✍ 古家あきら | 2026-10-10 更新
暗号資産・金融の登録業者を確認する方法 — 金融庁の登録一覧の見方。暗号資産交換業者は27社、一覧の98%以上に法人番号。社名に「暗号資産・仮想通貨」を持つ226法人のうち交換業の登録一覧に載るのは1社
先に結論です。暗号資産の交換所、証券会社やFX会社、送金サービス、プリペイドカードや電子マネーの発行会社は、金融庁(財務局)の登録一覧で確かめられます。 一覧は金融庁のサイトの「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」にまとまっていて、エクセルでも配られています。見るべきところは3つで、①一覧に名前があるか、②登録番号と本店所在地が相手の説明と合うか、③法人番号で登記上の会社と同じか、です。
しょくばログという会社データベースを運営していると、「投資の話を持ちかけてきた会社が本物か分からない」という相談に近い検索が、会社名と一緒に来ることがあります。登録の有無は、相手の説明やサイトの見た目ではなく、金融庁の一覧で確かめるのがいちばん確実です。
今回は金融庁の一覧5種類をダウンロードし、しょくばログの会社台帳(国税庁の法人番号データ)と法人番号で突き合わせました。一覧に載っている会社は、どの一覧でも98%以上に法人番号が付いていて、登記上の会社にたどれました。 一方で、会社サイトに登録番号を載せている割合は種類によって大きく違いました。
ここに書くのは、登録の有無を確かめる手順です。どの業者がよいか、投資してよいかは書きません。
確かめられる登録は4種類
金融庁の一覧で確かめられる主な登録は、次の4つです。条文はe-Gov法令検索で確認しました。
- 暗号資産交換業:資金決済法63条の2「暗号資産交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行ってはならない」。暗号資産の売買や交換、その媒介をする業者です
- 金融商品取引業:金融商品取引法29条「金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない」。証券会社、FX会社、投資助言、ファンドの運用や販売などがここに入ります
- 資金移動業:資金決済法37条。銀行以外の会社が送金(為替取引)を業として行うための登録です。条文は「登録を受けた者は、銀行法…の規定にかかわらず、資金移動業を営むことができる」という書き方で、登録がなければ銀行と同じ規制の側に入ることになります
- 前払式支払手段:プリペイドカード、商品券、電子マネーなど。自社でしか使えない「自家型」は、未使用残高が基準額を超えたときの届出(資金決済法5条)、他社の店でも使える「第三者型」は登録(同7条)です。基準額は資金決済法施行令6条で1,000万円と定められています
条文上の権限は「内閣総理大臣」ですが、実際の窓口は金融庁と各地の財務局です。一覧の「所管」の欄にも「関東財務局」「近畿財務局」などと書かれています。
無登録だとどうなるか
無登録での営業には刑事罰があります。条文で確かめた範囲では、次のとおりです。
- 無登録で金融商品取引業を行った場合:金融商品取引法197条1項4号の3。10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方
- 無登録で暗号資産交換業を行った場合、無登録で第三者型前払式支払手段を発行した場合:資金決済法107条(12号・1号)。3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方
- 自家型の届出をしなかった場合:資金決済法112条1号。6月以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、またはその両方
金融商品取引法には、登録業者ではない者が「金融商品取引業者」という商号やまぎらわしい名前を使ってはいけない、という規定もあります(31条の3)。ただ、名前を使っていないから安心、とはなりません。社名と登録は別物なので、一覧で確かめるしかありません。
金融庁の一覧の探し方
一覧は、金融庁のサイトの「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」のページにまとまっています。銀行、保険会社、貸金業者なども同じページに並んでいるので、目的の業種の行を探します。今回使ったのは次の5つです(いずれも2026年10月10日にダウンロード)。
- 暗号資産交換業者登録一覧:令和8年9月1日現在で27社
- 金融商品取引業者登録一覧:2026年8月31日時点で1,951件。一覧には「同一業者が複数の登録を受けている場合があり」という注記があります
- 資金移動業者登録一覧:2026年8月31日時点で85社
- 前払式支払手段(第三者型)発行者登録一覧:同787社
- 前払式支払手段(自家型)発行者届出一覧:同1,228件
どの一覧にもPDF版とエクセル版があります。社名で探すなら、エクセル版を開いて検索機能を使うのが早いです。英字の社名は、全角と半角の両方で探してください。金融庁の無登録業者のページでも、同じ注意書きがありました。
一覧の列の読み方
一覧の列は、だいたい共通しています。
- 所管:どの財務局に登録しているか
- 登録番号:「関東財務局長 第00001号」のような形。金融商品取引業は「関東財務局長(金商)第○○号」と、間に(金商)が入ります
- 登録年月日
- 業者名
- 法人番号:13桁の番号
- 本店等所在地と代表電話番号
- 暗号資産交換業者の一覧には「取り扱う暗号資産」、金融商品取引業者の一覧には「業務の種別」(第一種・第二種・投資助言・代理業・投資運用業)や加入している協会の欄もあります
暗号資産交換業者の一覧の冒頭には、一覧にある暗号資産は「資金決済法上の定義に該当することを確認したものにすぎません」と書かれています。金融庁がその暗号資産の価値を保証したり推奨したりするものではない、という断り書きです。一覧に載っていることは「登録がある」という意味で、「安全な投資先」という意味ではありません。
確かめる順番
相手の会社から勧誘を受けたときや、取引を始める前に確かめるときは、次の順番が迷いにくいです。
1. 相手が何の業をしているかを決める:暗号資産の売買なら暗号資産交換業、株やFXや投資助言なら金融商品取引業、送金なら資金移動業。分からなければ、相手に「どの登録で営業していますか」と聞きます 2. 金融庁の一覧で業者名を探す:社名の一部で検索し、全角・半角の両方を試します 3. 登録番号を照らし合わせる:相手のサイトや書面にある登録番号と、一覧の番号が同じか 4. 本店所在地と電話番号を照らし合わせる:一覧の電話番号に自分でかけて確かめる、という使い方を金融商品取引業者の一覧も勧めています。一覧の注意書きには「少しでも疑わしい場合は電話番号やホームページ(以下の※参照)で実在の業者か確認してください」とあります 5. 法人番号で登記上の会社と照らし合わせる:一覧の法人番号を、国税庁の法人番号公表サイトやしょくばログで引き、商号と本店所在地が一致するかを見ます 6. 行政処分を受けていないかを見る:一覧に載っていても、業務停止などの処分を受けていることがあります。調べ方は会社の行政処分歴を調べる方法にまとめました
5番目の法人番号の照合が効くのは、よく似た名前の会社が別にあるときです。登録業者とそっくりな社名を名乗る、という手口があり得るからです。社名だけでなく、番号でつながっているかを見てください。法人番号そのものの引き方は法人番号の調べ方で説明しています。
しょくばログの会社台帳と突き合わせた結果
5つの一覧の法人番号を、しょくばログの会社台帳(国税庁の法人番号公表サイトのデータ)と突き合わせました。
一覧のほぼ全件に法人番号があり、登記上の会社にたどれた
- 暗号資産交換業者:27社すべてに法人番号があり、27社とも台帳で見つかりました。27社すべてが株式会社で、本店は東京都25社・大阪府2社でした
- 金融商品取引業者:1,951件のうち法人番号が13桁で入っていたのは1,918件(98.3%)で、1,918件とも台帳で見つかりました。株式会社1,801、国税庁の分類で「外国会社等」64、有限会社27、合同会社24。本店は東京都が1,480件(77.2%)を占めました
- 資金移動業者:85社すべてに法人番号があり、全社が台帳で見つかりました。株式会社83、外国会社等2。東京都が75社(88.2%)
- 前払式(第三者型):787社すべてに法人番号があり、全社が台帳で見つかりました。株式会社450に対し、国税庁の分類で「その他の設立登記法人」が331。社名に「組合」を含むものが252社(32.0%)あり、商店街の共通商品券などを出している団体が入っていると見られます。東京都は212社(26.9%)で、ほかの一覧より地方に散らばっています
- 前払式(自家型・届出):1,228件のうち法人番号が13桁で入っていたのは1,221件。台帳ではそのうち9社の登記が閉鎖扱いでした。一覧の更新時期とのずれなのか、別の事情なのかは確かめていません
5つの一覧のどれかに載っている法人は、法人番号で数えて3,997。うち41は複数の一覧に載っていました。たとえば送金とプリペイドの両方を手がけるような会社です。
一覧の業者名と登記上の商号は、ほとんど一致する
一覧の業者名と台帳の商号を、全角・半角をそろえ、空白を除いて比べました。一致した割合は、暗号資産交換業者26/27社、金融商品取引業者1,882/1,918件(98.1%)、資金移動業者84/85社、第三者型773/787社、自家型1,202/1,221件でした。
一致しなかったものは、一覧側に注記の記号が付いていたり、表記の細かい違いがあったりするものが中心と見ています(1件ずつの目視はしていません)。言い換えると、一覧の業者名と登記上の商号は、基本的に同じ名前です。 相手が名乗る社名と一覧の名前が大きく違うなら、その時点で立ち止まる理由になります。
金融商品取引業者の業務の種別
金融商品取引業者1,951件の業務の種別(重なりあり)は、第二種金融商品取引業1,224、投資助言・代理業1,007、投資運用業444、第一種金融商品取引業281でした。一般に「証券会社」と呼ばれるのは第一種ですが、一覧の大半は第二種や投資助言・代理業です。「金融商品取引業者です」と言われたら、どの種別の登録なのかまで見ると、その会社に何ができるのかが分かります。
社名に「暗号資産」「仮想通貨」を持つ法人は226、交換業の登録一覧に載るのは1社
しょくばログの台帳で、商号に「暗号資産」「仮想通貨」「クリプト」「ビットコイン」のいずれかを含む法人を数えると226ありました。うち閉鎖済みが35(15.5%)、活動中が191です。活動中の内訳は株式会社98、合同会社43、有限会社28、その他の法人22でした。
このうち、暗号資産交換業者の登録一覧に載っていたのは1社だけです。逆に言えば、登録一覧の27社の大半は、商号に「暗号資産」も「仮想通貨」も入っていません。
ここから「残りの会社は違法だ」とは言えません。暗号資産の情報メディア、システム開発、コンサルティングなど、交換業の登録が要らない事業をしている会社も多いはずです。言えるのは、社名に「暗号資産」と入っていることは、登録があることの証拠にならない、ということです。社名で判断せず、一覧で確かめてください。
会社サイトに登録番号は載っているか
しょくばログは、会社サイトの文章を保存しています(31,159社分)。このうち、登録一覧に載っている会社のサイトで、登録番号らしき表記がどれだけ見つかるかを数えました。
- 金融商品取引業者:保存しているサイト130社のうち、「○○財務局長(金商)第○号」の形の番号が見つかったのは62社(47.7%)
- 資金移動業者:保存サイト11社のうち3社(数が少ないので参考値)
- 前払式(第三者型):保存サイト154社のうち3社(1.9%)
- 暗号資産交換業者:今回は保存しているサイトがありませんでした
金融商品取引業者でも、保存したサイトの文章から番号が見つかったのは半分弱でした。番号は会社概要の下のほうやフッター、別ページの「会社情報」「勧誘方針」に置かれていることが多く、保存した範囲に入っていないだけ、という場合もあります。数字は「サイトのどこかに載っていない」ことの証明ではありません。
サイト全体では、「金商」の登録番号の形の表記があったのは70社(0.22%)でした。うち8社は、法人番号が金融商品取引業者の登録一覧に載っていない会社でした。提携先や取引している証券会社の番号を載せているのかもしれませんが、中身は確かめていません。サイトに書いてある番号が、その会社自身の登録番号とは限らないという点は、覚えておいて損はありません。番号を見つけたら、一覧で「その番号がその会社のものか」まで照らし合わせてください。
無登録業者の警告リストとの違い
金融庁には、登録一覧とは別に「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」というページがあります。無登録で営業しているとして、金融庁(財務局)が警告書を出した相手の名前を載せたものです。
警告書を出した相手は「無登録業者」と「無登録の海外所在業者」の2つのエクセルに分かれています。ダウンロードした一覧(どちらも令和8年9月25日更新)には、無登録業者が719件、海外所在業者が436件載っていました。無登録業者719件のうち、所在地が「不明」とされたものが126件あります。掲載時期は平成22年から並び、無登録業者は令和7年が37件、令和8年は9月までで44件でした。
この警告リストは、登録一覧とは性格が違います。
- 法人番号の欄がない:登録一覧のように、番号で登記上の会社に確実にたどることができません。同じ名前の別会社を疑ってしまう危険もあります
- 載っていない=安全ではない:金融庁自身が、ページの注意書きで「掲載されていない者でも、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ます」と書いています
- 名前や所在地が今のものとは限らない:同じく、名称や所在地が現時点のものでない場合がある、と断っています
確かめる順番としては、まず登録一覧に載っているかです。警告リストは、載っていたら危ないと分かる補助線として使ってください。
勤め先・取引先として調べるとき
投資の話だけでなく、金融系の会社に転職するときや、取引先として付き合うときにも、同じ一覧が使えます。
- 求人票の会社が「金融商品取引業者」と書いていたら、一覧でその登録と業務の種別を確かめる
- 取引先が送金や決済の仕組みを提供すると言うなら、資金移動業の登録があるかを見る
- ポイントや電子マネーを発行している会社と組むなら、前払式支払手段の届出・登録の欄を見る
許認可全般の確かめ方は会社の許認可を調べる方法に、取引先の信用の見方は取引先の信用を調べる方法にまとめています。暗号資産関連の会社が破産した事例は、NFT関連会社の破産と、商号変更・本店移転の履歴の読み方で扱いました。
よくある質問
金融庁の登録一覧に載っていれば、その会社は安心ですか?
登録があることは確かめられますが、安心かどうかまでは分かりません。暗号資産交換業者の一覧自体に、金融庁が暗号資産の価値を保証したり推奨したりするものではない、と書かれています。行政処分を受けていないかも、あわせて見てください。
海外の取引所は、日本の登録一覧に載っていなくても使えますか?
金融庁は、無登録で営業していた海外の業者にも警告書を出していて、その一覧(令和8年9月25日更新)には436件が載っていました。日本の一覧に載っていない海外の業者を使うときは、少なくともこの警告リストに名前がないかは見てください。どの行為がどこまで日本の規制の対象になるかの線引きは、今回の記事では扱いません。迷ったら、金融庁の金融サービス利用者相談室に問い合わせてください。
相手のサイトに登録番号が書いてあれば十分ですか?
十分ではありません。番号は書こうと思えば誰でも書けます。今回の集計でも、金融商品取引業者の一覧に法人番号が載っていない会社のサイトに、「金商」の番号の形の表記が見つかった例がありました。番号を見つけたら、金融庁の一覧でその番号の業者名と本店所在地が相手と一致するかを確かめてください。
一覧の業者名と、相手が名乗る社名が少し違います
一覧の業者名と登記上の商号は、今回突き合わせた範囲で98%以上が一致していました。全角・半角や空白の違い程度なら問題になりにくいですが、それ以上に違う場合は、一覧の法人番号を国税庁の法人番号公表サイトで引き、相手の会社と同じ番号かを確かめてください。
しょくばログで、登録の有無を調べられますか?
今のところ、しょくばログの会社ページに金融庁の登録の有無は表示していません。会社ページでは、法人番号・商号・本店所在地・商号や所在地の変更履歴を確かめられるので、金融庁の一覧で見つけた法人番号との照合に使ってください。
まとめ
- 暗号資産交換業、金融商品取引業、資金移動業、前払式支払手段(第三者型)は登録制、前払式(自家型)は一定額を超えると届出制。無登録の営業には刑事罰がある
- 確かめるのは金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」。エクセル版で検索し、登録番号・所在地・電話番号・法人番号を照らし合わせる
- 一覧に載っている会社は98%以上に法人番号があり、業者名も登記上の商号とほぼ一致する。名前が大きく違えば立ち止まる
- 社名に「暗号資産」「仮想通貨」を持つ法人226のうち、交換業の登録一覧に載るのは1社。社名は登録の証拠にならない
- 会社サイトに登録番号が見つかったのは、金融商品取引業者で半分弱。サイトの番号は、一覧で「その会社のものか」まで確かめる
- 無登録業者の警告リストは補助線。載っていないことは安全の証明にならない
数字について
- 登録一覧は、金融庁「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」の暗号資産交換業者登録一覧(令和8年9月1日現在)、金融商品取引業者登録一覧・資金移動業者登録一覧・前払式支払手段(第三者型)発行者登録一覧・前払式支払手段(自家型)発行者届出一覧(いずれも2026年8月31日時点)のエクセル版を、2026年10月10日にダウンロードして集計しました。件数は業者名の入った行を数えたものです
- 無登録業者の件数は、金融庁「無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について」の「警告書の発出を行った無登録業者」「警告書の発出を行った無登録の海外所在業者」のエクセル(いずれも令和8年9月25日更新)の掲載行を数えたものです
- 法人種別・都道府県・商号・閉鎖の数字は、国税庁の法人番号公表サイトのデータをもとにしたしょくばログの会社台帳によるものです
- 会社サイトの数字は、しょくばログが保存している会社サイトの文章(31,159社分)から、登録番号の形の表記を機械的に数えたものです。保存していないページに番号がある場合は数に入りません
- 条文は、e-Gov法令検索の資金決済法(2条・5条・7条・37条・63条の2・107条・112条)、資金決済法施行令6条、金融商品取引法(29条・31条の3・197条)を、2026年10月10日に取得して確認しました
- 集計スクリプト:scripts/analyze_kinyu_toroku.py(2026-10-10 実行)