✍ 古家あきら | 2026-09-14 更新
法人番号のチェックデジットを計算する方法 — 先頭1桁は下12桁から決まる。全国5,791,529社で検算して不一致0件、Excel1行で写し間違いを弾く
先に結論です。法人番号13桁の先頭1桁は「検査用数字(チェックデジット)」で、残りの12桁から計算で決まります。算式は財務省令に書いてあり、「下12桁を右から数えて、奇数桁目はそのまま、偶数桁目は2倍して全部足し、9で割った余りを9から引く」だけです。Excelなら1行の式で検算でき、請求書やマスタに書いてある法人番号の写し間違いを、照会に行く前に手元で弾けます。
しょくばログという会社データベースを運営していると、国税庁の公表データを取り込むたびに、この検査用数字を全件で検算しています。手元にある5,791,529件の法人番号すべてで、算式どおりに計算した先頭1桁と実際の先頭1桁が一致しました(不一致0件)。この記事では、その算式と計算例、Excelの式、そして「チェックデジットで防げる間違い・防げない間違い」をシミュレーションで数えた結果を書きます。番号の見方そのものは法人番号とは何か、会社名から番号を探す手順は会社名から法人番号を調べる方法に分けてあります。
- 法人番号=検査用数字1桁+基礎番号12桁。基礎番号は、株式会社などの設立登記法人なら登記簿の「会社法人等番号」そのもの(政令35条)
- 検査用数字=9 −(Σ Pn×Qn を9で割った余り)。Pnは下12桁の右からn桁目、Qnはnが奇数なら1・偶数なら2(財務省令2条)
- 計算結果は必ず1〜9。先頭が0の法人番号は存在しない(うちのDB全件でも0件)
- 1桁の写し間違いは95.14%を検出、漏れるのは「0と9の取り違え」だけ。隣り合う2桁の入れ替えは97.45%を検出(20,000社×全パターンのシミュレーション)
- 基礎番号の5〜6桁目(組織区分)で株式会社・有限会社・持分会社・その他が読めるが、現在の法人種別と食い違う番号が数万件ある。番号だけで会社の種類を断定しない
法人番号13桁の構成 — 先頭1桁と、残り12桁の中身
法人番号は、1桁の検査用数字と12桁の基礎番号からできています(番号利用法施行令35条1項)。基礎番号の中身は、番号を付けられた相手によって違います。
| 相手 | 基礎番号(12桁)の中身 | 根拠 | |---|---|---| | 設立登記法人(株式会社・合同会社・一般社団法人など) | 登記簿に記録された会社法人等番号そのもの。登記所コード4桁+組織区分2桁+一連番号6桁 | 施行令35条2項 | | 国の機関 | 0000 11(立法)/0000 12(行政)/0000 13(司法)+一連番号 | 国税庁「法人番号の構成」 | | 地方公共団体 | 0000 20 または 0000 30+一連番号 | 同上 | | 設立登記のない法人・人格のない社団等 | 先頭が7+一連番号(他のどの会社法人等番号とも重ならないよう国税庁が付番) | 施行令35条3項 |
つまり、株式会社の法人番号は「登記の会社法人等番号12桁の頭に検査用数字を1桁足したもの」です。登記事項証明書に載っている12桁の番号と、国税庁の13桁の番号は、先頭1桁を除いて同じ数字が並びます。労働保険番号や事業所番号との違いは会社の「事業所番号」「労働保険番号」とはにまとめました。
うちのDBで、基礎番号の先頭の型ごとに数えるとこうなります(2026年9月時点の取り込み分・5,791,529件)。
| 型 | 件数 | 読み方 | |---|---|---| | 登記所コード 0100〜5000(設立登記法人) | 5,743,646件 | 登記のある会社・法人。登記所コードは97種類 | | 0000 11〜13(国の機関) | 848件 | 立法5・行政295・司法548 | | 0000 20/0000 30(地方公共団体) | 7,418件 | 都道府県・市区町村など | | 先頭7(設立登記のない法人・人格のない社団等) | 39,617件 | 外国会社等19,838・その他19,779 |
法人番号が付かない相手(個人事業主・任意団体の一部)については法人番号がない会社・団体はある?で扱っています。
検査用数字の算式 — 財務省令2条のとおりに計算する
算式は「法人番号の指定等に関する省令」2条に定められていて、国税庁が公表サイトの資料「法人番号の構成」「チェックデジットの計算」で同じものを示しています。
検査用数字 = 9 −(Σ(n=1〜12) Pn × Qn を 9 で割った余り)
- Pn:基礎番号(下12桁)の最下位の桁を1桁目としたときの n 桁目の数字
- Qn:n が奇数のとき 1、偶数のとき 2
言い換えると、右端から数えて奇数番目の桁はそのまま、偶数番目の桁は2倍して、全部足す。その合計を9で割った余りを、9から引いたものが先頭1桁です。
国税庁の計算例で手順を追う
国税庁の資料にある例、会社法人等番号「700110005901」で計算します。
1. 右端から数えて奇数桁目(1・3・5・7・9・11桁目)の数字:1, 9, 0, 0, 1, 0 → 合計 11 2. 右端から数えて偶数桁目(2・4・6・8・10・12桁目)の数字:0, 5, 0, 1, 0, 7 → 合計 13 → 2倍して 26 3. 11 + 26 = 37 4. 37 ÷ 9 = 4 余り 1(商の4は捨てる) 5. 9 − 1 = 8
よって法人番号は「8700110005901」です。国税庁の資料も同じ8になっています。
「9 − 余り」なので、結果は必ず1〜9
余りは0〜8のどれかなので、9から引くと1〜9になります。検査用数字が0になることはありません。実際、うちのDBの5,791,529件で先頭1桁を数えると、1〜9がそれぞれ642,875〜643,919件(各11.1%)でほぼ均等に分かれ、0は1件もありませんでした。「先頭が0の法人番号」を見たら、それはインボイス番号(T+13桁)の T を落としたものでも、法人番号でもなく、別の番号か写し間違いです。
Excel・Googleスプレッドシートで検算する式
手元に法人番号の一覧がある人向けに、そのまま貼れる式を2本置きます。A1に13桁の法人番号が文字列として入っている前提です(数値として入れても13桁なら桁落ちしませんが、`MID` を使うので文字列扱いで統一したほうが安全です)。
13桁の番号が正しいか判定する(A1 = 法人番号13桁)
``` =IF(VALUE(LEFT(A1,1))=9-MOD(SUMPRODUCT(MID(A1,{3,5,7,9,11,13},1)*1)+SUMPRODUCT(MID(A1,{2,4,6,8,10,12},1)*2),9),"OK","NG") ```
12桁の会社法人等番号から検査用数字を出す(A1 = 会社法人等番号12桁)
``` =9-MOD(SUMPRODUCT(MID(A1,{2,4,6,8,10,12},1)*1)+SUMPRODUCT(MID(A1,{1,3,5,7,9,11},1)*2),9) ```
式の中身は、省令の「右から奇数桁目×1、偶数桁目×2」を左からの位置に置き換えただけです。12桁なら左から偶数位置(2,4,…,12)が右から奇数桁目なので×1、左から奇数位置(1,3,…,11)が右から偶数桁目なので×2になります。13桁の判定式は、先頭の検査用数字1桁のぶん位置が1つずつ右にずれています。
この式の桁の対応は、国税庁の例「700110005901 → 8」と、うちのDBから無作為に抜いた番号で、同じ添字を使ったプログラムで検算して一致を確かめました(Excelそのものではなく、式と同じ添字で計算するプログラムでの検算です。式を貼ったら、まず「8700110005901」で OK が出ることを確かめてから使ってください)。Googleスプレッドシートでも `SUMPRODUCT`・`MID`・`MOD` は同じ挙動なので、そのまま動きます。
全国5,791,529件で検算した結果 — 不一致は0件
「省令の算式が本当に全部の番号に当てはまるのか」は、手元のデータで確かめられます。うちのDBに入っている法人番号5,791,529件(国税庁の全件データを取り込んだもの・国の機関や地方公共団体、先頭7の法人も含む)について、下12桁から検査用数字を計算し、実際の先頭1桁と突き合わせました。
- 一致:5,791,529件
- 不一致:0件
念のため、Qn の奇数・偶数を逆にした(右端から奇数桁目を2倍する)誤った算式でも計算してみると、5,148,145件が不一致になりました。奇数桁×1・偶数桁×2の向きを間違えると、ほとんどの番号で違う数字が出るので、ネットで見かける計算式を写すときは、この向きだけは確認してください。
この検算は、うちのようなデータベースにとっては取り込みエラーの検知に使えますし、経理や営業の現場なら「取引先マスタに入っている法人番号が、そもそも番号として成立しているか」の一次チェックに使えます。番号として成立していても、その番号がその会社のものかどうかは別の話で、それは会社名から法人番号を調べる手順で名寄せして確かめる必要があります。
チェックデジットで防げる間違い・防げない間違い(シミュレーション)
チェックデジットは万能ではありません。どの程度の写し間違いを弾けるのか、うちのDBから無作為に抜いた20,000社の番号で、起こりうる間違いを全パターン作って数えました。
| 間違いの種類 | 作ったパターン数 | 検出できた割合 | 漏れた内訳 | |---|---|---|---| | 1桁を別の数字に書き間違える(12桁×9通り) | 2,160,000 | 95.14% | 漏れ105,076件はすべて「0と9の取り違え」 | | 隣り合う2桁を入れ替える(同じ数字が並ぶ箇所を除く) | 170,067 | 97.45% | 漏れはすべて「0と9が隣り合う並びの入れ替え」 |
理屈はこうです。算式は合計を9で割った余りを使うので、合計が9の倍数だけ変わる間違いは検出できません。1桁の0を9に(または9を0に)書き間違えると、その桁の重みが1でも2でも合計は9か18だけ変わり、余りが同じになります。「09」と「90」の入れ替えも同じ理由で漏れます。逆に言えば、0と9が絡まない書き間違いと入れ替えは、この算式で100%弾けます。
法人番号には登記所コードや一連番号の頭に0が多く入るので、0↔9の取り違えは現実にも起こりやすい間違いです。手書きの請求書や、電話で読み上げられた番号を打ち込むときは、チェックデジットが通っても、0と9の見間違い・聞き間違いは別に疑うと覚えておくと安全です。
番号の真ん中2桁から読めること・読めないこと
設立登記法人の基礎番号は「登記所コード4桁+組織区分2桁+一連番号6桁」なので、法人番号の6〜7桁目(基礎番号の5〜6桁目)を見ると、登記されたときの会社の種類がわかります。うちのDBで設立登記法人5,743,646件を組織区分ごとに数え、現在の法人種別(国税庁が公表している区分)と突き合わせました。
| 組織区分(法人番号の6〜7桁目) | 件数(割合) | 現在の法人種別の内訳 | |---|---|---| | 01 | 2,872,061件(50.0%) | 株式会社 2,871,389・合同会社 646・合名会社 14・合資会社 12 | | 02 | 1,708,922件(29.8%) | 有限会社 1,675,486(98.0%)・株式会社 33,335・合同会社 85・ほか | | 03 | 577,974件(10.1%) | 合同会社 450,285(77.9%)・合資会社 93,221(16.1%)・合名会社 19,265(3.3%)・株式会社 15,203(2.6%) | | 05 | 584,689件(10.2%) | その他の設立登記法人(一般社団法人・医療法人など) 583,644・株式会社 1,044・合同会社 1 |
読み方はこうです。01は株式会社、02は有限会社、03は持分会社(合同・合資・合名)、05はそれ以外の法人、というのが大枠で、01と05は現在の種別と99%以上一致します。ただし02の番号を持ちながら現在は株式会社になっている会社が33,335社、03の番号で現在は株式会社になっている会社が15,203社あります。有限会社から株式会社に変わった会社、持分会社から株式会社に変わった会社が、番号を変えずに残っているためと読めます(国税庁は、名称や所在地の変更登記をしても法人番号側の手続は不要で、登記の内容が法務省から連絡されて公表サイトに反映されると案内しています)。
なので、番号の組織区分は「登記されたときの種類」を示すもので、「いまの種類」ではありません。会社の種類そのものは、公表サイトかしょくばログの会社ページで現在の商号を見て判断してください。株式会社・合同会社・有限会社の違いは法人の種類一覧と見分け方、前株・後株の話は前株と後株の違いにあります。
登記所コード(法人番号の2〜5桁目)は97種類あり、本店を管轄する法務局を示します。ただし国税庁は所在地の変更登記をしても法人番号側の手続は不要(番号はそのまま)と案内しているので、これも「番号が付いたときの管轄」であって現住所とは限りません。
実務でどう使うか — インボイス番号のTを外せば同じ番号
インボイス(適格請求書)の登録番号は「T+13桁」で、法人の場合はTの後ろが法人番号そのものです。なので請求書に載っている登録番号も、Tを外して同じ式で検算できます。登録番号から会社名を逆引きする手順はインボイス登録番号を会社名から逆引きする方法にまとめています。
うちが実際にやっている順番は次のとおりです。
1. まず検算式にかける。NGなら、その番号は照会するまでもなく写し間違い。相手に「番号を確認させてください」と戻す 2. OKなら、番号で公表サイトかしょくばログを引いて、商号と所在地が請求書の会社と一致するかを見る。番号として成立していても、別の会社の番号を書いている事故はある 3. 商号が違うのに番号が通る場合は、公表サイトの「変更履歴」で商号変更がないか、解散・休眠していないかを確かめる
チェックデジットの検算は「1」を自動化するためのもので、「2」「3」の代わりにはなりません。番号が正しく写せていることと、その番号の会社が実在して取引に足ることは、別々に確かめる必要があります。
よくある質問
法人番号のチェックデジットに0はありますか?
ありません。算式が「9 −(余り)」で余りは0〜8なので、結果は1〜9のどれかになります。うちのDBの5,791,529件でも先頭が0の番号は0件でした。先頭が0に見える13桁の番号は、法人番号ではないか、桁を落としています。
会社法人等番号(12桁)と法人番号(13桁)は同じものですか?
設立登記法人については、法人番号の下12桁が会社法人等番号と同じです(施行令35条2項)。違うのは先頭1桁の検査用数字だけで、これは12桁から計算で出せます。登記事項証明書の12桁しか手元にない場合は、この記事の12桁用の式で先頭1桁を足せば、公表サイトで引ける13桁になります。
12桁を入力すると自動で13桁にしてくれるツールはありますか?
専用ツールを探すより、Excelかスプレッドシートに、この記事の12桁用の式を1列足すのがいちばん確実です。省令の算式は公開されているので、式が正しいかは国税庁の例(700110005901→8)で自分で確かめられます。100件でも10万件でも同じ式で処理できます。
チェックデジットが合っていれば、その会社は実在しますか?
いいえ。検算で分かるのは「番号として成立している(写し間違いではなさそう)」ことだけです。適当な12桁に検査用数字を付ければ、式は通ります。実在と現在の状態は、番号で公表サイトかしょくばログを引いて商号・所在地・登記記録の閉鎖の有無を確かめてください。手順は会社が実在するか・倒産していないかを確認する方法にあります。
法人番号の6〜7桁目で会社の種類を判定してよいですか?
目安にはなりますが断定はできません。うちのDBでは、02(有限会社)の番号のまま現在は株式会社になっている会社が33,335社、03(持分会社)の番号で株式会社になっている会社が15,203社ありました。番号の組織区分は登記されたときの種類です。現在の種類は商号で確認してください。
出典
- 国税庁 法人番号公表サイト「法人番号の構成」(番号利用法施行令35条1〜3項、法人番号の指定等に関する省令2条の算式と、国の機関・地方公共団体・設立登記法人・設立登記のない法人の番号構成表)
- 国税庁 法人番号公表サイト「チェックデジットの計算」(会社法人等番号700110005901→法人番号8700110005901の計算例)
- 国税庁「法人番号について」(令和8年6月版パンフレット・名称や所在地の変更登記と法人番号の関係、FAQ)
- しょくばログDB(国税庁法人番号公表サイトの全件データを取り込んだ5,791,529件・2026年9月時点):検査用数字の全件検算、先頭桁の分布、組織区分×現在の法人種別の集計、無作為20,000社を使った写し間違いのシミュレーション