹介で、特定の事業者の登録の有無を判断するものではありません