✍ 古家あきら | 2026-09-14 更新
合資会社・合名会社とはどんな会社か — 無限責任の会社が今も7万社残っている理由を全件で数えた
先に結論です。合資会社・合名会社とは、出資者の全部または一部が「会社の借金を自分の財産で払う」約束をしている会社です(会社法576条・580条)。株式会社や合同会社の出資者は出した金額までしか責任を負いませんが、合名会社は出資者全員が、合資会社は出資者の一部が、上限なしで会社の債務を背負います。
そのうえで、しょくばログの全件データを数え直すと、この2種類の会社はこんな姿でした。
- しょくばログに載っている(検索できる)のは合資会社58,916社・合名会社12,180社。活動中の法人4,988,967社の1.43%
- ところが登記上はさらに合資会社28,329社・合名会社5,750社が現存しています。国税庁が「登記上の本店所在地が、住居表示の実施などで今は存在しない住所になっている」と確認して検索対象から外した会社です。合資・合名は登記の3社に1社がこれで、株式会社では1万社に2社しかありません
- 名前に「商店」が付く割合は合名会社14.5%・合資会社13.8%。株式会社の0.72%と比べて19倍
- インボイス(適格請求書発行事業者)に登録しているのは合名11.7%・合資11.1%。株式会社64.3%の6分の1
- 秋田・沖縄・熊本では会社1,000社あたり44〜62社が合資・合名。大阪・東京は6〜7社
「無限責任の会社が、なぜまだ7万社も残っているのか」。答えを先に言うと、新しく作られているからではなく、閉じられていないからです。この記事では、無限責任の意味を就職・取引の目線で説明したうえで、7万社の中身を都道府県・業種・規模・閉じ方まで全部数えます。
しょくばログという全国の会社データベースを運営していると、「取引先が合資会社なんですが、大丈夫な会社なんでしょうか」「求人を見たら合名会社で、聞いたことがない形なんですけど」というご相談が、合同会社の記事と有限会社の記事を書いてから続けて来るようになりました。法人の種類一覧では「合名・合資を足しても7万社台」と総数しか触れていなかったので、今回はこの2種類だけを取り出して数えます。
合資会社・合名会社の定義 — 「社員」は従業員のことではない
会社法2条1号が「会社」と呼ぶのは、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の4つだけです。後ろの3つをまとめて「持分会社」と呼びます。3つの違いは、出資者(会社法では「社員」と呼びます)がどこまで責任を負うか、この1点です。
会社法576条は、持分会社の定款に「社員が無限責任社員か有限責任社員か」を必ず書くよう求めたうえで、こう決めています。
| 種類 | 出資者の責任(会社法576条2〜4項) | 最低人数 | |---|---|---| | 合名会社 | 全員が無限責任社員 | 1人から(会社法は下限を置かず、解散事由が「社員が欠けたこと」=0人になったとき。641条4号) | | 合資会社 | 一部が無限責任社員、その他が有限責任社員 | 2人以上(無限責任と有限責任が1人ずつ要る) | | 合同会社 | 全員が有限責任社員 | 1人から |
無限責任の中身は580条にあります。会社の財産で債務を払いきれないとき、無限責任社員は連帯して、会社の債務を弁済する責任を負う。有限責任社員は出資した額(まだ払っていない分)を上限に責任を負う、とあります。つまり合名会社の出資者は、会社が払えない借金を自分の預金や家で払うことになります。
ここで一つ、就職を考えている方に大事なことがあります。会社法の「社員」は出資者のことで、雇われて働く従業員ではありません。 合名会社に従業員として入っても、会社の借金を背負うことはありません。無限責任は「出資して経営に加わる人」の話です。求人票の「正社員」の社員と、会社法の社員は別の言葉です。
もう一つ、合資会社には自動的に種類が変わる仕組みがあります(会社法639条)。有限責任社員が全員抜けて無限責任社員だけになると、その合資会社は合名会社になる定款変更をしたものとみなされ、逆に無限責任社員が全員抜けると合同会社とみなされます。相続や退社で人が減ると、看板が変わりうる会社です。
検索に出るのは71,096社、登記上は105,175社 — 消えた3万社の正体
しょくばログは国税庁の法人番号データを全件(5,791,529件)取り込んで、閉鎖されていない・検索対象になっている法人だけを「活動中」として載せています。その条件で数えると、こうです。
| 種類 | しょくばログに載っている数 | 活動中に占める割合 | |---|---|---| | 株式会社 | 2,513,316社 | 50.4% | | 有限会社 | 1,426,057社 | 28.6% | | 合同会社 | 412,431社 | 8.3% | | 合資会社 | 58,916社 | 1.18% | | 合名会社 | 12,180社 | 0.24% |
ここまでは法人の種類一覧と同じ数字です。今回はじめて、その外側を数えました。国税庁の法人番号データには「検索対象除外」というフラグがあり、国税庁はこれを「法人番号の指定を受けた設立登記法人のうち、登記上の本店所在地が、住居表示の実施や区画整理等で既に廃止されており、現在では存在しない住所表記となっていることが確認できた法人」と定義しています(法人番号公表サイト「検索対象除外法人について」)。登記は閉じられていない、でも登記簿の住所は今の地図にない。そういう会社です。
このフラグが立っている活動中の法人を種類別に数えると、偏りがはっきり出ました。
| 種類 | 登記上は現存 | うち検索対象除外 | 除外の割合 | |---|---|---|---| | 株式会社 | 2,513,796社 | 480社 | 0.02% | | 有限会社 | 1,429,550社 | 3,493社 | 0.24% | | 合同会社 | 412,442社 | 11社 | 0.003% | | 合資会社 | 87,245社 | 28,329社 | 32.5% | | 合名会社 | 17,930社 | 5,750社 | 32.1% |
検索対象除外の法人は全部で39,730社あり、その85.8%(34,079社)が合資会社と合名会社です。合資・合名は登記の3社に1社が「住所がもう無い会社」だということになります。
除外された会社の登記上の住所を見ると、「◯◯郡◯◯村」という、今は市になっている旧町村名のままの記載が2,526件(郡)・1,081件(村)、「番外地」という表記も残っていました。戦前から昭和前半に登記されたと思われる会社が、住所の書き換えも解散の登記もされないまま、登記簿の中にそのまま眠っています。
東京都はとくに極端です。
| 東京都 | 検索できる | 検索対象除外 | 除外の割合 | |---|---|---|---| | 株式会社 | 675,765社 | 39社 | 0.006% | | 合資会社 | 7,043社 | 17,922社 | 71.8% | | 合名会社 | 1,006社 | 2,787社 | 73.5% |
東京の合資会社は、登記上の4社に3社が「今は無い住所」の会社です。除外全体の中でも東京都が合資会社の63%(17,922社)を占め、大阪府2,192社・愛知県1,811社・兵庫県1,704社と続きます。住居表示が早く広く実施された大都市ほど、古い登記が「住所ごと取り残される」形になっています。
なぜ閉じられないのか — みなし解散の対象外
株式会社には、12年間なにも登記がないと法務大臣の公告を経て解散したものとみなす「休眠会社のみなし解散」があります(会社法472条)。この条文は株式会社だけを対象にしています。合資会社・合名会社・合同会社にはこの仕組みがありません。
持分会社の解散事由は会社法641条に7つ列挙されていて、存続期間の満了・総社員の同意・社員が欠けたこと・破産・合併・裁判所の命令などです。「長く放置されたから」という理由は入っていません。 誰かが解散の登記をしない限り、あるいは社員が全員いなくなったことが登記所に伝わらない限り、登記は残り続けます。
登記官が職権で登記記録を閉鎖できるのは、解散の登記をしてから10年経ったときです(商業登記規則81条1項1号)。つまり解散の登記そのものがされていない会社は、登記官も閉じられません。合資会社の3分の1が「今は無い住所」で残っている構造は、ここから来ています。
この点は会社が解散・休眠しているか調べる方法で書いた「閉鎖の4件に1件は登記官による職権閉鎖」という話の裏返しです。株式会社は放っておいても役所が整理してくれますが、合資・合名は誰も整理しません。
閉じ方も違う — 合併で消える合資会社は1.7%
法人番号制度が始まった2015年10月以降に登記記録が閉鎖された会社を、閉鎖事由ごとに数えました。
| 閉鎖事由 | 合資会社(5,995件) | 合名会社(1,358件) | 全法人(762,832件) | |---|---|---|---| | 清算の結了等 | 3,953件(65.9%) | 950件(70.0%) | 64.5% | | 合併による解散等 | 102件(1.7%) | 63件(4.6%) | 7.8% | | 登記官による閉鎖 | 1,940件(32.4%) | 345件(25.4%) | 27.5% |
合併で消える合資会社は1.7%と、全体の7.8%に比べて目立って少ない。合資会社・合名会社は、誰かに買われて消えるのではなく、自分で畳むか、解散したまま10年放置されて登記官に閉じられるかのどちらかです。無限責任社員の存在が、吸収する側から見て扱いにくいのだと思いますが、これは数字からの推測で、理由を書いた一次資料は見つけていません。
なお、閉鎖率そのものは合資会社6.4%(登記上現存87,245社に対し閉鎖5,995件)で、全法人の13.2%より低く出ます。ただしこれは「閉じるべき会社が閉じられていない」分だけ分母が膨らんでいる結果なので、倒産しにくいという意味ではありません。
都道府県 — 秋田・沖縄・熊本に多く、大阪・東京に少ない
検索できる71,096社(合資58,916+合名12,180)を都道府県で数えました。実数の上位は次のとおりです。
| 順位 | 合資会社 | 合名会社 | |---|---|---| | 1 | 東京都 7,043社 | 東京都 1,006社 | | 2 | 愛知県 5,482社 | 兵庫県 791社 | | 3 | 神奈川県 3,697社 | 北海道 641社 | | 4 | 兵庫県 3,130社 | 愛知県 638社 | | 5 | 沖縄県 2,748社 | 大阪府 630社 | | 6 | 北海道 2,625社 | 京都府 537社 | | 7 | 熊本県 2,326社 | 福岡県 535社 | | 8 | 大阪府 2,029社 | 沖縄県 500社 | | 9 | 福岡県 2,007社 | 熊本県 492社 | | 10 | 京都府 1,843社 | 神奈川県 439社 |
大阪府が合資会社で8位なのは、活動中の法人数で東京に次ぐ2位(418,747社)であることを考えると異様に少ない。そこで、各都道府県の活動中の法人1,000社あたり何社が合資・合名かを出しました。全国平均は14.3社です。
| 多い県 | 1,000社あたり | 少ない県 | 1,000社あたり | |---|---|---|---| | 秋田県 | 61.6社 | 大阪府 | 6.3社 | | 沖縄県 | 55.3社 | 東京都 | 7.0社 | | 熊本県 | 44.3社 | 埼玉県 | 8.0社 | | 福島県 | 29.9社 | 香川県 | 8.4社 | | 長野県 | 29.5社 | | | | 宮崎県 | 28.7社 | | | | 岐阜県 | 26.8社 | | |
秋田県は大阪府の10倍の密度です。沖縄県は活動中の法人58,708社のうち3,248社(5.5%)が合資・合名で、東京の7倍以上。なぜ秋田・沖縄・熊本に集中するのかは、うちのデータからは分かりません。戦前からの商家の形が残っている、という説明は思いつきますが、裏付けの資料を当てていないので、ここでは事実だけ置いておきます。
業種 — 名前に「商店」が付く割合は株式会社の19倍
しょくばログは社名から業種を機械的に推定していますが、推定できているのは活動中の法人の22.7%(1,130,818社)です。合資会社は40.1%(23,616社)、合名会社も40.1%(4,885社)が推定できていて、全体より当たりやすい。理由は後で分かります。推定できた分で、業種の構成を比べます。
| 業種(大分類) | 合資会社 | 合名会社 | 推定できた全法人 | |---|---|---|---| | 卸売業・小売業 | 53.7%(12,688社) | 56.7%(2,769社) | 20.0% | | 製造業 | 22.4%(5,292社) | 21.8%(1,067社) | 19.4% | | 建設業 | 6.0%(1,407社) | 4.1%(201社) | 19.6% | | 運輸業・郵便業 | 3.5%(826社) | 4.5%(222社) | 3.9% | | 不動産業・物品賃貸業 | 3.4%(813社) | 2.5%(121社) | 9.0% |
合資・合名の半分以上が卸売・小売で、全体の2.7倍。建設業が全体の3分の1しかないのも特徴です。この偏りの正体は、社名を見ると一目で分かります。
| 社名に含まれる語 | 合名会社 | 合資会社 | 株式会社 | |---|---|---|---| | 商店 | 14.5% | 13.8% | 0.72% | | 商会 | 3.2% | 3.5% | 0.52% | | 商事 | 3.5% | 3.0% | 1.5% | | 工業 | 3.0% | 3.4% | 3.0% | | 製作所 | 1.8% | 2.1% | 0.51% | | 酒造 | 1.1% | 0.49% | 0.05% | | 製材 | 0.96% | 0.86% | — | | 建設 | 0.78% | 1.1% | 1.7% |
「◯◯商店」が合名会社の7社に1社、合資会社の7社に1社。株式会社の19倍です。旧字の「商會」も合名1.5%・合資1.8%残っています。「酒造」は合名会社で株式会社の22倍。商家・酒蔵・製材所・町工場という、家業を法人にした会社の形がそのまま残っています。業種が当たりやすかったのは、社名が「何屋か」を名乗っているからです。
これは老舗と新興の見分け方で書いた「社名の語で社歴を推定する」話の、いちばん極端な例だと思ってください。相手が合名会社・合資会社なら、まず老舗を疑ってよい。
規模 — 従業員数が分かる会社は0.16%、分かる会社の中央値は10人
外から見える情報はかなり少ないです。うちがgBizINFO(経産省)から取り込んだ従業員数が付いている会社は、合資会社58,916社のうち97社(0.16%)、合名会社は12,180社のうち20社(0.16%)しかありません。有限会社の0.80%、株式会社の約4.4%と比べても一段少ない。
その97社の従業員数は中央値10人。5人以下が24社、20人以下が71社、100人以上は3社(最多140人)。合名会社20社は中央値10.5人、最多134人でした。サンプルが小さすぎるので目安以上には読まないでくださいが、100人を超える合資・合名会社は例外中の例外です。
設立年も同じで、gBizINFOに設立年月日があるのは合資会社74社(1918年〜2004年)、合名会社10社(1929年〜1976年)。2006年の会社法施行以降に設立された会社は、この84社の中には1社もありません。合同会社ができてから、無限責任を選んで会社を作る理由がほぼ無くなった、というのが制度の面からの説明です(年ごとの設立件数は法務省の登記統計で確認できます)。
求人については、うちが会社の公式サイトから求人ページを取り込めている合資会社は3社、合名会社は0社でした。Indeedとの突合でも0社。求人媒体で合資会社・合名会社の求人を見ること自体が珍しい、という前提で読んでください。
インボイス登録は11% — 取引先として見るときの注意
適格請求書発行事業者(インボイス)に登録しているかは、国税庁の公表データと法人番号で突き合わせられます。
| 種類 | インボイス登録率 | |---|---| | 株式会社 | 64.3% | | 有限会社 | 40.4% | | 合同会社 | 35.1% | | 合名会社 | 11.7%(1,428社) | | 合資会社 | 11.1%(6,569社) |
登録率が低い理由は2つ考えられます。1つは、売上1,000万円以下の免税事業者が多く、登録の必要を感じていないこと。もう1つは、検索対象にはなっていても実態として営業していない会社が混ざっていること。どちらが主かはデータからは分けられませんが、取引先が合資会社・合名会社なら、インボイス登録番号を先に確認するのが実務的です。手順は個人事業主と法人の見分け方(インボイス番号)に書いたものと同じです。
もう一つ。相手が合資会社・合名会社で、しょくばログで社名検索しても出てこない場合、上で書いた「検索対象除外」の3万社に当たっている可能性があります。会社名で検索しても出てこない理由の一つとして覚えておいてください。登記事項証明書は誰でも取れるので、法務局で登記上の住所と社員(出資者)の氏名を確認するのが確実です。持分会社の登記には無限責任社員の氏名・住所が載るので、誰が無限責任を負っているかまで外から分かる。これは株式会社の株主が原則として外から見えないのと対照的です。
相手が合資会社・合名会社だったときに確認する5つ
就職でも取引でも、確認することは同じです。
1. 登記上の本店住所が今の地図にあるか。しょくばログで社名が出てこなければ、法務局で登記事項証明書を取る。住所が旧町村名なら、営業実態を別の方法で確認する 2. 無限責任社員が誰で、今も生きている人か。登記に氏名が載っている。相続で社員が変わっていれば、639条のみなし変更で会社の種類が変わっている可能性もある 3. インボイス登録番号があるか。11%しか登録していない。無ければ免税事業者か、実態がないかのどちらか 4. 社会保険に加入しているか。従業員を雇う法人は強制適用なので、厚生年金の適用事業所検索で確認できる。これが取れれば「人を雇っている会社」だと分かる 5. 業種と社歴。商店・酒造・製材なら家業型の老舗。設立年の調べ方で年代を当てて、業種と合わせて会社の輪郭をつかむ
従業員として入る場合、給与・社会保険・労働時間の法律上の扱いは株式会社と同じです。違うのは「経営者が会社の借金を個人で背負っている」という一点で、これは経営者の覚悟の証拠とも、会社が傾いたとき経営者個人も同時に傾くという意味にも読めます。どちらに読むかは、上の5つを確認してからで十分です。
よくある質問
合資会社と合名会社、どちらが「安全」ですか?
出資者の責任で言えば、合名会社は全員無限責任、合資会社は一部だけ無限責任です。取引相手として見るなら、会社の財産で払えないときに個人財産まで追える範囲は合名会社のほうが広い。ただし実務では、どちらも小規模な家業型が大半で、会社の中身と経営者本人の資力のほうが会社の種類より効きます。会社法580条の責任は「会社の財産で完済できない場合」に出てくる二段目の話です。
合資会社に就職したら、私も無限責任を負うのですか?
負いません。会社法の「社員」は出資者のことで、雇用契約で働く従業員は含まれません。無限責任社員になるのは、定款に名前が載って出資した人だけです。将来「社員にならないか」と誘われたときは、それが出資者になる話なのか、単に正社員登用の話なのかを言葉の意味から確認してください。
合資会社・合名会社は、今でも新しく作れますか?
作れます。会社法に廃止規定はなく、有限会社(2006年以降は新設不可)とは違います。ただ、うちのデータで設立年が分かる84社の中に2006年以降の設立は1社もなく、同じ持分会社で全員有限責任の合同会社が412,431社まで増えているので、あえて無限責任を選ぶ新設はごく少ないと考えていいです。正確な年ごとの設立件数は法務省の登記統計(e-Stat)で公開されています。
しょくばログで検索しても出てこない合資会社は、倒産しているのですか?
限りません。登記上は現存していても、本店所在地が住居表示の実施などで「今は無い住所」になっていると、国税庁が検索対象から外していて、しょくばログにも載りません。合資会社ではこれが登記の32.5%、東京都に限ると71.8%に達します。倒産・清算した会社は別に「閉鎖」として記録されるので、「載っていない」と「閉鎖されている」は別のことです。解散・休眠の調べ方も参考にしてください。
合資会社が合同会社や株式会社に変わることはありますか?
あります。無限責任社員が全員退社すれば、法律上自動的に合同会社になる定款変更をしたものとみなされます(会社法639条2項)。また持分会社から株式会社への組織変更も認められています。古い社名のまま「株式会社◯◯商店」になっている会社は、この経路をたどったものが含まれているはずです。名前に「商店」が付く株式会社は17,971社ありました。
まとめ
合資会社・合名会社は、出資者が会社の借金を個人で背負う無限責任の会社です(会社法576条・580条)。しょくばログで検索できるのは合資58,916社・合名12,180社ですが、登記上はさらに34,079社が「今は無い住所」のまま残っていて、合資・合名の登記の3社に1社、東京都では7割超がこれに当たります。株式会社にあるみなし解散(472条)が持分会社にはなく、解散の登記をしない限り誰も閉じないからです。中身は「◯◯商店」が7社に1社、卸売・小売と製造で4分の3、インボイス登録は11%、従業員数が外から分かるのは0.16%。相手がこの2種類の会社なら、登記上の住所が今の地図にあるか、無限責任社員が誰か、インボイス登録があるか、社会保険に入っているか、の順に確かめてください。従業員として働くぶんには、無限責任はあなたの話ではありません。
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この記事で使ったデータ:しょくばログの法人台帳(国税庁法人番号公表サイトの全件データ 5,791,529件のスナップショット。「活動中」=登記記録が閉鎖されておらず検索対象除外でないもの 4,988,967件)、国税庁の適格請求書発行事業者公表データとの法人番号突合、gBizINFO(経済産業省)の従業員数・設立年月日、しょくばログの社名ベース業種推定(推定できた法人は全体の22.7%)。法令は e-Gov 法令検索で会社法2条・472条・576条・580条・639条・641条、商業登記規則81条を確認。「検索対象除外法人」の定義は国税庁法人番号公表サイトの説明ページによります。集計はすべて当社のスナップショット時点のもので、国税庁の公表統計ではありません。