✍ 古家あきら | 2026-10-12 更新

経営力向上計画・事業継続力強化計画の認定企業を調べる — 認定の意味と、確かめ方(事業継続力強化計画の認定3.1万社。徳島県は1,000社あたり32社で全国平均の5倍)

先に結論です。取引先や応募先の会社が「経営力向上計画」や「事業継続力強化計画」の認定を受けているかは、中小企業庁が公表している一覧と、gBizINFO(経済産業省の法人情報サイト)で確かめられます。 ただし、どちらの一覧にも載らない認定企業があります。経営力向上計画の一覧には、申請のときに「公表してよい」と答えた会社しか載りません。事業継続力強化計画の一覧は、今年度と過去3年度分しか掲載されていません。

もうひとつ大事なのは、認定は「会社の評価」ではなく「計画の認定」だという点です。国が認めたのは、その会社が出した計画の中身です。会社の業績や待遇、取引の誠実さにお墨付きを与えたものではありません。

しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「取引先の会社案内に『事業継続力強化計画 認定』のロゴがあった。これはどういう意味か」と聞かれることがあります。そこで、gBizINFOの届出・認定データ(2026年6月14日時点の一括データ)をしょくばログの台帳と法人番号で突き合わせてみました。数字と一緒に、調べ方を書いていきます。

2つの認定は何が違うのか

どちらも中小企業等経営強化法にもとづく制度ですが、目的が違います。

ひとことで言えば、経営力向上計画は「生産性を上げる計画」、事業継続力強化計画は「止まらないための備えの計画」です。片方を持っていても、もう片方を持っているとは限りません。

認定を受けた事業者は、事業継続力強化計画の認定ロゴマークを広報や販売活動に使えます。会社のサイトや名刺でロゴを見かけるのはこのためです。ロゴ自体は、認定を受けていない機関でも、制度の周知に協力する目的で使用規約に同意して許可を得れば使えるので、ロゴがあることだけで「認定企業だ」と決めないほうが安全です。

台帳で数えた、2つの認定の広がり

gBizINFOの届出・認定データ13万301件のうち、この2つの計画に関わるものを抜き出しました。法人番号でしょくばログの台帳と突き合わせると、どの会社も台帳で見つかりました。

認定を受けた会社が、その後に閉鎖した例はわずかでした。事業継続力強化計画で113社(0.36%。清算の結了など65社、合併48社)、経営力向上計画で13社(0.37%)です。

経営力向上計画は、gBizINFOでは一部しか見えない

ここが一番の注意点です。中小企業庁によると、経営力向上計画の認定は2026年7月31日現在で累計20万3,100件あります。ところがgBizINFOで法人番号付きで引けるのは3,517社でした。

gBizINFOに載っている分を見ると、認定日は2023年4月から2026年3月まで、発行元はほぼすべてが経済産業省と中小企業庁です。計画の事業分野も、製造業が2,137件(60.7%)、卸売業・小売業が478件と、経済産業省が受け持つ分野に偏っています。経営力向上計画は事業分野ごとに省庁へ申請する仕組みなので、ほかの省庁が認定した分は、gBizINFOにはほとんど流れてきていないと読めます。

つまり、gBizINFOで経営力向上計画が出てこなくても、「認定を受けていない」とは言えません。確かめるなら、次の章で書く中小企業庁の認定企業一覧を当たってください。

事業継続力強化計画は、株式会社の約100社に1社

事業継続力強化計画は、gBizINFOにも中小企業庁の一覧にも、まとまった数が出ています。台帳の活動中の会社に対する割合を、法人の種類ごとに出すとこうなりました。

株式会社ならおよそ100社に1社が、この3年あまりの間に認定を受けている計算です。経営力向上計画(gBizINFOで見える分)は株式会社で2,968社、0.12%でした。

規模は小さめです。gBizINFOに従業員数が載っている1万246社で見ると、中央値は26人でした。5人以下が1,647社(16.1%)、6〜20人が2,716社(26.5%)、21〜50人が2,856社(27.9%)で、50人以下が7割を占めます。経営力向上計画(従業員数の分かる1,019社)の中央値は41人で、少し大きめです。

2つの認定を両方持つ会社は594社でした。経営力向上計画の3,517社から見ると16.9%です。

都道府県で大きく違う。徳島県は全国平均の5倍

事業継続力強化計画の認定を、活動中の会社(株式会社・有限会社・合同会社・その他の設立登記法人)1,000社あたりで数えると、全国では6.37社でした。都道府県別では差が大きく出ます。

徳島県は全国平均の約5倍です。件数の多さでは東京都(3,847社)が1位ですが、会社の数で割ると下から2番目になります。なぜ地域差が出るのかは、このデータからは分かりません。言えるのは、「認定を持っている会社が珍しいかどうか」は地域によって違う、ということです。

認定企業かどうかを確かめる手順

1. 社名と法人番号を確かめる。同じ社名の会社は珍しくありません。国税庁の法人番号公表サイトかしょくばログで、所在地と法人番号を先に押さえます。 2. gBizINFOで法人番号を検索する。会社のページの「届出・認定」に、事業継続力強化計画や経営力向上計画の認定が出ていれば、認定日と発行元が分かります。 3. 事業継続力強化計画なら、中小企業庁の「認定事業者一覧」を見る。地域別・年度別のファイルに、都道府県ごとのシートで事業者名が並んでいます。2025年12月25日から、市区町村・業種・認定年月日・実施期間も載るようになりました。 4. 経営力向上計画なら、中小企業庁の「認定企業一覧」を見る。年度版ごとに公開されています。ただし申請時に「公表可」とした会社だけです。 5. それでも見つからなければ、会社に直接聞く。認定を受けた会社には認定書が交付されます。取引の前なら、写しを見せてもらうのがいちばん確実です。

「見つからない」をどう読むか

事業継続力強化計画は実施期間が最大3年なので、中小企業庁の一覧も今年度と過去3年度分しか載せていません。古い認定は一覧から外れていきます。

gBizINFOのデータで、会社ごとに最も新しい認定日を見ると、3万1,233社のうち6,494社(20.8%)は2023年10月12日以前でした。延長や再認定がなければ、今日の時点で実施期間を終えている会社です。一方で、同じ会社に2件以上の認定記録があるのは700社でした。2回目以降の申請には、前回の計画の実施報告書の添付が必要とされています。続けて認定を受けている会社は、少なくとも一度は計画を回したことになります。

会社のサイトに認定ロゴがあっても、認定日が古ければ、いまも期間内とは限りません。日付まで確かめるのが確実です。

取引先・応募先として見るときの注意

認定から読み取れることと、読み取れないことを分けておきます。

中小企業庁自身も、事業継続力強化計画について「策定、認定を受けるだけではなく、平時からその計画に基づいた訓練や見直し」が欠かせないと書いています。認定は出発点で、中身が回っているかは外からは見えません。

取引先の確認なら、認定に加えて登記や法人番号、許認可、国との取引の有無といった、ほかの公開情報と組み合わせて見るのが現実的です。認定マーク全般の読み方は企業の認定マークの意味の記事、許認可の調べ方は会社の許認可を調べる方法の記事、取引先の調べ方の全体像は会社の取引先を調べる方法の記事にまとめています。補助金の採択から会社を調べる場合は補助金の採択企業から会社を調べる方法の記事が近い内容です。新しい取引先を確認する項目は新規取引先の確認事項の記事を見てください。

しょくばログでの見え方

しょくばログでは、会社のページに法人番号・所在地・法人の種類・閉鎖の有無を載せています。gBizINFOで認定を確かめる前に、まずここで「同じ社名の別の会社ではないか」「すでに閉鎖していないか」を確認しておくと、取り違えを防げます。

今回数えてみて感じたのは、2つの認定の「見え方」がまったく違うことです。事業継続力強化計画は3万社以上が公開データで確かめられる一方、経営力向上計画は累計20万件のうち、gBizINFOで法人番号から引けるのはごく一部でした。データに出てこないことと、認定がないことは別の話です。

よくある質問

事業継続力強化計画の認定を受けている会社は、災害に強いと考えてよいですか

そうとは言い切れません。認定されたのは、防災・減災の事前対策をまとめた計画です。計画どおりに訓練や見直しが続いているかは、外からは分かりません。気になる場合は、どんな訓練をしているかを会社に聞くのが確実です。

経営力向上計画の認定企業を、全部まとめて調べる方法はありますか

ありません。中小企業庁の認定企業一覧は、申請時に「公表可」とした会社だけが載ります。gBizINFOに載っている分も、主に経済産業省・中小企業庁が認定したものです。一覧に無い会社については、本人に認定書の写しを見せてもらうしかありません。

認定ロゴが会社のサイトにあれば、認定企業と考えてよいですか

多くの場合はそうですが、確かめる価値はあります。事業継続力強化計画のロゴは、制度の周知に協力する機関が使用規約に同意して使うこともできます。また実施期間は最大3年なので、ロゴがあっても期間が終わっている場合があります。gBizINFOか中小企業庁の一覧で、認定日まで確認してください。

個人事業主も認定を受けられますか

どちらの計画も、法人に限らず個人事業者も対象です。ただ、経営力向上計画の認定企業一覧では、屋号が書かれていない個人事業者は「公表可」としていても掲載されない場合がある、と中小企業庁は案内しています。今回の集計は法人番号で突き合わせたため、個人事業者は含んでいません。

2つの計画の認定は、両方取る会社が多いのですか

少数です。gBizINFOのデータでは、両方の認定を持つ会社は594社でした。経営力向上計画の認定3,517社から見ると16.9%です。目的が違う制度なので、片方だけの会社のほうがずっと多くなっています。

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※数字の出典:gBizINFO 届出・認定情報の一括データ(2026年6月14日時点)を、しょくばログの法人台帳(国税庁 法人番号公表サイトのデータを元に作成)と法人番号で突き合わせて集計。経営力向上計画の累計認定件数は中小企業庁「中小企業等経営強化法に基づく『経営力向上計画』の認定状況について」(令和8年7月31日現在)、制度の説明は中小企業庁の「経営力向上支援」「事業継続力強化計画」の各ページによる。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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