✍ 古家あきら | 2026-10-07 更新

経営コンサルタントの倒産、2026年度上半期は80件で過去2番目──しょくばログDBで見る、社名に「コンサル」を持つ会社2万7,126社の閉鎖率12.2%と東京集中37.5%

先に結論です。東京商工リサーチの集計によると、2026年度上半期(4〜9月)の「経営コンサルタント業」の倒産は80件でした。 前年同期の93件からは13.9%減ったものの、2007年以降の20年間では2番目に多い水準です。負債総額は37億7,600万円でした。

しょくばログという会社データベースを運営していると、「コンサル会社と契約したいが、どこまで信用していいか分からない」という相談をよく受けます。資格がなくても名乗れる仕事なので、外から中身が見えにくいのです。そこで、しょくばログの法人データで社名に「コンサル」を含む会社を数えると、株式・有限・合名・合資・合同の5種類で2万7,126社ありました。

この記事は特定の会社を評価するものではありません。報道の数字と台帳の数字を並べて、コンサル会社と付き合う人・コンサル会社に応募する人が確かめておきたい点を整理します。

出典:経営のプロがAI台頭で苦境?「経営コンサルタント」倒産 過去2番目の80件(東京商工リサーチ・2026年10月7日)

報道で確認できる事実

東京商工リサーチが公表した内容のうち、主な数字は次のとおりです。

背景として同社は、生成AIの広がりで「資料を作る」「データを分析する」といった仕事そのものの価値が下がっていること、2026年1月の行政書士法改正で補助金申請の代行に制限がかかったことを挙げています。

件数だけを見ると前年より減っています。ただ、件数が過去2番目のまま高止まりしていることと、負債1億円以上の倒産が増えていることは、分けて受け取ったほうがいいと考えています。倒産件数の数え方が調査会社によって違う点は、倒産件数が発表元で違う理由の記事で書きました。

しょくばログの台帳で見る「コンサル」の会社

しょくばログが持つ国税庁の法人番号データから、株式会社・有限会社・合名会社・合資会社・合同会社のうち、社名に「コンサル」を含む会社を数えました。

5種類の会社全体の閉鎖率は13.5%です。社名に「コンサル」を持つ会社は、全体よりわずかに低い数字でした。ただし、これは「コンサルの会社がつぶれにくい」という意味ではありません。登記の閉鎖は、倒産だけでなく、自主的な解散や合併でも起きます。また、新しく作られた会社が多い分野ほど、閉鎖までの時間がまだ経っていないので、閉鎖率は低く出ます。閉鎖された3,296社のうち約7割(2,292社)は「清算の結了等」による閉鎖で、倒産と同じではありません。

倒産として数えられない会社の終わり方については、倒産統計に載らない会社の終わり方の記事で詳しく書いています。

東京に37.5%が集まっている

いま登記が残っている「コンサル」の会社は2万3,830社です。そのうち東京都が8,939社で、37.5%を占めます。会社全体で見ると東京都の割合は24.4%なので、コンサルは東京への偏りがかなり強い業種です。次いで神奈川県1,822社、大阪府1,810社、愛知県1,132社でした。

合同会社が多く、有限会社が少ない

登記が残っている「コンサル」の会社のうち、合同会社は3,872社(16.2%)でした。会社全体では合同会社は9.2%なので、約1.8倍です。一方、有限会社は16.7%で、全体の32.0%の半分ほどです。

有限会社は2006年以降は新しく作れないので、有限会社が少なく合同会社が多いということは、比較的新しい会社が多いことを示しています。少ない元手で一人でも始めやすい分野なのが、この数字にも出ています。業歴の浅い会社の倒産については業歴10年未満の倒産の記事が参考になります。

ホームページに何が書かれているか

しょくばログが集めているホームページの本文のうち、社名に「コンサル」を含み登記が残っている会社で、文字を正しく読めたもの224社分を調べました。

実績や事例を載せる会社は8割近くありますが、料金を載せている会社は4割ほどです。資格の記載は2割に届きません。経営コンサルタントは名乗るのに資格が要らないので、資格の有無だけで良し悪しは決まりません。ただ、何を根拠に助言しているのかは、契約前に聞いておく価値があります。

なお、この224社はホームページを持ち、こちらで本文を取得できた会社に限られます。コンサルの会社全体を代表する数字ではない点にご注意ください。

コンサル会社と契約する人・応募する人が確かめたいこと

1. 成果物が「資料」だけになっていないか

東京商工リサーチが指摘したとおり、資料作りや分析はAIで置き換わりやすくなりました。契約する側なら、報告書の先に何をしてくれるのか(現場での実行支援、人の紹介、交渉の同席など)を契約書で確かめておくと、費用に見合うかの判断がしやすくなります。

2. 補助金の申請を誰がするのか

2026年1月の行政書士法改正で、報酬を受け取って官公署に出す書類を作れるのは、原則として行政書士などに限られることがはっきりしました。補助金の申請支援を売りにしているコンサル会社と契約するなら、申請書類を誰が作るのかを確認しておきましょう。

3. 会社の実在と所在地を法人番号で確かめる

社名に「コンサル」を含む会社は全国に2万社以上あり、似た名前も多くあります。契約書や請求書の社名と所在地が、法人番号の登録と一致しているかを確かめてください。手順は法人番号の調べ方の記事にまとめています。

4. 応募するなら、売上が誰に頼っているかを聞く

倒産の原因で最も多いのは販売不振でした。従業員5人未満の事務所が大半なので、代表者一人の営業力や、少数の取引先に売上が頼っていることがあります。面接で「主な取引先は何社くらいか」を聞くのは失礼ではありません。

よくある質問

Q. 経営コンサルタントの倒産は増えているのですか。

2026年度上半期の80件は、前年同期の93件より減りました。ただし2007年以降で2番目に多く、高い水準が続いています。負債1億円以上の倒産は前年同期より増えています。

Q. コンサルの会社は閉鎖しやすいのですか。

しょくばログの台帳では、社名に「コンサル」を含む会社の閉鎖率は12.2%で、会社全体の13.5%よりわずかに低い数字でした。新しい会社が多いので低く出ている面があり、閉鎖しにくいとは言えません。

Q. 資格のないコンサルタントに頼んでも大丈夫ですか。

経営コンサルタントは資格がなくても名乗れます。資格の有無だけでは判断できないので、実績の中身、料金、契約の範囲を書面で確かめるのが確実です。税務の相談は税理士、補助金の申請書類は行政書士など、法律で決まった仕事の範囲には注意してください。

Q. 取引先のコンサル会社が倒産したらどうなりますか。

前払いした費用が戻らないことがあります。長期の契約は分割払いにする、成果物を途中で受け取るなどの形にしておくと、損失を小さくできます。

まとめ

経営コンサルタントの倒産は、2026年度上半期に80件と、過去20年で2番目の多さでした。しょくばログの台帳で見ると、社名に「コンサル」を持つ会社は2万7,126社あり、東京への集中が37.5%と強く、合同会社が多い、新しい会社の多い分野です。

AIで資料作りが安くなった今、コンサル会社に何を任せるのか、誰が責任を持つのかを、契約の前に確かめておくことがいちばんの備えになります。取引先の確かめ方全般は取引先の調べ方の記事に、同じ時期に公表された倒産の集計は後継者難倒産の記事と人手不足倒産の記事にまとめています。

古家あきら
全国の会社データベース「しょくばログ」を運営しています。会社の登記・求人・クチコミのデータと毎日向き合う中で気づいた“会社の調べ方”を、現場の目線で書いています。

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