✍ 古家あきら | 2026-10-06 更新

鹿児島・薩摩川内市の「東郷スーパーマーケット」が事業停止、破産申請へ。売上12億円から5億8000万円、負債約3億円──しょくばログDBで見る社名に「スーパー」を持つ法人1,865社と薩摩川内市の2,974社

先に結論です。鹿児島県薩摩川内市東郷町の株式会社東郷スーパーマーケットが、2026年9月末までに事業を停止し、破産申請の準備に入りました。 東京商工リサーチ鹿児島支店の情報を伝えたMBC南日本放送の報道によると、負債総額は約3億円です。

売上高は2000年前後に約12億円ありましたが、2025年3月期には5億8000万円まで減っていました。およそ半分以下です。報道では、コンビニエンスストアの出店や商圏人口の減少で競争が厳しくなり、さらに2026年9月に近くへ業務スーパーが開店したことで、客離れがいっそう進むおそれがあったと伝えられています。

しょくばログという会社データベースを運営していると、地方の倒産記事で「商圏人口の減少」という言葉を本当によく見かけます。この記事は東郷スーパーマーケットの経営を評価するものではありません。町に1つのスーパーが閉じたとき、そこで働いていた人、納品していた取引先、買い物をしていた住民がそれぞれ何を確かめればよいかを、台帳の数字とあわせて書きます。

出典:【倒産】地域に根ざした食品スーパーが事業停止・破産申請の準備へ 負債総額は約3億円 近隣への競合店出店で顧客流出を懸念、事業環境に厳しさ【東京商工リサーチ】(MBC南日本放送・2026年10月5日)

出典:不景気.com 国内倒産(2026年10月6日掲載)

報道で確認できる事実

仕出しやそうめん流しの受託と、店の売上以外の柱を持とうとしていたことがわかります。それでも本業の売上が25年ほどで半分以下になると、ほかの事業だけで埋めるのは難しかったと読めます。

しょくばログの台帳で見ると

本人の会社は、まだ「活動中」と表示される

しょくばログの台帳では、株式会社東郷スーパーマーケット(法人番号4340001008616)は、この記事を書いた時点で「活動中」の表示です。台帳の元になっている国税庁の法人番号公表サイトは、登記が閉鎖されたときに更新されます。店を閉めて破産の準備に入っても、手続きが進んで登記が閉じるまでは閉鎖の表示になりません。この時間差は会社の実在と倒産の確かめ方にまとめています。

社名に「東郷スーパー」を含む法人は、台帳全体でこの1社だけでした。「東郷」という地名は鹿児島県のほかにもあるので、取引先を確かめるときは社名ではなく法人番号で照合するのが確実です。

社名に「スーパー」を持つ法人は1,865社、閉鎖率は18.7%

台帳で、社名に「スーパー」を含む法人を数えると累計1,865社でした。そのうち閉鎖が348社で、閉鎖率は18.7%です。台帳全体(579万社、閉鎖率13.2%)より5ポイントほど高くなっています。

ただし「スーパー」は食品スーパーだけの言葉ではありません。スーパー銭湯、スーパーで使う機器の会社、社名の飾りとして使っている会社も含まれます。食品スーパーの全数ではない点に注意してください。

閉鎖した348社の閉じ方は、清算の結了などが202社(58.0%)、長く登記の動きがない会社を登記官が整理したものが122社(35.1%)、合併が24社(6.9%)でした。合併はわずかです。富山のアルビスがライフに買われた件のように、大手どうしでは統合が話題になります(アルビスの上場廃止の記事)。社名に「スーパー」を持つ小さな法人では、統合されるより自分で閉じるほうが多い、という形です。

鹿児島県内で社名に「スーパー」を持つ法人は23社(閉鎖3社)でした。鹿児島市が8社で最も多く、薩摩川内市は今回の会社の1社だけです。

薩摩川内市の法人は2,974社、閉鎖率は9.9%

薩摩川内市に本店がある法人は、台帳で累計2,974社でした。閉鎖は295社で、閉鎖率は9.9%です。鹿児島県全体(5万9,419社、11.8%)や全国(13.2%)より低い水準です。

内訳は有限会社が1,118社、株式会社が1,109社で、ほぼ同じ数でした。2006年より前に設立された小さな会社が、いまも多く残っている町だと読めます。

東郷町の住所に限ると、法人は132社(閉鎖11社)です。この規模の地域で、食品スーパーが閉じる影響は小さくありません。

閉鎖率が低いことは、地域の商売が楽だという意味ではありません。閉じる前に休眠のまま残っている会社もあります。台帳の閉鎖率は「その時点で登記が閉じているかどうか」を数えたもので、景気の良し悪しを直接示すものではない点に注意してください。

働く人・取引先・地域の人が確かめておきたいこと

1. 働いていた人:給料の未払いがあれば立替払制度がある

会社が破産したとき、払われなかった給料や退職金の一部を国が立て替える「未払賃金立替払制度」があります。窓口は労働基準監督署です。手続きの流れは、八戸の製麺所の事業停止の記事でも紹介しました。まず、破産管財人や弁護士からの連絡を待ちつつ、給与明細と勤務の記録を手元に残しておきます。

2. 納品していた取引先:売上が長く下がっている先を見落とさない

今回の会社は、売上が25年ほどかけて半分以下になっていました。急に倒れたように見えても、数字は長い時間をかけて動いていたことになります。取引先の確かめ方は取引先の調べ方にまとめています。決算書を見られない相手でも、支払いの遅れや仕入れの減り方は、日々の取引でわかることがあります。

3. 地域の人:買い物の行き先と、仕出しの手配先

日々の買い物先がなくなるだけでなく、葬祭向けの仕出しを頼んでいた家や葬祭場は、手配先を探し直すことになります。予約や前払いをしていたものがある場合は、破産の手続きの中で扱われるので、案内に従って届け出ます。

よくある質問

Q. 破産申請の準備中なのに、なぜ台帳は「活動中」なのですか。

台帳は国税庁の法人番号公表サイトの情報をもとにしています。このサイトの表示が「閉鎖」に変わるのは、登記が閉鎖されたときです。破産手続きが始まってから終わるまでには時間がかかるため、その間は「活動中」のままです。

Q. 社名に「スーパー」を持つ1,865社は、スーパーマーケットの全数ですか。

違います。社名に「スーパー」という文字が入っている法人を数えただけです。食品スーパー以外の会社も入っていますし、逆に社名に「スーパー」が入っていない食品スーパーは数えていません。業界全体の数としては使えない点に注意してください。

Q. 薩摩川内市の閉鎖率9.9%は、全国より会社がつぶれにくいという意味ですか。

そうとは言い切れません。閉鎖率は「登記が閉じた会社の割合」です。事業をやめても登記を残したままの会社は、活動中として数えられます。地域の景気を比べる数字としては使わず、台帳の断面の目安として見てください。

Q. 近くに大型の競合店ができると、地元のスーパーは閉じるしかないのですか。

報道では、競合店の開店は最後のきっかけとして書かれています。その前から、コンビニの出店や人口の減少で売上は長く下がっていました。1つの出来事だけでなく、長い期間の売上の流れを見ることが大切です。

まとめ

鹿児島県内のほかの倒産の動きは、後継者難の倒産と鹿児島の工務店の記事でも扱っています。会社の今の状態は、しょくばログで社名か法人番号を検索すると確かめられます。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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